ビル・マーフィー

荒れ球左腕、先発大変身型

左投左打
ロッテ10〜11
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
10 ロッテ 38 1 12 6 0 5 144 127 9 125 84 3 11 60 3.75
11 ロッテ 10 0 2 5 0 0 52 56 1 33 20 2 1 23 3.98
通算 2年 48 1 14 11 0 5 196 183 10 158 104 5 12 83 3.81

10年ロッテ入りの外国人左腕。当初リリーフ要員とされたものの、先発に廻って予想外の活躍。
メジャー実績は2年で通算18試合のリリーフ登板のみ。マイナーでは先発経験も多く、08年は3Aで8勝を挙げているが、09年は45試合リリーフ登板だった。チームの構想はリリーフ要員で、開幕から4月末までに15試合登板。ただ三振はよく取るものの四球も多く、あまり計算できないという印象だった。
ところが5月頭に先発登板すると5回1失点に抑え来日初勝利。この時点ではまだ谷間の起用ということでその後3試合リリーフ登板したが、そこでは非常に内容が悪く立て続けに失点。そこで中旬にもう一度先発すると、6回で7四球を出しながらも1安打1失点という投球を見せ勝利。これ以降ローテーション入りし、大きく印象を変えた。6月後半まで投げれば勝つの連続で開幕から6連勝をマーク。2連敗した後また連勝、完投勝利も挙げて8月中に10勝到達。最終的にチーム2位の12勝を挙げ、構想とは違う形で大当たりとなった。
150kmに迫るスピードを持ち、大きく割れるカーブに魅力のある投手。アメリカ時代から三振も四球も多いという荒れ球タイプで、リリーフでは不安定さが顕著だったが、先発に廻るとこれがいいほうに回転して一変した。走者は出しても少ない被安打で抑えきりなかなかの安定。
この活躍から先発を期待された昨年だったが、2勝するも5月後半走塁中に足を痛めるアクシデント。肉離れで離脱となってしまった。7月末に復帰も、先発して敗れるとまた抹消。8月末に再登録されたが3連敗を喫し、故障復帰以降は4戦全敗。9月前半に二軍落ちすると一軍には戻れなかった。
故障後の後半は被打率が大幅に跳ね上がり、元来の制球の悪さとあいまって非常に不安定な状態に。チームにとっても大きな誤算となった。契約更新はされず、昨年限りで退団ということに。

MICHEAL (M(マイケル)・中村)

異色右腕、魔球リリーフ型

右投右打 最多セーブ(06)
ウェズレイ・カレッジ高(豪)〜サウス・アラバマ大 日本ハム05ドラフト4巡〜08、巨人09〜11、西武12〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 日本ハム 46 0 2 2 28 2 46 1/3 32 2 47 12 6 0 11 2.14
09 巨人 29 0 1 2 0 5 27 2/3 34 5 28 9 3 0 19 6.18
10 巨人 37 0 1 0 1 5 42 35 4 33 9 1 0 9 1.93
11 巨人 7 0 1 0 0 0 8 1/3 9 0 3 1 2 0 4 4.32
通算 7年 271 0 14 6 103 27 295 239 22 274 73 22 5 85 2.59

日本ハム時代タイトルにも輝いたサイドスローリリーバー。独特の球筋で活躍。
日本生まれのオーストラリア育ち、日豪の国籍を持ち、メジャーでの登板経験もある異色尽くめの投手。隠し玉的存在として、04年のドラフト指名で日本ハム入りすると、1年目から一軍戦力となった。最初の登板で打ち込まれ二軍落ちしたものの、再昇格すると5月後半から15試合、22回連続無失点の快投。腰痛のため離脱、後半はほとんど棒に振ってしまったが、即戦力でリリーフの軸に浮上した。
横手からややアーム式に腕を使う投手で、球威もあるが最大の特徴は大きな変化を見せる独特のカーブ。握りも独特で、すっぽ抜けのような軌道から大きく曲がり落ちる。腕の振りとあいまって、初見の右打者が思わず腰を引いてしまう魔球。荒れ球に近い制球のため時に投球が苦しくなるシーンもあるが、そのことも球筋を余計に怖いものにしている。
そして2年目以降はクローザーに定着。06年は7月に一時乱れるも、開幕から着実に数字を積み上げ強力リリーフ陣の締めとして大活躍。リーグ最多記録となるシーズン39セーブを挙げ、見事タイトルに輝いた。日本シリーズでも勝ちゲームすべてに登板して3セーブの活躍。チームの躍進に大きな貢献を果たした。この後も不動の存在として活躍し、07年は34セーブで連覇に貢献。08年は故障で3週間離脱という場面があったが、それ以外は相変わらず守護神となり、28セーブで球団史上初の通算100セーブ到達。
勝ちパターンの締めとして揺るぎなく君臨してきたが、シーズン後大型トレード成立で09年は巨人へ移籍。実績あるリリーフとして大いに期待されたが、全く別人のように不振を極めた。開幕から不安定な投球続きで、勝ちパターンには到底入れず。二軍調整を挟んでも調子は上がらず、8月半ばからは1ヶ月の二軍落ち。登板数を大きく減らし、6点台という自己最悪の防御率でシーズンを終えた。
かねてから見られた球威の低下が深刻化し、この影響で得意の変化球も威力が半減。信頼を大きく損ね、10年は前半二軍暮らし。しかしそこから巻き返してきた。6月末に一軍昇格すると、以降は安定した投球。後半はフルに働き37試合登板で1点台の防御率。前年とは段違いの内容で復調。
近年落ち込む一方だった球威が久々に回復し、力強さを取り戻した。だが昨年は一転してほとんど二軍暮らし。6月末に昇格も2試合の内容がいまいちですぐに二軍落ち。再昇格はシーズン終盤になってからで、わずか7登板に終わった。登板数一桁は自身初めて。
二軍では42試合登板とほぼフルに投げたように体調に問題はなかったが、一軍での内容はさっぱりだった。シーズン後戦力外となり、今季は西武に移籍。慢性的なリリーフ難のチームで再浮上を果たせるか。このところ浮き沈みが激しいのが気になる。

前田 健太

若手エース、緩急型

右投右打 最多勝(10)、最優秀防御率(10)、最多奪三振(10,11)、ベストナイン(10)、ゴールデングラブ(10)、沢村賞(10)
PL学園高 広島07ドラフト(高)1巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 広島 19 1 9 2 0 0 109 2/3 103 10 55 35 3 0 39 3.20
09 広島 29 3 8 14 0 0 193 194 22 147 29 3 2 72 3.36
10 広島 28 6 15 8 0 0 215 2/3 166 15 174 46 7 2 53 2.21
11 広島 31 4 10 12 0 0 216 178 14 192 43 6 4 59 2.46
通算 5年 107 14 42 36 0 0 734 1/3 641 61 568 153 19 8 223 2.73

順調な成長でエースとなった若手右腕。10年タイトル総なめの大活躍で球界を代表する存在に飛躍。
ボーイズリーグ時代に代表エースとして世界大会優勝、MVP選出。高校では名門校で1年からエースとなり、3年時にセンバツベスト4。華々しい実績を誇り、早くからドラフト上位候補と言われていた。高校生ドラフト1巡で広島入り。
1年目は二軍育成だったが、ファームの先発1番手でチームトップの投球回数。そして佐々岡から18番を引き継いだ2年目は開幕早々に一軍初登板。序盤は登板してはすぐ降格という状態だったが、6月中旬に3度目の先発でプロ初勝利。これ以降は一軍のほうが長くなった。それでもまだオールスターまでは顔見せ的な印象だったが、8月3勝を挙げて存在感急上昇。9月以降は5試合先発で1点未満の防御率、4連勝と圧巻の投球内容を見せ、ルイスに次ぐ安定感を誇った。シーズン9勝を挙げ瞬く間に一軍主戦力に。
150kmに迫る速球以上に特徴的なのが、ふわっと抜けるような感じのスローカーブ。この球種に自信を持っており、勝負球に使うことも多い。さすがに大舞台を経験してきた投手という印象で、力とともに実戦的な制球力を持つ。
09年は開幕からローテーション入りし前半で5勝。二桁に期待もかかったが、6月末から7連敗と2ヶ月も勝ちに見放されることに。好投しても援護に恵まれず、防御率3点台前半に収めながらも大きく負け越し。結果二桁14敗を喫して8勝止まりでシーズンを終えた。
ただ四死球減少で奪三振大幅増加と投球内容は大きく向上しており、翌年は一気に能力全開のシーズンに。大竹の故障から開幕投手を任されると、序盤から先発の大黒柱として抜群の活躍。7月頭には早くも10勝に到達した。この時点でチームの勝利数が28であり、そのウエイトの大きさが分かる。夏場ちょっと調子を崩したが、その後持ち直してエースとして君臨。15勝に届いて最多勝、そして防御率・奪三振と先発投手が可能なタイトルをすべて独占し、沢村賞選出と大飛躍を遂げた。
まだ20代前半ながらすでに投手陣の顔といえる存在。昨年もエースとしてチームを引っ張る立場だったが、6月末時点で防御率3点台中盤と前半はもうひとつ調子が上がらず。しかし夏場から調子を取り戻し、7月以降シーズン防御率を1点以上改善した。援護が少なく負け越してしまったが、2年連続の二桁勝利到達。そしてこれも2年続けて最多奪三振。
前半はフォームの崩れを指摘する声もあったが、シーズン中にきっちり立て直してきたのはさすがというところ。今季も投手陣を支える存在。

前田 祐二

リリーフ左腕、切れ勝負型

左投左打
富田林高〜龍谷大〜BCリーグ・福井 オリックス10ドラフト4位〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
10 オリックス 20 0 0 0 0 1 10 2/3 14 1 8 6 0 3 7 5.91
11 オリックス - - - - - - - - - - - - - - -
通算 2年

1年目から一軍登板を果たした独立リーグ出身の左腕。昇格当初はなかなかの好投を見せた。
高校でも大学でも目立つ実績はなくほぼ無名の存在。しかしBCリーグでは先発として活躍し、160イニングで152の三振を奪ってタイトル獲得。オリックスからドラフト4位指名を受けてプロ入りとなった。同リーグ出身者で育成ではなく支配下ドラフト指名は初。
140km前後の速球を軸とする投手で、クロスファイアーで右打者の内角・左打者の外角を攻める。決して期待の大きな存在ではなかったが、二軍で力を見せ後半一軍登録。すると上でも好投を見せ、8月は13試合の登板機会を得た。9月に入ると急激に投球内容が悪化し、シーズン成績もだいぶ落としてしまったが、下位指名ながら上々のプロデビュー。
ショートリリーフとはいえまずまずのデビューを果たしたが、2年目はシーズン通して二軍暮らし。一歩後退となってしまった。ファーム成績も登板数は多かったものの、3割近い被打率であまり目立たず。チーム内に似たような立場の投手が多い中、いかに力をアピールしていくかがカギ。

牧田 和久

クイックアンダー、即戦力型

右投右打 新人王(11)
静清工高〜平成国際大〜日通 西武11ドラフト2位〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
11 西武 55 2 5 7 22 1 127 2/3 105 5 86 16 9 0 37 2.61
通算 1年

先発でスタート、途中から抑えに転向と1年目からフル回転の活躍を見せたアンーダースロー右腕。チームを救ったと言ってもいい働きで即戦力に。
大学までは地味な球歴で、社会人でも足の靭帯断裂で長期離脱を経験。しかし復帰後活躍を見せ、ドラフト2位指名で西武入りとなった。実戦的な能力を高く評価され、開幕一軍入りするとチーム3戦目に先発登板。そこで7回を2安打無失点という快投を演じ、しばらくローテーション入りとなった。4度目の登板でプロ初勝利を完封で記録。ただ強打のチームにあって極端に援護に恵まれず、先発10試合で2点台の防御率ながら2勝4敗の成績。すると交流戦明けから不在の抑えに配置転換。すぐに連続でセーブを挙げ、以降クローザーとして起用されることとなった。
地面に近いところからリリースする完全なアンダースロー投手。これだけでも特異な存在だが、小さく素早い投球フォームも特徴的。また非常に投球間隔が短く、そのテンポの早さに一部からクレームが出たほど。ポンポンと投げ込んで差し込んでいく独自の投球術を展開。
8月後半2度のサヨナラを含む3敗を喫するなど乱れかけたが、終盤はむしろさらに安定感を高めた。結果リリーフとして3勝22セーブを挙げ、新人王に選出。CSでは満塁被弾にサヨナラと引き立て役にされてしまったが、一時最下位に沈んだチームの巻き返しに不可欠の戦力として大きな存在感を発揮。多少左に弱い(被打率は水準より上だが、対右に比べて被長打がかなり多い)面もあるが、精神的な強さも実戦的。先発再転向案もある今季も楽しみな存在。

エバン・マクレーン

先発左腕、技巧派型

左投左打
オリックス11〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
11 オリックス 7 0 3 3 0 0 30 34 2 22 10 2 1 15 4.50
通算 1年

昨年オリックス入りの外国人投手。サブ的扱いで前半はわずか1試合の登板のみだったが、後半3勝し存在感を発揮。
メジャーは10年初経験で2試合のみの登板。マイナー実績は豊富で、06年以降は3Aクラスに留まり、目立つ成績ではないものの常に先発としてキャリアを重ねた。先発型の左腕としてオリックス入り。
チームの外国人投手としては3番手の存在で、開幕は二軍スタート。6月にようやくチャンスを得て先発したものの、3回持たず降板ですぐに二軍に逆戻り。前半はほとんど二軍暮らしとなった。しかし後半再昇格すると無失点投球で来日初勝利。ここからしばらくローテーション入り。
188cmの長身だが完全な技巧派投手。130km台中盤の速球はほとんど投げず、チェンジアップやカットボール、シュートなど手元で変化するボールが投球の中心。これらを低めに集めて打たせて取るのが身上で、臭いところを突く制球力が生命線。
後半だけで3勝を挙げたが、最後の2試合はいずれも序盤にKOされ終盤は二軍となった。球威不足で慣れられると厳しい面がありそうだが、はまれば味のある投球を展開。残留の今季はもっと長期間活躍を見せられるか。

増井 浩俊

速球派、セットアッパー型

右投右打
静岡高〜駒大〜東芝 日本ハム10ドラフト5位〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
10 日本ハム 13 0 3 4 0 0 60 62 9 34 31 4 5 29 4.35
11 日本ハム 56 0 0 4 0 34 53 2/3 38 2 58 19 0 3 11 1.84
通算 2年 69 0 3 8 0 34 113 2/3 100 11 92 50 4 8 40 3.17

2年目の昨年リリーフに転向、セットアッパーに定着した速球右腕。武田久につなぐ存在として一気に飛躍を遂げた。
大学では野本(中)と同期。卒業後社会人で3年プレーした後、ドラフト下位指名され日本ハム入りした。開幕後間もない4月前半に一軍昇格し、プロ初登板から先発。3度目の登板で7回零封の好投を見せ初勝利を挙げた。ローテーションの一角を占めると交流戦で連勝し脚光を浴びた。ただ6月半ばに負傷降板し、2ヵ月離脱。8月後半に復帰したが、3試合先発もいずれも5回まで投げきれず。終盤は二軍となり活躍は前半のみに留まった。
先発として起用されていた1年目だったが、昨年は最初からリリーフに。すると力のある投球でセットアッパーとなり、開幕からフル回転。継投の要としてどんどん存在感を増していった。終盤やや疲れを見せた面もあったが、シーズン通して活躍しチームトップ、リーグ2位タイの34ホールドを記録。一気に欠かせない戦力にジャンプアップ。
もともと速かった速球はリリーフに廻ってコンスタントに150kmを突破。スピードボールとフォークの二本柱で攻めるパワーピッチングを確立した。1年目より奪三振率が飛躍的に上昇し、能力を存分に発揮。
アバウトさは残るものの、力強さで圧倒した。09年活躍の菊地が戦力外となったのは、タイプが共通しスピードに勝る増井の台頭もあったかもしれない。終盤多少疲労感があったのは気がかりだが、リリーフの重要性が増しそうな今季も活躍が望まれる。

増渕 竜義

サイド豪腕、一本調子型

右投右打
鷺宮高 ヤクルト07ドラフト(高)1巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 ヤクルト 12 0 3 3 0 0 55 1/3 54 8 25 22 6 1 26 4.23
09 ヤクルト 1 0 0 1 0 0 5 8 1 4 6 0 2 7 12.60
10 ヤクルト 57 0 2 3 0 20 60 1/3 46 5 50 36 1 1 18 2.69
11 ヤクルト 27 0 7 11 0 0 134 1/3 140 8 91 46 7 2 63 4.22
通算 5年 103 0 13 19 0 21 284 1/3 275 28 191 121 17 8 128 4.05

大柄な体躯からサイドスローとスリークォーターの間くらいの腕の振りで150kmの速球を投げ込む若手右腕。10年セットアッパーとして実績を残したが、先発としての期待も大きい。
甲子園には届かずも高校屈指の投手として注目され、高校生ドラフトでは1巡で2球団が競合、抽選でヤクルト入りとなった。期待は非常に大きく、1年目開幕直後にいきなり先発起用。すぐに結果を残すとはいかず、その後肩の故障などもあったが、終盤再昇格して先発勝利を挙げた。そして2年目は開幕5戦目に先発勝利。その後3連敗を喫するもしばらくローテーションの一角で回転した。一度抹消され、7月昇格後は再び先発。故障で後半を棒に振ってしまったものの、3勝マークで期待上昇。
さらなる飛躍を期して翌09年オーバースローへの転向を計ったが、春先練習中に打球を当てるアクシデントで骨折。遠回りを余儀なくされ、フォームは元の形に。6月には実戦復帰し、8月以降二軍で4勝をマーク。ただ9月の一軍登板では大荒れの内容で結果を残せなかった。
しかし4年目の10年、リリーフに廻って大きく向上。序盤から力強い投球で継投の一角に食い込み、登板数大幅増加。交流戦で派手に失点した後、7月調子を崩すなどしたが、8月以降は持ち直し。フルシーズン一軍定着を果たし、一気に57試合登板と飛躍を遂げた。
基本的に速球押しの一本調子な投球スタイルで、粗さはたぶんに残るも力強さが持ち味。当初は頼れる変化球がほとんどなく、球威で押し込むばかりだったが、奪三振も徐々に増えてきた。
昨年は再度先発に転向し、開幕直後からローテーション入り。オールスターまでに5勝と自己ベストを早々に更新した。ただ安定感はなく、前半の防御率は4点台後半。後半に入っても出入りの激しい状態は変わらず、終盤は4連敗を喫した。自己最多の7勝も二桁11敗を喫し、先発として成功とまでは言い切れない結果に終わった。
22度の先発登板の内、6回を投げきったのが半分の11試合。球数が多めでだいたい5〜6回で100球近くになってしまうため、先発としてはこのあたりが壁となってしまう。また左打者に極端に弱く、昨年の結果を見てもやはり適性はリリーフのほうが高いのではないかという印象。先発として安定するにはもう少し粗さを消すか、幅広さが欲しいところ。持ち味を潰さずに一皮むけることが出来るかどうか。

松井 光介

中堅右腕、平凡型

右投右打
横浜高〜亜大〜JR東日本 ヤクルト06ドラフト(大・社)3巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 ヤクルト 27 0 1 2 0 4 41 1/3 41 2 33 17 2 0 15 3.27
09 ヤクルト 17 0 0 0 0 1 26 1/3 25 1 12 10 1 1 9 3.08
10 ヤクルト 21 0 0 1 0 0 30 30 5 25 11 1 1 16 4.80
11 ヤクルト 27 0 3 0 0 2 30 1/3 35 4 19 10 3 3 12 3.56
通算 6年 150 0 8 11 0 10 237 1/3 252 27 168 81 12 9 110 4.17

先発・リリーフと様々な役割をこなす右腕。高校時代は松坂の2年先輩で、大学・社会人と進み、肘の故障を経て28歳でプロ入り。
即戦力の期待を受け開幕一軍入りを果たした1年目は先発でプロ初登板。その後リリーフで投げ、2度目の先発でプロ初勝利を挙げた。それ以外はすべてリリーフで、様々な場面で登板。成績はもうひとつ地味だったが、新人ながら40試合に登板しシーズン通して戦力となった。
170あるかないか(公称は171cm)と非常に小柄な投手。速球に多彩な球種を有し、強気に攻める投球スタイルが持ち味。どちらかといえばリリーフ向きに感じられ、短いイニングを全力で抑えるのが似合いそうな雰囲気。
即戦力としてデビューしたが、2年目以降はもう一つ目立たない。07年は4月末の先発勝利以外はパッとしない投球で、不足する投手陣の助けにはならなかった。翌年は3度先発など便利屋的な起用をされ、成績も少し持ち直したが、09年は開幕から夏場まで長期二軍生活。8月に昇格して以降はなかなかの投球を見せたが、登板機会を随分減らした。10年は登板数こそ少し持ち直しも内容は大幅悪化。1度先発もしたが3回持たず、過去2年よりむしろ印象の悪いシーズンに終わった。
昨年も前半は内容が悪く、冴えない状態。しかし9月以降大きく持ち直した。故障者が相次いだチーム事情から起用が増え、また自身も好調。結果トータルの登板数も成績も持ち直しのシーズンとなった。3勝は自己最多タイ。
終盤はかなり貴重な戦力となった。これといった特徴のない投手で調子次第で内容が激変しやすいタイプだが、終盤の勢いを今季も持続したいところ。そろそろベテランの域に入ってくるだけに停滞はしたくない。

松岡 健一

転向覚醒、リリーフ型

右投右打
東海大二高〜九州東海大 ヤクルト05自由枠〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 ヤクルト 65 0 5 3 0 29 71 1/3 51 4 54 17 3 2 11 1.39
09 ヤクルト 52 0 6 4 0 17 55 1/3 66 5 53 14 1 2 29 4.72
10 ヤクルト 73 0 3 4 3 34 71 2/3 64 9 69 11 3 4 21 2.64
11 ヤクルト 63 0 2 2 0 23 63 50 5 43 12 2 1 20 2.86
通算 7年 269 0 21 17 3 103 335 322 35 266 66 11 11 122 3.28

08年セットアッパーとして大活躍、一気に主力となった右腕。長らく期待を裏切っていたが、リリーフに廻って急成長を遂げた。
自由枠でプロ入り。当然即戦力として期待されたが、キャンプで故障し1年目は大きく出遅れ。それでも終盤に昇格してプロ初勝利を挙げたが、2年目も飛躍ならず。二軍で5勝も防御率5点台でパッとせず。
少し印象も薄まっていたが、3年目の07年層の薄さを突く形で一軍進出。5月に昇格して先発起用、2試合目に2年ぶりの勝利。再調整後後半は登板数が増え、計4勝とようやく台頭の足がかりを得た。ただ内容はそれほど良くなく、防御率は5点台後半。決め手を欠き、出入りの激しさが目に付いた。
翌08年も開幕前の構想では先発で、開幕は二軍スタート。しかし4月中旬に昇格すると、リリーフで好投続き。5月には11試合無失点という快投を見せ、一気にセットアッパー格となった。押本・林とともにゲームの終盤を支え、チームの大きな戦力に。その後調子を崩した二人とは対照的に、松岡は最後まで快調な投球。65試合に投げ1点台前半の防御率という抜群の安定感で、リーグ2位のホールドを記録。驚くほどの急台頭を見せた。
投球そのものがリリーフに廻って激変した。速球は150km前後を計時し、武器のフォークも威力大幅アップ。先発時代の決め手不足という姿とは全くの別人だった。明らかにこちらのほうが向いていたようで、ついに本領を発揮。
09年も引き続きセットアッパーとして回転し、52試合に登板して自己最多の6勝。ただ急に登板が増えた反動はやはり出て、後半に入ると急激に調子を落とした。8月末から9月にかけて6試合連続計15失点という大乱調に陥り、1ヶ月二軍落ち。前半で1点台だった防御率は最終的に4点台後半まで落ち込んだ。しかし右肘手術を経た翌年は復活。開幕から安定した投球でセットアッパーに君臨し、チームの継投を支え続けた。後半8、9月また調子を落としたものの、前年ほど大きく崩れることはなくシーズン完走。自己最多更新の73試合に登板し、ホールド数はリーグ2位。内容も大幅に改善。
ただ昨年は序盤はっきり不調。5月頭2被弾5失点という大炎上でしばらく二軍調整。それでも6月以降は一軍に戻り、セットアッパーとして回転。改めてリリーフの柱として不可欠の存在であることを見せた。前年より成績は落としてしまったが、63試合に投げチームトップタイのホールド。
序盤統一球が合わなかったのか武器のフォークが落ちず非常に苦労していた。復調はしたが、気になるのはここ数年調子を大きく落とす時期が必ずあること。欠かせない存在だけに、体調維持には気をつけたい。

松崎 伸吾

ドラ1左腕、伸び悩み型

左投左打
光星学院高〜東北福祉大 楽天06ドラフト(大・社)1巡〜11、阪神12〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 楽天 - - - - - - - - - - - - - - -
09 楽天 2 0 0 0 0 0 1 1/3 2 1 3 1 0 0 1 6.75
10 楽天 9 0 1 2 0 0 24 37 4 16 13 2 0 19 7.13
11 楽天 3 0 0 0 0 0 5 1/3 4 0 3 1 0 0 0 0.00
通算 6年 43 0 2 16 0 0 107 1/3 137 19 69 55 6 3 72 6.04

ずっしりした体型の左腕投手。ドラ1入団で期待は受けるものの、ここまでパッとしない状態が続いている。
高校時代は3年夏に甲子園ベスト8、大学では福田(巨)と同期で、ドラフト1巡でプロ入り。発展途上のチームにあって、当然期待は即戦力。しかし1年目は散々な結果に終わった。10試合中8度先発登板したが、5回まで持ったのが3度で他はいずれも早期KO。被安打も四球も多く防御率はボロボロで、リーグワーストとなる新人開幕8連敗という不名誉な結果しか残せなかった。汚名返上を期した2年目も先発KOを皮切りに3連敗、デビューからの連敗を11に伸ばしてしまった。その後5月にリリーフで待望のプロ初勝利を挙げたが、6月は先発でまた3連敗。オールスター前に二軍落ちしてしまった。
リリーフ時はそこまででもないのだが、どうにも酷いのが先発での内容。07年5度の先発でも防御率9点台で全敗とボロボロ。力みすぎてしまうのか不安定極まりなく、早い回に呆気なく失点してしまう。先発登板の大半で序盤にゲームを壊してしまうのではどうにもならない。
3年目の08年は1度も一軍登板できず。二軍でもさっぱりの成績で、すっかり期待値も下がってしまった。これ以降すっかり一軍が遠ざかり、09年も6月に2度リリーフ登板したのみ。10年は夏場に3年ぶりの勝利を挙げる場面もあったが、不安定な投球で長続きせず。二軍で6勝、防御率1点台の力は全く見せられなかった。昨年は終盤3試合に投げたのみで、その内容は悪くなかったもののシーズンのほとんどを二軍暮らし。
これで3シーズン一桁登板が続いており、完全に停滞してしまっている。年齢的にもこの辺りではっきりした結果を残せないともう後がなくなる。阪神移籍となった今季は正念場で、何としても一軍に食い込みたい。

松永 浩典

緩急左腕、サイド転向型

左投左打
海星高〜三菱重工長崎 西武06希望枠〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 西武 - - - - - - - - - - - - - - -
09 西武 18 0 1 1 1 1 21 1/3 18 0 15 15 1 2 12 5.06
10 西武 6 0 0 1 0 0 3 2/3 5 0 1 3 0 1 0 0.00
11 西武 26 0 1 0 0 1 21 17 1 11 3 3 1 3 1.29
通算 6年 68 1 7 7 1 2 126 2/3 112 13 87 59 10 5 47 3.34

希望枠入団の左腕。なかなか結果を出せず伸び悩んでいたが、昨年サイドスローに変え浮上の兆しを見せた。
社会人から西武入りし、即戦力期待も開幕は二軍スタート。5月中旬に昇格するも、2度の先発いずれも4回途中降板と結果を残せず二軍落ち。前半は戦力にならなかった。しかし再昇格した夏場以降存在感上昇。3度目の先発登板で8三振を奪う投球でプロ初勝利を挙げ、続く登板では完投勝利。最終的に3勝を挙げ、貴重な先発左腕としてアピールした。敗れたもののプレーオフ2戦目にも先発登板。
決して速くない投手だが、100kmを切るスローカーブで緩急をつけた投球が持ち味。乗ってくるとスイスイ抑えるタイプで、1年目は奪三振も非常に多かった。被弾は多かったものの期待を持たせる投球。
だが2年目以降はっきりと伸び悩み。07年ももっぱら先発で起用されたが、2勝1敗で2点台の防御率と表面上の数字こそいいものの、内容は不安一杯のものだった。奪三振が減る一方で四球が激増し、6度の先発で5回以上投げたのは勝った2試合のみ。結局シーズンの大半を二軍で過ごし、08年は二軍でもパッとしない投球で一軍に上がれないまま。
はっきり制球難が表に出てしまっている。09年はリリーフとしてチャンスを与えられ、自己最多の18試合に登板。終盤にはプロ初セーブを挙げる場面もあった。しかし四死球の多さは相変わらずで、不安定な投球で一軍定着には到底至らず。翌年は登板数が減り、夏場の6試合のみ。自責0(失点は1)だったものの、3割中盤の被打率に多い四球で内容はさっぱり。
厳しい状況になっていたが、サイドスローに転向した昨年久々に輝きを見せた。序盤はすぐに二軍落ちも、ファームで無失点投球を継続し6月に再昇格。手酷く打たれたときもあったが、おおむね好投を見せ2年ぶりの勝利も記録。8月中旬に二軍落ちし以降一軍登板はなかったが、自己最多の26試合に登板。これまでと打って変わった好結果を残した。
奪三振は少ないものの、これまでの課題であった四球が随分減った。二軍では23試合26イニングで自責0と圧倒的な好成績。年々薄まっていた存在感を取り戻し、今季は一軍定着を果たしたい。右より左打者のほうを苦手としたのは、役割からすると少々問題か。

松本 輝

中堅右腕、一軍半型

右投右打
熊本工高 ダイエー/ソフトバンク96ドラフト2位〜06途中、楽天06途中〜11
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 楽天 21 0 0 0 0 1 27 1/3 41 5 16 11 1 3 18 5.93
09 楽天 7 0 0 0 0 0 8 8 0 3 4 1 0 3 3.38
10 楽天 8 0 0 1 0 0 15 2/3 27 2 7 7 1 0 14 8.04
11 楽天 - - - - - - - - - - - - - - -
通算 16年 109 0 2 7 1 5 152 2/3 196 14 86 66 15 7 98 5.78

07年12年目にしてプロ初勝利を挙げた投手。キャリアは長いが常に一軍半に留まっている。
高校からドラフト2位指名でダイエー入り。最初の4年を二軍で過ごし、同期の斉藤和巳が5勝マークした00年にこちらも一軍デビュー。しかしここで3敗を喫すると、以降もなかなか二軍を脱け出せなかった。時たま一軍に顔を出す程度の状態で年数経過。
なかなかボールに力はあるのだが、制球があまりに大雑把。また勝負球となる変化球に乏しく、球威があるといってもボールによってばらつきが大きい。ムラのある投球は成績にも反映されて、持続的に力を発揮することが出来なかった。
プロ入りから10年が経過し、06年途中に楽天へトレード。しかし二軍での内容が悪く、一軍登板できないままシーズンを終えた。後がない状況だったが、翌07年は大きく向上。開幕一軍入りを果たし、序盤リリーフで活躍。史上2番目の記録となる、12年目での待望のプロ初勝利も手にした。プロ初セーブも挙げ、4月末までに16試合登板とフル回転。
しかしこの勢いも持続はしなかった。5月に2勝目を挙げた辺りから捉まり始め、6月前半に二軍落ち。その後は故障もあり、完全に尻すぼみに終わってしまった。一度勢いが止まると脆く、みるみる悪化した防御率は最終的に6点台に。この竜頭蛇尾傾向は登板の減った翌年も同様。前年ほど重用されずとも前半は2点台前半の防御率だったのだが、7月以降は6試合中4試合で失点と失速。一軍と二軍を行ったり来たりのエレベーター状態を抜け出せず。
中堅になっても依然荒削りなままで、もうひとつ技術が備わっていない印象。これ以降は一軍登板が激減し、移籍前の状態に逆戻りしてしまった。2シーズン一桁登板が続くと、昨年は4年ぶりに一軍登板なし。シーズン後戦力外に。
年とともにややスピードが鈍り、いよいよ攻め手を失ってしまった。一軍で二桁登板したのが4度だけで、16年のキャリアはむしろ長かったほうだが、さすがにここまで。今後は古巣ソフトバンクで打撃投手となることに。

松本 幸大

サイド左腕、リリーフ型

左投左打
育英高〜デュプロ ロッテ07ドラフト(大・社)8巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 ロッテ 18 0 1 0 0 1 15 2/3 18 0 16 6 0 0 9 5.17
09 ロッテ 6 0 0 1 0 1 2 2/3 10 1 1 3 1 0 9 30.38
10 ロッテ 10 0 0 0 0 1 11 2/3 20 4 6 6 1 0 15 11.57
11 ロッテ - - - - - - - - - - - - - - -
通算 5年 34 0 1 1 0 3 30 48 5 23 15 2 0 33 9.90

サイドスローから左右を揺さぶるリリーフ左腕。社会人からプロ入りし、2年目の08年一軍進出。
社会人に8年在籍し、大・社ドラフト8巡というかなり低い順位の指名で、中堅の年齢でのプロ入りとなった。貴重な左腕ということで即戦力を期待された1年目だったが、一軍登録はあったものの骨折などもあり登板なし。2年目も当初は二軍だったが、7月にプロ初登板を果たした。その後8月にプロ初勝利を記録し、ショートリリーフ中心に18試合に登板。一軍定着の足がかりを得た。
社会人時代に阪神ウィリアムスを参考にして変えたというサイドスローは、いかにも左殺し志向。しかし09年は全く戦力にならず後退してしまった。開幕直後に1イニング5失点と大炎上し、すぐに二軍落ち。夏場に再昇格も内容さっぱりで、シーズンのほとんどを二軍で過ごすことに。登板数6に激減。
10年は登板数10と微増したが、内容のほうは全く向上せず。被打率は3割台後半、肝心の左打者にも4割打たれ、それ以上に4被弾が多すぎた。昨年は一軍登板なく終わり、左腕リリーフの競争に加わることも出来ず。
二軍では43試合と数多く投げたが、成績は平凡で目立たないもの。プロ5年とはいえすでに31歳で、この辺りでアピールできないとちょっと厳しい。左は手薄なリリーフ陣に食い込むところを見せないと。

馬原 孝浩

快速球右腕、守護神型

右投右打 最多セーブ(07)
熊本市立高〜九州共立大 ダイエー/ソフトバンク04自由枠〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 ソフトバンク 21 0 0 2 11 2 19 1/3 14 1 23 6 0 3 6 2.79
09 ソフトバンク 53 0 4 3 29 4 58 1/3 58 5 67 19 2 5 14 2.16
10 ソフトバンク 53 0 5 2 32 2 60 2/3 54 1 49 12 1 3 11 1.63
11 ソフトバンク 33 0 1 2 19 2 32 1/3 29 2 33 8 0 1 11 3.06
通算 8年 318 1 21 26 180 14 418 2/3 388 25 407 132 13 23 124 2.67

長年ソフトバンクの守護神として君臨する快速球投手。150kmを越す速球とフォークを武器に、リリーフに廻って素質開花。
大学屈指の好投手として自由枠入団、新人王有力候補と非常に高い評価を得ていた。1年目から開幕一軍入りし、初先発でいきなり勝利を飾るなどスタートは上々。だが夏まで勢いは持たず、後半は二軍暮らしでわずか3勝止まり。2年目も開幕3戦目で初完投勝利とスタートは良かったが、2勝目のあと3連敗で先発から脱落。ここまでは期待はずれの状態。
しかし二軍調整の後リリーフ転向で大きく才能開花となった。再昇格すると不調に陥った三瀬に替わってクローザーに定着。威力を増した速球でねじ伏せ、6月以降だけでリーグ2位タイの22セーブを稼いだ。全力で投げるリリーフのほうが合っていたようで、奪三振率も大きく上昇。一気に主力投手にのし上がり、翌年は開幕から抑えに定着し29セーブ。9月に打たれるまで被弾0と安定し、チームの継投を締める存在として活躍。さらに状態は上がり、07年は球団新記録の38セーブを挙げリーグトップを快走。念願のタイトル獲得を果たした。
もともとスピードのある投手だったが、短いイニングで球速は最速で156km、常時150km越えにパワーアップ。日本人トップクラスのスピードとフォークを投球の柱とし、力強さを増して四球も大幅に減った。
フル回転が続いた反動か、抑え4年目の08年は肩の不調で前半を棒に振り、一軍復帰は7月後半以降。不在の間チームは抑えに非常に苦しみ、改めて存在の大きさを認識させた。復帰後はまたクローザーとなり11セーブ。WBCにも出場した09年は開幕から回転し、3度目の50試合以上登板で29セーブを挙げた。セットアッパーとなった攝津・ファルケンボーグらと「SBM」と呼ばれることに。ただ表面上の数字ほど状態は良くなく、シーズン序盤から常に走者を負う綱渡りの投球で、辛うじて抑えているという印象が強かった。それでも翌10年は安定感を取り戻し、不動の存在として君臨。4月末までに10セーブと特に序盤は快調。その後も状態を維持してチームの優勝に貢献。タイトルには僅差で及ばなかったものの32セーブを挙げ、防御率も1点台をキープ。
しかし昨年は不調に故障と大きく成績を落とすシーズンに。開幕直前家庭の不幸があり、数日遅れて登録。だがフォークが全く落ちない状態で、5試合続けて失点と不調に喘ぎ二軍落ち。1ヶ月の再調整後は抑えとして調子を取り戻していたのだが、7月半ば今度は肩の故障で抹消。約2ヶ月の離脱となった。9月半ばに復帰し7セーブを上積みしたものの、内容は格段に落ち09年のような綱渡り状態。日本シリーズで連続してリリーフに失敗すると一時的に抑えの地位を剥奪。信頼を大きく損ねるシーズンとなってしまった。
故障以降腕が横振り傾向になりシュート回転が多発。そのためフォークの切れも鈍り、勝負できる球がないという場面が何度も見られた。もともとフォームに癖がなく「見やすい」タイプの投手で、スピードだけで押し切るのは困難。フォームの崩れのせいか昨年は対右打者の成績が極端に悪かった。今季も肩の不調で開幕には微妙と伝えられる状勢。不動のクローザーが正念場を迎えた。