内藤 雄太

内外野汎用、中距離型

右投左打
横浜商工高〜八戸大 横浜06ドラフト(大・社)3巡〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 横浜 - - - - - - - - - - - - - - -
09 横浜 69 87 22 5 1 5 44 14 1 1 0 7 0 22 .253
10 横浜 32 32 4 0 0 0 4 2 0 2 0 1 0 12 .125
11 横浜 99 184 41 8 0 1 52 20 0 0 3 11 0 58 .223
通算 6年 202 307 68 13 1 6 101 36 1 3 3 19 0 93 .221

4年目の09年出番を増やしてきた選手。打力を期待される存在で、代打での起用も数多い。
八戸大では青山(楽)と同期。シュアな打撃の中距離打者と評価され、大・社ドラフト3巡で横浜入り。1年目は湘南唯一の規定打席到達。数字は低かったが、一軍出場も果たし初ヒットも記録した。ただ2年目も二軍で低打率に苦しみ、少し足踏み。07,08と2年間一軍から遠ざかった。それでも08年は持ち直して、ファームの中軸を打ち10ホーマー。
そして開幕一軍の09年は序盤代打を中心に出番が急増。先発出場機会もあり、大学の先輩川島亮(ヤ)からプロ初ホームランを放った。8月以降は一軍定着を果たし、シーズン5ホーマーとパンチ力を発揮。登録は外野ながら一軍でも一塁や三塁でも先発出場。ヒットの半分が長打という魅力ある結果。
ただこの勢いを持続することは出来ず、翌年は打撃低迷。開幕から一軍にいたものの、4月半ばから2ヵ月近くノーヒットなど低打率に喘ぎ、後半は二軍暮らしに。前年より出場数半減でわずか4安打と後退。
一歩後退となったが、昨年は再び大きく前進。特に前半打撃好調で、外野に加えて一塁・二塁で先発するなど出場機会増加。勢いを見せていたが、7月以降急停車。後半はずっと1割台と急に打てなくなり、成績もどんどん下降していった。最終的に自己最多の99試合出場、打席数も200弱となったが、打率は2割台前半と随分下げてしまった。
ポジション獲りの可能性もあっただけに後半の失速はもったいなかった。代打起用数はチームトップの50回を数えたが、前年同様成績は1割台とどうも振るわない。ここでも打てるようだと相当に使い勝手のいい選手となるのだが。ともあれ一軍に食い込むことに成功、利便性の高さでさらにアピールしたい。

仲澤 忠厚

ユーティリティ、一軍半型

右投右打
敦賀気比高 中日01ドラフト7位〜05、ソフトバンク06〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 ソフトバンク 58 132 32 8 1 0 42 10 0 12 2 10 1 29 .242
09 ソフトバンク 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 -
10 ソフトバンク 12 9 1 0 0 0 1 1 0 0 0 0 0 2 .111
通算 10年 142 241 49 12 2 2 71 22 0 16 3 13 1 58 .203

内野ならどこでも守れる便利屋的存在。06年中日から移籍して出番が増えてきた。
高校時代は内海(巨)と同期。ドラフト指名は下位だったが、センスの良さでなかなか期待されていた。03年にはファームのレギュラーとなり一軍でもプロ初安打を記録。翌年は中日二軍の三冠プラス盗塁トップを記録した。次のレギュラー候補にも目されたが、05年は故障の影響もあって不振、一軍出場もなく終わった。するとオフにトレード要員となり、最終的には無償トレードの形でソフトバンクへ移籍。
移籍初年は色々守れる利便性と将来性を買われて開幕一軍登録。二塁のポジションを争う立場となった。プロ初ホームランも記録したが、打率が低空飛行で一軍と二軍を行ったり来たり。チャンスを活かしきるまでは至らなかった。07年はわずか5試合の出場で二軍暮らしに後退。
それでも翌08年は序盤本多不在の間の代役二塁を任され、夏場には五輪出場の川アの代役などで出場増加。序盤は低打率も終盤は打撃でも好結果を残した。初めて打席数が100を越え、ほぼ一軍定着と言える段階に達した。
内野全般を守れ、特に大きな破綻はないタイプ。ただどの面を見てもそこそこ止まりでこれという特徴に欠ける。09年は肩の故障もあり開幕2戦目に守備についたのみ、また立場は逆戻りしてしまった。故障があったとはいえ、二軍戦に出場し成績も残していた後半も昇格はなかった。
同じ内野のユーティリティとしては守備力で森本に及ばず、脚力は明石などに見劣りし、打撃面も特筆する要素がない。小さくまとまりすぎた感じで、二軍では力上位でも一軍では物足りなさが残る。昨年は多少出場は増えたとはいえ12試合に留まり、相変わらず二軍暮らし。下では常に見栄えのする成績を残すが、いつまでも一軍半という状態ではそろそろ厳しい。使い勝手はいい選手なのだが。

中嶋 聡

元強肩捕手、ベテラン転々型

右投右打 Gグラブ(89)、ベストナイン(95)
鷹巣農林高 阪急・オリックス87ドラフト3位〜97、西武98〜02、横浜03、日本ハム04〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 日本ハム 22 4 3 0 0 0 3 1 0 0 0 0 0 0 .750
09 日本ハム 3 3 1 0 0 0 1 0 0 1 0 0 0 1 .333
10 日本ハム 7 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 .000
通算 24年 1532 3471 804 126 13 55 1121 349 27 148 30 290 36 768 .232

阪急ブレーブス最後の生き残りで、プロ生活24年を数える大ベテラン捕手。かつては「日本一の強肩」で鳴らし、オリックス時代はエース星野よりも明らかに速い球を投げるなどと言われた。
その強肩を買われて高卒3年目に早くもレギュラー奪取。90,91年には二桁本塁打も放った。ただ強肩の割に盗塁阻止率はそれほど高くはなかった。若くして正捕手となったが、思ったほど技術面での進歩が無く、特に仰木監督になってから信用失墜。三輪にレギュラーを奪われ出場機会も減少。そしてFA宣言。
強肩捕手を渇望していた巨人、或いはメジャー挑戦かとも言われたが、移籍したのは西武。当時西武は伊東の肩の衰えが表面化し、また中嶋本人も「日本一の捕手に挑戦したい」と志は高かった。しかしこれはさすがに無謀な挑戦で、結局移籍後の5年間、一度として伊東の前に出ることはできなかった。働き場を求めて03年は横浜へ移籍したが、捕手の弱いチームにありながら故障で大きく期待を裏切り、わずか1年で日本ハムへ移籍。
FA移籍後どうも迷走している感が強かったが、30代後半になってようやく落ち着いてきた。04年は高橋信のリザーブを務めるのが精一杯だったが、翌年は高橋信の故障低迷、實松の伸び悩みがあって、出場機会急増。5年ぶりの100打席越えで、ベテランが本当に久しぶりに存在感を発揮した。そして06年からは先発機会はほとんどなくなったが、ベテランの技を買われて「リリーフ捕手」としてゲーム終盤に登場するように。あまり例を見ない捕手の守備固めの役割で優勝に貢献を果たした。コーチ兼任となって以降も変わらぬ役回りでチームを支え、抑えのマイケルとのセット起用はチームの特徴に。
さすがに08年以降は出場が大きく減り、09年は後半の3試合のみ。昨年も一桁の7試合で打席に立ったのは4月の1度だけとプレーするのはごく稀に。選手としてよりもコーチとしての存在のほうが色濃くなってきた。もう一線からはほとんど引いているが、今季も現役続行で25年目のシーズンに挑むことに。本当に息の長い選手となった。

中島 俊哉

中堅外野手、左殺し型

右投右打
福岡工大付高〜九州国際大 オリックス03ドラフト8巡〜04、楽天05〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 楽天 81 178 56 10 1 5 83 25 1 1 1 21 4 28 .315
09 楽天 47 104 29 4 0 1 36 8 0 0 1 7 2 17 .279
10 楽天 4 7 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 2 .143
通算 8年 146 314 93 15 1 6 128 35 1 1 2 29 6 54 .296

打撃で結果を残し進出してきた外野手。大卒入団から時間はかかったが、左キラーとして一軍戦力に。
高校では小椋(ソ)と同期。アマチュアでそれほど名の通った選手ではなく、ドラフトではチーム最後の指名。オリックスが試みた「契約金0選手」の最後の一人でもあった。それでも1年目から二軍で3割を打ち、2年目には10ホーマー。分配ドラフトで楽天入り後少し停滞したが、07年大きく打撃開花。序盤イースタンの三冠トップを走り、6月一軍昇格。少ない機会ながらも打率4割と上でも結果を残した。後半故障してしまったが、この勢いがさらに次へつながっていく。
翌08年はまず二軍で8試合3ホーマーと圧巻の結果を残し4月前半に昇格。すぐさまスタメン出場で2安打とアピールした。プロ初ホームランを放った5月は大きく数字を落としたものの、6月以降復調。好調は夏場まで続き、一気に準レギュラー級まで飛躍に成功。終盤やや調子を落とすも打率3割をキープし、まさに開花のシーズンとなった。
長所は一発を秘める打撃。振り回すばかりではなく、2ストライクからもしぶとさを見せる。また左投手に非常に強く、3割5分4ホーマーとキラーぶりを発揮した。盗塁にはつながっていないが脚力もあり、課題だった守備力も改善中。
09年は骨折離脱が響き出場数を減らしてしまったが、左投手時の先発ライトを宮出と分け合う形で出場。前年悪かった代打成績を著しく向上させるなど着実な前進を見せた。すべてのヒットが左投手からと相変わらずのキラーぶりで、クライマックスシリーズでは杉内(ソ)をKOする一発。
近年の活躍から昨年は背番号が8に。外野の一角も充分狙える立場にあったが、捻挫で開幕に出遅れ。これをきっかけに派手に躓くシーズンとなってしまった。夏場にようやく一軍昇格も、最初の打席でヒットを放ちながら以降6打席ノーヒットが続くと再び二軍落ち。これ以降再昇格できず、ほぼ二軍暮らしの一年に終わった。一軍出場は一桁に激減。
魅力は多い選手だが、どうも故障が多いのがもったいない。不在の間に、故障低迷していた牧田が大きく巻き返し、後半だけで6ホーマーの活躍。同じ右打ちの外野手、そして対左投手に結果を残したとあって役割を食われた格好となった。すでに30歳と年齢面で余裕はないだけに、今季は再逆転するぐらいの勢いを見せたいところ。

中島 裕之

中軸遊撃、スラッガー型

右投右打 最高出塁率(08,09)、ベストナイン(08,09)、Gグラブ(08)、最多安打(09)
伊丹北高 西武01ドラフト5位〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 西武 124 486 161 32 0 21 256 81 25 0 3 55 12 96 .331
09 西武 144 560 173 31 3 22 276 92 20 0 3 75 10 113 .309
10 西武 130 503 158 33 3 20 257 93 15 0 11 52 13 97 .314
通算 10年 945 3497 1057 192 18 133 1684 564 113 7 33 319 87 705 .302

西武の3番ショートを務める中心選手。04年「ポスト松井」としてレギュラーに抜擢され大飛躍、一気の勢いで駆け上がり、チームの顔とも言える存在となった。
高校時代に名が通っていたわけではなく、ドラフトでも下位指名。しかし持てる素質の高さは入団時から高く評価されていた。打力のポテンシャルが高く、2年目はファームでレギュラー定着。03年に一軍で4ホーマーを記録すると一気にレギュラー候補と注目される存在に。松井稼がメジャー移籍すると、もう次のショートはこの人で決まりという雰囲気になっていた。
そして大いに注目され迎えた04年は、序盤から打棒炸裂。5月までは3割以上の打率をキープし、予想以上に打ちまくった。徐々に打率は下げたものの、27ホーマー、90打点と堂々たる成績を収め、フルシーズンレギュラーに定着。わずかに残っていたスタミナへの不安も、夏場に巻き返す活躍でいつの間にか消えていた。
バットを高々と掲げる構えは、一軍打撃コーチを務めていた土井正博などを髣髴とさせる迫力満点のもの。力強いスイングで思い切りが良く、早いカウントからどんどん振ってくる積極打法。狙いを外しても振ってくるため、ボールから随分離れたところを空振りすることも多々あるが、1打席中にアジャストも出来る。脚力も充分で、身体能力は相当に高い。
実質2年目の05年は本塁打半減、打率も低下とやや精彩を欠いたが、06年は巻き返し。フェルナンデスの抜けた3番にどっかりと落ち着き、開幕から安定した打棒を発揮した。故障で1ヶ月以上離脱という場面もあったものの、自身初の3割到達。翌年も引き続き3番定着で連続3割と安定した活躍。
順調な打撃に比して課題と言われていたのが守備力。06年リーグワースト、07年は12球団のショートで最多の失策を記録。スローイングに安定感がなく、なかなか向上しなかった。しかしこちらも08年急激に成長し、走攻守三拍子揃った存在となってきた。打撃ではあと一歩で首位打者は逃したものの、自己ベストの打率に4年ぶりの20ホーマーを達成。打線の軸としてチームを引っ張り、優勝に大きな貢献。五輪代表にも選出された。翌09年のWBCにはレギュラー出場し、シーズンでは引き続き不動の3番として君臨。フルイニング出場を果たし最多安打のタイトル獲得、3割8分という高い得点圏打率も記録した。
昨年も春先故障で一時離脱という場面があったものの、打棒は相変わらず健在で4月末時点で4割キープ。その後もコンスタントに打ち続け、5年連続の3割をマーク。3年連続の20ホーマーに加えて、打点は前年を1上回り自己最多更新。チームトップの数字で、中村が故障などで精彩を欠く中主砲として活躍。
オフにポスティングでのメジャー挑戦という話も浮上したが、とりあえず今季は残留。守備の向上した今特に穴はなく、長打力も脚力もある非常に頼もしい存在。同一リーグでは対戦相手の苦手も特になく、中でもソフトバンク戦では3割8分の高打率を残した。

中田 翔

大砲候補、攻撃突出型

右投右打
大阪桐蔭高 日本ハム08ドラフト(高)1巡〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 日本ハム - - - - - - - - - - - - - - -
09 日本ハム 22 36 10 2 0 0 12 1 0 0 1 1 0 15 .278
10 日本ハム 65 210 49 5 1 9 83 22 0 0 2 15 3 61 .233
通算 3年 87 246 59 7 1 9 95 23 0 0 3 16 3 76 .240

将来日本を代表するホームラン打者にとの期待が大きい長距離砲。二軍で破格の成績を残し、09年一軍デビュー。
高校時代下級生時から注目を集めた逸材で、高校通算本塁打史上最多の87発、投手としても150kmを計時し怪物と呼ばれた。当然ドラフトの目玉と騒がれ、高校生ドラフトで4球団が競合、抽選の末日本ハム入り。
プロでは打者に絞ることとなり、登録は内野手に。1年目はシーズン中に手首を骨折するなどし一軍に上がることはなかったが、それでも二軍で11ホーマーと素質の片鱗を発揮。2年目もほぼ二軍だったものの、そこで飛び抜けた成績を残した。イースタン・ウエスタン通じて史上初となるシーズン30ホーマー達成、95打点も01年のポールと並ぶ史上最多タイ記録。イースタンの二冠プラス打率2位の「準三冠」という圧倒的な数字。一軍昇格も果たし、一発こそないもののまずまずの打率を記録。フレッシュオールスターでは二塁打2本でMVP獲得と、噂に違わぬ打棒を発揮。
この結果から昨年は開幕スタメン出場。だが序盤は結果が出ず二軍落ち、さらにその数日後半月板を損傷し、手術で離脱と前半は非常に苦しんだ。しかしオールスター直前に一軍復帰すると、プロ初を含み6試合で3ホーマーと本領発揮。翌8月には4戦連発を記録するなどパワーを炸裂させた。終盤9月に入ると22打席ノーヒットが続くなど急停止して打率が大きく下落してしまったが、シーズン9ホーマーと前進に成功。
一軍でも発揮したその長打力はやはり魅力たっぷり。守備位置が一塁かレフトか、或いはDHかと定まらない印象だが、今季はさらにレギュラーへのステップアップが期待される。

中谷 仁

苦労人捕手、晩成台頭型

右投右打
智弁和歌山高 阪神98ドラフト1位〜05、楽天06〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 楽天 4 2 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 .500
09 楽天 55 100 20 1 0 3 30 14 0 14 2 12 0 33 .200
10 楽天 11 15 1 0 0 0 1 0 0 0 0 1 0 3 .067
通算 13年 95 149 26 1 0 3 36 15 1 15 2 13 0 50 .174

09年、苦節12年目にして一軍定着を果たした苦労人捕手。長い下積みキャリアを乗り越え、急浮上してきた。
もともとは高校bP捕手と評された大物。高校時代、3年春のセンバツ準優勝、夏に全国優勝と華々しい実績を残し、ドラフト1位で阪神入り。当時阪神は矢野の移籍前後であり、正捕手が流動的だった時代。当然将来の正捕手と期待は大きかった。しかしグラウンド外のトラブルで左目を負傷。一時失明寸前まで視力が低下し、選手生命を危ぶまれる事態ともなった。その危機を脱し、5年目に一軍初出場。初ヒットを記録も、阪神での一軍ヒットはそれだけで翌年から3年間は一軍出場なし。06年金銭トレードで楽天に移籍。
移籍1年目は4年ぶりに一軍出場を果たすも、翌年は1年二軍。08年も出場4試合と、移籍後も二軍のほうが長かった。ファームの古株といった印象であったが、09年急変。序盤はいつも通り二軍も、6月昇格し古巣阪神戦で12年目のプロ初ホームラン。7月に入ると出番急増し、藤井離脱の8月以降はスタメンも増加。過去11年の通算を上回る55試合に出場、内40試合で先発マスクと大躍進のシーズンとなった。クライマックスシリーズでも4試合スタメン出場し12打数5安打と活躍。
これといった強い個性があるタイプではなく、捕手としてはオーソドックスな選手。ただ守備面で破綻が少ないのが強み。分母が小さいとはいえ4割近い盗塁阻止率を記録した。打撃は基本的には弱いが、3ホーマーと意外性を発揮。
30歳にして脚光を浴びた遅咲き。だが昨年はまた大きく後退。嶋が打撃開眼で正捕手に固定され、控え捕手の出番は極端に減少。さらに第2捕手に井野が置かれたこともあり、開幕直後に1試合出たきり5ヵ月も一軍出場から遠ざかった。終盤少し出番は増えたものの出場数は計11試合に激減。
状況からやむをえない面は強かったが、また元の立場に戻ってしまうのは惜しい。今季は2番手の地位は確保したいところ。

中西 健太

外野転向、伸び悩み型

右投右打
北大津高 ソフトバンク05ドラフト4巡〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 ソフトバンク 58 136 34 11 0 3 54 14 1 3 0 14 1 46 .250
09 ソフトバンク 29 48 6 0 0 0 6 2 0 0 0 1 0 14 .125
10 ソフトバンク - - - - - - - - - - - - - - -
通算 6年 87 184 40 11 0 3 60 16 1 3 0 15 1 60 .217

打撃を活かすため捕手から外野手に転向した選手。08年一軍進出しかけたものの、その後躓き伸び悩み状態に。
強打の高校bP捕手としてプロ入り。「ポスト城島」の期待を負っての入団だった。ただ捕手としては二軍でも抜け出しきれず。07年はほとんどマスクを被らず、秋季キャンプで打撃を活かすため正式に外野転向。すると転向1年目の08年は二軍で打撃好調、開幕から故障者続出のチーム事情もあって、5月末に一軍昇格。そして2度目のスタメン試合で3安打1ホーマーの活躍。前半3ホーマーで、先に売り出した長谷川とポジションを争う形で台頭してきた。夏場以降壁に突き当たり数字を落としたが、次代のレギュラー候補として上昇。
さすがに転向したてで外野守備には難があったものの、力強いスイングで福岡ドームのスタンドまで運ぶパンチ力が魅力。思い切りのいいスイングの分粗さは強く三振は多いが、右方向にも大きく打てる。
翌09年はオープン戦絶好調で、一気にレギュラー獲りの期待を受け開幕スタメン出場。ところがシーズンに入ると大きく躓いてしまった。さっぱり打てず、前半わずか1安打という状態で一軍定着も果たせず。すっかり打撃を崩して二軍でも低打率に喘ぎ、逆に大きく後退のシーズンとなってしまった。開幕の時点ではむしろリードしていたはずの長谷川にあっという間に抜かれ、1年で大きく水を開けられることに。
この不振が尾を引き、昨年は一軍出場なしとさらに後退。二軍ではチーム2位タイ、リーグでも2位タイの12ホーマーを放ったが、打率は1割台とまた低迷。一軍レギュラーに手が届きそうなところから随分落ち込んでしまった。出場機会を得るため、秋季キャンプからは元の捕手にも再挑戦。まだ若いとはいえ早いうちに何とか巻き返したい。

中東 直己 (直瑛)

小兵外野手、万能型

右投左打
広島工高〜東亜大〜JR西日本〜ホンダ鈴鹿 広島07ドラフト(大・社)5巡〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 広島 5 2 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 .500
09 広島 1 1 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 .000
10 広島 15 9 0 0 0 0 0 1 3 0 1 1 0 3 .000
通算 4年 52 81 15 2 0 0 17 3 8 0 1 5 0 22 .183

「捕手もこなせる」と話題になった選手。俊足を武器にする小兵タイプ。
1番候補の俊足外野手としてプロ入りしたが、大学時代は捕手を経験。そのため1年目キャンプ中に「両面起用もある」と話題に。公式戦でも2試合だけだが実際にマスクを被った。それ以外はすべてセンターを守り、出場の半分近くで先発、もっぱら1番で起用された。MVPとなったフレッシュ球宴で骨折してしまい、後半を棒に振ってしまったが、1年目から31試合に出場とまずまずのスタート。
しかしこのデビューをピークに、以降は出場数が減り停滞に陥っている。翌08年は序盤こそ一軍にいたものの、二軍落ちして以降故障の連続。シーズン中改名に踏み切るほど苦難のシーズンとなった。登録が捕手となった09年だったが、開幕直後に代走からレフト守備についた1試合の出場のみで、以降はずっと二軍暮らし。
また外野手登録に戻った昨年は、序盤代走要員として久々に出場数を増やした。6月以降は二軍暮らしと影は薄かったが、3盗塁を記録しわずかに前進。一軍でも二軍でも外野しか守らず、やや中途半端だった起用法もどうやら固まった模様。脚力は充分に戦力なので、一軍レベルで打撃が改善されれば出番はもっと廻ってくる。

中村 晃

若手外野手、センス期待型

左投左打
帝京高 ソフトバンク08ドラフト(高)3巡〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 ソフトバンク - - - - - - - - - - - - - - -
09 ソフトバンク - - - - - - - - - - - - - - -
10 ソフトバンク - - - - - - - - - - - - - - -
11 ソフトバンク 29 47 8 1 0 0 9 2 4 4 0 0 0 11 .170
通算 4年
11年成績は7/24現在

高卒4年目の今季一軍デビューを果たした若手選手。高い打撃センスと俊足で将来を嘱望される一人。
高校時代は強豪高で2年から4番に座り、甲子園3季連続ベスト8以上進出と大舞台で活躍。高校通算60本塁打を放ち、高校生ドラフト3巡でソフトバンクに指名された。高校の同期に阿斗里(横浜)がいる。
高校時代は一塁だったが強肩と、ずんぐりした体型の印象を裏切る俊足の持ち主で、プロ入り後は外野登録に。1年目から攻守に亘るセンスの良さを評価され、2年目にはファームで3割越え。3年目には一軍キャンプにも帯同したが、ここは故障で一旦足踏み。
今季も序盤は二軍。しかし故障や不振などで外野の布陣が流動的だった5月昇格を果たし、一軍初出場。スタメン出場するとプロ初を含む3安打の大当たりで、これ以降しばらく一軍に留まり続けた。前半だけでスタメン10試合、それ以外は代走や守備などで出場。
鋭いライナーを飛ばせるスイングを持つが、まだ一軍レベルでは緩急に崩され気味で一歩足りないという印象。それでも端々にセンスを感じさせ、先が楽しみな存在。二軍で好成績を続けており、後半もチャンスがあればしっかりアピールしたい。

中村 剛也

巨漢打者、長距離砲型

右投右打 本塁打王(08,09)、ベストナイン(08,09)、打点王(09)
大阪桐蔭高 西武02ドラフト2巡〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 西武 143 524 128 24 4 46 298 101 2 3 3 53 7 162 .244
09 西武 128 501 143 37 1 48 326 122 3 0 2 52 7 154 .285
10 西武 85 304 71 14 2 25 164 57 1 0 3 44 3 111 .234
通算 9年 666 2120 545 122 8 159 1160 405 13 17 10 220 39 654 .257

170cm前半の身長で100kg前後の体重というどっしりした体型が特徴的な選手。「おかわり君」のニックネームで知られ、リーグ屈指の長距離砲として活躍中。
高校時代にも知られたスラッガーで、「和製カブレラ」というあだ名が付けられた存在。ドラフト2巡でプロ入りすると、1年目はファームで満塁弾3発といきなり存在感を見せた。2年目にはイースタンの本塁打王を獲得して一軍も経験。そして04年は一軍で初ホームランとステップアップ。
ここまでも順調だったが、05年は一気に大ブレイクとなった。4月末に一軍昇格すると、5月に10ホーマーを量産。ちょうど交流戦の時期と重なり、その存在がキャラクターも含めて大いに注目された。6月に入って打率は大きく落としたが7ホーマー。二軍で連続20ホーマーの素質を存分に発揮し、初めての一軍定着で22ホーマーを放った。
これで新たな中軸候補と期待は高まったが、このあと少し伸び悩み。06年はアベレージはそこそこも一発半減で印象薄。07年は大きく落ち込み、開幕からずっと低打率で、しかも長打も出ない状態。中軸どころかレギュラー獲りも果たせず。
確実性を上げようとして袋小路に入っていた印象だったが、08年不振を打ち破る急上昇。率にこだわらず振り切ることに徹し、三塁に固定されて本塁打増産。圧巻は8月以降で、2ヶ月ちょっとで22ホーマーを量産。リードしていたローズ、ブラゼルを一気に抜き去り、40ホーマーの大台突破で見事本塁打王のタイトルに輝いた。2割5分を切る打率に162三振と、確実性はなく典型的な一発か三振かという状態だったが、欠点に目を瞑ることで本来の打撃を取り戻し大砲の素質を一気に開花させた。
この勢いは翌年も手放さず、不動の4番として君臨。後半故障で欠場がありながら、9月以降24試合で12ホーマーという驚異的な追い込みを見せて、前年を上回る48ホーマーで2年連続の本塁打王獲得、打点王との二冠に輝いた。打率も大きく上昇。
三塁守備は体格の割に動けると評されるが、2年連続リーグ最多の失策を喫したようにやはり水準より下。しかし一発長打の魅力はそれを補って余りある。日本人打者の2年連続45ホーマー以上は王・落合に続いて史上3人目の記録で、球界を代表するホームラン打者となった。打率より一発というタイプで、3番中島とともに西武打線を強力に牽引する主砲。
ただ昨年は故障に悩まされるシーズンとなった。オープン戦で自打球を当て頬骨骨折。開幕には間に合わせたものの、打撃はだいぶ低調。さらに肘の痛みに苦しみ、6月上旬に抹消されて手術、2ヶ月以上の長期離脱となった。復帰した終盤は11ホーマーを放つなど力を見せたが、序盤の不振が響き打率は大幅低下。離脱の影響で打点も半減。
苦難を味わったものの、それでも25ホーマーはチームトップでリーグ4位の数字。今季はシーズン通した活躍でタイトル奪回の可能性も充分。急成長を遂げたT−岡田との競争が楽しみ。

中村 紀洋

フルスイング、紆余曲折型

右投右打 ベストナイン(96、99〜02)、Gグラブ(99〜02,04,07,08)、本塁打王(00)、打点王(00,01)、最高出塁率(01)
渋谷高 近鉄92ドラフト4位〜04、(米ドジャース05)、オリックス06、中日07〜08、楽天09〜10、横浜11途中〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
メジャー通算 17 39 5 2 0 0 7 3 0 0 0 2 0 7 .128
08 中日 140 493 135 20 0 24 227 72 0 10 3 50 1 119 .274
09 楽天 77 263 58 11 0 2 75 26 0 1 1 29 0 41 .221
10 楽天 129 473 126 23 0 13 188 64 0 1 2 44 1 84 .266
11 横浜 62 115 24 3 1 1 32 14 0 0 2 9 0 27 .209
日本通算 19年 2006 6968 1847 318 11 379 3324 1216 20 26 41 942 40 1543 .265

豪快なフルスイングで名を馳せた大砲。全力で球を叩き潰すような独特のバッティングで、近鉄いてまえ打線の4番として君臨した。1年アメリカでプレーし、06年から日本復帰。
若い頃からそのスイングは注目され、4年目に20ホーマーを放ちレギュラー定着。なんといっても圧巻は98年以降で、ここからの5年間で190ホーマーを量産。00年に二冠に輝き、さらに翌01年は打率も3割、自己最多の46ホーマーをマーク。MVPのローズとともに優勝の立役者となった。日本シリーズではいいところを見せられなかったが、それでも翌年も数字を大きく落とすことなく安定した成績。状況によって右にも打てる柔軟さも再三見せた。
しかし02年オフにFA宣言、メジャーを巻き込んでの騒動の挙句残留。ここから急激に負の部分が目立つようになってしまった。03年は23ホーマーも打率大低迷。翌年は前半不振で20ホーマーにも届かず。後半巻き返したが帳尻合わせの印象は拭えなかった。打点も60台と少なく、チームの不振に一役も二役も買ってしまった。
膝や手首の故障に悩まされるようになり、そのためかかつての柔軟さが消失。やたらに強引に打撃に終始するようになってしまった。ショートもこなしたほどの守備も、膝の影響からか動きがちょっと鈍化。
近鉄消滅に伴ってポスティングで渡米した後、06年はオリックス入り。打線強化の目玉と期待されたが、前述の傾向はさらに悪化して2割をやっと越す低打率に喘ぎ、12ホーマー止まりと大誤算。手首の負傷から欠場も多く、終盤は完全に離脱。全く期待はずれな結果に終わった。シーズン後契約交渉で大揉めし、越年の末自由契約に。
なかなか契約が決まらず浪人もありうる状況だったが、キャンプ中に中日と育成契約。もちろん育成選手というレベルではなく、開幕前に支配下登録を果たした。一度どん底を見たためか、移籍後はかつてのしたたかさも甦った。時に右打ちを見せる柔軟さを取り戻し、安定した打棒を発揮。07年は3割には届かなかったが4年ぶりの20ホーマー到達。復活を果たし、08年は打率を下げるも一発増加。中心打者の一人として活躍。
見事に復活を見せてオフにFA宣言し、今度は楽天に移籍。中軸の大砲として大いに期待されたが、過去2年が嘘のような大不振に逆戻り。開幕カードに活躍もその後はさっぱり打てなくなり、ずっと低打率に。二軍調整を挟んでも一向に調子は上がらず、8月頭を最後に以降二軍暮らし。低打率もさることながら、シーズンわずか2ホーマーというのが深刻で、全く存在感のないシーズンだった。
それでも翌10年はレギュラーに返り咲き、交流戦では3割3分に8ホーマーと活躍。ただ同一リーグとの対戦ではパッとせず、特に後半は2割2分と低迷。前年よりだいぶ成績は上向き、2年ぶりの二桁本塁打も放ったものの、打率は最終的に平凡な数字に終わった。
主力としては物足りず、まして主砲とは言えない結果ではあったが、この成績でシーズン後戦力外に。またもや浪人の危機に陥ったが、開幕後の5月後半横浜入り。ただ成績のほうは冴えなかった。昇格してすぐに代打で一発を放ったが、それがシーズン唯一の本塁打。夏場は1割台前半という低打率に喘ぎ、最終的にも2割を越えるのがやっとだった。プロ入り初の二塁スタメンが話題になった程度で、目立つ場面は乏しかった。
衰えもあろうが、きちんとした調整をせずのシーズンインというのは無理があった。統一球環境でかつての豪快な一発というのは望みにくくなっているが、どこまで存在感を見せられるか。

中村 真人

育成上がり、巧打者型

右投左打
智弁学園高〜近大〜シダックス 楽天07育成ドラフト2巡〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 楽天 49 144 42 6 3 1 57 12 6 6 0 12 0 14 .292
09 楽天 101 318 86 13 2 3 112 25 9 10 2 22 1 32 .270
10 楽天 26 40 9 2 0 0 11 2 0 0 0 1 0 2 .225
通算 4年 176 502 137 21 5 4 180 39 15 16 2 35 1 48 .273

08年途中育成選手から支配下登録、一気に台頭してきた外野手。野手陣の新星として注目され、レギュラー争いの一角に食い込む活躍。
社会人時代に縁のある野村監督の楽天に育成ドラフトで入団。アマ時代から大きな舞台での活躍があった選手で、育成選手としてのプロ入りは意外という声も一部であった。その評価を裏付けるように、1年目は二軍で3割4分の高打率をマーク。それ以上に172打席でわずか7三振という高いミート力を見せ付けた。2年目も二軍で高打率を続け、6月末に待望の支配下登録。一軍昇格したその日に先発出場しプロ初安打を記録。その後成績が伸びず一時二軍落ちしたが、終盤再昇格後は高打率で大いにアピール。積極的に先発で使われ、新たなレギュラー候補として台頭してきた。プロ初ホームランも放った9月以降は3割以上打ち、同じく育成から登録の内村と1,2番コンビを組む試合も。
ミート力は一軍レベルでも高く、三振の少ない巧打タイプ。とんでもない糞ボールを弾き返す悪球打ちで知られる。追い込まれても対応できるしぶとさがあり、打撃技術はなかなかのレベル。二軍では走れていなかったのに一軍では6盗塁と足でも結果を残し、実戦的な印象を残した。
翌09年は二軍でスタートしたものの、4月後半昇格以降は積極的に起用され、シーズン100試合出場達成。右投手相手のときはライトを中心に先発出場し、スタメン80試合。成績もまずまずで、ほぼレギュラーというところまで上昇してきた。しかし昨年は一転大幅後退。肘の故障から開幕にやや出遅れると、故障癒えても出番がなかなか廻ってこなかった。前半は4月半ばに1打席立ったのみ。後半ようやく一軍に戻り、8月以降は打撃で結果を残したものの、出場機会は少ないまま。前年300を越えた打席数が41にまで激減。
出遅れ以上に痛かったのが、同じ左打ちの外野手である聖澤のレギュラーへの飛躍。タイプの被る選手が序盤から積極的に起用され好成績も残し、完全に役割を食われてしまった。本来なら一軍にいる選手で、二軍ではレベルが数段上。今季は絶対に巻き返したいところ。脚力はあっても守備の判断力が悪い点でだいぶ損をしている。