大家 友和

復帰右腕、技巧派型

右投左右打
京都成章高 横浜94ドラフト3位〜98、米メジャー99〜09、横浜10途中〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
(08 - - - - - - - - - - - - - - -)
(09 CLE 18 0 1 5 0 - 71 77 18 31 20 4 3 47 5.96)
メジャー通算 11年 202 5 51 68 0 - 1070 1182 140 590 329 34 35 506 4.26
10 横浜 22 1 7 9 0 0 121 2/3 145 16 62 22 3 2 62 4.59
11 横浜 7 0 0 6 0 0 32 2/3 41 6 14 10 0 1 25 6.89
日本通算 7年 63 1 8 17 0 0 211 2/3 247 26 100 79 4 6 123 5.23

メジャーで3度の二桁勝利、通算51勝の実績を残し、10年12年ぶりに日本球界復帰となった投手。11年に及ぶ米球界生活を経ての古巣横浜入り。
高校時代は倉(広島)とバッテリーを組み、ドラフト3位で横浜入り。高卒1年目から一軍15試合に登板し、プロ初勝利も記録した。5年目の98年にはイースタンの最優秀防御率投手に。ただ一軍では少し伸び悩み。当時の権藤監督の後押しもあり、この年限りで自由契約となって米球界挑戦ということになった。
すでに野茂や長谷川の活躍でメジャーとの距離が縮まっていたとはいえ、日本での実績がほとんどない23歳の投手に注目度は低く、当然マイナー契約でスタート。しかし渡米すると2Aで8勝負けなし、3Aでも7勝負けなしとマイナーで15勝無敗の圧倒的な活躍。1年目からメジャー昇格を果たし、初勝利も記録。翌年3Aで完全試合達成と非常に順調なスタートを切った。エクスポズに移ると02年には完全にメジャー定着してこの年13勝の好成績。翌年も10勝と充実期に入り、日本での注目度も大きく上がった。04年は故障に泣くも、05年はチームを変わりながらトータルで11勝をマーク。
日本人投手として野茂に次ぐメジャー実績を残したが、故障のあった06年以降振るわなくなる。たびたび戦力外となりチームを転々。10年は当初メキシカン・リーグに所属したもののすぐに自由契約となり、開幕後の4月初めに古巣横浜入りが決定。
入団当初は二軍調整。5月に一軍昇格し、先発で復帰登板を果たした。この試合で7回途中までを1失点の好投で16年ぶりの日本での勝利投手に。連勝の後4連敗と負けが先行したが、7月末には日本では初となる完投勝利を記録。完全にローテーションに定着し、シーズン7勝を挙げた。
大柄な体躯ではあるが、様々な球種を駆使してタイミングをずらし、打たせて取るのが持ち味の技巧派投手。もうベテランの域に近いとあって力はさほどないが、豊富な経験を感じさせる味のある投球を見せる。圧倒的に抑えることはない反面、常に6回を2〜3失点にまとめる投球で、なかなかの安定感を発揮。崩壊していた先発陣にあって、ペースをしっかり維持し続けた。
だが復帰2年目の昨年は一気にボロボロの状態に。開幕から2連続KO、計10失点の炎上で早々に二軍落ち。ファーム生活が長く続き、再昇格は7月になってから。しかし投げども勝ちがつかず、2戦KOが続くとまた二軍落ち。以降一軍登板なく、勝ちなしの6連敗でシーズンを終えてしまった。
統一球に変わって7点近い防御率ではさすがに問題。完全に攻略されてしまったという印象だった。シーズン後戦力外となり、今季の去就は未定。年齢的にもちょっと厳しいか。

大島 崇行

緩急左腕、リリーフ転向型

左投左打
山梨学院大付高 広島02ドラフト3巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 広島 16 0 0 4 0 0 31 2/3 35 1 16 14 0 1 14 3.98
09 広島 7 0 0 0 0 0 9 2/3 15 4 9 1 1 1 13 12.10
10 広島 53 0 1 5 3 9 56 61 7 46 21 6 3 32 5.14
11 広島 7 0 0 0 0 1 11 10 0 8 3 1 2 2 1.64
通算 10年 96 0 3 14 3 10 154 2/3 195 23 109 65 11 8 115 6.69

長らく台頭を期待されていた左腕。先発候補として名前が挙がり続けていたが、リリーフに転向して10年一軍定着。
高校からプロ入りし最初の3年は二軍暮らし。4年目の05年後半に先発で2勝を挙げて一躍脚光を浴びた。出入りの激しさで防御率は悪かったが、新たな先発候補として期待された。しかし翌年は滅多打ちにあい、07年はわずか1試合、先発6失点KOですぐに二軍にUターン。二軍では2年続けて規定投球回到達もいずれも防御率5点台で、はっきり伸び悩みに陥ってしまった。
スピードよりも緩急に持ち味のある投手。ただ以前から制球に不安が強く、二軍でも四球が多い。荒れ球程度に収まれば打ちづらい投手だが、自滅と隣り合わせの怖さがある。
08年は二軍で防御率1点未満と圧倒的な好成績。5月に昇格し、初めて一軍登板数が二桁に乗った。とはいえ1度目の先発はまずまずも、2度目は早期KO。リリーフが多くなったがこれも出入りが激しくいまいち。06年以来の連敗は7に伸び、止めることができなかった。翌年は登板数減でまた二軍生活に逆戻り。二軍でも4勝10敗と派手に負け越し、いいところのないままシーズンを終えてしまった。
なかなか殻を破れずにいたが、10年ようやく前進を果たした。開幕直後2試合投げて二軍に落ちたが、5月後半再昇格以降は完全に一軍定着。チームに不足する左腕リリーフとしてフル回転し、6月には実に5年ぶりの勝利も記録。長く続いていた連敗を止めた。夏場には抑え役も務め3セーブをマーク。後半は5連敗を喫するなど失速し数字を落としてしまったが、チームトップ、自己最多の53試合登板で、待望の一軍定着に成功。
これまでやや決め手不足という部分もあったが、10年は奪三振率が大幅に上昇。ただ急激に登板数が増えた疲労は昨年も尾を引き、春先に足の疲労骨折で大幅に出遅れ。8月ようやくの一軍で3年ぶりの先発という場面もあったが、わずか7試合登板でほとんど戦力になれなかった。
大幅な後退を余儀なくされたが、リリーフで投げた終盤5試合は無失点で収め復調の気配も。左腕はほぼ青木一人だったリリーフ陣にもう一度食い込んでほしいところ。

大竹 寛

エース候補、バランス型

右投右打
浦和学院高 広島02ドラフト1巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 広島 28 3 9 13 0 1 171 189 19 99 67 5 6 73 3.84
09 広島 29 5 10 8 0 0 185 2/3 177 10 127 60 4 10 58 2.81
10 広島 3 0 1 0 0 0 18 22 2 9 10 2 1 10 5.00
11 広島 6 0 1 1 0 0 31 2/3 28 1 15 7 0 0 6 1.71
通算 10年 197 14 53 63 17 1 960 2/3 973 107 721 387 30 43 429 4.02

長らくエース候補と呼ばれ続ける先発右腕。バランスの良い本格派として高校時代から話題になった投手で、入団当初から大いに期待された投手。
入団年から前評判通りの完成度を絶賛されたものの故障でやや出遅れ。しかし台頭は早く、2年目の03年に一軍初登板、プロ初勝利も記録。3年目の04年は開幕から一軍に名を連ね、不調の永川に代わって途中から抑えに座り、17セーブを挙げて主力投手の仲間入りを果たした。
150km前後の速球に加えて、切れのいいスライダーがかなりの威力。後にはシュートやチェンジアップの割合も増え、投球の幅を広げていった。期待された若手投手の伸び悩み、故障禍の多かったチームだけに、次代の主軸投手として期待を集めた。
抑えは1年のみで、翌年以降は先発へ。ただここからどうにも歯がゆい状態が続いた。05年は二桁勝利を達成するも、防御率は5点台の後半、失点100超はリーグでは13年ぶりの記録だった。翌年も開幕から6連敗を喫し、5点近い防御率でリーグワーストの13敗。あまりにも波が激しく、立ち上がりいきなり失点、悪い時は序盤早々にKOというケースが目に付いた。こういった課題は本人も自覚していたようで、07年は「勝てる投手への脱皮」を宣言。公約通り春先は安定した投球を見せたが、長続きはせず5月以降は5連敗を喫するなどまた不安定な状態に。終盤復調も二桁には一歩届かず9勝止まり。黒田が抜けた08年は開幕投手を任されるも、6月までに2勝9敗と大きく負け越し。後半巻き返したものの、またも9勝で二桁に届かず。
ローテーションは維持し続けていても、もう一歩突き抜けないという印象が強かった。しかし8年目を迎えた09年、ついに一皮むけてきた。4月末から5連勝、その間の失点がわずか2と抜群の快投。6月大きく乱れて3連敗を喫したが、7月以降は立て直してきた。自己最多の5完投で4年ぶりに二桁勝利到達。2点台の防御率は自身初めて。
ようやく壁を越えた印象だったが、その後2年故障に泣くことに。10年はキャンプ中に肩を痛め開幕に出遅れ。6月一軍復帰し先発勝利も挙げたが、見切り発車の色濃い復帰で3試合投げたところでまた故障発生。今度は長期の離脱となり、以降実戦登板なくシーズンを終えた。昨年5月後半になってようやく一軍復帰。ところが2度目のマウンドで打球が直撃、右手小指の骨折でまたも長期離脱を強いられることとなった。
運にも見放されたような格好だが、終盤10月復帰を果たし、最後の登板で勝利投手に。今季は今度こその復活を期待される。大竹がシーズン通しての戦力となればチームの投手陣も随分楽になる。

大谷 智久

2年目台頭、便利屋型

右投右打
報徳学園高〜早大〜トヨタ自動車 ロッテ10ドラフト2位〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
10 ロッテ 11 0 1 1 0 1 15 22 2 5 4 0 0 12 7.20
11 ロッテ 34 0 3 9 0 5 120 123 8 78 23 3 1 45 3.38
通算 2年 45 0 4 10 0 6 135 145 10 83 27 3 1 57 3.80

華々しいアマチュア歴を経てプロ入り、2年目の昨年台頭してきた右腕。先発にリリーフにと様々な場面で起用された。
名門校のエースとしてセンバツ優勝、春夏連続甲子園出場。大学・社会人でも早い内から強豪チームの主力として活躍し、ドラフト2位指名を受けてプロ入り。1位指名の荻野貴とともに、同じトヨタからロッテに進んだ。
豊富な実績から即戦力とみなされ、1年目は序盤一軍でリリーフ起用。初勝利を挙げるなどスタートは良かったが、長続きはせず6月以降は二軍が中心となった。11試合登板とやや期待を裏切る形となったが、2年目の昨年は大きく前進。開幕一軍入りししばらくはロングリリーフをこなすなどで信頼を掴み、5月下旬負傷離脱したマーフィーに替わって先発転向。7月に先発初勝利を挙げ、9月までローテーションに加わった。
まずまずのスピードに多彩な球種を持つ幅広い投手で、まとまった制球力を持つバランスタイプ。高校時代から完成度の高さを評価されており、目を惹くような派手さはないものの破綻の少ない実戦派。
ただ先発としては結局3勝9敗と大きく負け越し。援護に恵まれなかった面もあるが、途中からは失点も多く不足も目立つようになった。先発15試合での防御率は4点台半ばで、終盤はリリーフに戻ることに。リリーフでは1点台そこそこの防御率で被打率も格段に低く、こちらのほうが向いている印象。2〜3イニングをこなせるのは大きな強みで、序盤でも投入できるのは魅力。

大隣 憲司

速球左腕、先発型

左投左打
京都学園高〜近大 ソフトバンク07希望枠〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 ソフトバンク 22 6 11 8 0 0 155 2/3 122 16 138 39 5 1 54 3.12
09 ソフトバンク 26 0 8 10 0 0 129 1/3 144 19 107 41 5 2 66 4.59
10 ソフトバンク 20 0 4 9 0 0 110 2/3 116 12 91 43 1 4 53 4.31
11 ソフトバンク 9 0 3 0 0 0 34 2/3 22 2 33 4 3 1 9 2.34
通算 5年 85 6 28 31 0 0 474 447 56 402 151 16 11 211 4.01

アマチュアbPと呼ばれドラフトの目玉だった速球派左腕。即戦力の期待を1年目は大きく裏切ったが、2年目の08年本領発揮。
大学で脚光を浴び、リーグ戦通算22勝をマーク。同じリーグでは金刃(巨)とライバルと言われた。左腕、速球主体の投球、どっしりした体型、関西出身という諸条件が重なったことから「江夏2世」の異名も。06年のアマチュア最大の目玉として注目され、希望枠でソフトバンク入り。
当然即戦力として大いに期待されたが、1年目はキャンプから腰を痛めるなど順調さを欠き、一軍昇格は6月になってから。初登板の先発で初勝利を挙げるも、その後はあまり内容も伴わず、後半はまた故障で離脱。結局2勝しかできず、非常に不本意な結果に終わった。しかし2年目の08年は発奮。開幕ローテーション入りし、完投完封の連勝スタート。その後4連敗と躓きかけたが、6月以降復調。夏場はチームで一番の安定感を見せ、先発の軸となった。11勝を挙げ2年目に躍進成功。
球種は多くないが、速球で空振りを取れる本格派タイプ。乗った時の切れ味はさすがに一級品で、上背はないながらも力で押し込める。立ち上がりの良くない尻上がりタイプで、その分完投能力は高い。
これで一本立ちかと思われたが、これ以降精彩を欠くように。主力と見込まれた09年非常に不安定な投球が続き、一時先発を外されることに。最終的に8勝はしたが、4点台後半の防御率で10敗を喫した。翌年はさらに冴えない状態となり、4月に1勝した後6連敗を喫して一時二軍落ち。後半復帰後3勝も出入りの激しい投球は変わらず。4勝止まり、9敗と大きく負け越して終了。
見かけによらず精神的に弱い面があり、逃げの投球に走ることが多々ある。再三脆さを見せたことから信用を落とし、先発充実の昨年は一軍滞在が短く登板数が激減することに。5月にはリリーフで起用されていた。だがこういった立場に追い込まれたことで発奮したか、先発起用となった夏以降は久々に輝きを見せた。7月のマウンドでは8回1安打零封、ここから2ヶ月もチャンスがなかったが、9月中旬から3連勝をマーク。やや置いていかれていた先発争いにもう一度名乗り。
このところ見られた置きに行くような投球が昨年は見られなかった。非常に機会は限られ登板数は一桁に留まったものの、印象としては過去2年より良好なほど。本来二桁狙える投手で、今季はフルシーズンの一軍に返り咲きたい。

大沼 幸二

速球派、二重人格型

右投右打
尽誠学園高〜プリンスホテル 西武01ドラフト1位〜10、横浜11〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 西武 52 0 2 4 1 7 83 79 5 64 36 3 4 34 3.69
09 西武 54 0 4 7 1 15 66 59 6 45 30 4 2 23 3.14
10 西武 16 0 2 1 0 0 23 1/3 30 2 15 10 1 2 20 7.71
11 横浜 14 0 0 0 0 1 11 2/3 13 3 9 10 0 1 11 8.49
通算 11年 247 2 17 30 6 25 442 469 55 327 236 11 22 248 5.05

リリーフが中心の豪腕タイプの右腕。西武時代抑え役を務めたこともあるが、粗っぽさも同居してなかなか安定しきれない投手。
社会人からドラフト1位で西武入り。もともと素材型と言われていた通り当初は戦力にならず、入団2年間の登板は一桁に留まっていた。浮上してきたのは3年目の03年。この年中継ぎ陣が崩壊したことからチャンスを掴み、翌04年は開幕から一軍入り。豊田が離脱した夏場には代役抑えもこなし、プロ初勝利を含む4勝3セーブの実績を残した。しかしここから伸び悩み。
05年は自己最多の5勝も、内容としては大きく後退。7点近い防御率では投手の駒不足に苦しむチームの助けにはあまりならなかった。開幕前は新ストッパー候補に数えられた06年だったが状態はさらに悪化。わずかな登板数で内容も散々。07年も大半を二軍暮らしで、完全に一軍半に逆戻りという形に。
ボールの威力は一級品。150kmに迫るスピードで圧倒してくるが、全体的に制球が高めで荒れ気味。はまれば凄いが手がつけられないほど乱れることも多く、そういう時は四球も多発。悪い時があまりに酷いため、どうしても全体的な印象が悪い。
長らく期待を裏切っていたが08年はリリーフの主力となる再浮上。開幕からコンスタントに投げ、終盤は一気に登板数が増えて自身初の50試合突破。内容もここ2年とは雲泥の差で、右の中継ぎの一人として戦力に。翌年も50試合以上登板でフル回転、4勝15ホールドという成績を残した。
ただこの2年もいい時と悪い時の落差は激しく、09年は終盤9月12試合で11失点と乱調。この不調は翌年に引きずってしまった。肩の違和感から開幕二軍スタート。5月末に昇格してしばらくは良かったが、6月後半から捉まるように。7月3年ぶりの先発登板で勝利という場面があったが、その後2試合の先発はいずれも序盤KO。8月中旬以降は二軍暮らしで、登板数激減、成績も数年前のレベルにダウン。
昨年は横浜に移籍。層の薄いチームで復調を期待されたが、むしろさらに悪くなってしまった。開幕からの5登板で3度失点し長期二軍落ち。8月の再昇格時も不安定な投球は変わらず、全く戦力になれず二軍生活が長いシーズンに終わった。登板数は減り、防御率8点台は自己ワースト更新。
これだけ四球を出しまくり、被打率も高いのでは敗戦処理としても厳しい。すっかり存在感が薄れ、今季はかなりの正念場。

大場 翔太

速球右腕、未熟型

右投右打
八千代松陰高〜東洋大 ソフトバンク08ドラフト(大・社)1巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 ソフトバンク 13 2 3 5 0 0 78 83 14 73 30 3 5 47 5.42
09 ソフトバンク 22 0 1 4 0 0 74 61 5 77 43 3 4 35 4.26
10 ソフトバンク 4 0 0 1 0 0 9 1/3 18 1 9 9 0 1 17 16.39
11 ソフトバンク 23 1 7 2 0 0 70 2/3 52 4 51 25 6 2 20 2.55
通算 4年 62 3 11 12 0 0 232 214 24 210 107 12 12 119 4.62

大学・社会人ドラフトで6球団が競合、07年のアマチュアbPと謳われた投手。プロでも華々しいデビューを飾ったが、その評判に見合う結果はここまで残せずにいる。
大学時代通算33勝、東都リーグ新記録の14連勝に通算410奪三振と輝かしい実績を引っさげ、新人王最右翼の即戦力として鳴り物入りでソフトバンク入り。当然期待は大きく、開幕ローテーション入り。プロ初登板でいきなり無四球完封勝利を挙げ、3試合目には16奪三振の完封。これは下馬評通りの大物出現と思わせた。しかしここから未熟さをさらけ出し急降下。非常に被弾が目立つようになり、5月初めに3勝目を挙げるとそれ以降はさっぱり。7月に連続KOで二軍落ち。シーズン3勝止まりで、新人王どころか即戦力にもなりきれなかった。輝きは一瞬で消失。
140km台中盤の表示以上に伸び足を感じさせる速球とスライダーも鋭く、奪三振の多さで分かるとおりボールの力は一級品のもの。ただ常に全力でしか投げられない無骨な投法で、かなり一本調子。制球が粗く、ベースカバーに何度も遅れるなど全体的な技術レベルも低かった。力で抑え込む以外の術がなく、プロでは通用しなかった。
そしてこの傾向はこれ以降も変わっていない。飛躍を期待された2年目も、12試合の先発は5回まで持ったのが5試合だけで、一つも勝てず4敗。リリーフではなかなかいいところも見せて、9月ようやく1勝。しかしその後の先発機会は活かしきれなかった。そして3年目の10年は開幕直後2試合のリリーフで計13失点の大炎上、すぐに二軍落ち。夏場の先発機会も活かせず、1勝もできずにシーズンを終えてしまった。
昨年は開幕から一軍も前半はリリーフ起用。ただこれまでとは少し違う投球を見せ、徐々に信頼も上昇。7月リリーフで2年ぶりの勝利を挙げると、続く先発チャンスでは10三振を奪う力投で勝利。8月からはローテーションに加わり開幕から6連勝をマーク。力強い投球で久々に輝きを見せた。最終的に自己最多の7勝、防御率も2点台の好成績。
ただこれで完全脱皮とはいかないのが歯がゆい。勢いに乗っている時は圧倒的な力を見せたが、8月末に連勝ストップすると途端に浮き足立った。ノーゲームになったものの9月には一死も取れず危険球退場と2年前と同じ失態で信頼を落とし、続く登板で6失点すると終盤は二軍落ち。走者を置くと崩れるという課題は少し克服されたものの、一度躓くとあまりにも脆かった。とりあえず結果を残しはしたが、最後でだいぶ印象を落とした。精神面の強化はまだまだ必要。

大原 慎司

即戦力左腕、リリーフ型

左投左打
明秀学園日立高〜常磐大〜TDK 横浜11ドラフト5位〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
11 横浜 71 0 4 1 0 11 44 1/3 40 4 36 15 2 4 15 3.05
通算 1年

プロ入り1年目からチームトップの登板をこなし、即戦力となった左腕。ショートリリーフを中心にシーズン通して戦力となった。
アマチュア時代大きな舞台の経験は乏しく、ほぼ無名と言っていい存在だった。それでも社会人で力をつけ、ドラフト5位指名で横浜入りとなった。開幕は二軍スタートも4月末に一軍昇格。初登板は2ランを浴びるほろ苦いものだったが、その後もリリーフで投げ続け5月に逆転のピンチを断つ奪三振でプロ初勝利。以降ワンポイントを中心に積極的に起用されることに。最大で6連投など登板数を重ね、チーム最多、リーグでも3番目となる71試合に登板。4勝を挙げ期待以上の1年目となった。
体格は少し小さめながら腕を大きく振れる投手。自信を持っているのはスライダーで、投球の半分近くがこの球種という勝負球。制球はやや粗めで暴投が多かったが、物怖じせず投げ込むマウンド度胸の良さが光った。
先発が持たないチーム事情もあってとにかく連日のように投げていた印象で、実にタフなシーズンを送った。今季も出番は多そうなので、昨年の疲労はしっかり取っておきたい。

大嶺 祐太

速球派右腕、伸び悩み型

右投左打
八重山商工高 ロッテ07ドラフト(高)1巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 ロッテ 7 0 2 2 0 0 32 2/3 32 5 23 8 1 2 19 5.23
09 ロッテ 16 2 5 6 0 0 95 115 11 59 35 5 2 61 5.78
10 ロッテ 13 2 3 6 0 0 71 1/3 78 12 52 34 3 1 41 5.17
11 ロッテ 1 0 0 1 0 0 1 1/3 3 1 1 4 0 0 5 33.75
通算 5年 38 4 10 15 0 0 204 1/3 235 30 140 82 10 5 131 5.77

将来のエースと期待される若手投手。高校ドラフト1巡指名でプロ入りし3年目には開幕ローテーション入り。ただこのところは停滞状態。
石垣島出身。エースとして3年時に八重山商工を春夏連続甲子園出場に導き、1試合17奪三振を記録するなど活躍。その年の高校生ドラフトで2球団が競合し、抽選の末ロッテ入りとなった。チームの期待は大きく、いきなり背番号1番が与えられた辺りにもうかがえる。結果は伴わずも1年目の4月に早くも一軍で先発登板。ここからしばらく二軍で育成され、2年目は夏場にプロ初を含む2勝を挙げ一軍に前進。
そして飛躍を期待された3年目は開幕から先発入り。4月に1勝、5月には初完封を記録と序盤は順調も、ここで息切れしたか以降投球内容が悪化。夏場は二軍で再調整となったが、8月末から3連勝をマーク。シーズン5勝を挙げ主力定着に大きく前進。
堂々たる体格から繰り出す150kmの速球がなんといっても魅力。ただ力で押すという感じではなく、スライダーやチェンジアップの比率もなかなか多い。低めに決まったボールは角度もありかなりの威力。
いよいよ一軍完全定着を期待された10年は序盤に完封・完投で連勝と絶好のスタート。ところがここで勢いが止まってしまった。その後3連敗、一つ勝った後また3連敗を喫し、オールスター前に二軍落ち。3勝止まりと一歩後退でシーズンを終えると、昨年は大きく落ち込むことに。開幕直後に先発するも2回持たず5失点炎上で二軍落ちし、さらに肩を痛め後半は二軍戦登板もなし。はっきり伸び悩みという状態となってしまった。
ボールごとのばらつきが大きいという課題を克服できないまま迷い始め、故障で離脱とここ2年は非常に苦労している。だいぶ印象が薄くなってしまったので、今季は万全の状態で巻き返したいところ。瞬間的に見せる力をいかにコンスタントに発揮できるか。

小笠原 孝

便利屋左腕、復調型

左投左打
市立船橋高〜明大 中日99ドラフト3位〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 中日 26 0 8 11 0 1 132 147 20 89 42 5 2 69 4.71
09 中日 21 0 7 2 0 0 118 104 10 86 34 2 4 41 3.13
10 中日 5 0 1 3 0 0 25 34 9 8 7 3 0 19 6.84
11 中日 1 0 0 0 0 0 2 2/3 0 0 3 0 0 0 0 0.00
通算 13年 184 1 31 38 0 2 674 699 94 525 205 28 17 312 4.17

先発もリリーフもこなす左腕。地味で小柄な投手だが、谷間の先発をこなすなどの利便性が売り。
当初は制球が悪く即戦力とはいかなかったが、3年目の01年後半から台頭。02年は開幕からローテーション入りし、プロ初を含む5勝をマークした。途中から中継ぎに廻ったものの、ほぼ1年一軍帯同。前年からの勢いを持続し、主力投手の仲間入りを果たす成長を見せた。
技術的にはシュート系の球を覚えて投球の幅が広がったことが大きい。加えて制球がだいぶ安定してきた。自滅で試合を壊すケースが減ったため、より長いイニングを投げられるようになった。
03年不調で全く戦力にならず。04年復調も05年はほぼ二軍暮らしと、この期間は安定感がなく、シーズンの一時期だけ働くといった印象が強かった。06年も5月にプロ初完投勝利を飾るも、実働期間は2ヶ月程度。
パートタイマーといった感が漂っていたが、07年復調。5月に昇格してこの月先発4勝。これ以降星は伸びなかったが、投球内容が安定し最後まで先発に残り続けた。そして08年はさらに存在感アップ。開幕から先発で好調なスタートを切り、6月中に自己ベスト更新の7勝をマーク。後半失速して二桁敗戦を喫してしまったが、完全に先発の一角に定着する働きを見せた。開幕に出遅れた09年も6月から8月にかけて5連勝と活躍。最終的に7勝止まりも、前年より防御率を大幅に改善。
目立たないながらも堅実な働きを続けていたが、ここ2年は急激な落ち込み。10年は開幕から先発も8失点を3度も喫する大乱調で、一月余りで二軍落ち。二軍戦でも状態上がらず、途中故障もありそのまま一軍に戻れずに終わってしまった。昨年は開幕直後の先発マウンドでふくらはぎを痛め途中降板のアクシデント。二軍戦登板が7月になってからと復帰に時間がかかり、一軍登板はこの1試合のみで終わってしまった。2年続けて一桁登板に。
そろそろベテランの年齢域で、2年一軍から遠ざかったのは痛い。今季こそは復調できないと厳しい立場に。ちょっと故障が続いているのは気になるところ。

岡本 篤志

リリーフ右腕、遅咲き型

右投右打
三重・海星高〜明大 西武04ドラフト6巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 西武 14 0 0 2 0 0 16 1/3 30 0 9 10 0 0 10 5.51
09 西武 - - - - - - - - - - - - - - -
10 西武 33 0 2 1 1 10 43 2/3 45 4 38 19 1 4 15 3.09
11 西武 49 0 5 1 7 11 55 1/3 41 1 40 27 3 3 13 2.11
通算 8年 117 0 8 6 8 21 158 2/3 181 18 120 82 13 12 87 4.93

プロ入り7年目から一軍戦力に急台頭した遅咲きのリリーバー。これまでとは別人のような投球で貴重な存在に。
明大では一場(ヤ)の1年先輩で牛田(横)と同期。ドラフト下位指名も1年目から一軍登板し初勝利を記録。しかし10試合に投げて9点台の防御率と内容は散々。そしてそれ以降も伸び悩みが続いた。2年目から3年間一軍登板は一桁、それもほとんど失点続きで、一軍にちょっと顔を出してはすぐ二軍に逆戻りというパターンを繰り返した。08年前半比較的落ち着いた投球を見せたが、8月再昇格以降は毎回のように失点。1年目以来の二桁登板も、結局5点台の防御率で終わってしまった。それでもこれがこの時点では自己ベストという状態。
速球とスライダーを軸とする、厳しい言い方をすれば「よくいる」タイプの投手で、あまり特徴がない。それでもまとまりがあれば良かったが、制球が不安定で抑える術がなかった。ここまでは三振もとるが四球も出すという投球で信頼は掴めず。
09年は肘の故障で二軍でも実戦登板なく、いよいよ崖っぷちという状況。10年も6月までは二軍、成績もパッとしないものだった。7月の昇格当初もいいとは言えなかったが、3試合目の登板で失点しながらも6年ぶりの勝利投手に。これが弾みとなったか、その後はこれまでのように大きく崩れることがなくなり、登板数も一気に増加。特に終盤はなかなか好調で、プロ初セーブも記録。後半は完全に一軍定着し、過去6シーズンの通算に1年で迫る33試合登板、防御率も3点台前半と大幅なジャンプアップに成功。
以前のように自滅することがなくなり、自信からか腕の振りが非常に良くなった。上昇の勢いは昨年も止まらず、さらに成績向上。開幕から好調で、5月からしばらくは不在だった抑えも任され7セーブ。6月に入った辺りから調子を落として乱れ始め二軍調整も挟んだが、後半になると再びリリーフで活躍。特に8月半ばからシーズン終了まで25試合に投げて1失点したのみ、この間に5勝を挙げる奮闘で、チームが巻き返して上位浮上する原動力の一人ともなった。49試合登板5勝7セーブ、そして防御率2点台とすべての面で自己ベスト。弱体と言われるリリーフ陣の中心的存在に。
制球は依然アバウトできめ細かいタイプではないが、向かっていく投球スタイルを確立した印象。この2年で一気に欠かせない存在となった。さらなる安定を求めるならもう少し四球は減らしたい。

岡本 真哉 (慎也・真也)

ベテランリリーフ、晩成型

右投右打 最優秀中継ぎ(04)
峰山高〜佐藤工務店〜阿部企業〜ヤオハン・ジャパン〜アムウェイ・レッドソックス〜ヤマハ 中日01ドラフト4位〜07、西武08〜09、楽天11
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 西武 47 0 0 2 0 18 42 1/3 38 5 42 21 0 9 18 3.83
09 西武 22 0 0 1 0 6 22 2/3 18 2 17 14 2 5 10 3.97
11 楽天 - - - - - - - - - - - - - - -
通算 10年 357 0 32 19 2 92 426 364 36 421 169 13 36 152 3.21

リリーフの実績豊富なベテラン右腕。1年韓国でプレーした後、昨年楽天入りで復帰。
アマチュア時代は休部・廃部などの苦難を味わい、社会人で所属したチームは5つに上った。多彩な球種と経験を買われて中日入りも、当初の2年間は戦力にならず。しかし03年、主力先発陣が次々離脱するアクシデントに乗って一気に台頭。30歳を眼前にして突然球速が大きく向上し、150km近い速球を放る豪腕に大変貌を遂げた。そして縦のスライダーとフォークで打者を牛耳り、高い奪三振率も記録。ここまで全く目立たなかった投手がいきなり主力の仲間入りを果たした。
先発では中盤が壁で、5回限定といった趣だったが、翌年はリリーフ専念でさらにブレイク。調子の上がらない岩瀬を強力にサポートし、チームトップの63試合登板で9勝の大活躍。安定感も非常に高く、すっかりリリーフの軸となった。05年は前年程の内容ではなかったものの、それでも欠かせぬリリーフとして活躍。故障で夏場に離脱も、勝ち運にも乗ってリリーフだけで10勝をマークした。
すっかり主力リリーフとなり、岡本から岩瀬という継投はチームの定番となったが、一方で投球内容自体は04年をピークに徐々に下降線。06年は交流戦で活躍も同一リーグとの対戦では4点台後半の防御率と冴えなかった。通年の防御率も年々悪化していたが、それでも07年は少し持ち直し。3年ぶりに60試合以上に投げ、登板数・ホールドがチームトップ。絶頂時ほどの鉄壁ではなかったが、4年続けてのセットアッパー役をこなした。
重要な戦力と思われただけに、プロテクト漏れは意外だった。08年はFA和田の人的補償として西武へ移籍。開幕直後は非常に好調で、手薄なリリーフの軸となった。4月末までの12試合で6ホールドを記録。しかし5月以降は一気に不安定となり、勢いは持続できなかった。特に夏場は14試合で10失点の大乱調で一時二軍落ち。40試合以上には登板したものの6年ぶりに白星なし、そして信用が随分落ちてしまった。翌年は失点せずとも綱渡りの投球が続き、6月3試合連続失点を喫すると二軍落ち。そのまま再昇格なく、後半は完全に二軍暮らし。リリーフに泣いたチームの戦力になれず、シーズン後戦力外通告。
一時大幅に増した球速はだいぶ落ちて、球威がだいぶなくなった。それと同時に致命的な失投が目立つようになったのが痛い。西武移籍後は暴投が急増し、制球力まで落ち込んでしまった。
トライアウト参加も声はかからず、10年は韓国LGでプレー。5勝16セーブの成績を残し、入団テストを経て昨年は楽天入りとなった。だが復活とはいかず、シーズン通して二軍暮らし。そのファームでも結果を残せず、シーズン後再び戦力外となってしまった。年齢的にもそろそろ厳しいか。

荻野 忠寛

小兵リリーフ、故障低迷型

右投右打
桜美林高〜神大〜日立製作所 ロッテ07ドラフト(大・社)4巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 ロッテ 58 0 5 5 30 1 58 2/3 51 3 41 20 3 2 16 2.46
09 ロッテ 53 0 3 3 9 10 49 1/3 48 6 39 13 2 3 20 3.65
10 ロッテ - - - - - - - - - - - - - - -
11 ロッテ - - - - - - - - - - - - - - -
通算 5年 169 0 9 11 40 31 161 142 11 115 46 7 7 49 2.74

長年君臨した小林雅に替わって、08年クローザーを務めた右腕。リリーフの軸として活躍したが、ここ2年故障に泣かされ一軍から遠ざかっている。
公称身長174cmと投手としては小柄ながら、体格を感じさせないほど腕の振りは大きく、そしてこの投手の最大の武器は縦に大きく割れるカーブ。この球種をカウント球にも勝負球にも使え、緩急を駆使して的を絞らせないのが持ち味。速球の切れも良く、なかなかダイナミックな投球を見せる。
分離ドラフト下位入団ながら開幕一軍入りを果たすと、シーズン序盤から持ち味をフルに発揮。特に5月後半から17試合連続無失点を記録し、最後まで主力リリーフに定着。チーム最多の58試合に登板、薮田に次ぐ20ホールドを挙げて即戦力の期待に見事に応えた。ロッテの勝ちパターンといえば長年薮田・小林雅だったが、07年の安定感は荻野のほうがはるかに上だった。
そしてその二人が抜けた08年は抑えに定着。開幕当初こそやや不安定さが目に付いたが、徐々に落ち着いていった。7月以降はセーブを量産し、堂々のシーズン30セーブ到達。防御率も2点台前半に収め、完全に継投の軸に定着。
しかしフル回転の反動か、引き続き抑えを期待された翌年は不調。出足は普通だったものの、5月中旬に連続被弾で逆転サヨナラ負けを喫すると、その月末から急激に不安定に。6月は7試合で8失点と大きく乱れ、7月以降は抑えから外れ中継ぎに廻ることとなった。8月中旬以降ようやく立ち直って安定したが、そこまでの不調が響いて成績は平凡なものに終わった。
それでも50試合以上登板と欠かせないリリーフ要員だったが、今度は故障に苦しむことに。肘を痛め離脱し、6月に手術。実戦登板は一度もなくシーズンを終えた。フェニックス・リーグでようやく復帰登板したものの、昨年はまた実戦に姿を見せないリハビリ生活。一軍からは丸2年遠ざかることに。
終盤二軍戦に登板したが、打者14人で被安打7と手酷く打ち込まれ、さらには鼠径ヘルニアの手術と、道なお険しという状況。今季中に復活の道筋をつけられないとさすがに厳しいかもしれない。かつての小気味いい投球を取り戻せるか。

小椋 真介

快速左腕、制球難型

左投左打
福岡工大付高 ダイエー/ソフトバンク99ドラフト3位〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 ソフトバンク 29 0 3 0 1 6 33 1/3 31 7 33 12 2 3 20 5.40
09 ソフトバンク 1 0 0 0 0 0 0 2 0 0 3 0 0 2
10 ソフトバンク 24 0 4 8 0 0 102 98 14 113 67 3 9 60 5.29
11 ソフトバンク - - - - - - - - - - - - - - -
通算 13年 69 0 7 9 1 6 162 1/3 157 26 170 98 6 15 101 5.60

左腕からの150kmの速球が魅力の投手。ただ制球力の低さや故障の多さなどでなかなか一軍半から脱しきれない。
入団当初からその類稀なスピードは注目され、地元出身ということもあって非常に期待されていた。3年目の一軍初登板は先発。しかし速さはあってもコントロールが非常に悪く、なかなか二軍を脱出できず。肘の靭帯断裂などもあって、03年から4年間一軍登板なし。
ちょっと年数が経ちすぎてしまったが、07年久々に一軍登板。故障を経ても球速は健在。ただしノーコンも健在で、イニングとほぼ同数の四死球を出し二軍卒業は果たせず。この年は顔見せ程度の登板に留まった。しかし翌08年は大きく前進に成功。故障者続出の投手陣に割って入り、4月10年目にして待望のプロ初勝利。リリーフでの起用が一気に増え、特に5月は11試合で2勝、1点台の防御率とかなりの活躍を見せた。一時は左腕リリーフ一番手に浮上。
たださすがに急激な登板増で疲れたか、6月以降痛打を浴びるようになり二軍調整。最後は随分数字を落として終わってしまった。せっかくの台頭も翌年につながらず、09年は唯一の一軍マウンドで一死も取れず3四球に連続長打の大炎上。さらに左足の手術で後半を完全に棒に振り、大きく後退。
それでも10年は先発転向で再浮上。4月中旬に一軍昇格、2試合リリーフの後8年ぶりの先発、そして2年ぶりの勝利を挙げ、ローテーション入りに。24試合の内20試合を先発で投げ、自己最多の4勝をマーク。ただ8敗を喫し防御率も5点台と内容はいいとは言えなかった。4勝目は7月中旬で、8月以降は極端に崩れることが多くなり、終盤は登板機会も減少とジリ貧。
奪三振の多さが示すようにスピードは非常に強力な武器。ただ基本的に球種が少なく、また変化球の精度がいまいち低い。そのため苦しくなると速球で押す以外に攻め手がなくなってしまう。また相変わらず制球は粗く、幅の狭さもあいまって球数が非常に多くなりがちで、4,5回に入ると息切れしてしまう。
そしてもうひとつの問題は故障の多さ。昨年は序盤二軍で3試合に投げた後肘の不調で長期リタイア。9月に手術をし、5月以降の実戦登板はないまま終わった。期待されながらもすでに13年が経過し、もうすっかり中堅の年齢。そうそう打ち返されない抜群のスピードは大きな魅力だが、さすがにそろそろ崖っぷち。今季は正念場。

長田 秀一郎

バランスタイプ、復調型

右投右打
鎌倉学園高〜慶大 西武03自由枠〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 西武 1 0 0 0 0 0 1 1/3 1 0 1 0 0 0 0 0.00
09 西武 4 0 0 0 0 0 4 1/3 10 1 4 2 1 0 6 12.46
10 西武 56 0 5 3 0 17 65 1/3 55 4 61 24 4 1 24 3.31
11 西武 17 0 0 1 0 0 15 2/3 23 1 16 8 2 0 7 4.02
通算 9年 193 0 12 16 0 25 242 2/3 243 30 194 109 14 8 127 4.71

10年復調、主力リリーフとなった右腕。長らく伸び悩み続けていたが、久々に大きな戦力となった。
いわゆる「松坂世代」の一人で、慶應のエースとして六大学で活躍し、03年自由枠入団。即戦力として1年目開幕から一軍に帯同し、先発にリリーフに多くの場面で投げまくった。防御率6点台と内容は物足りなかったが、46試合に投げ5勝をマーク。スリムな外見に似合わずタフなところを見せた。
バランスの取れたフォームから投げる球は、速球・変化球ともに水準以上。平均して力を発揮するバランス型の反面、フォームを含めて全体的にあまりに癖がなさ過ぎる印象。素直で見た目はいいのだが、打者からは見やすく威圧感に欠けるかもしれない。球種は豊富だが決め手に欠け、球質が軽いのも不安要素。
2年目はやや出遅れたものの、リリーフに専念して内容は大きく向上。前年多かった被本塁打を激減させ、34試合に登板し防御率は3点台前半と安定。ここまでは順調に来ていたが、翌年大不振でほとんど一軍に上がれずに終わると、ここから低迷が続くことに。06年はわずか4試合の登板で内容もボロボロ。
開幕前から好調が伝えられた07年は春先好投が続き、久々に登板数増加。しかし日程が進むにつれ状態は落ちていき、6月に二軍落ちするとそれ以降再昇格なし。好調はほんの短い期間に終わってしまった。この後はまたトンネルに突入し、08年は優勝も決まった後のシーズン最終戦にリリーフ登板したのみ。09年も登板数は一桁、派手に失点して全くアピールできず。
09年までの通算120登板の内、80試合が2年目までの数字という完全な尻すぼみ状態。しかし30歳となる10年は奮起、久々に存在感を見せ、復調に成功した。開幕からリリーフで投げ、実に6年ぶりの勝利を記録。4月後半ぐらいからは安定した投球が続くようになり、信頼を掴んで登板数増加。最終的にチーム2位、自己最多の56試合に登板。5勝も1年目以来の自己最多タイで、ほぼ自己ベストのシーズンを送った。
10年は以前より球威が向上した印象で、奪三振も多く過去の投球スタイルとは違う姿だった。だがこれが続かないのが寂しい。昨年は開幕から6登板中4試合で失点と不調で早々に二軍落ち。以降昇降格を繰り返すシーズンとなり、登板数は17に激減、防御率も4点台と冴えない結果に終わった。
昨年の被打率は3割を越え、失点せずともアップアップの苦しい投球ばかりだった。崖っぷちから巻き返した意地をもう一度見せたいところ。

押本 健彦

力投速球派、スクランブル型

右投右打
中央学院高〜日産自動車 日本ハム04ドラフト4巡〜07、ヤクルト08〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 ヤクルト 67 0 5 6 1 27 72 2/3 74 8 46 14 1 0 27 3.34
09 ヤクルト 51 0 2 6 1 12 64 50 8 45 19 1 3 19 2.67
10 ヤクルト 61 0 3 4 0 16 61 59 6 56 12 2 1 18 2.66
11 ヤクルト 65 0 3 2 1 23 68 2/3 65 5 61 20 2 1 25 3.28
通算 8年 337 0 27 28 3 88 475 1/3 472 53 381 159 12 17 189 3.58

ヤクルトのリリーフを支える一人。日本ハム時代は先発やロングリリーフで活躍し、移籍後はセットアッパーに。
社会人から日本ハム入り。入団時の評判は決して高くはなかったのだが、1年目から即戦力として活躍。小気味いい投球で先発陣に割って入り、シーズン7勝をマーク。リーグの新人の中でも上位の成績で、この年のチーム投手陣最大の新星となった。
持ち味は伸び上がってくる140km台中盤の速球。フォームやリリース、球筋などがかつての入来祐作に非常に似ている。投球全体に力感があり、勢いを感じさせる投球が特徴。
2年目の05年はジンクスにはまった格好で不振に陥り、後半は二軍暮らしで1勝もできず。しかし06年はリリーフで復活。チームが勢いを増した後半に活躍を見せ、リリーフ陣の一角を形成した。無傷の5勝はすべて先発が早く降板した試合でのもの。緊急事態にマウンドに上がり、中盤までのゲームを立て直す役割を見事にこなした。被弾0で防御率1点台も見事。07年は春先非常に悪く、5月終了時の防御率が9点台という状態だった。しかしそこから盛り返し、最終的には登板数増加。前年同様のロングリリーフ役をこなした。
そして3対3の大型トレードでヤクルト入りした08年は、前半獅子奮迅の活躍。開幕から快投が続き、6月初めまで自責点0という状態。6月終了時32試合で自責点1、18ホールドという凄まじい安定感を見せた。松岡とともに、抑えの林につなぐ重要な存在に。ただフルシーズンの活躍というのはこれが実質初めてに近く、後半は完全にスタミナ切れ。7月以降防御率は月1点のペースで悪化し、最終的に3点台に。7月以降の登板35試合で30近い失点を喫した。
それでもこれでペースを掴み、これ以降は安定したリリーフ要員としてすっかり定着。翌09年序盤こそ疲労残りからか不安定だったものの、立て直して主力として活躍。前年ほどの凄みはなくとも51試合に登板。打線の援護なく連敗したものの9月には4年ぶりに先発機会も。10年は交流戦で不調、シーズン自責点の半分を喫してしまったが、同一リーグとの対戦では防御率1点台と安定。
以前の体力面の不安はもう完全に払拭された。昨年も引き続き活躍を継続。時折派手に失点するなど安定感にはやや欠けたが、コンスタントに登板を重ねた。バーネットが離脱した9月以降は24試合登板とフル回転。2年連続3度目のシーズン60試合以上登板を記録。23ホールドは松岡と並びチームトップタイ。
ただ昨年は前述のように大きな失点も目立ち、防御率は3点台とちょっと物足りない数字だった。今季はこの波をもう少し小さくしたいところ。タフなシーズンが続いているので体調には気をつけたい。

越智 大祐

パワー投手、リリーフ型

右投右打
新田高〜早大 巨人06ドラフト(大・社)4巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 巨人 68 0 3 3 0 10 71 1/3 54 4 101 29 5 15 19 2.40
09 巨人 66 0 8 3 10 24 71 63 6 70 22 2 5 26 3.30
10 巨人 59 0 4 4 5 21 56 1/3 52 6 49 23 2 3 20 3.20
11 巨人 42 0 3 2 0 11 39 1/3 27 1 43 18 2 1 12 2.75
通算 6年 235 0 18 12 15 66 238 196 17 263 92 11 24 77 2.91

3年目の08年急台頭し、リリーフに定着した速球右腕。大卒入団も当初2年は二軍暮らしだったが、一気に躍進しセットアッパーに。
高いところから150km超の速球とフォークを投げ下ろす豪腕タイプ。入団当初は荒削りすぎて戦力にならず、07年は二軍で成績向上も故障離脱。しかし08年は順調で開幕一軍を勝ち取り、リリーフの一角として台頭。
シーズン序盤は失点も目立ち重要な場面の登板はなかったが、5月途中から調子を上げ信頼も上昇。夏場以降は左の山口とともにリリーフの軸的存在となった。奇跡的な逆転優勝の原動力の一人ともなり、登板数は一気に60越え、プロ初を含む3勝をマーク。チーム投手陣最大の新星となり、大飛躍の一年となった。
完全に上体の勝ったパワーピッチャーで、お世辞にも理想的とは言えない無骨なフォームではあるが、ボールの威力は絶品。奪三振率は12という高水準に達し、最速157kmも記録した速球と角度あるフォークで豪快な投球を見せる。
これ以降はすっかりリリーフの顔となり、翌年も引き続き山口と左右の両輪。2年連続で60試合以上に投げ8勝をマーク、ホールド倍増。そして離脱の多かったクルーンに代わって抑えを務める機会も多く、10セーブを挙げた。ただ後半はばてて不安定となり、前半1点台だった防御率は3点台に落ちた。
2年続けてのフル回転にやや不安も垣間見えたが、10年も変わらずセットアッパー。60には届かなかったものの、59試合登板で21ホールドを稼いだ。また序盤にはやはりクルーンの代役を務め、シーズン5セーブ。だが昨年は少し影が薄いシーズンとなった。不調から開幕は二軍スタート。すぐに一軍に戻ったものの、交流戦では再三失点。夏場ピリッとしない投球で二軍落ちするなどもうひとつという状態が続いた。登板数は42に減少しホールドは半減。防御率は2点台だったものの、前年より印象の薄いシーズンだった。
もともと粗っぽいスタイルの投手だが、昨年は四球が増加。被打率は1割台でも無駄な走者を出すことが目立った。ちょっと信頼も落ちてしまったので、今季はそれを取り戻したい。

小野 淳平

若手右腕、先発候補型

右投右打
大分商高〜日本文理大 巨人10ドラフト5位〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
10 巨人 - - - - - - - - - - - - - - -
11 巨人 14 0 2 2 0 0 48 62 4 33 13 2 2 20 3.75
通算 2年

プロ入り2年目の昨年先発勝利を記録した若手。一軍デビューを果たし、先発入りの足がかりを掴んだ。
高校時代は全くの無名、大学で力をつけ、ドラフト下位でプロ入りとなった。大学では古川(オ)と同期。大学出とはいえ素材型とあって1年目は二軍。故障などもあり、成績としてもそれほど目立つ存在ではなかった。しかし2年目の昨年は二軍で好投を続け注目度上昇。5月に昇格してリリーフで一軍初登板。この時は続く登板機会なくすぐに二軍に戻ったが、7月再昇格して先発すると5回2失点でプロ初勝利をマーク。以降一軍に留まり続け、リリーフでもう1勝追加。最終的に14試合登板、内7試合に先発し、大きく前進のシーズンとなった。
速球とスライダーが中心の右腕。まだボールごとのばらつきは大きく、発展途上という印象。先発の最後の4試合はいずれも5回以前に降板し、終盤は二軍に。台頭したとはいえ被打率が高く、まだまだ課題は多い。とはいえ一軍で2勝したのは自信になるはずで、今後の飛躍が期待される。

小野 晋吾

技巧派右腕、安定型

右投右打 最優秀勝率(00)
御殿場西高 ロッテ94ドラフト6位〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 ロッテ 15 1 5 4 0 0 73 1/3 100 9 32 28 3 1 53 6.51
09 ロッテ 23 3 8 7 0 0 144 158 16 77 37 5 1 61 3.81
10 ロッテ 27 0 5 4 0 8 59 62 3 37 22 8 0 26 3.97
11 ロッテ 19 0 4 5 0 0 72 2/3 81 6 31 22 1 1 36 4.46
通算 18年 278 20 83 72 0 10 1344 1400 120 721 411 61 30 552 3.70

先発を基本に、リリーフもこなせるベテラン右腕。シュートを軸に打たせて取る投球が身上。派手さはないが堅実な戦力。
高校時代はオーソドックスな本格派といった印象だったが、入団から6年を経てコーナーを突くピッチングをマスター。プロでは横の揺さぶりを得意とする技巧派へと変身した。6年目の99年3勝を挙げて一軍への足がかりを得ると、翌00年一気にブレイク。日曜登板で常に勝ち続ける運(どういうわけか他の曜日の成績はいまいち)に恵まれ、「サンデー晋吾」の異名を取り13勝をマーク。防御率もリーグ2位と一気に主力投手にのし上がった。翌年も先発の一角を形成して10勝。
02,03年と故障の影響で不本意なシーズンを送ったが、04年前半リリーフで復調。この年後半には先発に戻り、そして05年は安定感ある投球を披露。前半だけで6勝を挙げ、終盤にはリリーフで3連勝、4年ぶりの二桁勝利を達成した。06年も勝ち星こそ伸びなかったものの、2点台の防御率でローテーションを維持。5年ぶりの規定投球回到達でリーグ5位の好成績を残した。翌07年もまた援護に恵まれなかったものの、後半巻き返し7勝、3点台前半の防御率と、きっちり仕事を果たした。
08年大不振に陥り、5月以降立て続けの大炎上で再三二軍落ち。自己ワースト6点台の防御率、5勝止まりと大きく期待を裏切った。それでも翌年はしっかり復調し、6月中旬から4連勝をマーク。最終的に8勝を挙げ、一つだけとはいえ4年ぶりに勝ち越すことに成功。
ただここ2年はちょっと故障が多くなっている。10年は先発として開幕3連勝を挙げたが、負傷降板して約1ヶ月離脱。復帰したマウンドで打球直撃し16球で降板、また1ヶ月離脱。7月には背中を痛めとアクシデント続きで散々な前半に。それでも8月復帰以降はリリーフで健闘しなかなかの戦力となったが、昨年最初の先発マウンドで足を痛め降板、また2ヶ月の離脱となってしまった。復帰して先発3連勝マーク、盛り返すかと思われたが、後半に入ると内容が悪化。リリーフに廻っても連敗を喫するなど不安定な投球が続き、シーズン防御率は4点台半ば、8月以降は6点近い不振で終わった。
圧倒的な力はなくとも粘り強く投げる投手だが、ちょっと昨年、特に後半はいいところが見られなかった。それ以上に故障が続いている点は年齢的にも大きな不安要素。いろいろな場面をこなせるだけに、今季は体調をキープしたいところ。

小野寺 力

長身本格派、乱高下型

右投右打
鴻巣高〜常磐大 西武03ドラフト4巡〜11途中、ヤクルト11途中〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 西武 50 0 5 5 1 9 55 2/3 54 3 38 22 4 3 22 3.56
09 西武 47 0 3 5 16 7 54 1/3 49 5 45 24 1 5 24 3.98
10 西武 41 0 1 3 0 8 41 2/3 42 3 28 6 2 2 17 3.67
11 ヤクルト 6 0 0 0 0 1 5 1/3 10 0 2 5 0 0 5 8.44
通算 9年 306 0 23 24 59 31 359 1/3 374 29 268 132 12 21 160 4.01

06年豊田に替わるクローザーとして活躍した投手。西武リリーフ陣の一角を形成してきたが、近年は不安定な印象が強い。
大学時代は阪神・久保田と二本柱を形成し、ドラフト下位で西武入り。完成度では久保田より上という入団時の評価だったが、1年目の成績は散々。明らかに荒削りで、二軍でも満足な結果は残せなかった。しかし2年目の04年は春先から好調で急台頭。途中故障で離脱もあったが、やや冴えなかった森の役目を奪う働きを見せた。フォークの威力は絶大で、この球種はほとんど打たれなかった。これ以降リリーフの一角に完全に定着。05年は内容を落とし若干停滞したが、06年は開幕から抑えに定着を果たした。特に前半は絶好調で、不安視されていた豊田の穴を埋める活躍。夏場に一度不調に陥ったが、終盤立て直しチームトップの59試合登板で29セーブをマーク。大躍進のシーズンとなった。
150kmの速球とフォーク、この二本が投球の柱。長身で角度もあり、荒っぽくも力を感じさせる投球が持ち味。リリーフにうってつけのタイプだが、一方で調子の波が激しいという欠点も。翌07年はその欠点が前面に出て調子を継続できず。13セーブも5点台の防御率でシーズン中に抑えを外されることに。
そしてこれ以降はどうも不安定さのほうが目に付くようになった。08年は持ち直して50試合登板、防御率も大幅に向上したものの、5月乱調で二軍落ちするなど安定感には程遠い状態。信頼回復というところまではいかなかった。09年はグラマン離脱から久々に抑え役を務め16セーブを挙げたが、後半はだいぶ調子を落とし、終盤は事実上抑えを外されていた。
05年以降毎年30試合以上登板と間違いなく主力リリーフなのだが、そこまでの信用を得られていない。二軍スタートとなった10年も最終的には41試合に登板と出番は多かったが、昨年は一転して大幅後退。5月後半まで二軍にいたところでヤクルトへトレード。
だが環境が変わっても復調はならず、ますます落ち込んでしまった。すぐに一軍昇格するも、5登板中3度失点とさっぱりの内容で二軍落ち。8月再昇格して登板もやはり失点し、以降はずっと二軍。プロ1年目以来8年ぶりの一桁登板に留まり、戦力になれずに終わった。
昨年は登板した試合すべてで走者を出し、全くいいところがなかった。スピードは140km台後半と決して落ちていないのだが、10年辺りから奪三振が減少。二軍でも被安打が多めで迫力を失いつつある。今季も不振を抜け出せないと立場も厳しいものに。

ウィルフィン・オビスポ

剛球右腕、育成上がり型

右投右打
巨人07(育成)〜10、日本ハム11
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 巨人 - - - - - - - - - - - - - - -
09 巨人 14 1 6 1 0 1 58 2/3 44 7 48 11 4 0 16 2.46
10 巨人 14 0 2 3 0 1 48 1/3 60 9 22 18 7 2 28 5.21
11 日本ハム 2 0 0 0 0 0 1 4 1 0 3 0 0 6 54.00
通算 5年 32 1 8 4 0 2 109 109 17 71 33 11 2 50 4.13

最速157kmのスピードを誇る外国人投手。育成枠からスタートし、リザーブ的存在だったが、09年脚光を浴びる活躍。
アメリカでのプロキャリアスタート時は内野手、後に投手に転向。07年春季キャンプのテストに合格して巨人入り。当時22歳の若さで、キャリアの浅さもあって文字通り「育成選手」という存在だったが、シーズン中に支配下登録を勝ち取り一軍登板も経験。翌年肩を痛めて再び育成選手となったが、7月に再度支配下登録。この年は一軍登板無しも、二軍でストッパーとなり21セーブを記録、イースタンの最多セーブ投手となった。
そして迎えた3年目も、枠の関係から二軍スタート。しかしクルーンの故障から登板機会が巡ってきた。当初リリーフで投げていた時期はあまりパッとしなかったが、7月に入って先発に廻ると印象一変。来日初勝利・初完投を含む3連勝をマーク。その間わずか3失点と抜群の内容を見せた。一度連勝が止まった後再度3連勝し、計6勝をマーク。7度の先発はすべて6回以上投げ、3失点以上が2度だけと高い安定感。ポストシーズンでも先発勝利を挙げ、後半だけで鮮烈な印象を残した。
不恰好とも言えるようなフォームから、力強く押してくる投球が持ち味。四球を出さなくなったのが大きな変化で、08年ファームで34イニング20四球が、この年は一軍で58イニング11個に激減。ストライクゾーンで勝負できるだけの球威の持ち主。
だがこの活躍で待遇が良くなったことに安心したのか、10年はキャンプから調整に失敗。シーズンでも全く精彩を欠いた。7度の先発機会で5回まで持ったのが3試合だけと前年とは別人のように不安定。奪三振も激減し、せっかく減らした四球も増えてしまった。2勝のみでシーズン終了。
昨年はトレードで日本ハムに移ったが、再浮上どころかさらに落ち込むことに。開幕一軍でリリーフ起用されるも、敗戦処理のマウンドで1イニング5失点の大炎上。続く登板もやはり楽な場面ながら、連続四球で一死も取れず降板。二軍落ちするとこれ以降声はかからずに終わった。わずか2試合1イニングの登板で4安打3四球とボロボロの結果。
一度は輝きを見せたのだが、すっかり色褪せてしまった。戦力外はやむをえないところで、短い活躍に終わった。