菊地 和正

リリーフ台頭、奪三振型

右投右打
樹徳高〜上武大 日本ハム05ドラフト6巡〜11、横浜12〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 日本ハム 11 0 0 0 0 0 10 17 1 4 3 0 0 11 9.90
09 日本ハム 58 0 5 2 0 21 61 1/3 59 5 62 11 2 2 25 3.67
10 日本ハム 17 0 1 1 0 1 18 2/3 18 0 13 6 0 0 3 1.45
11 日本ハム - - - - - - - - - - - - - - -
通算 7年 88 0 6 3 0 22 93 95 6 83 21 2 2 39 3.77

5年目の09年リリーフで急台頭の右腕。上武大初のプロ選手として日本ハム入りも、08年まではほぼ二軍暮らしだったが、一気に浮上。
ドラフト6巡指名でプロ入りし、1年目にプロ初登板を果たすも、翌年は一軍登板なし。07年もわずか1試合の登板。ここまでは二軍でもあまり目立つ成績ではなかった。気配が変わったのは08年で、リリーフに専念し6セーブ。結果は伴わなかったが一軍登板数も増加した。そして09年は開幕一軍入りを果たし、一気にブレイク。
140km台中盤の速球とフォークで攻める投手で、奪三振の多い、いかにもリリーフ向きのパワーピッチャー。4月の8試合を無失点に抑えプロ初勝利を記録。これで完全に一軍定着となり、以降は主力リリーフとして回転した。シーズン最後まで投げきり宮西と並ぶチーム最多の58試合登板、5勝に加えチームトップのホールドを稼ぎ、セットアッパーとして活躍した。終盤少し疲れも感じさせたが、5年目に大きくジャンプアップ。
シーズン全体ではやや不安定なところも見せたが、思ったよりはるかに四球が少なく大きな戦力となった。しかし10年はキャンプ中の骨折で大幅に出遅れ。二軍登板でも状態がなかなか上がらず、一軍昇格は7月半ばまでずれ込んだ。そのため登板数は大幅減。復帰後は走者を負いながらも失点を許さず、17試合で1点台前半の防御率を記録。ビシッと抑えることはほとんどなかったものの、まずまずの投球を見せた。だが昨年はさらに落ち込み、シーズン通して二軍暮らし。ファームでは抑え役で9セーブを記録も、最後まで声はかからず。一軍登板0で終わり、シーズン後には戦力外に。
昨年二軍成績を見ると、37イニングで奪三振が18と別人のように少なくなっている。本調子ではなかった前年の一軍よりも大幅に減っており、相当状態が良くなかったのかもしれない。今季は横浜へ移籍。台頭に時間がかかったため来年で30歳と決して若くはないが、まだ諦めるような年齢ではない。

菊池 雄星 (雄星)

先発候補、大器左腕型

左投左打
花巻東高 西武10ドラフト1位〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
10 西武 - - - - - - - - - - - - - - -
11 西武 10 2 4 1 0 0 54 1/3 63 6 24 8 3 1 25 4.14
通算 2年

高校時代早くから怪物と騒がれ、鳴り物入りでプロに進んだ左腕。2年面昨年後半ローテーション入りで台頭気配。
高校1年時、甲子園で145kmの快速球を披露し、注目度が急上昇。エースとなった3年時には春夏甲子園出場し、春は準優勝、夏はベスト4の原動力に。球速はMAX154kmを計時し、「超高校級左腕」として大いに騒がれる存在となった。ドラフトでは最大の目玉として6球団が競合(この年指名重複は菊池のみ)し、抽選の末西武が獲得。
登録名を「雄星」とした1年目は、高卒ながら即戦力級の期待値。だが高校時代も腰などを痛めており、プロでは肩を故障。一軍はおろか二軍でも2試合に投げたのみで、5月頭以降はずっとリハビリに費やした。また騒動を起こしたコーチとのトラブルも報じられ、デビューイヤーは散々なものとなってしまった。
ちょっと実力以上に騒がれすぎていた感も否めない。ただ故障の癒えた昨年は登録名を変え、再スタートに成功。6月に一軍昇格し先発デビュー、2度目の登板でプロ初勝利をマークした。一時二軍調整の後8月再昇格後はローテーションに定着。3勝を積み上げ計4勝、力の片鱗を見せるシーズンとなった。
速球とスライダーを軸とした投球スタイル。ただ故障明けということもあり、高校時代の快速球とまではいかず。平均での球速は140kmに届くか届かないかといったところで、まだ加減して投げている印象も受けた。奪三振は少なく被安打は多くと内容自体は物足りなさも残り、4勝も援護に恵まれた面は強い。とはいえ大物左腕としてその期待は非常に大きく、一軍で結果を残したのは大きな一歩。今季はフルでの活躍で大器が花開くことを望まれる。

菊地原 毅

リリーフ左腕、移籍復活型

左投左打 最優秀中継ぎ(05)
相武台高 広島93ドラフト2位〜04、オリックス05〜10、広島11〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 オリックス 55 0 0 3 0 19 42 1/3 43 3 27 10 4 0 14 2.98
09 オリックス 45 0 0 3 0 12 38 45 4 29 8 2 1 22 5.21
10 オリックス 18 0 0 1 0 4 9 16 2 7 7 0 1 10 10.00
11 広島 5 0 0 0 0 0 3 2/3 2 0 1 1 1 1 1 2.46
通算 19年 446 0 14 24 3 103 373 1/3 380 40 316 141 24 18 187 4.51

広島時代の01年に当時のシーズン最多タイ記録となる78試合登板を果たした左腕。オリックス移籍後もリリーフでフル回転。
高校屈指の本格派左腕として上位指名入団。毎年のように期待の一人として挙げられていたが、なかなかモノにならなかった。一軍初登板が5年目の97年。99年に21試合に登板し3勝を挙げたが防御率7点台と、リリーフに活路を求めながらも結果が出せず。伸び悩みで存在感も希薄だった。しかし01年、ようやく遅咲きの花を咲かせた。かつての力押しから変わって癖球をマスターし、ワンポイントとして上述のフル回転。9年目にして初めて完全一軍定着を果たし、「菊地原」の名を一気に高めた。
さすがに投げすぎの反動か翌年は故障でほとんど投げられず。復帰後はまずまずだったが、04年は被本塁打増加で防御率が大幅悪化。ジリ貧傾向も見えたが、05年オリックスに移籍で復調。貴重な左のリリーフとして重用され、抜群の安定感でセットアッパーに。防御率は常に1点台で推移し、登板数は71試合。リーグトップのホールドを挙げる大車輪の活躍で、チームのリリーフ陣充実はこの人あってこそだった。
これまではやや地味な投球スタイルだったが、移籍後は広島時代より球速が増した印象。力で抑え込む投球で認識を新たにした。右打者も1割台と抑え込み、全く危なげがなかった。
ただやはり疲れは抜けきらないようで、2度の70試合登板の翌年はいずれも故障。06年は8月に肩を痛めて離脱し、復帰は07年途中。ただ今度は影響が長引かず、復帰後は13試合連続無失点の快投で瞬く間に3勝をマーク。再びリリーフの中心となった08年は序盤は良くなかったものの、交流戦に入った辺りから調子上昇。3年ぶりにシーズン通して投げ、55試合登板で防御率も2点台と安定感を見せた。
だが近年は少し印象が薄くなってきている。09年は6月に乱調に陥るなどやや不調。45試合には投げたものの、チームの低迷もあって、あまり存在感を発揮できずに終わった。そして10年はさらに調子を落とした。再三二軍落ちするなど状態が悪く、オリックス移籍以降では最少の登板数に終わった。
昨年はトレードで7年ぶりに古巣広島に復帰。実績豊富な左のリリーフとして期待されていたが、今度は度重なる故障に見舞われた。自主トレから足を痛め、開幕直前にも再発。シーズン中にも離脱するなど散々な状態。9月になってようやく一軍昇格を果たしたが、5度目の登板で今度はアキレス腱断裂の重傷。最初から最後までケガの連続というシーズンとなってしまった。
すでに36歳のベテランで、これほど故障が続いた点にはかなり不安も残る。復帰まで半年かかるということで今季は育成枠でスタート。状態を戻して復活が待たれる。

木佐貫 洋

先発右腕、乱高下型

右投右打 新人王(03)
川内高〜亜大 巨人03自由枠〜09、オリックス10〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 巨人 14 1 6 5 0 0 74 87 15 53 19 1 3 34 4.14
09 巨人 1 0 0 0 0 0 2 2/3 4 2 2 0 0 0 3 10.13
10 オリックス 28 4 10 12 0 0 174 1/3 174 9 140 71 13 11 77 3.98
11 オリックス 19 0 2 7 0 0 72 1/3 86 5 60 22 2 4 37 4.60
通算 9年 161 14 47 52 10 0 810 2/3 868 90 744 246 34 26 362 4.02

「松坂世代」と呼ばれた03年の大学生新人の中でも、右腕ではbPと言われた投手。即結果を残したが、以降は故障などもあってちょっと浮き沈みが激しい状態が続いている。
自由枠で巨人入りし、1年目開幕から先発入り。当初は脆いところを見せてなかなか勝てずにいたが、慣れてくるとともに硬さも取れ、能力の高さを見せるようになった。一時は抜群の安定感で先発の柱と言ってもいいほどの活躍。後半には上原と両輪の存在となり、期待通り二桁10勝をマーク、新人王に輝いた。
150km級の速球はもちろん、フォークも一級品のスケールの大きな投手。03年奪三振率は規定投球回以上でリーグトップと、追い込んでからは無類の強さを見せた。ただ一度不調に陥ると歯止めが利かず、なかなかスランプから抜け出せない不安も垣間見せた。シーズン中盤の勢いだったらもっと勝ち星が伸びてもおかしくなかった。
評判に違わぬ活躍を見せたが、2年目は先発で波に乗れず、球の強さを買われて抑えに廻っても内容は今ひとつ。7勝5セーブの結果も、防御率は5点台。前述の不振が長引く傾向が顕著に出てしまった。さらに抑え定着が期待された05年は故障頻発で、その影響は翌年にも残り、3度先発もいずれも5回持たず。事実上2年を棒に振る形に。
07年トンネル脱出、開幕からローテーションで廻り、4年ぶりの二桁勝利。それも自己ベストを更新する活躍を見せた。抑えに廻った上原に代わり、先発の右の中心として安定。ただこの状態が2年続かない。08年は開幕直後こそ3勝と絶好のスタートを切るも、5月は立て続けに早期降板と調子急落で二軍落ち。7月再昇格直後はまた3勝を挙げるも、8月に入ると連続KO。月が替わると別人のような豹変を見せ、極端に波が激しかった。6勝に終わると、翌年はさらに状態悪化。シーズンのほとんどを二軍暮らし、8月に先発したが3回持たずに降板し、これが唯一の一軍登板。二軍では9勝を挙げイースタン最多勝の一人となったが、防御率は4点台と平凡。
激しく落ち込んだところで、10年はオリックスに移籍。環境が変わって復調となった。先発要員と期待され開幕ローテーション入り、当初は出入りの激しさが目立つも、5月後半から5連勝して前半8勝。後半は負けが込んだものの、3年ぶり3度目の二桁勝利達成。金子千に次ぐ先発2番手として戦力に。
だが浮き沈みの激しいところは変わっていなかった。金子の故障から開幕投手を務めた昨年だったが3連敗スタート。5月に1勝したものの、直後から3連続KOとさらに調子を落として一旦二軍落ち。8月末に再昇格後は谷間の先発及びリリーフといった起用法となった。前半で6点台だった防御率は4点台に戻したものの、2勝止まりと誤算に終わり、信用を大きく落とすシーズンとなってしまった。
若い頃ほどのスピードはもうなく、その割に投球はやや粗っぽい。昨年はとにかく状態が悪く、前年後半からの不調を抜け出せなかった。この不調が長引きすぎる傾向はそろそろ断ち切りたいところなのだが。今季巻き返せるか、最後の登板先発で6回零封と復調の兆しを見せたのは光明。対西武は2年で7連敗中と完全に苦手。

岸 孝之

エース級右腕、先発安定型

右投右打
名取北高〜東北学院大 西武07希望枠〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 西武 26 4 12 4 0 0 168 1/3 151 12 138 48 5 4 64 3.42
09 西武 26 2 13 5 0 0 179 2/3 168 25 138 53 5 3 65 3.26
10 西武 19 3 10 6 1 0 113 2/3 100 9 110 26 5 3 41 3.25
11 西武 21 3 8 9 0 0 135 131 12 106 39 3 1 57 3.80
通算 5年 116 14 54 31 1 0 753 681 74 634 221 26 13 286 3.42

プロ1年目から先発の中心に座り、常に高水準の成績を残し続ける右腕。安定した活躍で涌井とともにチームを支える存在。
大学ではリーグ内で長らく無敵だった東北福祉大を打ち破り、チームを18年ぶりの優勝に導く活躍。06年のドラフトで「大学生右腕bP」と称された。希望枠で西武入り。ただでさえ先発不足、その上松坂の抜けたチーム事情から期待は非常に大きく、1年目から開幕ローテーション入り。2度目の登板でプロ初勝利を挙げ、以降もおおむね安定した投球で見事二桁11勝を挙げた。チームでは涌井に次ぐ成績で、惜しくも届かなかったものの、楽天田中と新人王を激しく争う活躍。
非常に伸びやかな、躍動感を感じさせるフォームで、前評判通りチームの先輩である西口に似たところも。コンスタントに140km以上の伸びのある速球とスライダーに加え、カーブを交えた緩急も駆使する。このカーブは変化量よりも打者の手元で鋭く曲がる球質で、速球との両対応が困難な非常に厄介なボール。
2年目は前半勝ちは稼ぐもやや不安定な状態で、オールスター時点の防御率は4点台後半。しかし8月に入ると調子一変。別人のような安定感で勝ちを積み上げ、7月から6連勝でシーズン終了。前年を上回る12勝をマークし、チーム勝ち頭となる活躍を見せた。8月以降防御率1点台の勢いはその後も止まらず、日本シリーズではカーブが面白いように決まって相手を翻弄し、シリーズMVPに選出。レギュラーシーズンの連勝は翌09年開幕から6戦全勝のスタートを切ったことで12まで継続。一つ負けた後また5連勝し、この年は自己最多の13勝をマーク。リーグワーストの被本塁打を喫するもほとんどがソロ単発で、防御率は3点台前半に収めた。
ここまで常に一定の成績を残し続け、10年も最初に一つ負けた後2完投を含む先発7連勝、前半で9勝をマークと好調。ところがここで肩を痛めるアクシデント、プロ生活で初めて2ヶ月以上の戦線離脱となってしまった。それでも終盤優勝争いの渦中で復帰し、最後は先発勝利で10勝到達、入団から4年連続の二桁勝利達成。
ただ5年目となる昨年は苦しいシーズンとなった。開幕前に脇腹を痛め大きく出遅れ。5月に復帰したものの、らしからぬ不安定な投球が続いた。夏場に5敗を喫するなど精彩を欠き、8月終了時点で防御率4点台。終盤ようやく調子を戻して3連勝、チームの巻き返しにも貢献したが、出遅れと不調が響きプロ入り後初めて10勝に届かず、負け越しに終わった。
故障明けということもあったが、昨年の岸はカーブやスライダーが「ドロン」とした曲がりで本来の切れを感じなかった。統一球がなかなか馴染まなかったという話もあり、その辺りの影響が強かったかもしれない。終盤は本来の姿に戻ってきており、今季は二桁復権がノルマ。ここ2年故障が続いているのはちょっと気がかり。

岸田 護

抑え定着、切れ勝負型

右投右打
履正社高〜東北福祉大〜NTT西日本 オリックス06ドラフト(大・社)3巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 オリックス 12 0 4 1 0 1 67 1/3 70 7 58 7 1 1 22 2.94
09 オリックス 19 3 10 4 0 0 139 1/3 134 10 124 20 3 3 48 3.10
10 オリックス 57 2 6 5 12 11 104 2/3 107 6 96 24 1 4 38 3.27
11 オリックス 68 0 5 6 33 0 69 66 5 74 15 1 2 20 2.61
通算 6年 201 5 29 20 45 15 519 2/3 512 38 477 92 10 15 173 3.00

09年二桁勝利を達成、主力に定着した右腕。故障も多かったが、ここ2年は抑えとして欠かせぬ存在に。
社会人からプロ入り、1年目はほとんど二軍暮らしではあったが、ウエスタンで1点台の防御率を記録しタイトル獲得。2年目の07年開幕一軍入りを果たし、前半はリリーフで好投。活きのいい投球で徐々に存在感を高め、7月以降はローテーションの一角に。先発11試合で2勝と星には恵まれなかったが、2点台の防御率でかなりの安定感を見せた。
粘っこい感じで足を上げ、鋭く腕を振る本格派。躍動感のある投手で、140km台前半から中盤という表示以上に伸び上がってくる球質の持ち主。ストレートで空振りが奪え、また制球力が高く四球は非常に少なめ。
期待された08年は故障で出遅れ、昇格後一月も経たずにまた故障と前半はトラブル続き。しかし8月末に復帰するとそこから先発3連勝と力のあるところを見せた。ほぼ終盤だけながら前年と同じ4勝、同水準の防御率を記録。そして翌年は開幕から先発入り。3連勝スタートも故障で2ヶ月戦列を離れた。しかし7月に復帰すると、そこからシーズン終了までに7勝。後半のチーム勝ち頭となり、見事10勝到達を果たした。金子千や小松に一歩遅れを取っていたが、ついに主力の一角に。
10年も当初は先発だったが、前年の安定感がなく負けが先行。5月前半からリリーフに廻った。しかしここで調子を上げ、6月からは不安定なレスターに替わって抑えに定着。そのまま最後まで投げ続け、6勝にチームトップの12セーブをマーク。同じくリリーフに廻った平野とともに新たな勝ちパターンを形成した。開幕から抑えの昨年もこのコンビは継続。シーズン通して活躍を続け、前年を上回る68試合に登板、リーグ2位の33セーブをマーク。投手陣を支える重要な存在となった。
変化球の使用頻度が非常に低く、ガンガン真っ直ぐで攻める投球でイニングを超える奪三振をマーク。そういうスタイルのためかポカもあり、6敗に2点台後半の防御率はクローザーとしては少し不満の残る部分。ただ逆転されたというのは一度しかなく、負けのほとんどは同点登板時のものだった。夏場にやや乱れかけたものの終盤は復調し、過去の故障歴を感じさせないタフさも見せた。何もなければ今季も当然抑え。

岸本 秀樹

大型右腕、パワー型

右投右打
平安高〜近大 横浜05ドラフト5巡〜07、広島08〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 広島 37 0 2 2 0 4 35 1/3 37 2 27 18 3 4 21 5.35
09 広島 - - - - - - - - - - - - - - -
10 広島 51 0 1 2 0 10 60 1/3 86 6 45 21 5 3 40 5.97
11 広島 42 0 3 2 0 10 45 1/3 38 1 46 19 4 3 21 4.17
通算 7年 154 0 6 7 0 24 179 2/3 204 13 144 78 15 10 102 5.11

189cmの長身から投げ下ろす速球が武器の大型右腕。技術的には未熟ながら、迫力ある投球で期待される。
大学から横浜入り。最大の売りは150kmの速球で、ドラフト5巡入団ながら開幕一軍入りし、春先はリリーフとしてなかなかの投球を見せた。しばらく二軍落ちのあと、8月に再昇格して先発登板。序盤KOで結果は残せなかったが、トータル15試合と1年目としてはまずまずの登板機会を得た。
迫力はあるが、制球が悪く総合的にはかなり粗い投手。2年目の06年も開幕一軍入りしたが、4度のリリーフ登板中3試合で失点。長期の二軍暮らしで一歩後退してしまった。07年もわずか3試合の登板に終わり、そのうち2試合で被弾と結果を残せず。
ややジリ貧となっていたが、08年広島に移籍。新チームでもその球威は大いに期待され、自己最多の登板機会を得た。5月にプロ初勝利も記録。ただ安定感には程遠く、いい状態が長続きしなかった。5月失点続きで二軍落ち、再昇格の7月からは良かったが、8月後半はまた失点続き。登板数は増えたが防御率は5点台と結果を残せず。これで期待値が下がったか、翌年はシーズン通して二軍暮らし。
しかし10年は一転して登板数大幅増。開幕一軍入りし、一時二軍落ちも5月以降はほぼ定着。4年ぶりの先発など起用の幅は広く、最終的に自己最多、チーム2位の51試合登板。ホールド数はチームトップを記録。防御率は6点近くと決して内容は良くなかったが、投手層の薄さを突いて浮上してきた。昨年は二軍でスタートしたものの、5月後半に昇格すると以降はリリーフでフル回転。登板数は微減も3勝は自己最多、防御率も4点台前半と良化させた。
ただ前年減った四死球はやや増え、信頼を得るには苦しい内容。特に後半は乱調気味で、8月以降20試合で14失点、防御率7点台とかなり崩れた。登板機会は多いものの、接戦を任せるにはかなり怖い投手。タフなリリーフは不可欠な存在で、もう一段二段のレベルアップが欲しいところ。

木田 優夫

メジャー帰り、大ベテラン型

右投右打
日大明誠高 巨人87ドラフト1位〜97、オリックス98、米メジャー99〜00途中、オリックス00途中〜01、米メジャー・マイナー03〜05、ヤクルト06〜09、日本ハム10〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
メジャー通算 65 0 1 1 1 - 95 2/3 114 9 68 39 6 10 62 5.83
08 ヤクルト 19 0 2 0 0 3 20 2/3 13 4 12 8 3 2 7 3.05
09 ヤクルト 30 0 3 4 0 5 48 2/3 58 6 31 17 5 0 30 5.55
10 日本ハム 21 0 5 2 0 3 52 2/3 63 7 30 23 3 2 28 4.79
11 日本ハム 3 0 0 0 0 0 4 4 0 3 2 0 0 2 4.50
日本通算 20年 515 26 73 82 50 50 1268 2/3 1247 153 1036 445 51 54 551 3.91

若い頃は150kmの速球で名を馳せた長身右腕。2度の米球界挑戦や浪人生活など様々なキャリアを重ねてきたベテラン。
巨人が高校生投手を精力的に獲得していた時期のドラフト1位。3年目の89年に一軍初登板を果たすと、翌90年、圧倒的な速球を武器に急台頭。先発にリリーフにフル回転し、12勝7セーブの活躍。リーグトップの奪三振を記録し、斎藤・槇原・桑田の三本柱が君臨していた投手王国に一気に割って入った。
しかし翌91年以降、期待されながらいまいちの状態が続く。速いのは大きな武器なのだが、やや見やすい球筋に加えて投球も単調で、スピードに慣れられてくると捉まるケースも目立ってきた。またそれ以上に、93年以降は役割が一定せず、先発にリリーフにと中途半端な状態。シーズン中にころころ配置が換わり、あまりにも便利使いされすぎた面も強い。結局91年以降はシーズン7勝が最高。
98年に野村との交換でオリックスに移籍。抑えとして16セーブを挙げたが、防御率は4点台後半と安定感はなかった。この年FA権を取得すると、メジャー移籍。だが成績は悪く、翌年にマイナー落ちとなるとオリックスに復帰。しかしここでも内容はいまいちで、01年オフに自由契約となった。02年はどこにも所属しなかったが、03年からは再びアメリカへ。ほとんどマイナー暮らしではあったが、何度かメジャー昇格も果たした。自由契約となり06年ヤクルトに復帰。
年齢と直近の成績から不安のほうが大きかったが、06年は見違えるような活躍を見せた。故障者続出のリリーフ陣にあって大車輪の奮闘。同じく復帰の高津とともにゲーム終盤を支え続けた。チームトップの56試合に投げ、抑え役も兼業して8セーブ。チームにとって非常に意義のある補強となった。
以前に比べると随分腕の位置が下がり、スリークォーターからサイドに近い振りに。むしろ球質は良くなった感もあり、若い頃の真上から投げ下ろす投法よりもこちらのほうが向いていたのかもしれない。07年も50試合登板でチームトップの16ホールドと、貴重なリリーフとして活躍。08年は二軍生活が長く登板数が大幅に減ったが、09年は41歳にして先発転向を図り、日本では11年ぶりとなる先発勝利を記録。ただ序盤はまずまずも後半は大きく調子を崩し、シーズン成績を大きく落とした。
42歳となる10年は日本ハムへ。前半はリリーフが中心も1度先発で好投。後半になると谷間の先発要員となり、7月以降は間隔を空けながら6試合すべて先発登板、その間3勝をマークした。内容自体はそういいものではなかったが、足りないところを埋める働きで貴重な戦力となった。シーズン5勝は日本では巨人時代以来14年ぶり。
ただ昨年はほとんど二軍で過ごし、一軍登板は8月の3試合のみ。ほとんど存在感のないままシーズンを終えた。今季も現役続行だが、すでに43歳となり、さすがにかつてのスピードはない状態。ベテランの味をどこまで発揮できるか。

木谷 寿巳

中堅右腕、実戦派型

右投右打
近江高〜東北福祉大〜王子製紙 楽天06ドラフト(大・社)6巡〜11
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 楽天 22 0 0 3 1 3 39 1/3 40 5 24 13 5 1 18 4.12
09 楽天 11 0 1 0 0 0 20 23 3 17 5 1 0 9 4.05
10 楽天 7 0 1 0 0 0 15 2/3 10 2 11 8 0 0 6 3.45
11 楽天 - - - - - - - - - - - - - - -
通算 6年 40 0 2 3 1 3 75 73 10 52 26 6 1 33 3.96

3年目の08年一軍台頭の右腕。社会人から入団も故障で苦しんだが、ようやく力を見せ始めた。
分離ドラフト6巡で入団。即戦力の期待もあったが、肩を痛めて1年目は二軍でも登板なし。2年目にかけるも今度はキャンプで肘を痛めと故障続き。終盤ようやく二軍戦で復帰と、プロ生活は大幅に出遅れる形に。
長い雌伏の時を過ごしたが、08年ついに台頭の機会を得た。無事に迎えた開幕から好調で、まずは二軍で6月末までに8勝を挙げる活躍。7月に一軍昇格すると、プロ初登板から12試合連続無失点と一軍でも通用するところを見せ、プロ初セーブも記録した。その後は先発も試され、後半の投手陣期待株に。
そうスピードがあるほうではないが、スライダーの切れと制球が高レベル。丁寧な実戦向きの投手という印象で、落ち着いたマウンド捌きが光った。苦難を抜けて一軍定着に大きく前進。
ただ開幕から一軍の翌年はリリーフでパッとせず、5月頭に二軍落ち。8月に先発好投でプロ初勝利を挙げたが、その後のリリーフ2回はいずれも失点で終盤はまた二軍に。登板数は前年より半減してしまった。10年はさらに後退し、シーズンのほとんどを二軍。イースタンの最多勝獲得も一軍では終盤の数試合のみで、あまり存在感のないままだった。
停滞脱出を図る昨年だったが大きなアクシデント。4月末二軍戦で倒れ途中降板。この時脳梗塞寸前という状態だったようで、以降実戦に戻ることはなかった。シーズン後戦力外となり、引退することに。残念だが命に関わる状態ではやむを得ない。

木村 正太

リリーフ台頭、本格派型

右投右打
一関一高 巨人05ドラフト5巡〜11
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 巨人 - - - - - - - - - - - - - - -
09 巨人 25 0 0 0 0 3 29 1/3 23 2 23 12 0 1 11 3.38
10 巨人 - - - - - - - - - - - - - - -
11 巨人 (- - - - - - - - - - - - - - -*育成)
通算 7年

5年目の09年、初登板から一軍へジャンプアップの若手右腕。08年まで完全な二軍暮らしだったが、一気に台頭してきた。
ドラフトの指名順位は低かったが、高校時代は東北地区でダルビッシュ(日)や佐藤剛(広)と並び称された存在。プロ入りすると08年までの4年間を二軍で過ごした。一時不調に陥って登板数も減っていたが、08年スランプを脱出。09年は二軍で抜群の安定感を見せるようになり、5月後半に待望の一軍昇格を果たした。最初の2試合は失点が続いたものの、後半に入ると落ち着きも出始め登板数増加。8月には10試合登板とアピールし、最終的にすべてリリーフで25試合に登板。実質1年目ながら後半はほぼ一軍定着で大きなアピールに成功。
140km台中盤の速球と縦に割れるカーブを武器とする本格派タイプの投手。三振を奪え、一軍でも充分通用するところを見せた。すでに主力となった同期入団の東野を追うように台頭。
この活躍から10年は背番号が92から15と一気に軽くなり、大きな期待を受けた。ところがキャンプ中に肘を故障。一転苦難を味わうシーズンとなってしまった。三軍戦には登板したものの、シーズン中再度故障離脱し、二軍の公式戦にも登板できず。
回復が思わしくないのか、シーズン後一旦自由契約となり、昨年は育成選手に。だが浮上することは出来ず、シーズン後には戦力外となってしまった。トライアウト参加も移籍は厳しく、現役引退ということに。

木村 文紀 (文和)

若手右腕、剛球型

右投右打
埼玉栄高 西武07ドラフト(高)1巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 西武 - - - - - - - - - - - - - - -
09 西武 11 0 0 4 0 0 27 1/3 37 5 25 17 1 4 26 8.56
10 西武 - - - - - - - - - - - - - - -
11 西武 21 0 1 0 0 1 25 27 2 17 6 3 2 8 2.88
通算 5年 33 0 1 4 0 1 58 1/3 74 7 45 27 4 6 38 5.86

これからを期待される若手投手。地元の高校から高校生ドラフト1巡指名入団の期待株で、昨年夏場以降一軍台頭。
高校時代甲子園出場はなかったものの、その素質は高く評価されていた。高校生ドラフトでは同じ地区のライバルだった増渕(ヤ)の外れ1巡指名を受けて西武入り。投手としてだけでなく野手としての能力も高いとされた存在。
1年目に一軍初登板を果たすも、当初2年はほぼ二軍で育成。2年続けてハワイウインター・リーグに派遣されるなど期待は高く、3年目は一軍で4度の先発を含む11試合に登板。しかし制球難を露呈し4連敗、二軍でも1勝10敗と冴えない結果に終わった。登録名を変えて挑んだ10年は肘を痛めて手術、二軍登板も1度だけと完全に足踏み。
5年目の昨年も二軍でスタートし、成績もパッとしないものだったが、7月一軍に抜擢されると無失点を続ける好投を見せ、リリーフで登板機会増加。7月末にはプロ初勝利を挙げ、大きく浮上してきた。
魅力は150kmに迫る速球。球速以上の馬力を感じさせるボールで、非常に力強い。期待株がようやくの登場となったが、ブランク明け実績不足の投手が一月足らずの間に11試合登板というのは急すぎた。8月以降は被打率3割台中盤と捉まるケースが目立ち、最後まで一軍に留まることは出来なかった。ただ結果を残したことは事実で、今季はさらなるジャンプアップに期待。力押し一辺倒の無骨なスタイルでも、状態が良ければ押し切れる球威の持ち主。

久古 健太郎

サイド左腕、即戦力型

左投左打
国士舘高〜青学大〜日産自動車〜日本製紙石巻 ヤクルト11ドラフト5位〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
11 ヤクルト 52 0 5 2 1 20 37 37 1 31 13 4 0 15 3.65
通算 1年

新人ながら勝ちパターンの継投にも入る活躍を見せた左腕。サイドスローから活きのいい投球を見せ、リリーフの大きな戦力となった。
大学から社会人に進むも、所属チームの休部で移籍。ヤクルトからドラフト5位指名を受けプロ入りとなった。下位入団とはいえチームに不足するリリーフ左腕と期待され、開幕一軍入り。なかなか登板機会が巡ってこなかったが、迎えた初登板でピンチを断ち切りいきなり初勝利をマーク。リリーフ陣では実質唯一の左腕として重用され、積極的に厳しい場面に投入されるように。また勝ち運にも恵まれ、すべてリリーフで7月頭までに開幕4連勝。さらに7月半ばから2ヶ月に亘って22試合連続無失点を続け、快調だったチームに欠かせない存在に。
力強く腕を振るサイドスローで、あまり体が沈み込まない代わりに力感たっぷりのフォーム。140km前後とこのタイプにしては球速があり、スライダーとスクリューを織り交ぜる。ショートリリーフながら右にも使える利便性も見せた。
フル回転でチームを支える働きを続けたが、9月末肺炎で離脱するアクシデント。10月半ばのシーズン最終盤に戦列に戻るも、3試合で5失点と大きく乱れ、最後の5試合でシーズン自責点の半分以上を喫してしまった。最後はやや残念だったが、52試合登板で5勝1セーブ20ホールドと当初の期待以上の活躍。オフに血行障害の手術を受け、今季開幕に間に合うかどうかといったところだが、貴重な戦力として復帰を望まれる。