G.G.佐藤 (佐藤隆彦)

逆輸入スラッガー、調子激動型

右投右打
桐蔭学園高〜法大〜米1A 西武04ドラフト7巡〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 西武 105 388 117 30 1 21 212 62 1 0 2 31 11 62 .302
09 西武 136 502 146 34 0 25 255 83 1 1 1 43 9 121 .291
10 西武 53 162 33 4 0 6 55 19 1 0 4 12 1 52 .204
通算 7年 557 1784 494 110 4 86 870 261 12 1 10 133 41 414 .277

アメリカ帰りの右のパワーヒッター。どっしりした体型のスラッガータイプで、一発長打のパンチ力が最大の魅力。異色の登録名は過去のニックネームに由来。
一応入団時の登録は捕手だったが、大学時代は内野手。アメリカでの入団テストで強肩から捕手に転向したという変り種。そのため実戦での捕手経験はほとんどなく、04年新人ながら45試合に出場したが、守ったのはすべて一塁。しかし守備は問題ではなく、期待されたのはその打力。キャンプで脚光を浴び、1年目は後半一軍定着。3割近いアベレージに3ホーマーと好結果を残し、まずまずのデビューを飾った。05年は成績を落としたが、外野に転向した06年は春先絶好調。勢いに乗って打ちまくり、大いに注目を集めた。また外野守備も強肩で見せ、ポジション定着の勢いを見せた。長続きせず5月以降急降下してしまったが、レギュラーへ大きく前進。
そして07年は一気に中軸打者に躍進。開幕からライトに定着し、ほぼフル出場でレギュラー完全定着。開幕から打棒発揮でクリーンアップに収まり、カブレラ欠場時には4番も任された。25ホーマー、69打点はいずれもチーム2位の数字で、主力の一角に急成長。
基本的には不器用で粗さのある打者なのだが、対応力が随分向上した。日本人離れした体格から軽々とスタンドに運ぶ打撃は魅力たっぷり。落ちる球にはだいぶ弱いが、ツボに入ると持っていかれる。
08年は5番定着で開幕から好調、5月末時点で3割中盤15ホーマー42打点と猛威を振るい、強打で脚光を浴びた打線の中心として活躍。初めてシーズン3割を達成、北京五輪にも出場を果たした。ただその五輪で大きなミスをしてしまい、帰国後は数試合出ただけで故障離脱。後半の印象が薄いシーズンに。翌09年は逆に前半そこそこだったが後半急上昇。7月に3割、終盤9月以降4割近いアベレージで爆発、そして10ホーマーを量産。最終的には例年通りの数字だが、打点は自己最多を記録。
すっかり主力となっていたが、レフトに移った昨年はとんでもない大不振に陥った。開幕から調子が上がらず4月半ばに一時二軍落ち。5月再昇格直後は復調したかに思えたが、6月に入るとまたも低空飛行。7月頭に再度二軍落ちすると、そのまま一軍に戻れずシーズン終了。打率は2割を越すのがやっとで、ホームランは4年ぶりに一桁。全くいいところのないシーズンに終わった。
毎年時期によって爆発的に打ちまくるかと思えば深刻なスランプに陥る、好不調の差が極端な選手ではあったが、昨年はずっと不調期のままだった。二軍では3割12ホーマーとさすがに力の違いを見せたものの、本来は上でこの数字を残さなければいけない存在。野手の新陳代謝の早いチームだけに、不振が2年続くと命取りになりかねない。今季のレギュラー奪回は至上命題。

塩川 達也

ユーティリティ、貧打型

右投右打
神戸国際大付高〜東北福祉大 楽天05ドラフト5巡〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 楽天 82 43 7 1 1 0 10 1 5 5 0 4 0 11 .163
09 楽天 24 18 3 0 0 0 3 2 1 1 1 0 0 5 .167
10 楽天 - - - - - - - - - - - - - - -
通算 6年 259 346 69 6 1 1 80 13 16 22 3 23 3 85 .199

楽天のユーティリティ。大学からプロ入りも1年目は二軍暮らしだったが、2年目の06年から台頭。
バランスの取れたタイプの内野手で、派手さはないがまとまりの良さが身上。即戦力期待も1年目は肩の不調もあって一軍には上がれなかった。06年も序盤は二軍にいたが、5月末に昇格すると代打でプロ初ヒット。沖原の不調もあって、これ以降ショートをメインにスタメン出場が多くなった。夏場はほぼレギュラー的存在に。
ただ出番が増えるにつれ打撃は落ち込み、結局2割そこそこの打率でポジションを奪うまでには至らず。これ以降一軍定着で出場数は増えたが、打席機会は激減した。渡辺直がショートに定着、草野の急成長で内野は埋まり、08年は出場の9割近くが代走・守備要員。
それでも一軍に定着はしていたが、09年は出番激減でそれも覚束ない状態に。開幕は出遅れ5月に昇格、しばらく一軍にいたが7月始めに二軍に下がるとそれ以降昇格なし。この流れは止まらず、昨年は一度も一軍に上がれず。
09年は移籍の小坂、昨年は西村に役割を奪われてしまった。一時取り組んでいたスイッチを諦めたものの、打てないのは相変わらず。内野は満遍なくこなしセンターでのスタメンもあるなど守備の汎用性は高いが、再浮上にはもうひとつ何か強みが欲しい。ジリ貧を止めないと厳しい。

柴田 講平

小兵外野手、俊足型

左投左打
福岡工大城東高〜国際武道大 阪神09ドラフト2位〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
09 阪神 7 4 0 0 0 0 0 1 0 0 1 0 0 2 .000
10 阪神 - - - - - - - - - - - - - - -
11 阪神 38 35 7 0 1 0 9 1 1 0 0 2 0 8 .200
通算 3年 45 39 7 0 1 0 9 2 1 0 1 2 0 10 .179
11年成績は7/24現在

「将来の1番」の声もかかる俊足外野手。3年目の今季大幅に一軍の出番が増えてきた。
高校時代は現在のチームメイト西村と同期で甲子園にも出場。大学に進むと2度の首位打者獲得など活躍を見せ、ドラフト2位指名で阪神入り。プロでは1年目からファームのレギュラーとなり、足のほうは盗塁死が多かったもののリーグ3位の3割2分の高打率。一軍出場も経験した。この結果から赤星が引退した翌10年は一軍キャンプに呼ばれ期待されたが、手の骨折で離脱し出遅れ。さらにシーズンでは二軍での打率が2割3分と大幅にダウンし、一軍出場なく終わった。
それでも今季は開幕一軍入りを果たし、代走・守備を中心に出場数大幅増。打撃のほうはパッとしないものの一軍での初盗塁を記録。まだポジション争いには一歩も二歩も足りない印象で、俊足が売りでも盗塁成功率が二軍でもそれほど良くない、打撃がここ2年低打率続きなど課題は多く残る。それでもチャンスを掴みかけており、このまま一軍に残ってしっかりアピールしたいところ。

柴原 洋

好打者、淡白型

左投左打 ベストナイン(98,00)、Gグラブ(00,01,03)
北九州高〜九州共立大 ダイエー/ソフトバンク97ドラフト3位〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 ソフトバンク 96 339 94 17 0 3 120 34 2 3 1 22 4 55 .277
09 ソフトバンク 37 97 20 2 1 0 24 7 0 3 0 17 2 24 .206
10 ソフトバンク 69 134 29 8 0 4 49 20 1 4 0 8 0 22 .216
通算 14年 1441 4885 1381 261 28 54 1860 463 85 113 40 418 38 875 .283

過去に4度の3割を記録した好打者。大学時代スラッガーとして名を馳せ、2年目に村松からレギュラーポジションを奪取。ただ近年は煮え切らない印象が強い。
ミートポイントを前に置き、ダウンスイングで低い打球を意識したバッティングスタイル。ライナー性の打球が持ち味で、あまり左右に打ち分けるという印象はない。レギュラーに定着すると、シャープな打撃で00,01年は2年連続3割。1番に座り打線を牽引した。俊足を活かした守備力も持ち味で、01年は両リーグトップの刺殺・補殺数を記録。リーグを代表する外野手の一人に。
ただ02年は不調。体の開きが早いので左投手に弱く、外に逃げる球に非常に脆い。前年からその弱点を突かれ始め、2年連続の100三振。打率も3割を切ると、1番打者失格の判断を下された。
03年は出遅れたものの巻き返し、自己最高打率を更新してレギュラーを再奪取。この活躍は鮮やかで、打線に大幅に厚みを加える働きだった。三振も減らし完全復活かと思われたが、04年は腰の不調もあっていまいちの成績。大村が加入した05年は5月に大不振に陥り長期の二軍暮らし。ポジションを宮地に奪われ、さらに低迷してしまった。
04,05年が不調の底で、この後は少し巻き返し。06年は控えでスタートも代打で好結果を残し宮地からポジションを奪い返した。ただ好調が長続きせず、夏場は2割そこそこと低迷。07年は4年ぶりに規定打席到達でほぼライトのレギュラーだったが、序盤と終盤に不振でトータルではそこそこ止まり。底は脱したとはいえ物足りなさも残した。
30代中盤の年齢となり、腰に持病を抱えていることもあってシーズン通しての活躍が難しくなっている。開幕戦逆転サヨナラ3ランという華々しいスタートを切った08年も好調は5月まで。日を追うごとに調子を落とし、腰痛悪化で夏場は離脱。復帰した終盤もやっと2割と調子は戻せなかった。そして09年は一気に急落。開幕から25打席ノーヒットという最悪のスタートを切り、その後も完全には復調できず。5月半ばに二軍落ちするとそのまま一軍に戻れずに終わった。出場数は自己最少で全く存在感のないままだった。
昨年は出番こそ増えたものの、成績は伸びず低打率のまま。もう36歳で脚力も落ち、打撃も振るわないとなればポジション返り咲きは難しいと言わざるを得ない。ただ以前から代打成績のいい選手で、昨年も20打数6安打2ホーマーと良さを発揮。代打屋として起用したほうがいいかもしれない。ベテランとはいえもう一花咲かせたいところ。

嶋 重宣

鮮烈覚醒、隔年型

左投左打 首位打者(04)、最多安打(04)、ベストナイン(04)
東北高 広島95ドラフト2位〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 広島 108 301 93 18 0 7 132 35 0 0 1 40 3 44 .309
09 広島 89 175 40 9 0 2 55 17 3 0 5 15 3 34 .229
10 広島 123 343 90 21 0 14 153 46 0 0 3 25 6 53 .262
通算 16年 944 2910 822 133 5 123 1334 406 21 2 26 240 27 548 .282

04年突然の打撃開眼で話題となったスラッガー。03年までの9年間で通算50安打の選手が、10年目に首位打者、最多安打の栄冠に輝いた。背番号から「赤ゴジラ」の異名も取り、その名はすっかり定着。
東北高のエースとして甲子園にも出場した左腕だったが、高校時代から評判を取ったのはむしろ打力。投手としては芽が出ず、2試合登板の実績を残し打者へ転向した。野手転向後は一発を秘めた左のスラッガー候補として期待を集め、99年に3ホーマーを放つが、その後伸び悩み。年々出場数が減り、特に02,03年はわずか3打席。戦力外すれすれの危ない立場にあった。
そんな状況が04年一転。キャンプから打棒開眼で注目を集め、スタメンライトの座を射止めると、開幕するや猛打爆発。当初は2番スタートも途中からすっかり中軸に収まり、瞬く間に中心打者になった。落ちると言われた夏場にさらに調子を上げ、3割を軽く越えて首位打者に輝くと同時に32ホーマー。最多安打の189本はシーズン安打のリーグ記録までもう一歩、一時は日本記録更新も期待される怒涛の勢いだった。
これまではパンチ力に魅力も粗さが拭えず、また左投げのため守備位置でも損をしていた。しかし04年はスイングに安定感があり、どっしりと構えてボールを呼び込む正統派のスラッガースタイル。これほどの打者がこれまで埋もれていたのが信じ難いほどだった。外野守備も投手出身らしい強肩を発揮。
しかしこの鮮烈な活躍をピークに以降ジリ貧状態に陥る。05年は前半不振、06年は1年通してそこそこという状態で、年々成績が下降。そして07年は一気に急落。開幕からずっと1割台が続き、5月上旬には二軍落ち。その後持ち直したとはいえ上昇幅は小さく、シーズン打率は2割台前半、3年続けてきた20ホーマーも割ってしまった。
08年も開幕から低空飛行で二軍落ちも経験したが、一軍復帰後は常時3割の安定感を発揮し5番に返り咲き。コンパクトなスイングに切り替え、規定打席未満とはいえ4年ぶりのシーズン3割。久々にいいところを見せてジリ貧を打ち止めにした。これで復調かと思われたが、翌09年はまた不振に。4月1割台、6月は1割未満とあまりに波が激しく、2割そこそこと07年レベルの低打率に。フィリップスが加入するとスタメン機会はほとんどなくなり、後半はもっぱら代打に専念。
シーズン中の波も激しいが年毎の上下動も激しい。昨年は序盤3割と好調なスタートを切り持ち直しに成功。その後極端な不振があるなど不安定な状態ではあったが、前年より大幅に成績を上向かせた。3年ぶりの二桁本塁打を放ち、40回の代打起用でもまずまずの結果。
数多く任された中軸としては物足りない数字で、レギュラー確保ともいかなかったが、まずは復調。ただ近年完全に隔年状態になっているのは気がかり。左投手がさっぱり打てなくなっており、守備力を考えても調子を見ながらの起用となるか。

嶋 基宏

正捕手、打撃覚醒型

右投右打 ベストナイン(10)、ゴールデングラブ(10)
中京大中京高〜国学院大 楽天07ドラフト(大・社)3巡〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 楽天 85 196 45 13 0 0 58 19 4 11 0 16 0 40 .230
09 楽天 106 249 58 9 0 1 70 14 1 20 0 22 3 55 .233
10 楽天 127 422 133 17 0 3 159 43 9 17 1 45 0 90 .315
通算 4年 443 1179 293 45 0 6 356 92 17 68 2 103 4 259 .249

1年目から8割の試合で先発マスクを被った即戦力捕手。野村監督の新たな愛弟子としてデビューし、楽天の正捕手に。
捕手になったのは大学以降だが、06年のドラフトではアマチュア屈指の好捕手と評価されていた。新人ながら開幕一軍入りを果たし、4月に入るとスタメン起用。以降すっかりスタメンに納まり、ほぼフル出場に近い状態で完走を果たした。
守備面を期待される選手で、打撃のほうはずっと低空飛行。バスター打法を取り入れるなどしたがシーズン打率は終始1割台で9番定住だった。一方で新人ながらリーグ2位の盗塁阻止率を記録。先行していた藤井が評価が低く、盗塁に関してはフリーパスに近い状態だったため、これが最大のアピールポイントとなった。
いきなり主力級の扱いとなったが、2年目は出場数減少。岩隈の復活とともにコンビを組む藤井が大きく巻き返し、先発をほぼ半数ずつ分け合う形となった。しかし09年は再びリードを奪い、84試合に先発出場。藤井の故障もあって筆頭捕手となった。前年両リーグワーストと多かった捕逸も減少。ただ夏場以降は苦労人の中谷が台頭し、マスクを譲る場面も増えた。藤井の戻ったクライマックスシリーズでは1度も先発がないなど、正捕手にはもう一歩届かず。
しかし昨年、課題と言われ続けた打撃が突然の大覚醒。これまで一度も2割5分を越えなかった選手が、開幕から常に3割越え。別人のような変身でついに完全な正捕手となった。目覚めた打撃は一度も不調がなく、3割をキープしたままシーズン完走。4割近い得点圏打率も残し、43打点をマーク。9盗塁するなどすべての面で自己ベストの記録を残した。
非力という印象しかなかった打撃が、実にしぶとく生まれ変わった。これで地位を固めたが、一方で守備面はやや停滞気味。失策8、捕逸6はいずれもリーグの捕手で最多。盗塁阻止率も2割台前半と低く、打撃ほど輝きを見せられなかった。今季はこちらでも向上を見せていきたい。

清水 将海

ベテラン捕手、専守防衛型

右投右打
東農大二高〜青学大 ロッテ97ドラフト1位〜04、中日05〜10途中、ソフトバンク10途中〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 中日 17 18 4 1 0 0 5 2 0 2 0 1 0 6 .222
09 中日 1 1 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 .000
10 中日 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 .000
ソフトバンク 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 -
通算 14年 680 1477 314 64 2 9 409 119 3 77 9 79 6 296 .213

長い間ロッテの正捕手筆頭候補だった選手。守備力では秀でたものを見せたが、完全定着には至らなかった。近年は一軍出場も稀な状態。
大学bPの捕手として、ドラフト1位でロッテ入り。90年で引退した袴田以降空位が続いていた正捕手定着を期待され、1年目から77試合に出場。3年目の99年には出場数が100を突破。筆頭捕手にはなったものの、レギュラーを獲りきるには至らず。2割もままならないほど打撃が弱く、当時チーム自体の打力も弱かったため、ディフェンスのみの捕手をフルシーズン使う余裕がベンチになかった。強肩には定評があり、リードも悪くないのだが、これが常に足を引っ張り続けてきた。キャッチャーは打つほうは二の次とはいえ、せめて2割5分くらいは打てないと常時出場は厳しい。
00年少ない打席数ながら3割近く打ち打撃開眼か、と思わせたが翌年は1割台。続く02年向上しながら翌03年はまた元の貧打と、もう一歩のところで伸びきれず。それでも強力なライバル不在で筆頭捕手安泰が続いていたが、03年以降強打を誇る里崎が台頭。その流れは04年も止まらず、里崎・橋本の正捕手争いから完全に脱落。シーズン後中日へトレード。
移籍以降はすっかり控え捕手の顔に。05年は故障でプロ入り後初めて一軍出場なし。06年も出場2試合とジリ貧状態に陥っていた。ただ07年は久々に持ち直し、3番手捕手の立場で出場数増加。わずかだが先発出場もあった。08年も立場はキープ。
しかし09年は開幕直後に1試合出たのみとまた出番がほとんどなくなった。昨年もほぼ二軍にいたところで、山崎の故障から捕手不足に陥ったソフトバンクにトレード。しかしこういった事情でも出番はなく、8月に守備で1試合出たのみ。あくまで数合わせ要員という印象を拭えなかった。
もう36歳となり、すっかり一軍から遠ざかって印象が薄い。経験は豊富だが、ちょっと巻き返しは難しいか。

下園 辰哉

レギュラー定着、出塁役型

左投左打
宮崎日大高〜九国大 横浜07ドラフト(大・社)4巡〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 横浜 19 53 11 1 0 0 12 1 0 1 0 4 0 15 .208
09 横浜 81 198 51 7 0 6 76 11 2 1 1 20 1 34 .258
10 横浜 131 402 115 21 3 3 151 28 1 6 2 49 2 82 .286
11 横浜 85 298 79 10 1 4 103 25 2 5 0 45 2 54 .265
通算 5年 344 980 262 41 4 13 350 65 5 13 3 121 5 196 .267

09年台頭、10年レギュラーに飛躍した外野手。一気に一軍戦力、それも主力にジャンプアップした。
大学では1年から主力として活躍し、所属リーグの通算安打記録を樹立(広島入りの1年後輩松山が翌年更新)した好打者。分離ドラフト4巡で横浜入り、1年目はシーズン途中に一軍昇格し主に代打で起用された。2年目は一軍出場を減らしたものの、ファームでは11ホーマー、44打点でチームの二冠王。終盤昇格後は積極的に先発で起用された。
09年も開幕は二軍スタートだったが、そこで3割中盤の高打率、35試合で42安打の活躍を見せ5月中旬に昇格。前半はそれほどではなかったものの、夏場に入ると調子を上げ、金城とセンターのポジションを分け合うように。また代打でも26打数8安打1ホーマーと好結果を残した。準レギュラークラスとなり、一躍主力候補に浮上。
そして10年は一気に外野の一角を確保。吉村・金城・早川といったところが揃って不振に喘ぐ中、序盤から安定した打撃を見せレギュラーとなった。センターを中心に100試合以上に先発出場。打順も定まらない中一定の状態をキープし続け、シーズン完走。4年目で規定打席に到達。
選球眼の高さが持ち味の選手で、10年の四球はチームでスレッジに次ぐ多さ。打率は3割未満ながら出塁率では内川とほぼ拮抗していた。脚力に特徴はないが出塁役が期待できる存在。守備力は決して高くないことから打順やポジションが流動的になりやすいタイプ。
レギュラーとして期待された昨年だったがオープン戦でフェンスに激突、骨折の重傷を負い開幕に大幅に出遅れ。一軍合流は交流戦も終わった6月の末だった。それでも復帰初打席で本塁打を放ち、以降はレフト、ライトで出場。当初今ひとつだった調子も徐々に上げ、主に1番を打った。打率は前年より下がったものの、四球が相変わらず多く出塁率は非常に高かった。
役回りがはっきりした選手(一方で望めない部分もはっきりしているが)で持ち味を充分に心得たプレーが魅力。確かな戦力となりつつあるが、前年に続き今季は肘の状態から開幕に遅れそうな状況で、故障続きというのは少し心配。

下山 真二

中堅外野手、実戦派型

右投右打
社高〜立命館大〜日本生命 近鉄03ドラフト8巡〜04、オリックス05〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 オリックス 123 356 96 24 3 10 156 44 3 15 3 40 2 73 .270
09 オリックス 99 285 73 17 2 13 133 47 4 10 0 37 3 76 .256
10 オリックス 31 80 17 3 1 1 25 7 0 2 0 7 0 17 .213
通算 8年 542 1352 349 79 9 45 581 166 13 45 5 140 10 340 .258

準レギュラークラスの右の外野手。アマチュア歴が長く、大学・社会人で長いこと中軸を打っていた強打者で、03年28歳で近鉄入り。
8巡という下位指名で注目度は低かったが、オープン戦で強打をアピール。公式戦でも夏場に結果を出し始め、打席は少ないながら3割をマーク。3ホームランも記録し、1年目から戦力となった。しかしローズが抜けたことからレギュラー定着も期待された翌04年は大きく出遅れ。後半巻き返したものの、大西の急台頭でポジション争いから一歩後退してしまった。球団合併でオリックス入りした05年も印象は弱いまま。年々出場数が減り、定位置から遠ざかることに。
競争激化した環境にあって少しジリ貧になりかけていたが、07年大きく前進。春先好調でスタメン起用が急増し、初の100試合以上出場、300打席突破で準レギュラー格に。日程が進むごとに成績が尻すぼみになり、後半は落ちる一方だったが、薄くなっていた存在感を取り戻した。競り合っていた(タイプも近かった)大西が移籍した翌年はさらに前進。前年よりさらに出番が増え、また失速もなく安定した働きを見せた。打率を大きく改善し初の二桁ホームラン。30歳を越えて自己ベストを連続更新。
そこそこの長打力と守備力を持つ平均的な選手で、突出した部分はないが使いやすいタイプ。08年4番以外のすべての打順で先発出場というのがこの選手の特徴を表している。どこかにきっちり固定するには少し弱いが、何をやってもまずまずこなせる。
09年も準レギュラーとして戦力に。序盤は打撃好調で、5月末時点で3割に8ホーマーの好成績。最終的にホームラン・打点で自己最多を更新し、チームの日本人で唯一の二桁本塁打を記録。ただ肩の故障で一時離脱し、復帰後は低調でシーズン打率をだいぶ落とすことに。そしてその不調は昨年も持続してしまった。開幕から低打率に喘ぎ、5月以降はたびたび二軍落ち。4年ぶりに100打席に届かず、出場数は自己最少。存在感のないシーズンに終わった。
充実していた近年から一気に後退。二軍では力の違いを見せたが、本来ここにいる選手ではない。もう35歳とベテランで、2年不振が続くと危険信号。今季はなんとしても巻き返したい。

俊介 (藤川俊介)

即戦力外野手、実戦派型

右投右打
広陵高〜近大 阪神10ドラフト5位〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
10 阪神 124 161 41 12 2 1 60 10 5 13 0 9 0 32 .255
通算 1年

プロ1年目から100試合以上出場を果たした外野手。実戦的な能力を武器に一軍で活躍。
名門の高校・大学ともに1年からレギュラーを務めたエリート選手で、大学時代はMVPの他5度のベストナイン受賞という輝かしい実績。ドラフト5位指名で阪神入りすると、早々に戦力となった。開幕一軍入りし、代走・守備要員として数多く出場。金本がスタメン落ちした5月に先発機会を得たが、それ以外は打席機会もほとんどなく、6,7月は計34試合で打席数は11しかなかった。
しかし8月巡ってきたチャンスにアピールし、4割以上の月間打率にプロ初ホームランも記録。ここから終盤は先発出場が大幅に増えた。最後はあまり打てず打率を落としてしまったが、シーズン安打の7割以上を8月以降に放ち、後半はポジションの一角をうかがう位置に。
俊足に加えて、柔軟なセンスと実戦的なプレーが持ち味。登録名を俊介とする今季は、センターのレギュラー候補として大いに期待される存在。ポジション確保の可能性は充分。

城島 健司

天才打者、常識外型

右投右打 ベストナイン(99〜01,03,04,05)、Gグラブ(99〜05,10)、MVP(03)
別府大付高 ダイエー/ソフトバンク95ドラフト1位〜05、(米マリナーズ06〜09)、阪神10〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
(08 SEA 112 379 86 19 0 7 126 39 2 1 2 19 8 33 .227)
(09 SEA 71 239 59 11 0 9 97 22 2 1 1 12 5 28 .247)
メジャー通算 4年 462 1609 431 84 1 48 661 198 7 2 8 66 37 148 .268
10 阪神 144 554 168 29 0 28 281 91 9 2 3 27 16 53 .303
日本通算 12年 1261 4585 1374 251 12 239 2366 790 72 33 34 334 111 527 .300

長年日本を代表する捕手として君臨、日本人捕手で初めてメジャーでプレーした選手。4年の挑戦を経て、昨年阪神入りで日本球界復帰。
強肩強打の捕手としてドラフト1位でダイエー入り。2年目には二軍で素質を発揮し、現在もウエスタン最多記録の25ホーマーを放った。3年目には早くも一軍レギュラーに抜擢され、規定打席到達でいきなり3割をマーク。翌98年は低迷したものの、99年再び3割。01年リーグでは野村克也以来となる捕手での30ホーマーをマーク。日本シリーズでワンバウンド球をホームランしたように、時にとんでもないボール球でもスタンドまで運ぶ。台頭初期から天才的な打撃センスを披露。
反面ディフェンス面では苦労が絶えず、入団時には捕手失格という評価をされたことも。工藤・武田といったベテラン投手に徹底的に教育されたのは有名な話。苦労の甲斐あったか、00年あたりからはリード面も向上。常に5割前後の盗塁阻止率を記録するようにスローイングはかなりハイレベルで、座ったままの盗塁阻止やピックオフプレーなど守備面でも目立つ選手。
03年は「全試合フルイニング出場」を有言実行し、3割30本100打点の活躍。リーグトップのチーム防御率を支え、MVPに選出された。翌04年はさらに打撃成績を伸ばし、アテネ五輪では4番を任され攻守でチームを牽引。名実ともに日本を代表する存在に。
狙い球なら少々ボールでも食いつく、かなり強引な打撃スタイルなのだが、バットに当てる能力が高く三振は少ないのが特徴。当ててしまえる故にその分併殺打は多めだが、追い込まれても苦にしない。日本シリーズ男としても有名で、過去3度の出場で9ホーマー、シリーズ最多タイ記録の4本塁打を2度記録する暴れぶり。死球は多いが当たり方がなかなかうまい。
FA権取得した05年も主力として活躍し、3年連続5度目の3割。ただ後半は肩を痛めて離脱、復帰後自打球で骨折と故障が目立った。シーズン後FA宣言してマリナーズと契約、06年からはメジャーでプレー。当初の2年間は正捕手に定着しなかなかの好成績。しかし08年打撃不振に陥るとインサイドワークの悪さも指摘されるようになり、ベンチの信頼低下。09年は出番が大幅に減り、成績も振るわずに終わった。
出場機会を求め日本復帰を表明すると、早い段階から積極的にアプローチしていた阪神への加入となった。そして復帰初年の昨年は正捕手をガッチリ掴んでフル出場。序盤春先は低打率だったものの、5月以降は安定した打棒を発揮。特に後半は好調で、6度目のシーズン3割を達成した。28ホーマーに91打点も記録し、改めて力のあるところを見せ付けた。
捕手として最多の9失策を喫するなど守備面で微妙なところもあったが、やはり打撃は中軸級。メジャーを経てもプレースタイルは変わっていない。オフに半月板の手術を受け開幕は出遅れが確実視されるが、復帰すれば即固定が濃厚。神宮で6本、マツダで5本などビジターのほうが一発が多かったが、なぜか東京ドームと横浜ではそれぞれ1本ずつだった。