上園 啓史

先発彗星、伸び悩み型

右投右打 新人王(07)
東福岡高〜武蔵大 阪神07ドラフト(大・社)3巡〜11、楽天12〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 阪神 9 0 4 0 0 0 43 47 2 38 11 3 2 15 3.14
09 阪神 1 0 0 0 0 0 5 2/3 8 1 2 3 0 0 3 4.77
10 阪神 25 0 3 4 0 0 60 2/3 60 8 39 27 1 3 32 4.75
11 阪神 - - - - - - - - - - - - - - -
通算 5年 52 1 15 9 0 0 195 185 20 162 73 5 9 73 3.37

1年目にローテーション定着し新人王に輝いた右腕。開幕前にはそれほど名前の知られていなかった選手だったが、見事な活躍でチームを救った。
06年の大・社ドラフト3巡指名。高校では吉村(横浜)と同期だが当時は控え投手。大学では武蔵大を首都リーグ一部に押し上げる活躍をし、プロへの道を開いた。ただ新人としても注目度は高くなく、開幕は二軍スタート。
しかし6月に大抜擢されて先発起用されると、そこからみるみる評価を上げていった。3度目の先発でプロ初勝利、そこまでもしっかりゲームをつくっていたとあってローテーション入り。その後も安定した投球を続け、リーグの新人では最多の8勝をマーク。安藤の故障などで足並みの揃わなかった先発陣を大いに救った。2点台前半の防御率も非常に優秀で、見事新人王獲得。
バランスの良さが光り、スピードはさほどではないもののフォークが決まって奪三振が多かった。特に目立つ部分はないが制球もまずまずで、なかなかの完成度を発揮。
ただこの鮮烈な活躍の後が続いていない。2年目の08年は開幕前から調子が上がらず二軍スタート。5月下旬に昇格後先発4連勝を挙げるも、その後2連続で序盤KOを喫し以降は二軍暮らしに終わった。そして翌年は開幕から終盤までずっと二軍。9月に先発したのが唯一の一軍登板で、全く存在感のないままだった。
復調を期した10年は開幕からしばらく先発。出足はなかなか状態良く、3度目の登板で2年ぶりの勝利。ただその後はもう一つパッとしない投球で、5月末からはリリーフに。再度先発も3回降板で夏場はしばらく二軍。登板数は自己最多を記録したものの、先発もリリーフも物足りない結果で印象は薄いままだった。
それほど球威のある投手ではなく、慣れられたかちょっと中途半端なところに収まってしまった感がある。昨年はシーズン通して二軍で過ごし、一度も一軍マウンドに上がれずに終わった。下での成績も目立つものではなく、埋没しかかっている。トレードが決まり今季は楽天へ。再奮起して何とか一軍に食い込みたいところだが。

上野 大樹

先発期待、力投型

右投右打
帝京高〜東洋大 ロッテ09ドラフト3位〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
09 ロッテ 16 0 1 1 0 0 29 2/3 31 1 23 15 0 0 13 3.94
10 ロッテ 7 0 0 0 0 0 15 16 0 6 7 0 0 7 4.20
11 ロッテ 14 1 4 7 0 0 83 2/3 82 3 36 19 4 1 33 3.55
通算 3年 37 1 5 8 0 0 128 1/3 129 4 65 41 4 1 53 3.72

3年目の昨年先発候補に浮上してきた投手。後半一軍定着を果たしローテーション入り。
巨人の左腕上野貴久投手の実弟で、高校大学と兄と同じ球歴を歩んだ(兄はさらに社会人を経て巨人入り)。大学では大場(ソ)のあとを受け、リーグ4連覇、選手権春秋連覇に貢献。最後の秋期リーグでは5勝を挙げMVPに輝いた。ドラフト3位でプロ入りし、前半は二軍だったものの36イニングで奪三振31、四球4と好成績。7月に一軍昇格を果たし、初登板は9打者から6三振を奪う上々のデビュー。以降リリーフで16試合に登板。8月にはプロ初勝利を記録し、まずまずのスタートを切った。
最速148kmの速球を軸とする本格派の投手。二軍では力の違いを見せ付けた格好で、上でもまずまずの結果を残した。だが飛躍を期待された10年は開幕一軍入りを果たしたものの、故障で躓き。序盤3試合に投げただけで夏場まで離脱。8月再昇格したが、3試合連続失点で終盤は二軍落ち。
改めて昨年は二軍スタート。一軍昇格は7月になってからだった。しかし1度リリーフで投げた後プロ初先発で完封勝利を記録。続くマウンドでも8回零封で連勝し、以降先発の一角としてシーズン終了まで登板。2度の3連敗と負け越したものの、4勝を挙げ大きく前進のシーズンとなった。
球速は以前より控えめでスライダー、フォークを交えて打たせて取る投球を展開。奪三振は少ないが力感はあり、はまった時には小気味いい投球を見せる。ただまだ課題は多く、先発としては中盤が大きな山。打者が二巡目となる4回の失点が非常に目立った。また左右で被打率が極端に違い、対左の克服も必須。ともあれこれをステップに、今季はシーズン通しての戦力を期待される存在。

上野 弘文

リリーフタイプ、後半失速型

右投右打
樟南高〜トヨタ自動車 広島07ドラフト(大・社)3巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 広島 42 0 2 2 0 8 48 2/3 59 5 29 19 1 1 26 4.81
09 広島 8 0 0 0 0 0 7 2/3 13 1 3 1 0 1 6 7.04
10 広島 27 0 1 2 2 7 27 1/3 34 7 11 8 1 0 15 4.94
11 広島 31 0 2 2 0 4 27 2/3 32 3 19 11 2 1 17 5.53
通算 5年 139 0 6 7 2 26 139 1/3 172 19 83 54 7 4 78 5.04

即戦力としてプロ入りし、リリーフで起用される投手。ただここまでシーズン通しての働きがなかなか出来ていない。
高校時代は甲子園ベスト4の実績。社会人を経て分離ドラフト3巡指名で広島入りした。同期入団の宮崎や青木高とともに即戦力と見込まれ、1年目から開幕一軍入り。序盤はそこそこの投球を見せたが、一度抹消され再昇格した7月以降はやや不安定に。31試合登板とまずまずのデビューも、終盤失点が重なって防御率は4点台半ばに終わった。
速球と小さい変化球を中心に攻める投手で、スピード表示はそこそこでも球威を感じさせるタイプ。ただ制球が粗っぽくばらつき気味で、四球が多めだった。セットアッパーを期待する声もあったがそこまでの内容は見せられず。
2年目は二軍でスタートしたが、そこで安定した投球で9セーブを挙げ6月に昇格。以降リリーフの一員として起用が増え、40試合以上の登板を果たした。ただ前半はいい状態をキープしていたものの、日程が進むにつれ内容が悪化。どんどん数字は落ちていき、最後の4試合は連続失点の乱調。最終的に前年よりも防御率を落とすことに。この後半の不調が響いたか翌09年はわずか8試合の登板のみに。
ちょっと影も薄くなったが、10年は光るところを見せた。序盤はさっぱりですぐに二軍落ちも、6月再昇格すると安定した投球を披露。信頼を上げ、7月には抑え役を任されてプロ初を含む2セーブを挙げた。このまま新抑え定着も期待されたが、オールスター前に2ホーマーを浴びて逆転サヨナラを喫すると以降失点続きに。8月には約1ヶ月戦線離脱。終盤復帰後2年ぶりの勝利を挙げたが、後半の不調が響いて5点近い防御率となってしまった。
ここまで登板数は多いもののまだシーズン通しての一軍がない。特に夏場に調子を崩す傾向が強く、前半はいいが後半さっぱりというシーズンが繰り返されている。開幕から中継ぎで登板数を増やした昨年も、一軍で投げていたのは7月まで。8月以降はずっと二軍で過ごし、強い印象を残すことは出来なかった。
依然制球は不安定で、時折アウト一つを取るのもやっとというほど手酷く打ち込まれてしまうため、競った場面には使いにくい投手。そろそろもう一段階、せめてフルシーズン一軍に留まるぐらいの進歩が欲しいところ。

牛田 成樹

長身右腕、体調不安型

右投右打
徳島商高〜明大 横浜04ドラフト4巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 横浜 23 0 0 2 0 3 24 18 6 28 13 0 1 14 5.25
09 横浜 4 0 0 0 0 0 6 9 1 10 2 2 1 7 10.50
10 横浜 41 0 2 1 0 23 52 28 4 69 28 1 3 7 1.21
11 横浜 45 0 2 1 0 19 46 1/3 37 7 61 16 0 1 19 3.69
通算 8年 154 0 9 7 0 46 226 169 35 267 81 5 9 79 3.15

長身から投げ下ろすフォークを武器とする右腕。06年チームの投手陣で一番と言っていいほどの台頭を見せ、リリーフの主力に定着。
大学では岡本篤(西武)と同期で、一場(ヤクルト)の一年先輩。入団から2年の一軍登板はいずれも2試合のみで、ほとんど二軍暮らし。全く戦力になっていなかった。しかし3年目の06年、6月に一軍昇格すると4試合9イニングを14奪三振1失点の快投。先発に抜擢されたヤクルト戦でも負けはしたが8回9奪三振2失点の好投。次の先発登板でプロ初勝利を挙げ、以降完全に一軍定着を果たした。実質4ヶ月の期間で28試合と充分な登板数をこなし、後半は完全に主力投手に。
カウント球としてカーブを使うこともあるが割合は少なく、球種としてはほぼストレートとフォークのみ。だが長身からのフォークは落差鋭く、絶対的な威力を誇る。奪三振率が非常に高く、追い込まれると対応の難しい投手。
大きな戦力として台頭したが、期待された翌07年は体調不良に悩まされほとんど登板できず。影響は08年も続き、故障もあって一軍登板は後半になってからだった。20試合以上登板と復活の道筋をつけたと思えたが、09年は一転4登板中3試合に失点と不調に陥りほとんど二軍暮らし。下では圧倒的な数字を残すも全く戦力になれなかった。
ちょっとすっきりしない状態が続いていたが、10年はトンネルを脱し急成長のシーズンに。開幕からセットアッパー的立場で回転し、序盤に3年ぶりの勝利。特に5月頭からは自責0という投球が続き、リリーフ陣の中で抜群の安定感を見せた。途中肩を痛めて3ヶ月も離脱したが、9月復帰以降は10試合でわずか3安打しか許さず、さらに圧巻の投球を展開。4ヶ月の実働期間ながら41試合に登板しチーム最多のホールドを記録。
四球はやや多めながらも、圧倒的に低い被打率と高い奪三振率で抜群の投球を見せた。ただ故障の多さは相変わらずで、昨年も腰を痛めて開幕に出遅れ。一軍登板は5月中旬以降だった。前年ほどの出来ではないながらも貴重な信頼の置けるリリーフとして登板を重ねたが、8月に入って6試合中4試合に失点する大乱調に陥り10月まで戦線離脱。登板数は前年を上回る自己最多も、成績はだいぶ落とし、またシーズン通しての働きは出来なかった。
防御率3点台半ばは統一球を考慮するとだいぶ不満の残るもの。それ以上に問題は離脱の多さで、もうチームに欠かせない存在ながらここまでシーズンフルの活躍がないというのがあまりに惜しい。ポテンシャルは非常に高いだけに、何とか体力面の課題を克服して欲しいところだが。まともならば鉄壁のセットアッパーになれる存在。

内 竜也

快速リリーフ、故障多発型

右投右打
川崎工高 ロッテ04ドラフト1巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 ロッテ - - - - - - - - - - - - - - -
09 ロッテ 31 0 3 1 1 6 26 25 3 29 12 1 4 18 6.23
10 ロッテ 15 0 2 0 0 4 20 14 1 20 10 1 2 10 4.50
11 ロッテ 21 0 1 1 0 10 24 2/3 17 1 24 7 2 1 6 2.19
通算 8年 86 0 6 3 1 20 107 1/3 96 11 103 48 6 10 60 5.03

高校時代公立校のエースとして、強豪ひしめく神奈川県で一躍脚光を浴びた右腕。甲子園出場はならなかったが、その素質は高く評価され、ドラフト1巡でプロ入り。
高卒ながら1年目から一軍登板、それも4試合すべて先発というところに期待の高さが表れている。05年は一軍登板なく、二軍でももうひとつの成績だったが、3年目の06年は開幕一軍入り。5月上旬まで一軍に残り、リリーフでまずまずの投球を見せた。ただこの後ちょっと足踏み。翌07年二軍でチームトップの8セーブをマーク。そろそろ本格的に一軍に殴り込みかというタイミングだったが、オフに右肩を手術して08年は大半をリハビリに費やすことに。2年続けて一軍登板なしに終わった。
しかし09年3年ぶりに一軍入りを果たすと一気に登板数を増やしてきた。前半二軍で11セーブを挙げる活躍を見せ、6月後半に一軍昇格。7月にプロ初セーブを記録、その中旬頃から好調が続き、8月に入るとプロ初を含む3連勝。最終的に31試合に登板と、ブランクを経て大前進のシーズンとなった。
以前から速球派ではあったが、このシーズンから見違えるほどスピードが向上。故障前より平均球速が確実に上がった。最速145〜150kmの数字をコンスタントに出し、力で圧する投球で強い印象を残した。
この勢いを持続したかったところだが、翌年は開幕に出遅れ一軍昇格は6月。この時は内容が悪く前半はほとんど二軍暮らし。それでも終盤9月中旬に再昇格すると、リリーフで連勝するなど今度は非常にいいところを見せた。登板数は前年より半減したものの、ポストシーズンでは計9試合に登板し存在感上昇。
移籍した小林宏に替わる抑えも期待された昨年も開幕には少し出遅れたものの、4月末に昇格すると重要なリリーフとして戦力に。だがどうにも故障に泣かされる。7月に入ったところで肘を痛め離脱、手術に踏み切りこれ以降はリハビリに費やすシーズンとなった。実戦復帰まではたどり着けず後半を棒に振ることに。
ポテンシャルは非常に高いが、この故障の多さはリリーフ要員としては不安も大きい。今季いつごろの復帰になるか不透明だが、消耗を考慮した起用にせざるをえないかもしれない。とりあえず早い段階での復活が望まれる。

内海 哲也

エース左腕、先発型

左投左打 最多奪三振(07)、最多勝(11)
敦賀気比高〜東京ガス 巨人04自由枠〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 巨人 29 2 12 8 0 0 184 1/3 166 7 154 68 7 3 56 2.73
09 巨人 27 5 9 11 0 0 179 2/3 161 23 115 36 4 3 59 2.96
10 巨人 27 2 11 8 0 0 148 168 14 121 32 4 1 72 4.38
11 巨人 28 4 18 5 0 0 185 2/3 153 13 144 47 7 4 35 1.70
通算 8年 199 21 80 61 0 2 1207 2/3 1146 105 982 318 44 30 417 3.11

5度の二桁勝利を記録した巨人のエース左腕。06年以降先発の中心として活躍を続けている。
高校時代に注目され、田中(元ロッテ)、森(元横浜)らとともに「北陸三羽烏」と呼ばれた。オリックスのドラフト1位指名を受けたがこれを拒否、社会人を経て自由枠で巨人入り。即戦力ではなく将来性を買われ、1年目はファームで過ごした。それでも下で9勝を挙げ、防御率タイトル獲得といきなり素質の高さを実証。終盤には一軍マウンドも経験し、翌05年は飛躍を期待されて開幕ローテーション入り。ただこの時は序盤に3勝と好スタートも、開幕一月を過ぎるとさっぱり勝てなくなり、6月の4勝目以降勝ち星なし。5点台の防御率で先発定着までは至らず、一軍の壁を実感する結果に。
しかし翌年急成長を遂げる。リリーフでスタートも先発入りすると3連勝、後半は完全にローテーションに定着し、先発の軸となる活躍。負け越してリーグ最多の13敗を喫したもののチームトップの12勝をマーク、200イニング近く投げて防御率は2点台に収めリーグ4位。前年より腕の振りが明らかに大きく鋭くなり全体的にパワーアップ。奪三振が飛躍的に増え、完全に一本立ちを果たした。
140km台中盤に達するストレートを軸に、スライダーとチェンジアップを交える速球派。当初暴投が多いなど粗っぽい面も強かったが、奪三振多く力強い投球スタイルで牛耳った。球が走っている時はなかなか手がつけられない。
これ以降は常に主力投手となり、開幕投手となった翌07年は自己最多の14勝。後半防御率を悪化させてしまったものの、奪三振タイトルを獲得し先発の柱に。08年はシーズン中盤勝てない時期があったものの、終盤3連勝で盛り返し12勝、3年連続二桁勝利。タイトルには届かなかったものの、防御率、奪三振ともにリーグ3位の好成績を残した。
すっかり安定戦力となり09年はWBC代表にも選出。ただこの年ペナントでは負け越しで二桁に届かず9勝止まり。2点台の防御率というほどの好印象は残せなかった。続く10年は開幕4連勝と絶好のスタートを切ったものの、脇腹を痛め一時離脱。短い期間で戻りはしたが、5月以降はパッとしない投球が続いた。特に7月から4連敗と後半ははっきり不調。11勝はしたものの非常に不安定で、シーズン防御率も4点台と物足りない結果に。
09年から四球が大幅に減少。投球スタイルをやや転換したが奪三振減少と被弾増加で力強さが失われていた。信用を落とした影響で昨年は開幕投手を東野に譲り、さらに2度目の登板はリリーフ起用。しかし見事に復調を果たしエース復権のシーズンとなった。5月から6月半ばまで先発7連勝をマーク。交流戦は5戦全勝で終え、7月中に10勝到達。その後も安定した活躍を続け、最後はリリーフを含む4連勝。激しいタイトル争いの末、自己最多の18勝で吉見と並ぶ最多勝に輝いた。防御率もタイトルに僅差の2位で自身初の1点台。
ここ2年の状態から一気の飛躍を遂げた。阪神に非常に強く6試合で失点は10のみ、被安打35とほとんど打たせず。力押しだけではないスタイルを完全にモノにしたようで、今季もエースとしての働きを期待できそう。特に故障なく来ているのも魅力。

梅津 智弘

大型サイドスロー、リリーフ型

右投右打
上山明新館高〜国学院大 広島05ドラフト6巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 広島 64 0 0 3 1 21 58 1/3 44 6 49 18 2 0 17 2.62
09 広島 26 0 2 1 0 9 24 2/3 17 1 16 4 0 0 5 1.82
10 広島 46 0 0 1 0 6 40 1/3 47 9 24 17 3 0 26 5.80
11 広島 23 0 3 1 0 4 20 21 1 11 3 3 1 6 2.70
通算 7年 262 0 8 11 2 75 241 2/3 212 25 177 81 11 3 92 3.43

身長191cmの長身サイドスロー投手。長い腕が遅れて出てくる変則投手で、主力リリーフとして活躍。
ドラフト6巡ながらキャンプで注目され、1年目から見事開幕一軍入り。3度目の登板時わずか3球でプロ初勝利を記録。その後も短いイニングのリリーフとして健闘し、33試合登板でまずまずの好成績を残した。
はっきり言えばスピードの遅い投手なのだが、独特の間合いと緩急でかわし、リーチの長さも打ちづらさを助長。スライダーは変化量が大きく、初対面の打者が変化球にのめってしまう場面も見られた。
往年の小林繁を一瞬思わせる特徴的なフォームだったが、06年は二段モーションの規制強化で一旦止めていた動作を修正。そのためか前半は二軍暮らしだったが、8月に昇格以降は一軍定着。非常に安定した投球を見せた。フォーム変更で球速が増し、奪三振が大幅増。完全に信頼を得、ここからはセットアッパー的役割もこなすように。07年は中盤以降疲れからか打ち込まれ、防御率5点台で終盤は二軍落ちしてしまったが、08年はフルシーズン活躍。チームトップの64登板に21ホールド、リリーフの中心として存在感を見せた。
09年も万全のリリーフとして前半鉄壁の活躍。しかしオフに治療した肩の状態が万全ではなく、我慢は限界に達していた。6月に痛み再発で戦線離脱。後半は一軍登板なく、二軍でも1試合投げただけに終わった。これ以降一時の安定感がなくなり、波が非常に激しくなった。10年は開幕から投げるも内容いまいちで5月末に一時二軍落ち。再昇格後もチョコチョコと失点があり、8月末に1イニング10失点という大炎上。これで防御率が一気に跳ね上がり、再び二軍落ちにもなった。最終的に46試合登板も、この大量失点が大きく響いて防御率は自己ワーストの5点台後半。
近年は明らかにいい状態を持続できなくなっている。昨年は序盤6試合4イニングで被安打7と不調で始まり、5月中旬から3ヶ月近く二軍暮らし。ただ8月に再昇格すると、後半は以前を思い出させる安定感を見せた。19試合で失点はわずかに2、連勝で自己最多の3勝を記録。長期二軍で登板数は前年より半減したが、内容は格段に良化した。
一時の不調は脱したか。消耗が激しく、また昨年左打者に5割以上と滅多打ちされたように使いどころを限定される投手だが、好調なら僅差でも投入できる貴重な存在。昨年後半の状態を維持したい。

ブライアン・ウルフ

剛球右腕、先発覚醒型

右投右打
日本ハム10〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
10 日本ハム 42 0 4 3 3 8 62 1/3 66 5 24 13 3 0 21 3.03
11 日本ハム 26 1 12 11 0 0 150 161 4 90 36 11 3 60 3.60
通算 2年 68 1 16 14 3 8 212 1/3 227 9 114 49 14 3 81 3.43

150km以上のスピードを持つ外国人右腕。リリーフを見込まれての獲得だったが、シーズン中に先発転向。
マイナー時代の当初03年頃までは先発もしていたが、04年以降はほぼリリーフ専門。メジャー昇格は07年で、3年で72試合すべてリリーフ登板、通算5勝のキャリアを残した。09年は故障で精彩を欠き、10年日本ハム入り。
開幕からセットアッパーとして起用され、抑えの武田久が不振に喘いだことで4月は一時抑えとしても起用され3セーブ。ただ逆転サヨナラを喫して以降は再び中継ぎに。オールスターまでに34試合登板し、主力リリーフの一人となった。しかし7月末から8月にかけて3試合連続失点し、しばらく二軍落ち。
前述のようにスピードが大きな魅力。空振りを奪うタイプではなく(アメリカ時代も奪三振率はあまり高くない)、球威で押し込んでゴロを打たせるのが持ち味。四球はかなり少なく、自滅しない点は好印象。ただ圧倒的に抑えこむという投手ではなく、被打率は少々高い。
ずっとリリーフ専念だったが、9月に再昇格後は先発起用。しかも3連勝と好結果を残し、終盤は大きな戦力となった。この結果を受けて昨年は最初から先発要員。すると2度目の登板から6月にかけて7連勝をマークし、大きな戦力となった。シーズン通してローテーションに定着し12勝をマーク。先発転向が大成功となった。
被打率はやはり高めだが詰まらせてゴロに仕留める投球が見事にはまった。ただ後半は明らかに失速し、最後は4連敗を喫して10敗にも到達。8月以降の防御率は5点近く、シーズン成績も大きく落とした。単なる調子落ちか、それとも攻略された結果か、今季の成績はちょっと読みづらいところ。