高市 俊

技巧派右腕、苦戦型

右投右打
帝京高〜青学大 ヤクルト07希望枠〜11
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 ヤクルト 1 0 0 0 0 0 5 1 0 6 1 0 0 0 0.00
09 ヤクルト 3 0 0 1 0 0 9 1/3 14 2 5 4 0 0 10 9.64
10 ヤクルト 8 0 0 0 0 0 11 2/3 11 1 6 4 1 0 6 4.63
11 ヤクルト 1 0 0 0 0 0 2 1/3 7 0 0 1 0 0 6 23.14
通算 5年 15 0 0 2 0 0 32 1/3 41 7 21 12 2 0 30 8.35

希望枠入団もプロでは苦戦が続く右腕。アマチュア時代に輝かしい実績を残したが、一軍で結果を残せていない。
高校時代は強豪のエースとして夏の甲子園ベスト4の実績を持つが、それ以上に大学で破格の成績を残した。3季連続MVPなど絶対のエースとして君臨し、当時の東都記録となる11連勝を含む通算25勝をマーク。先発を期待されヤクルト入り。
ただ当時から制球力と配球で抑える技巧派タイプで、大学生の中でもスピードは遅いほうだった投手。その球威不足はやはりプロでは厳しかった。即戦力を期待されるも1年目は2試合登板のみ。先発も1度あったが4ホーマーを浴びる散々なものだった。2年目シーズン最終戦に先発して5回無失点と好投、弾みにしたかったが続く09年はまたも結果を残せず。
10年は先発ではなくリリーフで8試合登板。これまでよりはいい数字だったものの、登板を重ねると捉まるようになり、一軍に食い込むところまでは至らなかった。昨年は開幕直後先発機会があったが、2巡目になるとこらえきれず、7安打浴びて3回途中6失点KO。以降はずっと二軍で過ごし、シーズン後戦力外に。
二軍ではそこそこ抑えられても、一軍レベルではどうしても打ち頃のボールに。トライアウト参加も声はかからず、今季は打撃投手として日本ハムと契約し、現役を離れることとなった。せめてもう少しパワーがあれば、だいぶ違ったかもしれない。

高木 啓充

突如台頭、救世主型

右投右打
宇和島東高〜大体大 ヤクルト06ドラフト(大・社)4巡〜11
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 ヤクルト 5 0 0 0 0 0 5 1/3 4 1 4 0 0 0 2 3.38
09 ヤクルト 12 1 4 0 0 1 44 34 3 19 11 2 0 8 1.64
10 ヤクルト 11 0 0 1 0 1 13 11 4 7 4 0 0 6 4.15
11 ヤクルト - - - - - - - - - - - - - - -
通算 6年 30 1 4 1 0 2 64 1/3 53 10 30 18 2 0 21 2.94

4年目の09年終盤、突然の活躍でチームの危機を救った右腕。そこまで一軍未勝利、ほとんど注目もされていなかったが、一躍脚光を浴びた。
大学時代はノーヒットノーランを記録するなど活躍し、分離ドラフトでヤクルト入り。当初の背番号は12で期待は高かったが、1年目の一軍登板は2試合のみ。3四球に2被弾という散々な内容でほとんど二軍暮らし。その後も3年目の08年までほぼ二軍生活だった。下でも3年連続5勝と悪くはないが目立つ成績でもなく、非常に地味な存在だった。
09年も前半は完全な二軍。8月中旬に昇格後もしばらくは敗戦処理という起用だった。しかしここで好投を続け、9月に先発機会を得ると7回無失点の快投。この試合は降板後逆転されてしまったが、続く先発で待望のプロ初勝利を記録。チームの連敗を9で止めると、さらに続く登板ではやはり連敗を4で止めるプロ初完封。このまま4連勝で一躍脚光を浴びることに。インフルエンザに罹り離脱してしまったが、2度までも連敗を止める活躍で、急失速でAクラス陥落の危機にあったチームを見事に救った。
スピードは平凡だが、フォークを軸として打たせて取る技巧派。目を惹くような派手さはない投手だが、最後まで安定した投球を続けて防御率は1点台。特に右打者を1割台と封じ込めたのが光った。
ただうまくはまりすぎた印象はあり、勢いは持続できなかった。10年は序盤一軍にいたものの、リリーフで不安定な内容から二軍落ち。以降は8月に3試合投げただけで、シーズンの大半を二軍で過ごした。さらに昨年は完全に一軍から遠ざかり、一度も登板できないままシーズン終了。活躍がすっかり色褪せてしまった。
一軍でも二軍でも目立った被弾はなくなったものの、二軍で防御率4点台では浮上は難しい。シーズン後戦力外となり、現役続行を希望もトライアウト前日に骨折というアクシデントで参加できず。間隔を置いて再起を果たせるか。

高木 康成

技巧派左腕、球種多彩型

左投左打
静岡高 近鉄00ドラフト2位〜04、オリックス05〜09、巨人10〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 オリックス 10 0 1 2 0 2 15 1/3 21 3 8 3 1 0 15 8.80
09 オリックス 6 0 1 2 0 0 20 18 1 4 14 0 0 11 4.95
10 巨人 21 0 1 1 0 3 24 2/3 15 1 19 11 2 3 3 1.09
11 巨人 46 0 1 3 0 12 36 1/3 31 3 24 20 2 1 15 3.72
通算 12年 217 0 15 25 0 26 322 2/3 291 29 241 144 14 15 142 3.96

非常に落差の大きいカーブを軸とする技巧派左腕。かつては先発も多かったが、近年はリリーフが中心。
甲子園でも活躍し、ドラフト2位で近鉄入り。2年目の01年に初の一軍マウンドに立ったが、結果は散々。しかし02年途中からリリーフで台頭。終盤には先発もこなし、防御率2点台とかなりの好成績を残した。もともと期待の大きかった投手だが、予想よりも早い成長を見せた。
高校時代からストレートは速くなく、スピードには欠けるが独特の軌道を描くカーブが大きな持ち味。これで緩急をつけ、多彩な球種を織り交ぜて打ち取る軟投派タイプ。先発もリリーフも可能な柔軟性を持ち合わせる。
03年故障で一軍登板なく、これ以降ちょっと足踏み状態に。04年、球団合併でオリックスに移った05年と先発中心に起用されたが、2年で3勝10敗と結果を残せなかった。良くなりかけていた制球がまた悪化していたが、07年久々に再浮上。リリーフ専念で好投を見せ、自己最多、チームでも加藤大に次ぐ54試合に登板。リリーフ左腕の1番手として活躍を見せた。4勝も自己最多で、重要な戦力に。
しかし翌年は開幕直後こそ良かったが、チーム事情から先発もした4月大きく落ち込んだ。中旬から派手な炎上続きで二軍落ちし、復帰できないままシーズン終了。肘を手術して挑んだ09年だったが、3試合ずつの先発・リリーフいずれも内容が冴えず。あまり目立たないまま終わった。
良くなってきたかと思うと制球難再発を繰り返して10年が経過。しかし巨人に移籍した10年光るところを見せ再台頭。開幕からずっと二軍暮らしだったものの、夏場に昇格するとリリーフで好投続き。そのまま最後まで一軍に留まり、21試合登板で1点そこそこの防御率という快投。再浮上に成功。
昨年はその流れのまま開幕からリリーフで多く登板。5月末に先発するも制球を乱して初回2失点で降板し、一時二軍落ち。6月後半に再昇格以降はすべてリリーフ登板となった。ショートリリーフ中心に起用され、登板数は前年から倍増。
ただ前年抑えた対左が昨年は少し微妙。被打率はそこそこ(右より悪かったが)も四球が多く、3割後半の出塁を許してしまってはワンポイントとして役目を果たしたとは言いがたい。また終盤は毎回のように安打を許す不調で、9月中旬には立て続けに敗戦投手に。シーズン自責点の半分を9月以降の12試合に喫し、最後の印象が非常に悪かった。今季もいまのポジションを維持するには、10年のように左をしっかり封じたいところ。

高崎 健太郎

速球右腕、先発定着型

右投右打
鎮西高〜日産自動車 横浜07希望枠〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 横浜 11 0 0 2 0 0 17 30 3 17 9 0 1 15 7.94
09 横浜 56 0 4 0 1 5 74 81 5 59 16 1 2 33 4.01
10 横浜 7 0 1 1 0 0 15 23 3 9 4 0 0 13 7.80
11 横浜 29 0 5 15 0 0 177 1/3 182 9 127 36 2 3 68 3.45
通算 5年 112 0 12 19 1 5 313 1/3 351 23 235 79 5 7 147 4.22

速球とスライダーを武器とする本格派タイプの右腕。昨年ローテーションに定着し先発の中心的存在に。
社会人時代2年連続都市対抗準優勝など活躍し、希望獲得枠で横浜入り。1年目は二軍だったものの、10勝を挙げてイースタン最多勝を獲得した。117イニングもリーグ最多で防御率2位。終盤には一軍で先発連勝、この活躍から08年は開幕ローテーション入り。しかし2年目の飛躍は果たせず大きく期待を裏切ることとなった。連続KOで早々に二軍落ちし、再昇格後はリリーフ登板もこれもうまくいかず。最後は3試合連続失点を喫して6月頭に二軍落ち、以降再昇格なく終わった。
走者を背負うと投球がガタガタになる未熟さをさらしてしまったが、09年ようやく殻を一つ打ち破った。開幕からリリーフに専念し登板数大幅増加。5月乱れて二軍落ちした時期があったが、ほぼシーズン通して一軍定着。チームでは真田に次ぐ56試合に登板し4勝。8月にはプロ初セーブを挙げるなど成長の1年に。
だがこれを翌年に持続できず。二軍スタートの10年は6月末に昇格するも、リリーフ5試合中3試合で失点し二軍落ち。8月末に再昇格して今度は先発するが、3回持たずにKOされ即Uターン。大きく後退の1年に。
ただシーズン最終戦に7回無失点の好投で1勝を挙げ、昨年は開幕ローテーション入り。ベテラン勢が揃って姿を消す中、一皮むけた投球を見せて主力としてシーズンを送った。チーム状態の悪さから4月から6月にかけて6連敗、8月からも5連敗とひたすら負けが先行したが、最後までローテーションを守り続け規定投球回到達。5勝と寂しい数字ではあるがチーム勝ち頭に。
ただ統一球効果で全体防御率が1点前後良化した点を考慮すると、3点台中盤の防御率は物足りないところ。前半は勝てないまでもいい投球を見せていたが、8月以降の防御率は4点台半ばと失速。リーグ最多の15敗は援護のなさだけが理由ではなかった。しかし計算できない先発陣にあって高崎にかかる期待は大きく、今季はさらなるステップアップを望まれる。壊滅的とも言える投手陣を支える存在となれるか。

高橋 聡文

速球左腕、セットアッパー型

左投左打
高岡第一高 中日02ドラフト8巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 中日 54 0 2 1 1 15 54 47 4 48 10 4 0 14 2.33
09 中日 49 0 2 2 0 10 49 2/3 38 6 53 14 2 3 17 3.08
10 中日 63 0 4 1 0 31 61 1/3 44 3 62 24 2 2 11 1.61
11 中日 2 0 0 0 0 1 2 0 0 2 0 0 0 0 0.00
通算 10年 304 0 12 9 1 82 275 249 25 279 99 17 10 101 3.31

150km前後の速球で力強く攻めるリリーバー。左腕としてはトップクラスのスピードが最大の魅力にして武器。
ドラフト8巡で入団したように当初はほぼ無名。高校時代から故障を引きずっており、1年目はリハビリでファームでも登板なし。2年目も二軍で9試合に投げただけだった。しかし3年目の04年急台頭。開幕直後から一軍登板を果たし、速球と切れのいいスライダーで、特に前半はショートリリーフで非常にいい働きを見せた。さすがに夏場はばてて乱調気味だったが、それでも秋にはしっかり回復。そして05年はさらに存在感が増した。左のメインリリーフとしてチーム最多の登板数61を記録。特に前半は安定感も高く、左打者をきっちり封じて欠かせない戦力として一本立ち。
力でグイグイ押していく投球スタイルで、それが可能なスピードを持つ。翌06年は調子を持続できず防御率10点オーバーと乱調、07年ももう一つ振るわずと停滞が続いたが、08年復調。開幕からフル回転でチームトップの登板数・ホールドを記録。ずっと不安だった制球も改善し、岩瀬不在の8月にはプロ初セーブもマーク。ここからは主力リリーフに定着し、やや好不調の波が激しかった09年も49試合に登板。
そして10年はさらに一段上の投球を見せた。開幕から一月足らずで3勝を挙げるなど序盤から非常に好調。浅尾とともにセットアッパーの両輪として活躍。交流戦はやや不調も、後半はさらに勢い加速。7月前半から9月中旬までの2ヵ月半に亘って26試合連続無失点という快投を見せ、チームの優勝に欠かせぬ存在となった。最終的に自己最多の63試合に登板し、初めての防御率1点台。抜群の安定感を発揮。
抜群の力強さで打ち返すのも困難な投手だが、昨年は故障に泣くことに。肩の痛みでずっと投げられない状態が続き、二軍の実戦登板にたどり着いたのが9月後半になってから。終盤一軍でも登板し、CSにも登場したが本来のスピードではなく、日本シリーズには登板しなかった。
もともと故障がちな選手ではあるが、かなり長期の離脱になったことで不安も残る。万全なら豪快な投球を見せられる投手だけに、今季は復活が望まれるところ。

橋 秀聡

豪腕サイド、制球不安型

右投右打
盾津高〜九州共立大 ソフトバンク05ドラフト5巡〜11、オリックス12〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 ソフトバンク 20 0 1 1 1 3 31 29 1 31 13 2 1 14 4.06
09 ソフトバンク 12 0 3 4 0 0 47 2/3 43 8 42 22 5 2 26 4.91
10 ソフトバンク 5 0 2 2 0 0 24 1/3 29 1 16 10 3 1 15 5.55
11 ソフトバンク 1 0 0 1 0 0 3 1/3 6 1 3 1 0 1 5 13.50
通算 7年 46 0 7 12 1 3 141 2/3 144 16 124 61 16 6 79 5.02

下手投げに近いサイドスローから140km台後半の速球を投げ込む右腕。大学では馬原の1年後輩で、同校から3年連続のホークス入りとなった。
指名順位は低かったが、1年目から二軍のローテーション入り。2位に倍近くの差をつけるウエスタンの奪三振トップを記録した。それ以上に終盤一軍昇格してチームの連敗を止める先発勝利で脚光を浴びた。これで一躍先発候補に名乗りを挙げたが、これ以降足踏み。
抜群のスピードと変化の大きなスライダーを持ち、ボールの威力は一級品。ただ制球が非常に悪く、1年目二軍成績は先述の奪三振と同時に四球数もトップ。特にスライダーが右打者の外角にとんでもなく流れてしまう傾向があり、カウントを取るのに四苦八苦していた。2年目は一軍ですべて先発も4戦全敗。07年はずっと二軍状態だった。
伸び悩みが続いていたが、08年久々に一軍再台頭。5月の昇格時はすぐにUターンになったが、7月一気に登板数増加。先発も一度、1回から緊急リリーフという場面も。プロ初セーブを記録し、8月には3年ぶりの勝利も挙げた。
以前よりスライダーが小さくなった分制球しやすくなったようで、多少まとまりが出てきた。とはいえ依然として制球は粗く、安定感には欠ける。09年は序盤2試合登板も内容が悪く、前半はほぼ二軍暮らし。それでも夏場に再昇格し、8月以降はローテーション定着と多少の前進は見せた。3勝は自己最多。
ただここ2年はシーズンのほとんどを二軍暮らし。10年は序盤に先発連勝という場面があったが、後が続かず残る3試合はいずれも5回持たずに降板。後半は一軍に上がれずに終わった。昨年はチャンスが目に見えて減り、9月頭に一軍初登板。しかしせっかくの先発も打者二巡目にガタッと崩れる5失点KOでアピールできず。これが唯一の一軍マウンドだった。
以前よりスピードが落ちた分粗っぽさは落ち着いてきたものの、左打者を抑える術を失っている。昨年唯一の登板でも6安打中4本が左に許したもの。二軍では防御率1点台で4勝3セーブと先発にリリーフに好投を見せたが、後続の台頭もあり上に呼ばれる機会が確実に減っている。年明けてからトレードが決まり、今季はオリックスへ。ここでしっかりアピールしたいところ。

宮 和也

小柄左腕、一軍半型

左投左打
大体大浪商高〜徳山大〜ホンダ鈴鹿 横浜06希望枠〜10、オリックス11〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 横浜 10 0 1 0 0 0 5 2/3 9 0 2 2 1 0 7 11.12
09 横浜 11 0 0 1 0 2 8 9 3 6 5 0 0 4 4.50
10 横浜 21 0 0 0 0 3 10 1/3 18 0 11 1 5 0 6 5.23
11 オリックス 20 0 0 0 0 1 22 2/3 22 0 21 6 4 0 10 3.97
通算 6年 102 0 3 7 0 10 120 2/3 159 15 81 42 13 3 85 6.34

希望枠入団も伸び悩みが続く左腕。リリーフに活路を求めるも結果を残しきれていない。
社会人で活躍し、希望枠で横浜入り。先発でも中継ぎでも、とにかく即戦力を期待され、1年目開幕一軍入り。だがしばらく先発で廻るもKOが続き、リリーフでも7月以降の5試合で8失点と散々な結果に終わった。汚名返上を期した翌年も結果はボロボロ。リリーフで前年より登板数は増えたが内容は悪化。特に最後の4試合は10失点と大炎上し、後半は完全に二軍暮らしに終わった。
どうも悪い時が非常に極端で、とことん打ち込まれてしまう。その傾向は08年も変わらず、8月の登板では1回持たず6失点の滅多打ち。これで一時防御率が30点台という途方もない数字になっていた。9月下旬以降は少し落ち着きも見せたが、またも戦力にはならず。
期待値は徐々に低下し、09年は開幕からずっと二軍。しかし夏場に心機一転サイドスローに転向、これでようやく向上気配が見えた。9月半ばに昇格するとリリーフで11試合に登板。ショートリリーフ中心だったが、減り続けていた登板数をやや回復。10年も3ヶ月以上二軍で過ごすなど一軍定着はならなかったが、登板数は前年より倍増。
昨年はトレードでオリックスへ。移籍を機にフォームを戻し、開幕一軍を果たしたが、失点が続いて1ヶ月持たず二軍落ち。ただ6月末に再昇格以降は登板機会も増えた。一軍定着はならなかったが、シーズン20試合登板と前年とほぼ同水準。敗戦処理中心の分イニング数は増えた。
成績としては見られるものになったが、昨年も対左のほうが数字が悪く、存在感をアピールできていない。そろそろ一軍半は脱出したいところだが。

武田 久

小兵リリーフ、守護神型

右投左打 最優秀中継ぎ(06)、最多セーブ(09,11)
生光学園高〜駒大〜日本通運 日本ハム03ドラフト4巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 日本ハム 62 0 4 7 6 21 61 1/3 68 9 40 19 1 0 30 4.40
09 日本ハム 55 0 3 0 34 4 60 54 1 38 14 0 0 8 1.20
10 日本ハム 58 0 1 5 19 4 56 1/3 63 5 37 16 5 2 24 3.83
11 日本ハム 53 0 2 2 37 1 52 1/3 32 0 28 9 1 0 6 1.03
通算 9年 410 0 25 23 103 102 445 1/3 396 19 296 101 19 3 121 2.45

05年から台頭、以降大車輪の活躍を見せるリリーフ右腕。公称身長170cmとかなり小柄ながら、勢いのある小気味いい投球が特徴。
即戦力として入団も当初はいまいちパッとせず、1年目は13試合に登板も2年目は結果が出ず。05年も夏場までは二軍暮らしだった。しかし一軍昇格するとそこから急台頭。8月の下旬からシーズン終了まで15試合、22イニング連続無失点と抜群の安定感を発揮し、一気に勝ちパターンの継投に割って入った。右打者を圧倒的に抑えて、抑えを任せてもいいほどの存在感を見せ付けた。
小さな体でも躍動感のあるフォームで、思い切り前に踏み込んでの速球は伸び上がってくる威力。四死球が非常に少なく、投球テンポの良さも持ち味。どんどん攻め込んでくる活きのいいピッチング。
前年来の勢いに乗った06年は、まさに大飛躍の1年。開幕からセットアッパーとして全力回転し、両リーグトップの75試合登板に45ホールドを記録、見事にタイトルに輝いた。これだけ投げて、被本塁打は5月の1本のみ。抜群の安定感でチームの優勝に不可欠な存在に。疲労が懸念された翌年も不動の存在として活躍。夏場に4敗を喫するなど前年に比べれば少し落ちたが、最後は13試合連続無失点と立て直した。タイトルには届かなかったがリーグ2位の35ホールドで連覇に貢献。
もはやリリーフの絶対的な存在で、チームの勝敗の鍵を握る投手。08年は後半不調に陥り、8月以降19試合で17失点という乱調。蓄積疲労が懸念されたが、09年その不安を払拭する活躍。マイケル移籍で順当にクローザーとなり、開幕すると6月頭まで自責点0の快投。最終的に自責点はわずか一桁に収め、1点台前半の防御率を記録。順調にセーブを積み上げ、競り合いを制して最多セーブのタイトル獲得。
ところが10年はタイトルの栄光から一転して大不振に。開幕から4連続リリーフ失敗、3敗を喫する乱調で、しばらく抑えを外れる事態に。6月から抑えに戻ったものの、またしばらく不安定な状態続き。ようやく落ち着いてきたのは8月も後半になってからで、チームトップの19セーブは挙げたものの防御率は3点台後半と冴えない結果に終わった。
長くタフなシーズンを続けてきた投手で、消耗が不安視されたが、昨年またもその懸念を一蹴する活躍。開幕から抑えとして安定した投球を続け、セーブ数リーグトップを快走。そのまま大きく乱れることもなくシーズンを完走し、自己最多更新の37セーブでタイトル奪還。一桁の失点で防御率は1点ジャストに近い数字。
昨年は内野ゴロで打ち取るケースが非常に多く、統一球をうまく利用した印象。前年の不調の姿は全く感じさせず、完全に復調を果たした。これで6年連続50試合以上登板と体格に似合わぬタフさも健在。今季もクローザーとして計算される存在。

武田 勝

技巧派左腕、制球安定型

左投左打
関東一高〜立正大〜シダックス 日本ハム06ドラフト(大・社)4巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 日本ハム 20 1 8 7 0 0 121 2/3 110 18 68 19 5 1 40 2.96
09 日本ハム 24 2 10 9 0 0 144 1/3 150 17 99 20 4 0 57 3.55
10 日本ハム 26 3 14 7 0 0 168 1/3 161 12 106 19 1 0 45 2.41
11 日本ハム 25 3 11 12 0 0 164 2/3 143 7 87 18 3 0 45 2.46
通算 6年 159 10 57 41 1 13 832 745 77 515 108 22 2 248 2.68

変化球を低めに丁寧に集め、打たせて取る技巧派左腕。当初は先発・リリーフ兼業だったが、3年目以降先発に専念し左のエース格に。
社会人から27歳でプロ入りの遅咲き。パッと見凄みのあるタイプではないが、変則気味のフォームからコーナーを突く投球が持ち味。巧さを感じさせる投手で、スライダーやシュートを駆使して淡々と抑えていく。
1年目は貴重なリリーフ左腕として開幕一軍入りし好投。6月以降は先発でも投げるようになり、途中骨折による離脱を挟んだものの安定感の高い投球を見せた。チームの苦しいところを補う活躍。そして2年目はさらに飛躍。シーズン当初はリリーフだったが、先発不足を補うため5月末から先発に。そこから圧倒的な安定感を見せ、後半は完全にローテーションの中心に収まった。一時は防御率タイトルが視界に入る活躍で、グリンと並びチームでは2番目となる9勝をマーク。先発として強い印象を残す一方でリリーフ17登板はチームの左腕で最多。どちらでも落ち着いた投球が光った。
基本的には大崩れしない投手で、自分の持ち味をよく心得ている。安定した制球力で、決してムキにならず冷静さを感じさせるマウンド捌きが特徴。球威には欠けるため被弾はやや多めだが、計算の立てやすい投手。
近年は先発に専念し、主力として活躍。08年は打球直撃の骨折で2ヶ月の離脱があり、8勝に留まるもシーズン防御率は2点台を維持。09年は体調を崩して開幕に出遅れ、前半は波に乗れずにいたが、8月以降6勝と大きく巻き返し。特に終盤4勝を挙げて、自身初の二桁勝利に到達した。ダルビッシュに次ぐ先発の柱として大きな戦力に。
そして10年はさらに存在感アップ。前半はいつも通りという印象も、後半怒涛の活躍を見せた。7月前半から9月半ばまで先発8連勝、この間勝敗つかなかったのは1試合だけという大安定投球。7月以降の防御率は1点台で、9勝を上乗せしてチーム勝ち頭となるシーズン14勝。同僚ダルビッシュに次ぐリーグ2位の防御率を記録し、二本柱としてチームを牽引。
昨年も引き続き左のエース格として活躍。連勝スタートの後5連敗、その後6連勝と前半は連勝連敗が極端だったが、前半で8勝をマーク。7月末時点で防御率は1点台前半だった。だが後半は調子を崩してしまい、失点がかさんで負けが込むように。8月以降の防御率は4点台中盤とらしくない状態で、3年連続二桁勝利はなったものの、二桁敗戦で初の負け越し。
どちらかといえばシーズン後半のほうが強い投手だったが、完全に逆のパターンとなった。5失点以上した試合が5試合あり、内4試合が8月末以降。優勝を争っていたチームが急失速する一因ともなってしまった。得意のはずのソフトバンクにも1勝4敗と苦戦。
後半のせいで随分印象を落としたが、それでも11勝を挙げ主力先発の地位は揺るぎない。今季は調子を戻し、再び「勝てる」投球を期待される。梨田監督はなぜか武田勝に関しては、勝っている時は早すぎるぐらいにスパッと替えて、負けている時はイニングを引っ張る傾向があったが、新首脳陣はどうか。

多田野 数人

技巧派右腕、巻き返し型

右投右打
八千代松陰高〜立大(〜米メジャー) 日本ハム08ドラフト(大・社)1巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 日本ハム 19 0 7 7 0 0 105 1/3 107 18 61 22 1 4 56 4.78
09 日本ハム 13 1 5 5 0 0 70 1/3 71 10 46 27 3 3 45 5.76
10 日本ハム 2 0 0 1 0 0 8 2/3 10 0 8 3 0 1 5 5.19
11 日本ハム 19 0 0 0 0 1 34 1/3 35 4 17 6 3 0 12 3.15
通算 4年 53 1 12 13 0 1 218 2/3 223 32 132 58 7 8 118 4.86

曲折を経て日本ハム入りした右腕。メジャー帰りの逆輸入投手として1年目から戦力となった。
もともとは大学時代争奪戦が繰り広げられた大物。豊作の「松坂世代」の中でも上位の存在で、六大学の右腕ではトップと称されていた。自由枠で横浜が獲得と報じられていたが、ここで過去のスキャンダルが発覚。横浜が「諸般の事情により獲得断念」と会見する事態となった。
結局ドラフト指名はされず、03年渡米してインディアンズとマイナー契約。ここで実力を見せ、メジャーまで這い上がる活躍を見せた。その後マイナーでプレー、06年秋にはアイランドリーグ徳島に短期参戦したことも。そして07年の大・社ドラフトで日本ハムが1巡指名、日本プロ野球入りとなった。
異色の経歴だが、投球も非常に特徴的。ステップ幅の小さい独特のフォームで、球速は平均より下でも手元で動く癖球。多彩な球種を操り、全体的に遅いボールを駆使して打たせて取る。50km未満というとんでもないスローボールを見せたこともあり、非常に個性的な投手。
1年目いきなり自主トレ中に骨折し少し出遅れとなったが、5月に昇格すると7回零封の好投で即先発勝利。続く登板でも連勝を飾り、ローテーション入りを果たした。7月に3勝を挙げてシーズン7勝。ただ防御率は4点台後半。8月以降は8点台の防御率と失速し、ちょっと慣れられた感もあった。翌09年は7月に初完封を記録するも、半分の登板で5失点以上と前年より成績悪化。再三二軍落ちでローテーションに残れず。
そして10年はさらに落ち込むことに。序盤に2試合先発するも、いずれも5回持たず降板で二軍落ち。その二軍でも防御率6点台と結果を出せず、そのまま一軍に戻れずに終わった。さらにはシーズン後一時戦力外に。
結局日本ハムと再契約し残留。昨年は意地を見せて再浮上のシーズンとなった。開幕後に昇格してリリーフ登板。夏場しばらく二軍にいたが、8月中旬以降は登板機会が増えた。回の浅い段階からの登板が多く、2〜3イニングのリリーフがメイン。勝敗はつかずも19試合は自己最多タイで、地味ながら戦力に。
話題となった極端に遅いボールはほとんど見せなくなったが、昨年は以前より全体的にスピードが上がっており、少し力強さが増した。アウトの半数近くがフライで取ったもので、やや高めに浮き気味のところもあったが差し込むことも多かった。ただ最後の3登板連続で一発を浴びたように、一歩間違えればという危険性は多分に残る。ともあれイニングを食えるリリーフとしてアピールし、復調に成功。右打者に弱かった点は要改善。

館山 昌平

サイド先発、エース成長型

右投右打 最多勝(09)
日大藤沢高〜日大 ヤクルト03ドラフト3巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 ヤクルト 24 0 12 3 0 0 153 1/3 137 13 99 31 7 5 51 2.99
09 ヤクルト 27 5 16 6 0 0 188 1/3 195 20 126 45 11 2 71 3.39
10 ヤクルト 21 4 12 7 0 0 147 2/3 147 17 112 24 4 6 48 2.93
11 ヤクルト 26 7 11 5 0 1 180 2/3 146 12 130 29 6 1 41 2.04
通算 9年 222 19 66 47 10 22 1078 1054 108 785 227 53 22 386 3.22

ヤクルトの右のエース。サイドスローから力のある速球とスライダーで攻め、08年以降常に勝ち越し。
「松坂世代」の一人で、大学時代は横浜入りした堤内と両輪。ドラフト3巡指名でヤクルト入りした。入団当初は苦しみ、1年目は9試合に先発も1勝も出来ず、2年目は肘の故障で丸1年離脱、二軍のマウンドにも立てなかった。しかし実戦復帰の3年目に大躍進。開幕からローテーション入りし、交流戦で4勝をマーク。そのまま先発に定着し、一気に二桁勝利を達成した。後半はいまいち勝ち星につながらなかったものの、なかなかの安定感を見せた。
プロ入り後に腕を下げてサイドスローに。最速150km超のスピードを持ち、球種も豊富。またこのタイプとしては四球がなかなか少ないタイプで、左右を揺さぶって抑える。
学生時代から故障の多かった投手で、06年は肘の手術の影響で出遅れ。復帰するも先発ではいまいちで後半は完全にリリーフに。この両刀使いは翌年も続き、リリーフでスタート、途中先発、最後は抑えとめまぐるしい起用。先発では15試合を3点そこそこの防御率にまとめていたのだが、援護にさっぱり恵まれず3勝9敗と大きく負け越してしまった。運に見放され、シーズン計12敗。終盤は高津の不振からクローザー役に廻るも、こちらは信頼し切れない投球で暫定抑えの域は出なかった。
ちょっと停滞感も漂っていたが、08年前年のお返しとばかりに連勝街道を突っ走り大きく浮上。4月後半に昇格すると5月から6連勝、少し間隔を置いて、8月中旬からまた波に乗りシーズン終了まで6連勝。2度の連勝でチームトップタイの12勝を挙げ、防御率もリーグ4位の好成績を残した。そしてこの勢いは翌年さらに上昇。開幕すると6月前半まで先発8連勝をマーク、連敗したあとさらに4連勝と勝ち星を積み上げた。後半はチームの失速と歩調を合わせてしまったが、シーズン16勝で吉見と並び最多勝獲得。完全に右のエースとして君臨。
一時の大負けから一転、いまや石川とともにすっかり先発の中心として安定。前半不調や故障離脱もあった10年も、8月復帰以降防御率1点台。後半だけで8勝を稼ぎシーズン12勝を挙げた。昨年は前半が快調で、5月から7月にかけて6連勝とチームの快走に貢献。4年連続の二桁勝利をマークし、統一球効果もあって2点そこそこと自己ベストの防御率はリーグ4位。
ただ8月に右手血行障害で一時離脱。チームの優勝争いが過熱した9月、無理を押して復帰したものの、終盤3連敗を喫するなど本来の状態ではなかった。オフに手術をし今季開幕に間に合うかどうか微妙なところ。故障の影響も気になるが、万全なら二桁確実の得がたい存在、いい状態での復帰が望まれる。

田中 将大

本格派、大器型

右投右打 新人王(07)、最多勝(11)、最優秀防御率(11)、最高勝率(11)、沢村賞(11)、ベストナイン(11)、Gグラブ(11)
駒大苫小牧高 楽天07ドラフト(高)1巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 楽天 25 5 9 7 1 0 172 2/3 171 9 159 54 2 6 67 3.49
09 楽天 25 6 15 6 1 0 189 2/3 170 13 171 43 7 3 49 2.33
10 楽天 20 8 11 6 0 0 155 159 9 119 32 5 1 43 2.50
11 楽天 27 14 19 5 0 0 226 1/3 171 8 241 27 5 7 32 1.27
通算 5年 125 37 65 31 2 0 930 854 56 886 224 26 12 270 2.61

高卒即主力投手となり、いまや球界を代表する存在となった怪物右腕。昨年圧倒的な成績を残しタイトルラッシュ。
早い内から大器と知られた投手で、高校時代2年生エースとして全国制覇、3年時には斎藤(日)擁する早実と決勝再試合の死闘を演じた。高校生ドラフトでは4球団が指名競合。楽天が抽選を勝ち取りプロ入り。
07年のルーキーでは最大の注目を集め、高卒ながら即戦力級の評価。その期待通り抜きん出た力をいきなり発揮した。初登板は2回持たずに6失点KOだったが、4試合目に初勝利を完投で記録。ここから年齢に似ぬ大物ぶりを発揮し、オールスターまでに7勝をマーク。岩隈が故障がち、一場が前半さっぱりという状況から自然と先発の中心に。高卒新人としては松坂以来の10勝到達、これは楽天史上初の二桁勝利でもあった。前評判以上の活躍で新人王獲得。
150kmの速球以上に際立つのが鋭く大きく曲がるスライダー。入団時からプロでも一級のレベルにあった勝負球で、奪三振はリーグ2位、率では1位のダルビッシュを上回った。また若いながらも動じず、ピンチにも攻めの投球を展開する気の強さが光った。
2年目も好スタートを切って前半6勝。7月勝てず、五輪に出場したこともあって二桁には届かなかったが、朝井と並ぶ9勝で先発の軸として活躍した。そしてWBCにも出場した09年は開幕するや5月一杯まで7戦7連勝。4連続を含む5完投、3完封と圧倒的な投球を展開。その後勝てない時期が続いたが、8月には4戦全勝と盛り返し、最終的に15勝。タイトルにこそ届かずも、最多勝にあと一つ、防御率リーグ3位の好成績。チームの2位躍進に大きな貢献を果たした。
順調すぎる成長ですでにリーグを代表する先発の一人に。ただ10年は後半故障が続くことに。7月足の肉離れで1ヶ月離脱、復帰して一月後今度は胸を痛めて再度離脱、そのままシーズン終了。順調さを欠くシーズンだったが、それでも投げればしっかり結果を残し11勝、20試合の先発で6回以前に降板は一度もなしとさすがの力を見せた。
そしてコンディションを整えた昨年はまさに球界のエースという投球で君臨。完投勝利でスタートし、6月から7月にかけて6連勝。8月7失点を喫する場面があったものの、その後また5連勝。最後まで力は落ちず、連続完封でシーズン完走。19勝でホールトンと並び最多勝、それ以上に1点台前半という破格の数字で防御率タイトル獲得。ダルビッシュを制して沢村賞選出とタイトルラッシュの1年に。
1点台前半というシーズン防御率は70年村山の記録に迫り、リーグでは59年杉浦以来となる快挙。統一球効果を加味しても飛び抜けた数字で、別格の投球といっていいものだった。14完投、6完封いずれも両リーグ最多(完封はタイ)。奪三振もタイトルには届かなかったものの、初の200突破でイニング数を上回る多さ。8月には史上2位となる1試合18奪三振を記録。
6戦5勝のロッテにはわずか2失点、4戦3勝のソフトバンクには1点しか許さなかった。すっかり隙のない存在となり、完成度では西武時代の松坂をもう越えているという印象もある。今季もタイトル級の活躍必至で、ダルビッシュメジャー移籍で先発タイトル独占の可能性も。20勝なるかどうか。

谷元 圭介

小兵投手、力投型

右投右打
稲生高〜中部大〜バイタルネット 日本ハム09ドラフト7位〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
09 日本ハム 24 0 2 0 0 3 27 2/3 25 4 20 20 1 1 17 5.53
10 日本ハム 14 0 1 2 0 2 15 2/3 18 2 12 4 0 1 10 5.74
11 日本ハム 47 0 1 2 0 5 47 1/3 51 4 45 16 1 2 13 2.47
通算 3年 85 0 4 4 0 10 90 2/3 94 10 77 40 2 4 40 3.97

身長166cmと現役投手で最も背の低い右腕。入団テストを経てプロ入り。
もちろん非常に小さいが、力強い投球を見せる力投派で、同じように小柄ながら活躍する武田久を髣髴とさせるところも。テスト入団ということでドラフト指名は下位だったが、評価は非常に高く堂々開幕一軍入り。そしてデビューから5試合連続無失点で4月中旬にはプロ初勝利と、順調なスタートを切った。その後派手な失点が続くようになり二軍落ち、不安定な投球で5点台の防御率に終わったが、1年目から24試合登板となかなかの実績を残した。
2年目は大炎上を見せるなど一歩後退し、登板数を減らしてしまったが、昨年大きく再浮上。主にビハインド時のリリーフ要員として開幕から登板を重ね、自身も好調。7月には早くも自己最多登板を更新した。計47試合に投げ、シーズン通して戦力に。
入団当初非常に多かった四球は少なくなり、切れのいい投球を展開。たださすがにばてたか、終盤9月以降はやや投球内容が落ちた。トータルの4割に当たる21安打を9月以降の11試合に喫し、シーズン被打率が3割近くに悪化。体格のない投手だけに、体力をいかに維持するかが課題となりそう。充分アピールは出来たので、昨年の疲労は残さないようにしたい。

ダルビッシュ・有

長身右腕、鉄壁エース型

右投右打 MVP(07,09)、沢村賞(07)、最多奪三振(07,10,11)、ベストナイン(07,09)、Gグラブ(07,08)、最優秀防御率(09,10)、最高勝率(09)
東北高 日本ハム05ドラフト1巡〜11
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 日本ハム 25 10 16 4 0 0 200 2/3 136 11 208 44 9 4 42 1.88
09 日本ハム 23 8 15 5 0 0 182 118 9 167 45 6 5 35 1.73
10 日本ハム 26 10 12 8 0 0 202 158 5 222 47 7 6 40 1.78
11 日本ハム 28 10 18 6 0 0 232 156 5 276 36 6 10 37 1.44
通算 7年 167 55 93 38 0 1 1268 1/3 916 58 1250 333 50 36 281 1.99

今や日本を代表するエースとなった右腕。イラン出身の父を持つハーフで、2年生時に甲子園準優勝、センバツでノーヒットノーランを記録と輝かしい実績を引っさげてのプロ入り。以降順調すぎる成長で比類なき存在に。
190cmを越える長身とすらっとした体型の投手。関節の柔らかさは天性のもので、類稀な素質の持ち主。1年目当初は育成ということで二軍にいたが、6月半ばに昇格すると8回2失点の好投で初勝利。早々とローテーション定着を果たした。14試合すべて先発で5勝をマークし、9月には完封も記録。いきなりその素質の高さを見せ付けた。
上々のデビューを飾り、そしてここからはエースへの道を邁進。06年は開幕当初こそ停滞気味でジンクスを懸念されるも、5月末に完投で3勝目を挙げると、ここから破竹の先発10連勝。特に優勝争いが白熱した8,9月に6勝を挙げる活躍で、八木とともに先発の両輪としてチームを引っ張った。最後まで連勝は止まらず、2点台の防御率で二桁12勝。そして07年はさらに圧巻の投球。開幕投手を任され、フルシーズン先発の軸として回転。相手を寄せ付けない投球で連覇の大きな原動力となった。15勝を挙げ、シーズン防御率1点台を記録。奪三振タイトルに加えてMVPと沢村賞に選出され、一気にプロを代表する存在に。
肘の柔らかいしなりは抜群で、腕が遅れて出てくる打ちづらい球質。そこから繰り出す150kmの速球は当てるのも難しく、奪三振も極めて多い。また苦手がなく、完投能力もトップクラス。抜群のスピードに球種も多彩で、2点取るのも難しいほど付け入る隙が見えない。
08年も開幕5連勝スタート。五輪から帰国後も5連勝するなど順調そのもので、自己ベストの16勝。防御率は岩隈に、奪三振は杉内にわずかに及ばず、また選考基準をすべて満たしながら沢村賞もさらわれてしまったが、すべての面で満点と言っていい投球で絶対のエースとして君臨。WBC出場の09年も、7連勝など前半だけで10勝とチームを牽引。オールスターで打球を右肩に受けるアクシデントがあり、後半は故障で戦列を離れるなど苦しんだが、3年連続の15勝を挙げ、防御率1点台でタイトル獲得。2度目のMVPに。10年は後半勝ち星が伸びず12勝に留まったが、4年連続のシーズン防御率1点台を達成、2年連続のタイトルに。3度目の200三振突破でこちらも2度目のタイトル。
昨年は開幕戦7失点でおやと思わせたが、直後8連勝、一つ負けた後5連勝とオールスターまでに13勝をマーク。相変わらずの投球で君臨し、チームを引っ張った。自己最多の18勝に防御率1点台前半を記録。いずれも一歩田中に及ばずタイトルに届かなかったが、奪三振タイトルは譲らず。6完封も田中と並び両リーグ最多タイ。
これで防御率は5年連続1点台で、通算でも2点を切った。また276という奪三振は93年野茂以来となる数字で、久々の250突破。25歳ながらもはや日本球界に敵なしといった状態で、オフにはかねてから噂の根強かったメジャー挑戦を決断。ポスティングでレンジャーズが落札し、現在入団交渉中。国内で圧倒的だった投手がどういう活躍を見せるか注目される。