小嶋 達也

中堅左腕、リリーフ前進型

左投左打
遊学館高〜大阪ガス 阪神07希望枠〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 阪神 - - - - - - - - - - - - - - -
09 阪神 1 0 0 0 0 0 6 3 0 2 2 0 0 0 0.00
10 阪神 4 0 0 3 0 0 8 2/3 16 3 5 3 1 0 12 12.46
11 阪神 36 0 1 2 0 5 48 1/3 34 2 64 28 1 1 20 3.72
通算 5年 46 0 3 8 0 5 88 81 7 86 43 4 2 43 4.40

希望枠入団の左腕投手。ここまでなかなか一軍に食い込めずにいたが、5年目の昨年リリーフで出番が急増。
高校時代エースとして甲子園2度出場。ベスト8となった2年夏には3試合で41奪三振の快投を見せ、「高校bP左腕」と高く評価された。ドラフト前には中日の1位指名が有力視されていたが、これを拒否して社会人に。その大阪ガスではほとんど実績を残せなかったが、高校当時から熱望していたと言われる阪神に希望枠で入団。
即戦力左腕と目され、1年目はいきなりローテーション入り。開幕3戦目にプロ初登板初勝利を挙げ、その後もう1勝したがここまで。一軍登板は序盤だけで以降は二軍暮らしに終わった。するとここから停滞が続き、2年目は肩の故障でほぼ登板なし。10年3度の先発機会を得たがすべて敗戦投手となり、1年目からの連敗を5に伸ばして終了。
伸び悩みと言われても仕方のない状態が続いていたが、昨年ようやく一皮むけてきた。これまでの先発路線からリリーフに廻り、開幕から一軍帯同。リードされた場面がメインの地味な役回りだが自己最多の登板機会を獲得。夏場に一時二軍落ちも後半は一軍に戻り、終盤には先発起用されて4年ぶりの勝利を記録。大きく前進のシーズンとなった。
なんと言っても目を惹くのは12に迫る圧倒的な奪三振率。力、切れともにこれまでとは段違いで、高く評価されていた素質を発揮し始めた。四球が相当に多く投球は粗っぽいが、これをステップにさらなる飛躍を期待。

小林 宏之

エース級右腕、抑え転向型

右投右打
春日部共栄高 ロッテ97ドラフト4位〜10、阪神11〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 ロッテ 23 1 5 12 0 0 138 155 15 112 45 2 5 77 5.02
09 ロッテ 24 4 4 13 0 2 134 1/3 142 16 120 35 7 7 64 4.29
10 ロッテ 57 0 3 3 29 5 61 51 2 53 14 3 6 15 2.21
11 阪神 42 0 1 5 0 21 39 43 2 45 19 2 8 13 3.00
通算 15年 370 22 75 74 29 28 1287 1250 134 1125 350 37 70 503 3.52

過去二桁勝利4度の実績を持つ主力右腕。近年不調が続いたが、10年抑えに転向して復活。
高校からドラフト4位指名でロッテ入り。一軍初登板は2年目だったが、当初の4年間はほとんど二軍で過ごした。台頭してきたのは5年目の01年で、終盤に先発入りしプロ初勝利を記録。ローテーション入りの期待が高まった翌年だったが、先発では結果を残せず。しかし中継ぎに廻ると別人のように好投を見せ、後半は完全にセットアッパーに定着。ストッパーの雅英と「小林リレー」を形成し、58試合に登板して防御率2点台、7勝を記録。これで完全に主力投手に。
きっちりとしたオーバーハンドから投げ下ろす速球と、切れのいいフォークが最大の武器。それだけではなく、シュートやスライダーなど幅広い変化球も使える。実際の身長以上に角度を感じさせる投手で、また制球力もなかなか高い。好調時には落ちる球を低めに集め奪三振が多い。
一度失敗した先発入りだったが、03年途中から再度の挑戦。今度は高い安定感を見せ、勝ち負けイーブンだったものの10勝到達に成功。これ以降は常に先発で投げるようになった。04年はやや不安定で9勝に留まったものの、05年はさらに一回り成長。特に交流戦では6戦5勝と抜群の成績でMVPに選ばれた。後半もしっかりした投球でトータル12勝をマーク。ポストシーズンでも好投し、10勝投手6人と好調だった先発陣の中でも上位の安定感を見せた。
06,07年は清水や渡辺俊が精彩を欠く中でエース級の働き。WBCで体調を崩し出遅れた06年は10勝に留まるも2点台の防御率。そして07年は開幕から安定。シーズン通して堅実な活躍で、3年連続二桁勝利は自己最多の13勝、防御率もさらに良化。成瀬の活躍で陰に隠れてしまったが、10の貯金を稼ぐ重要な働きを見せた。
すっかり安定戦力とみなされ、08年は開幕投手に。ところがここから不調に陥ることに。4月から5連敗、6月さらに乱調で、前半2勝8敗と完全な不調。後半は少し持ち直したものの、結果5勝12敗の大負け。防御率も5点を切れずに終わった。そして巻き返しが期待された翌年も不調継続。開幕から4連敗で交流戦では一時リリーフに。6月半ばにようやくシーズン初勝利を挙げ先発に戻ったが、その後も黒星ばかりが積み上がってしまった。最終的に2年連続の二桁敗戦、防御率はやや改善されたものの、4勝13敗で前年よりも負け越すことに。
この結果から10年は抑えに転向。8年ぶりのリリーフ専念だったが、これが復調につながった。開幕から非常に状態良く、6月に入るまで18試合連続無失点を記録して守護神に完全定着。最後までクローザーとして君臨し、リーグ3位の29セーブをマーク。シーズン50試合登板は7年ぶりで、ここ2年の不振を完全に払拭。
オフにFA権を行使しメジャー移籍を目指したが契約は勝ち取れず、昨年は阪神に移籍。藤川につなぐセットアッパーを任されることになったが、開幕から不安定な状態続き。たびたび失点して信頼を失った。その後も状態はあまり上がらず、8月後半3連続失点で一時二軍落ち。チーム2位の21ホールドではあるが、5敗を喫し防御率も3点台と期待を裏切る形となった。
昨年はっきり数字に出ているのが四球の大幅な増加。例年の倍近いペースで歩かせ、暴投8もチーム最多。これほど走者を出してはセットアッパー失格もやむをえないところ。昨年で随分印象が悪くなってしまったので、先発再転向という今季は意地を見せたいところ。足の痙攣癖があり、そこから先発で乱調になっていった点で不安も残るが…。

小林 太志

中堅右腕、伸び悩み型

右投右打
富岡高〜立大〜JR東日本 横浜08ドラフト(大・社)1巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 横浜 31 1 6 5 1 0 128 2/3 136 19 69 43 11 0 63 4.41
09 横浜 12 1 1 8 0 0 66 1/3 69 5 37 24 4 4 33 4.45
10 横浜 20 0 0 2 0 0 37 2/3 42 8 26 17 2 2 26 6.21
11 横浜 17 0 4 3 0 0 62 1/3 61 5 40 19 3 0 24 3.47
通算 4年 80 2 11 18 1 0 295 308 37 172 103 20 6 146 4.45

先発入りを期待される投手。1年目に活躍するもその後伸び悩み、もうひとつ期待を裏切っている。
立大時代にも主戦として投げたが、社会人で大きく成長。大・社ドラフトで大場の外れ1巡で横浜入りとなった。投手層の薄いチームで期待はもちろん即戦力。開幕してすぐに一軍昇格し、しばらくリリーフ登板。4月末に初先発し、7回1失点の好投でプロ初勝利をマーク。これ以降一軍定着し先発を中心に投げるように。2勝目までは1ヶ月以上空いたが、7月にはチーム初完投となる完封勝利を記録。三浦に次ぐチーム2番目のシーズン6勝を挙げた。
140km台後半から150kmと充分なスピードを持つが、スライダーやチェンジアップを交えて打たせて取る投手。力で牛耳るタイプではなく、どちらかといえばバランスで抑える。6勝も4点台の防御率も地味な数字ではあるが、100敗に迫ろうかという大負けのチームにあって勝ち越しという結果を残した。
期待通りの即戦力となったが、2年目は一転泥沼の状態に。ボークや四球、自らのエラーなどから崩れる自滅傾向を見せ、4月中旬に1勝したきり5月から連敗地獄にはまり、6月に二軍落ち。9月再昇格するも2試合いずれも敗戦で、7連敗でシーズン終了。数字以上に印象の悪い負け方で、一気に信用を落としてしまった。10年も昇格当初こそ良かったものの、先発に廻った辺りから急激に成績悪化。派手な炎上もあり、防御率を6点台に落として終わった。前年からの連敗は9に。
二軍スタートの昨年も昇格当初はロングリリーフなどで好投し、先発に廻ると2年ぶりの勝利を記録。しかし続く3試合はまた派手に打たれ二軍落ち。前半に関してはこれまでと同じ姿だった。しかし再昇格した終盤先発で3連勝をマーク。久々に輝きを見せ、停滞を抜け出す気配を感じさせた。
脆さが顔を出さなければ、もっと成績を残せる力は充分に持っている。終盤の好調を何としても持続し、今季こそはシーズン通しての戦力になってもらいたいところ。このクラスの成長があればチームも随分変わってくる。

小林 正人

変則左腕、左殺し型

左投左打
桐生一高〜東海大 中日03ドラフト6巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 中日 46 0 0 2 1 10 28 2/3 33 4 21 12 3 1 14 4.40
09 中日 32 0 3 1 0 1 21 1/3 15 1 19 7 1 1 2 0.84
10 中日 36 0 0 0 0 6 21 17 1 16 2 2 0 5 2.14
11 中日 58 0 5 0 0 18 31 10 0 26 7 2 0 3 0.87
通算 9年 217 0 9 4 1 41 130 99 8 109 40 13 2 38 2.63

ワンポイントリリーフ専門のサイドスロー左腕。対左のスペシャリストとして近年充実したシーズンが続く。
大学から下位指名で中日入りし、当初2年は完全な二軍暮らし。05年終盤一軍昇格を果たしたが、初登板で危険球退場となるほろ苦いデビュー。4試合中3試合で失点と芳しい結果は残せなかった。しかしサイドスローに転向し、ワンポイントに専念した06年は登板数急増。夏場まではほとんど二軍だったが、9月に昇格後は一軍定着。一月半の間に15試合に投げ、急台頭を見せた。結果は死球だったが日本シリーズにも登板。大きく前進の1年となった。
決してスピードのある投手ではないが、果敢に懐を攻め左右の揺さぶりでしとめる。内角球が抜けて死球にもなるケースも多かったが、内角攻めは生命線といってもいい。腕を下げたことではっきり特徴が出てきた。
07年は序盤4月末までに12試合と積極的に使われながら、5月以降は登板数激減。後半二軍暮らしで停滞のシーズンに終わった。しかし08年は一転して登板数大幅増。それまでの通算を上回る46試合に登板し、岩瀬不在の8月にはプロ初セーブも記録。再台頭で存在感を高めるシーズンとなった。09年は前半起用数が控えめで、シーズン登板数は前年より減。しかし左打者を1割台に抑え、四死球もぐっと減って役割をこなし、後半はワンポイントにとどまらず1イニング投げきる起用も増加。10年も前年ほどではないものの左打者を抑え、リリーフ陣の中でしぶとい働き。
そして昨年は見事な結果を残し自己ベストのシーズンに。開幕から16試合ヒットを許さず、役割を完璧にこなした。夏以降は勝ち星にも恵まれ、自己最多の5勝をマーク。58試合登板、18ホールドも自己最多で、1点を切る防御率。文句のつけようのない結果を残した。
全体でも1割そこそこという極端に低い被打率で、対左では1割未満と圧倒的な数字。シーズン通して安定感が揺るがず、ほとんど走者を出さずにこなしきった。ここまでの出来を続けるのは難しいだろうが、ここ数年はずっと安定しており、今季も貴重な戦力として計算出来そう。

小林 雅英

剛腕、元守護神型

右投右打 最多セーブ(05)
都留高〜日体大〜東京ガス ロッテ99ドラフト1位〜07、(米インディアンズ08〜09)、巨人10、オリックス11
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
(08 CLE 57 0 4 5 6 - 55 2/3 65 8 35 16 1 4 28 4.53)
(09 CLE 10 0 0 0 0 - 9 2/3 12 2 4 4 1 1 9 8.38)
メジャー通算 2年 67 0 4 5 6 - 65 1/3 77 10 39 20 2 5 37 5.10
10 巨人 12 0 0 0 1 1 14 19 0 2 5 0 1 8 5.14
11 オリックス 6 0 0 0 0 0 4 2/3 10 2 0 5 0 0 7 13.50
日本通算 11年 463 3 36 34 228 4 599 536 42 465 180 14 17 195 2.93

02年佐々木の記録を破り、連続セーブポイントの日本記録を更新、五輪代表にも選ばれたかつてのストッパー。2年のメジャー挑戦を経て日本球界復帰。
社会人からドラフト1位でロッテ入りし、1年目は中継ぎ中心で46試合に登板し5勝と即戦力に。2年目は先発入りを期待されたが、これは失敗続き。ところがウォーレンの不調もあり抑えに廻ると、別人のように生き返った。リリーフが向いていたのだろう、11勝14セーブの堂々たる成績。01年からは完全に抑えとなりタイトルを争う活躍。ここから3年連続30セーブ以上と不動の守護神に定着し、特に02年は自責点わずか4と凄まじい成績を残した。西武・豊田と激しく競り合って、惜しくもタイトルを逃したが、存在感では負けてはいなかった。
ライバルとの対比で言えば、豊田が安定感と巧さを感じさせる投手なら、この小林は力強さに秀でていた。150kmを記録するストレートに加え、鋭く落ちるスライダーで打者を翻弄。しかしそれ以上に脅威になったのがストレート並のスピードで迫る剛球シュート。目立って奪三振が多いわけではないが、球威と左右の揺さぶりで圧倒する。
鉄壁の存在として大いに評価を高めたが、04年は前半リリーフ失敗が続き、5月までに5敗を喫するなど苦しんだ。実際には前年からやや不調気味で、この辺りから安定感を欠くように。3点台後半まで落ち込んだ防御率は翌05年改善し、ついに悲願のタイトルを獲得。だが成功率はいまひとつで、被打率も悪く数字ほどには安心できない投球だった。
06年は漂っていた不安を一掃するかのように前半大活躍。ほぼ完璧なクロージングで交流戦終了時で早くも24セーブ。タイトル奪回間違いなしと思わせた。しかし後半は別人のように不安定となり失速。そして翌07年もさらに大きな振幅で似たような経過をたどることに。5月末までに13セーブを挙げながら、6月以降前年以上の大失速。ここから6敗を喫する頼りない投球で、終盤9月には二軍落ちも経験。7年連続20セーブ以上の記録を残すも、かなり印象の悪いシーズンとなった。
数字の上でも下降線が意識されるようになってきた07年オフFA宣言。インディアンズと契約し08年からはメジャーに。しかしやはり以前の力はなくなっており、6セーブを挙げるも不安定な投球は変わらなかった。渡米2年目となる09年はシーズン序盤にマイナー落ちし、7月に契約解除。
アメリカでのオファーはなく帰国し、シーズン後巨人と契約、10年は3年ぶりの日本復帰となった。だが落ち込みはよりはっきりした形となり、不安定な投球で5月頭に二軍落ち。その後は7月に2試合投げただけで、シーズンの大半を二軍で過ごす結果に終わった。12試合の一軍登板中5試合で失点と結果を残せず。
戦力外となった後昨年はオリックスに移ったが、さらに落ち込む結果に終わった。開幕から6試合投げるも3連続失点などさっぱり。5月以降はずっと二軍で過ごし、日本では最少の登板数に終わった。もう一軍では通用しないところまで落ち込み、昨年限りで引退することに。今後はコーチとして後進の指導に当たる。

小松 聖

先発台頭、急降下型

右投右打 新人王(08)
勿来工高〜国士舘大〜JR九州 オリックス07希望枠〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 オリックス 36 3 15 3 0 3 172 1/3 134 14 151 42 2 4 48 2.51
09 オリックス 17 2 1 9 0 0 91 1/3 121 17 74 40 4 6 72 7.10
10 オリックス 29 1 5 8 0 2 83 107 10 58 27 4 5 44 4.77
11 オリックス 1 0 0 0 0 0 1/3 5 1 0 0 0 0 5 135.00
通算 5年 91 6 22 20 0 7 357 2/3 374 44 296 112 10 16 172 4.33

2年目の08年先発で大活躍、一気に勝ち頭となった右腕。一躍エース格となったものの、翌年から急落し低迷中。
社会人から希望枠でオリックス入り。即戦力として期待されたが、1年目はわずか8試合登板でほとんどが二軍暮らしだった。その二軍ではチームトップの6セーブでリリーフとしての起用。一軍登板もすべてリリーフだった。
開幕一軍入りの08年も当初はリリーフだったが、平野・デイビーらの故障を始め先発陣に誤算が続き先発登板。半ばテストのような形だったが、これが見事にはまった。4月から5月中旬まで先発4連勝を記録。その直後調子を崩し、交流戦は間隔が空くためしばらくリリーフに廻ったが、7月再度先発入りするとさらに快進撃。この月の3敗目を最後に、以降怒涛の先発9連勝。チームでは平井以来13年ぶりという15勝に到達、CS進出の大きな原動力となった。勝利数・防御率ともにリーグ3位と上位の成績を残し、文句なしの新人王に選出。
豊富な球種を駆使する投手で、08年マウンドでは非常に丁寧な投球が光った。三振も取れて制球も上々とバランスの良さを発揮し、高い安定感で12もの勝ち越し。大躍進で一気に主力投手に。
この活躍からWBCの代表にも選ばれ、前年5勝と得意のソフトバンク戦ということもあって09年は開幕投手に。ところが一転してとんでもない大乱調に陥った。その開幕戦に7失点して敗れると、5連敗を喫し二軍落ちする事態に。再昇格の7月中旬に完投でようやく初勝利を挙げたが、その後は再び乱調が続き4連敗でシーズン終了。前年15勝の開幕投手がわずかに1勝しか出来ない大不振。
復調を期した10年は抑え起用も噂され、リリーフでスタート。開幕から5月頭まで16試合16イニングで3失点と好調なところを見せると、交流戦からは岸田と入れ替わる形で先発に転向した。ところが先発では急激に安定感を失い、出入りの激しい投球続き。後半に入ると3連敗などさらに状態が落ちて、8月末に二軍落ちすると以降一軍登板なし。前年よりは向上したものの、乱調傾向を払拭できずに終わった。すると昨年はさらに落ち込み。5月に一度リリーフ登板も、5長短打を浴び犠飛の一死を取るのがやっとというボロボロの投球。以降一軍登板はなく、ほぼシーズン通して二軍暮らしに終わった。
不振の原因は一にも二にもスピード不足で、08年に比べて明らかに低下。技巧派に徹している訳でもないため、打ち頃の球を痛打されるだけになってしまっている。もう何年もスピードが戻ってこない以上、完全に投球スタイルを変えない限り復活は厳しいかもしれない。今季はかなり正念場。

小松 剛

速球派、発展途上型

右投右打
室戸高〜法大 広島09ドラフト3位〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
09 広島 25 0 5 3 0 0 60 75 9 41 19 4 3 35 5.25
10 広島 5 0 1 3 0 0 22 2/3 36 5 19 8 1 1 20 7.94
11 広島 - - - - - - - - - - - - - - -
通算 3年 30 0 6 6 0 0 82 2/3 111 14 60 27 5 4 55 5.99

先発入りを期待される若手右腕。大学に進んだ後に成長を見せた投手で、法政のエースとして活躍。ドラフト3位で広島入り。
即戦力の期待も受けた1年目は、開幕してすぐ後にプロ初登板。この時はすぐに二軍に戻ったが、5月中旬に再昇格すると今度は先発で7回1失点の好投。次の登板で5失点したものの援護に恵まれプロ初勝利を挙げた。前半は一軍と二軍を行ったり来たりだったが、7月以降はほぼ一軍定着。1年目は25試合に投げ5勝とまずまずのスタートに。
140km台中盤の速球を軸とする速球派の投手で、球種もなかなか豊富。7月までは先発中心の起用だったが、8月以降はリリーフがほとんどになった。ただまだ粗っぽい面が強く、安定感には程遠い内容。いい時と悪い時の差が極端だった。防御率8点台で3勝1敗というリリーフ成績にその傾向がはっきりと出ている。
10年は先発要員として4月頭からローテーション入り。しかし5試合の登板はいずれもパッとしない内容で、5月前半に二軍落ち。それ以降昇格はなく、前年より大幅に登板数を減らしてしまった。わずか1勝、それも6回途中までに100球を要する辛うじてというもので、完全に後退。昨年はさらに落ち込み、シーズン通して二軍暮らしのまま終了。
入団から3年後退する一方というのはちょっとまずい状況。二軍でも大きく負け越した上に63イニングで32四球といいところを見せられなかった。ここまではっきりジリ貧では早めに見切られてしまう可能性もあり、何としても今季はアピールしないといけない立場。決して層の厚くない投手陣に割って入れないようだと厳しい。

小山 伸一郎

剛球右腕、逆転覚醒型

右投右打
明野高 中日97ドラフト1位〜04、楽天05〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 楽天 54 0 3 5 4 6 68 2/3 58 8 71 25 5 3 28 3.72
09 楽天 56 0 1 4 5 6 63 2/3 53 4 74 23 3 2 21 2.97
10 楽天 55 0 5 4 11 15 59 2/3 49 5 54 23 3 2 16 2.41
11 楽天 50 0 8 4 0 11 68 2/3 53 5 51 22 3 2 22 2.88
通算 15年 368 0 25 30 36 42 468 2/3 404 52 431 221 29 23 208 3.99

4年連続50試合以上登板のリリーフ右腕。長い間期待されながらも伸び悩み続けていたが、楽天移籍後開花し主力の一角に定着。
ドラフト1位で中日入りし、4年目の00年2勝。いよいよ期待の大器台頭かと思われたが、翌年はわずか4試合登板に終わり足踏み。その後も毎年期待されながら応えられず。登板数はあるものの内容はいまいちで、あまり進歩のあとが感じられなかった。
力感あるフォームはかつて中日に在籍した宣銅烈そっくり。球威抜群なところも似ているのだが、それ以外の点がかなり不足していた。制球も甘く、変化球にも特徴なく、「ただ速いだけ」の投手のまま中堅の年齢に。
04年はわずか2試合と全く冴えない成績に終わり、05年は楽天に移籍。ポテンシャルの高さから抑えにと期待を集めたが、良かったのは開幕直後だけで重要な場面を任せるまでには至らなかった。それでもスピードの魅力は強く、翌年も抑え候補に指名される。しかしまたも結果が出せず、しかも前年よりも内容が悪くなってしまった。8点台の防御率では敗戦処理としても失格。
さすがにこうも期待を裏切り続けては厳しく、07年は前半ずっと二軍暮らし。ついにここまでかと思われたが、後半別人のような快進撃が始まった。7月に昇格すると、オールスター後にプロ初セーブを記録。これ以降は故障した福盛に代わって抑えに定着し、3ヶ月未満で16セーブを挙げる活躍を見せた。その投球内容もこれまでとは雲泥の差で、昇格から13試合連続無失点、30試合登板で失点わずか3という抜群の出来。磐石の守護神へ定着し、大きな戦力となった。
11年目にしてついに壁を突破し覚醒を果たした。翌08年はオープン戦で早々に抑え失格と勢いを持続し切れなかったものの、後半復調で初の50試合以上登板。抑えという期待は薄まってしまったが、リリーフ投手としての地位は確実に掴んだ。09年もチーム最多の56試合登板とフル回転し、前年より成績向上。10年も引き続き主力リリーフとして活躍を見せ、川岸が乱調となった後半は抑えにも廻り11セーブを記録。
昨年は前半やや乱調気味で敗戦処理が中心、チーム事情から5月には実に11年ぶりの先発という場面も。6月までは防御率4点台後半と冴えない状態だったが、夏になると調子を急激に上げた。7月から9月にかけて29試合35イニングで被安打20、失点わずか4と非常に安定。最終的に4年連続の50試合登板を果たし、8勝は自己最多を記録。
もう中堅からベテランの域に差し掛かりつつあるが、150kmに迫る速球とスライダーが軸のパワフルな投球は健在。なかなか状態を維持できないため任せきるには至らないが、調子次第という注釈つきなら抑えでもいけるポテンシャルを持つ。脆さを見せる部分がもっと少なくなればさらに理想的。

金剛 弘樹

フォーク投手、二軍の帝王型

右投右打
帝京高〜立正大〜朝日生命〜日本通運 中日05ドラフト9巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 中日 12 0 0 0 0 1 12 2/3 19 0 10 5 0 1 9 6.39
09 中日 - - - - - - - - - - - - - - -
10 中日 2 0 0 1 0 0 2 1/3 4 1 1 2 0 0 4 15.43
11 中日 - - - - - - - - - - - - - - -
通算 7年 27 0 0 1 0 1 28 2/3 42 5 20 16 1 5 26 8.16

なかなか浮上できない一軍半の右腕。二軍では不動の存在として活躍も、一軍ではここまで結果を残せていない。
アマチュア歴が長いが、その間も何度かドラフト候補に名前の挙がった存在。かなり下位だったがドラフト指名され中日入り。デビュー時26歳ということで1年目から一軍登板を果たしたが、粗っぽい投球で結果は残せず。以降も時折昇格するものの内容が伴わず、一軍定着には程遠い状態が続いている。
フォークを絶対の武器にする投手で、タイプとしてはリリーフ向き。ただ投球全体がかなり未熟で、一軍には一歩も二歩も足りない印象。こういうタイプらしく暴投も非常に多い。
07年ウエスタンのセーブ王を獲得したが、08年も一軍では傾向は変わらず。初の二桁試合登板も12試合中7試合に失点ではアピールできなかった。これ以降は一軍に呼ばれる機会が大幅に減り、ほぼ二軍定住状態。09年は13セーブで再びウエスタンのセーブ王となったが、一軍登板はなかった。10年は交流戦で2試合登板したものの、いずれも失点し、サヨナラ被弾でプロ初黒星を記録。
昨年は09年に続いて一軍登板なし。ファームでは31試合で失点わずか2と相変わらず無敵状態で、14セーブは同僚矢地と並んでウエスタンセーブ王。だがこのタイトルがすでに3度目というのが問題で、台頭のきっかけとしては弱い。もう32歳という年齢でこの一軍実績は貧弱としか言えず、いつ整理されてもおかしくない状況は変わらない。今度こそ二軍の帝王から脱却できるか否か、今季はそろそろ一杯一杯。

ディッキー・ゴンザレス

大変身、馬力型

右投右打 ベストナイン(09)、ゴールデングラブ(09)
ヤクルト04途中〜08、巨人09〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 ヤクルト 8 0 1 5 0 0 44 58 4 36 9 1 3 21 4.30
09 巨人 23 2 15 2 0 0 162 134 11 113 25 7 2 38 2.11
10 巨人 25 0 5 13 0 0 132 2/3 161 12 88 32 11 6 78 5.29
11 巨人 13 0 3 3 0 0 75 58 3 63 15 4 0 15 1.80
通算 8年 128 5 41 38 0 6 656 1/3 673 56 474 126 32 23 254 3.48

巨人に移籍の09年見違えるような大活躍を見せた外国人右腕。ヤクルト時代も戦力となっていたが、予想を上回る働きで優勝に貢献。
04年途中にヤクルト入団、当初はリリーフをこなしていたが、終盤には先発に廻りトータル4勝。投球内容も良く、05年は初めからローテーション入りが期待された。だが開幕直前に故障で出遅れ。復帰後はリリーフで好投も先発では不安定で4勝、防御率5点台に終わった。06年は当初から先発も、外国人枠の関係で前半は登録・抹消を繰り返し、成績も勝ったり負けたり。ここまでは平凡だったが、ラロッカの故障で一軍定着となった8月下旬以降、波に乗って一気の5連勝。オールスター以降6勝で、通年で9勝の活躍を見せた。防御率も3点台前半と安定。
身長178cmと上背は平凡だが、どっしりとした体型で馬力のありそうなタイプ。小さいフォームもあいまって、一見投手らしく見えないがこれがなかなか曲者。球種は少ないが力のある真っ直ぐとともに、大きな変化のスライダーはかなりの威力。またどんどんストライクを放ってくるテンポの良さで、四球も非常に少ない。
前年の活躍から07年は二桁勝利の期待もかかったが、開幕前に肘を故障しシーズン絶望に。この年は一度も実戦登板できずに終わった。08年後半ようやく復帰したが、8試合先発で1勝のみ、2年ぶり勝利のあと3連敗と力は発揮できなかった。故障も多くなかなか活躍を持続出来なかった。
シーズン後戦力外となり、巨人へ移籍。あくまでリザーブという期待で開幕は二軍で迎えたが、5月に昇格するとここから快進撃が始まった。移籍初登板から先発6連勝を挙げてローテーション定着。一つ負けた後再び連勝街道を突っ走り、6月末から終盤10月まで破竹の9連勝。最後に1失点で敗れる不運で連勝は止まったが、実に13もの貯金を一人で稼ぎ、先発の軸としてチームを牽引。来日6年目にして初の二桁勝利は最多勝にあと一歩の15勝、防御率も2点そこそこでリーグ3位と抜群の好成績。開幕前の期待は決して高くなかったものの、5失点以上が一度もない安定感で非常に大きな戦力に。
チェンジアップの習得で投球の幅が広がり大変身を遂げた。しかし10年は一転、逆の方向に変身してしまった。初登板でいきなり7失点したのを皮切りに、前年が嘘のような不安定な投球続き。交流戦4戦全敗を含め5月から7月にかけて6連敗。以降も状態は全く上がらず、最後まで先発で投げ続けたもののリーグワースト13敗の大負け。09年と勝敗が逆転した形となってしまった。活躍で油断が生じたか、生命線の制球力さえ悪化し状態は上向かないままだった。
残留した昨年も序盤連続KOという状態で二軍落ち。しかし7月に再昇格すると、ここから復調を果たした。援護に恵まれず勝ちは伸びなかったものの、安定した投球を展開。8月末足の肉離れで離脱も、終盤戻ると2試合連続7回1安打無失点という快投。シーズン3勝止まりも後半の内容は非常に良かった。
どうやら不振は脱した模様。ただヤクルト時代からシーズン通しての活躍がほとんどなく、どこまで戦力として計算できるか不透明な部分がある。状態良ければ先発として期待大、あとは体調次第というところか。

ルイス・ゴンザレス

途中入団、粗削り型

左投左打
横浜11途中
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
11 横浜 2 0 1 1 0 0 7 16 0 4 1 0 0 10 12.86
通算 1年

昨年途中テスト入団の外国人左腕。先発候補の一人として獲得。
メジャー経験はなく、マイナーも2A〜3Aの間止まりといったところ。09,10の2シーズンは米独立リーグでのプレーで、実績面は乏しい。新外国人リーチが大震災以降帰国して再来日の目処が立たず、制限選手となったため、新たに左腕を補充するためテスト。10年限りで一度解雇となっていたランドルフとともに入団となった。
二軍で数試合投げたあと6月末に一軍昇格し先発登板。5回8安打4失点と褒められた内容ではなかったものの、援護に恵まれ初勝利を挙げた。だが続く登板では初回いきなり6失点の大炎上でKO。結局一軍登板はこの2試合だけに留まり、以降はずっと二軍暮らし。二軍でも防御率4点台で1勝6敗では魅力が薄く、シーズンが終わると退団となった。急場しのぎの補強にもなりきれなかった。

近藤 一樹

先発右腕、力投型

右投右打
日大三高 近鉄02ドラフト7巡〜04、オリックス05〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 オリックス 25 2 10 7 0 0 149 140 9 89 45 4 4 57 3.44
09 オリックス 24 2 9 12 0 0 152 2/3 155 20 91 80 3 6 81 4.78
10 オリックス 24 1 5 10 0 0 142 2/3 151 16 133 49 7 4 69 4.35
11 オリックス 15 0 3 7 0 1 63 2/3 76 6 53 27 4 3 45 6.36
通算 10年 109 5 28 37 0 1 544 564 54 396 217 21 22 265 4.38

08年の台頭以降先発に定着の右腕。粗っぽさは強いものの、躍動感あふれるフォームから力強い投球を見せる。
高校時代はエースとして春夏甲子園出場、夏には全国制覇を果たした。指名順位は低かったものの高卒で近鉄入り。2年目には一軍初出場を果たし、3年目の04年にプロ初先発で初勝利を記録。そのオフ分配ドラフトでオリックスに移籍。ただその後肩を痛めてしまい少し遠回り。06年は一軍登板なく終わった。
ちょっと時間がかかっていたが、07年二軍で最多勝・最高勝率の活躍。この勢いで08年は開幕一軍入りし、最初の登板で4年ぶりの勝利。これ以降ローテーション入りを果たした。前半は勝ったり負けたりの内容で5勝7敗とそこそこ止まりだったが、8月以降急激に安定感が増し、特に9月は先発4戦全勝の快投。7月以降負けなしの5連勝で一気に10勝到達、チームの上位進出に大きな戦力となった。主力投手の一人に躍進。
140km台中盤の速球を軸として、チェンジアップとカーブを駆使した緩急に持ち味のある投手。絶対的に速い訳ではないがストレートを非常に速く見せる。調子が乗ってくるとフィニッシュ時に飛び跳ねるような動きを見せ、勢いを感じさせる投球が特徴。
この活躍から09年もローテーション入り。前半は5連敗を喫するなどの乱調が響いて12敗を喫したが、後半立て直して9勝をマーク。主力投手としての地位を確実なものにしたが、一方で両リーグ最多の80四球を与えるなど粗さも強く出てしまった。この年の途中から腕を下げ始め、10年は完全なサイドスローに。だが序盤から4連敗を喫するなど波に乗れず、7月に3勝したものの8月以降はKO続きに。終盤は二軍落ちしてしまい、印象を落として終わってしまった。5勝に留まり、2年連続の二桁敗戦。
腕を下げていたのは故障をかばってのものだったらしく、昨年は再びフォームを修正。だがこのところのジリ貧傾向を止められなかった。開幕を二軍で迎え、6月に昇格。数試合リリーフのあと先発に廻ったが、1勝したあと4連敗など相変わらずの乱調傾向。後半は一軍と二軍を行ったり来たりで、登板数を減らして3勝止まり。防御率6点台と内容を落として終了。
一時ソフトバンクに滅法強かったが、ここ2年すっかり攻略されてしまった。そうなるとただ勢い任せの粗っぽい投手という印象しか残らず、かなり苦しくなってきている。再浮上するには、アバウトすぎる投球スタイルからの転換が必要になってきたかもしれない。一皮むけるか、停滞が続くかの分岐点に差し掛かった。