オリックスバファローズ

00 坪井 智哉

技術優位、短距離型

左投左打
PL学園高〜青学大〜東芝 阪神98ドラフト4位〜02、日本ハム03〜10、オリックス11〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 日本ハム 26 50 11 2 0 0 13 1 0 1 0 1 1 7 .220
09 日本ハム 84 146 39 8 0 0 47 15 0 2 2 5 1 23 .267
10 日本ハム 36 77 18 3 1 0 23 9 1 2 0 4 3 19 .234
通算 13年 1033 3340 974 161 18 32 1267 264 50 41 14 263 56 611 .292

阪神時代、ドラフト下位入団ながら即レギュラー獲得、いきなり3割をマークした安打製造機。打撃技術の高さには確かなものがあり、1年目はハイレベルの新人王争いを演出した。
イチローさながらの振り子打法が最大の特徴。本家ほどの俊足ではないが、走り始めが早く内野安打も多い。1年目にレギュラー定着、リーグ3位の打率を残すと、バットコントロールの巧みさで2年目も3割と安定し、一時は完全に中心打者となった。しかし00年今ひとつの成績に終わると今度は急落。一気にレギュラーから脱落し、01年は出場43試合、続く02年はわずか24試合とジリ貧状態に。すっかり影が薄くなったところで日本ハムへのトレード。
この移籍が転機となり、環境が変わって復活に成功した。開幕からハイアベレージを維持し、久々に坪井らしさを取り戻した。これまであまり目立たなかった守備力・脚力もアピールし、復活というよりは新生という印象。一時はクリーンアップも任される活躍だった。
ただこの復活劇以降は故障離脱が目立つように。04年は自己最多の11ホーマーも欠場が多く、翌年も3割打ちながら終盤リタイア。そして06年は自己最悪の不振に陥った。序盤不振で二軍落ちし、2ヶ月以上も離脱。復帰後も精彩を欠いた。結果初めて2割を切る打率に終わり、オフには一度戦力外となる状況に。
トライアウト参加もなかなか声がかからず、去就が危ぶまれたが年明け目前に日本ハムが再契約を打診。自由契約一転異例の残留となった。微妙な立場で迎えた07年は、しかし開幕から絶好調。レギュラー奪回でまさしく意地を見せた。代打でも好結果を残し、通年で4年ぶりの100試合出場。見事に結果を残すことに成功。
体調万全ならやはり打撃技術は高い。ただ後半は完全に失速し、オールスター後は2割そこそこと低迷。この不振は翌年も続き、開幕からさっぱりで後半はほとんど二軍暮らしとなり、出場は26試合に激減。スランプ脱出は09年で、さすがにレギュラーからは遠ざかったものの、代打の切り札として存在感を発揮した。起用数55回はリーグトップで、打率も3割と好成績。
昨年も序盤は好調で、代打に留まらずDHで先発出場。しかし4月中旬に坐骨神経痛で2ヶ月以上の長期離脱。7月に復帰したものの今度は不調に喘ぎ、復帰後は1割台の低打率。結果出番も成績も前年より大幅に落とすことになった。
シーズン後引退してコーチ就任を打診されたものの、現役続行を望み戦力外に。今度はオリックスへ移ることとなった。36歳の年齢にもともとの故障の多さ、近年調子の波が激しい点など不安が多いが、柔軟な打撃センスはまだ健在。過去2度崖っぷちから甦った粘りを今度も見せられるか。

 0 森山 周

俊足、転向激変型

右投左打
報徳学園高〜大産大〜ヤマハ オリックス06ドラフト(大・社)4巡〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 オリックス 42 58 12 1 0 0 13 5 4 3 1 5 0 12 .207
09 オリックス 34 11 0 0 0 0 0 0 3 0 0 1 0 2 .000
10 オリックス 68 130 43 2 0 0 45 9 5 10 1 8 0 21 .331
通算 5年 190 257 71 4 0 0 75 15 14 17 2 20 2 39 .276

俊足を武器としてきた選手。主に代走要員を務めるも、昨年後半外野に廻って別人のような活躍。
社会人からプロ入りも当初は二軍スタート。5月に昇格もすぐに逆戻りしたが、7月に再昇格。打撃が課題と思われていたが、その打撃で好結果を残した。8月スランプに陥ったものの9月4割を越えるハイアベレージでアピール。終盤はスタメン起用が増え、レギュラー候補に名乗りを挙げた。野手陣の新星として期待上昇。
かねてからスピードに定評のあった選手だが、予想以上に実戦的なところを見せた。追い込まれてもしぶといところを見せ、あまり対戦機会のなかった左投手も結果は良かった。しかし2年目は一転して大きく後退。打席機会が多くなかったとはいえ、ノーヒットのままシーズンを終えてしまった。当然二軍が長くなり、前年の勢いを持続できず。翌年は出場機会こそ増えたものの、低打率でアピールできなかった。機動力重視の大石監督就任、大引の故障離脱などチャンスは多かったが活かしきれず。
2年目以降打撃でいいところがなく、新人年にあれほど打てたのが不思議なほどに。09年はほぼ代走に専念。打席機会はプロ入り後最少で、2年目に続いてノーヒット。前年失敗も多かった盗塁は成功3で失敗1と向上させたものの、あまり印象のないシーズンに。
昨年も前半は14試合出場で打席機会わずか4と完全に代走要員。しかし二軍では高打率を続けており、シーズン途中から外野にシフトすると状況が一変した。一軍でも打撃で大いにアピールし、8月以降は完全にレギュラー状態。レフト・ライトを中心に36試合にスタメン出場、初めて打席数が100を越え、高打率を維持したままシーズンを終えた。前半と後半で全く印象を変えるシーズンに。
内野手としては守備に安定感がなく、それで起用の幅を狭めていたが、コンバートで視界が大きく開けた。年齢的に微妙なところから急台頭を見せ、登録も外野手となった今季はポジション争いに参戦。今度は前年の勢いを持続したい。

 1 後藤 光尊

実力派、万能型

右投左打
秋田高〜法大中退〜川崎製鉄千葉 オリックス02ドラフト10巡〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 オリックス 115 410 117 32 0 14 191 57 13 7 3 16 11 88 .285
09 オリックス 54 208 57 12 0 4 81 17 8 1 2 8 0 36 .274
10 オリックス 143 590 174 32 3 16 260 73 2 0 2 32 8 96 .295
通算 9年 810 2719 754 162 17 68 1154 299 50 30 10 110 42 437 .277

ドラフト10巡という極端な下位指名からレギュラーとなった内野手。スピード感の高い選手で、打力も充分のオールマイティ型。
下位入団ながらも1年目から一軍に出場し、実戦的な打撃センスを発揮。早くから戦力となった。100打数未満で三塁打3本を記録したように、足の速さはかなりのもの。2年目は開幕こそ出遅れたものの途中からほぼレギュラーに。打撃はさらに成長を見せ、長打力も増した。
出塁役のみならず、3番や5番もこなすなど打撃は器用で幅広い。ただ当初は守備面に不安があり、その点でポジションを掴みきれなかった。俊足に強肩と身体能力は高いのだが、技術面ではやや雑で、ショートとしては痛いエラーが多かった。
一時伸び悩みを見せたが、05年サードに移って3割まであと一歩の好成績を残した。中村紀が加入した06年はセカンドでスタートし、阿部真の離脱以降はショートに復帰。4番以外のすべての打順をこなすなど、貧打に泣いた打線にあって重要な戦力となった。また課題だった遊撃守備が大きく向上、復帰した阿部を逆に二塁に追うほどの動きを見せた。数字以上に前進したシーズンに。
07年からはショートに大引が入ったことで再びセカンドへ。打率が低空飛行で阿部と併用状態だったが、終盤9月以降に4ホーマーを放ち初の二桁本塁打を記録。そして08年はさらに向上を見せた。開幕はスロースタート、7月頭に故障で離脱と前半はパッとしなかったものの、8月に復帰するとここから絶好調。3割8ホーマー、ついでに8盗塁と見違えるような活躍を見せ、初の規定打席到達。すべての成績を前年より向上させ、後半のチームの躍進に少なからぬ貢献を果たした。
これまで左投手に弱かったが、08年それをついに克服。ライバルだった阿部を振り切った。09年は足の肉離れで4ヶ月戦列を離れ、故障に泣いてしまったが、昨年は「3番セカンド」でほぼフル出場。序盤やや打率を落とした時期もあったが、交流戦では3割後半の好調。その後も安定した活躍を続けた。シーズン3割は逃したものの、自己最多の16ホーマー73打点を記録。流動的だったオーダーの中にあって不動の存在に。
広い守備範囲を誇り、打撃では意外なパンチ力の持ち主。昨年わずか3度の代打機会すべてで出塁(2安打1四球)するなど、どういう役割で出してもこなせる幅広さがある。シーズン後FA宣言し、中日や横浜が興味などとも報じられたがオリックスと再契約。攻守両面で欠かせない存在。

 2 山ア 浩司

守備型内野手、再上昇型

右投右打
大産大付高 近鉄99ドラフト3位〜04、オリックス05、広島05〜08途中、オリックス08途中〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 広島 8 13 2 0 0 0 2 0 0 1 0 0 0 3 .154
オリックス 2 1 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 .000
09 オリックス 97 246 73 13 0 3 95 26 2 11 1 16 2 44 .297
10 オリックス 78 177 33 7 0 2 46 20 1 8 0 9 3 35 .186
通算 12年 328 763 176 25 0 6 221 58 4 56 3 33 8 150 .233

強肩で鳴らす内野手。05年移籍した広島で急浮上し一軍戦力に。
近鉄に在籍した04年までは、6年間で一軍出場はわずかに3試合とほとんど二軍暮らし。守備力に定評も打撃が弱く、なかなか一軍の壁を突破できなかった。04年もファームレギュラーと言っても打率は2割5分とパッとしないもの。分配ドラフトでオリックス入りのあと、トレードで広島入り。
しかしこの移籍が大きなチャンスへとつながった。シーツが抜け、岡上がシーズン絶望の故障。さらに代役を務めた尾形までが開幕後故障離脱する緊急事態から5月に一軍昇格。当初はやはり打てず、守備要員から脱却できなかったが、8月に入るとネックの打撃が急上昇。これ以降はほぼレギュラーに座り、8〜10月は3割近いアベレージ。2番定着でリーグ2位の31犠打も記録し、前年まで無安打とは思えない台頭を見せた。
移籍といえど、故障者が出なければここまでのチャンスがあったかどうか。まさに千載一遇の好機を活かした形となった。しかし翌年はこの勢いを維持できず。開幕スタメンも打撃が壊滅的な状態で、梵の台頭・東出の復活からポジション失陥。6月には二軍落ちし、また元の立場に逆戻りしてしまった。終盤再昇格も9打席ノーヒットでシーズン終了。これ以降出番は減り続け、08年序盤スタメンも打てずに後退。シーズン途中に、かつて一時的に在籍したオリックスに戻ることとなった。それでも出番はなく、ほとんど二軍のままで終わった。
しかし09年は大きく巻き返して再浮上。まずは故障の後藤に代わる二塁を務め、出場機会急増。前半は代役という域を出ず、それほど強い印象もなかったが、後半に入ると打撃急上昇。台頭した05年以上の勢いを見せ、7月以降は3割3分という高打率。終盤は故障の大引の穴埋めとしてショートに入り、9月以降はフルに出続けて3割とコンスタントに打ち続けた。すべてにおいて自己ベストのシーズンに。
ジリ貧になりかけていたところで大きくアピールに成功。昨年は大引の不調と故障から前半はほぼレギュラーショート。ただ前年の打撃は維持できず、常に1割台と低調。後半大引が復帰すると控えに戻ることとなった。
基本的には貧打の選手で、持ち味はやはり肩の強さを活かした守備力。大引も揺るぎない存在ではなく、打撃次第ではポジション奪取の可能性も充分残っている。

 3 李 承Y (イ・スンヨプ)

アジアン大砲、リベンジ型

左投左打
ロッテ04〜05、巨人06〜10、オリックス11〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 巨人 45 153 38 4 0 8 66 27 1 0 0 11 6 37 .248
09 巨人 77 223 51 9 0 16 108 36 1 0 1 28 5 65 .229
10 巨人 56 92 15 1 0 5 31 11 1 1 0 12 3 26 .163
通算 7年 675 2274 607 118 8 144 1173 388 18 4 15 220 24 540 .267

03年韓国でシーズン56本塁打を放ったアジアの大砲。韓国では本塁打王5回、打点王4回、MVP5回という華々しい実績を誇るスター選手で、04年主砲不在に悩むロッテに入団し来日。
そのキャリアから非常に期待は大きかったが、1年目は大いに苦しんだ。インパクト時に手首をこねる悪癖が目立ち、鋭い速球にはほとんど差し込まれ、振り遅れ。打順は徐々に下がっていき、ついにはスタメン落ち、さらにファーム落ちも経験。低打率に喘ぎ14ホームランでは主砲の大役は果たせなかった。大きな屈辱を味わったが、しかしさすがにこれでは終わらなかった。翌年は一気に本領発揮。打率は微増にとどまったものの、ホームラン倍増の30本、チームトップの打点で汚名返上。特に交流戦で12ホーマーと爆発し、チームの優勝に貢献。日本シリーズでも5割超の3ホーマーと大暴れ。見事にリベンジを果たした。
当初は未体験の内角攻めに四苦八苦していたが、徐々に対応できるようになってきた。ロッテと契約せず、巨人に移籍となった06年はまずWBC韓国代表として4戦連発の活躍を見せ、ベストナインに選出。シーズン開幕後も4番にどっかりと座り、これまで以上の打棒を発揮した。交流戦ではトップの16ホーマー、7月中に30本到達。一時独走だったタイトルは後半本数が伸び悩んで届かなかったが、自身初の3割に40ホーマー100打点。故障者続出のチームにあって孤軍奮闘といった趣だった。07年は6月に極端なスランプに陥り前年のようにはいかなかったが、夏場に巻き返し3年連続30ホーマー達成。
だが翌08年大不振に陥り、4月中旬までの14試合でわずか7安打ノーアーチ2打点の超低空飛行。ノーヒットが続いたところで二軍落ちし長期の再調整となった。シーズン1号は夏場になってから。五輪から帰国後の9月以降7ホーマーを放ったが、通年で一桁ホームランにとどまり、一軍と二軍の打席数がほとんど変わらないという屈辱的なシーズンとなった。
そしてこれ以降は完全に期待はずれの状態に。09年は一発こそ倍増したものの前年同様低打率続き。さらに後半には腰痛で離脱し、存在感のないままシーズン終了。スタメン落ちでいよいよ尻に火がついた昨年も、さらに輪をかけて低調。2割を越すことさえごく稀という低打率が続き、6月後半からは長期二軍暮らし。自己ワーストの成績に終わり、ついに一軍での打席数が二軍のそれより少ないという状態にまで落ち込んだ。
30歳を越えて急激におかしくなってしまった。この3シーズンほとんどいいところは見られず、以前の活躍はすっかり霞んでしまった。二軍では打っているとはいえ、これだけの高額選手が二軍にいる時点で誤算と言う他ない。昨年で4年契約が切れ巨人を退団。今季はオリックスに移籍することとなった。近年の印象があまりに悪く、年齢的にも微妙なところだが巻き返せるか。

 4 赤田 将吾

スイッチ外野、俊足型

右投左右打
日南学園高 西武99ドラフト2位〜09、オリックス10〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 西武 68 160 39 7 1 2 54 13 2 3 2 14 1 37 .244
09 西武 57 78 16 4 0 0 20 3 1 3 1 6 0 19 .205
10 オリックス 79 253 55 8 1 8 89 34 3 14 1 22 0 66 .217
通算 12年 745 2071 522 84 18 27 723 176 73 84 13 176 10 465 .252

かつてセンターの定位置を確保したスイッチヒッター。ライバルの多い外野争いを制したが、近年不調。
高校から西武入りし、1年目から一軍で5盗塁をマーク、まずは俊足で戦力になることをアピール。当初は内野手で二塁のポジションも狙っていたが、持ち前のセンスで外野も兼任。ただ打撃があまりに弱く、2年目以降はやや足踏みしていた。しかしプロ入り後に取り組んだ左打席をすぐに形にするなど、柔軟性の高さは随所に見せていた。
打率の低迷が足を引っ張っていたが、04年は春先から好調で一気に波に乗った。小関の不振等でポジションが空いたことも幸いし、後半は完全にレギュラーに。05年は2番定着、06年は1番も兼任し、ジリジリと成績を向上させて06年は3割目前の打率をマーク。
左打席が確実性、右打席がパンチ力というタイプで、力が勝ることが災いして右打席では強引になってしまう面があるが、左打席では柔軟さを見せる。脚力の面では04年から3年連続二桁盗塁を記録し、06年はリーグトップタイの三塁打を放った。
3年レギュラーを務め順調に来ていたが、07年度重なる故障で急ブレーキ、ここから不振に喘いでいる。07年はほぼシーズンを棒に振り、08年も調子が出ない上にまた故障で離脱。それでも終盤復調気配を見せたが、09年は一転してまた大不振。序盤の低迷から二軍落ちし、後半の昇格後もパッとしないまま。レギュラー奪回どころか、かえって遠ざかることになってしまった。
すっかり影が薄くなったところで、昨年はオリックスへ移籍。開幕スタメン起用され、序盤は「2番ライト」にほぼ固定。しかし8ホーマーを放つなどしたものの確実性は低く、交流戦では1割台中盤という大不振。この辺りから二軍落ちするなど出番が減っていき、8月以降は控え、終盤は二軍。レギュラー確保は出来ず、尻すぼみに終わった。
相変わらず右打席は荒っぽく、左腕から6ホーマーするも打率は1割台半ば。また西武時代はセンターが主で不慣れだったのか、意外にライト守備は不安定で、特にライン際の打球処理には不安を残した。この打力で守備も思ったほど良くないとなればポジション維持は困難。移籍初年度という巻き返しには絶好のチャンスだったが、かえってレギュラー復権が遠のいてしまったか。とにかくすべての面で確実性を上げていかないと。

 5 マイク・へスマン

長距離砲、粗削り型

右投右打
オリックス11〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
11 オリックス 43 119 25 6 0 6 49 14 0 0 0 7 1 43 .210
通算 1年
11年成績は7/24現在

一発長打が最大の売りのオリックスの新外国人選手。大柄な体から当たれば軽々飛ばす力を見せる。
マイナーの古株といった存在で、メジャー実績はパッとしないものだが3Aでは07,08年と連続30ホーマー以上。08年には北京五輪アメリカ代表に選出され銅メダル獲得のメンバーに。3A9シーズンで通算219本塁打放ち、昨年も64試合で18ホーマーという大砲。守備はマイナーでは三塁が中心だが4試合の登板記録もあり、すべてのポジションを守った経験を持つ。
チームの外国人野手としては李・バルディリスの後という扱いで、開幕戦に代打出場した後はしばらく二軍。再昇格後5月は3戦連発などなかなか存在感を見せたが、持続はせず6月以降は昇降格を繰り返すエレベーター状態となっている。
196cmの巨漢ながらスイングは意外にコンパクトで小さい。それでもアメリカ時代から一発は多いが三振も非常に多いという典型的なタイプで、揺さぶられるとやはり脆い。ソフトバンク戦になぜか強く4ホーマーと意外性充分だが、確実性の低さを考えると当てにはしづらいか。

 6 金子 圭輔

俊足内野手、非力型

右投左右打
志学館高 ダイエー/ソフトバンク04ドラフト6巡〜10途中、オリックス10途中〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 ソフトバンク 32 34 4 1 0 0 5 5 0 5 0 4 1 12 .118
09 ソフトバンク 17 6 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 .000
10 オリックス 31 46 10 2 1 0 14 2 4 2 0 2 1 16 .217
通算 7年 85 93 15 3 1 0 20 8 4 7 0 6 2 32 .161

08年出番を増やした若手内野手。俊足のスイッチヒッターで、瞬発力を持ち味とする。
高校時代はエースで主砲、文字通り中心として活躍。身体能力の高さを評価されていた。プロ入りと同時にショートを中心とした内野手に転向。その後スイッチヒッターとなり、3年目の06年一軍初昇格でプロ初安打も記録。
07年は昇格がなかったが、08年は出場数がだいぶ増えた。序盤は本多の代役で二塁スタメンもあり、そして6月の再昇格後はしばらく一軍定着。外野も守り、スタメンに代打に代走にと様々な場面で起用され、一気に30試合以上出場。一軍進出の足がかりを得た。
二軍で二桁盗塁を続けた脚力が売りだが、打撃が弱すぎるのが大きな課題。一軍に入ると高校生が混じっていると思えるほどの線の細さは入団時からあまり変化がなく、非力そのものといった印象。これは09年も変わらず、打席機会も少なかったがノーヒットのまま終わった。開幕直後は代走・守備固めで起用されていたがやがて出番も減り、後半はほとんど二軍。前年からは一歩後退。
昨年も二軍で過ごしていたところで、シーズン途中荒金とともにオリックスへ移籍。移籍後も前半はほぼ二軍だったが、夏場には大引の故障から先発起用されるなど出番が増えた。守備面でいい動きを見せ、4盗塁を記録するなど持ち味を発揮。一軍定着とまではいかずも過去最高の打席機会を得、少し前進に成功。
一軍で打率が2割に届いたのはこれが初めて。わずかに向上したとはいえ、やはり打撃の弱々しさがネック。スピードはあるだけに、一軍で力負けしない程度のパワーが欲しい。背番号が6に変更され、レギュラー候補の声もある今季は大きなチャンス。右打ちからスイッチとなった選手だが、過去一軍で放ったヒットはすべて左打席でのもの。

 9 坂口 智隆

1番定着、俊足型

右投左打 ゴールデングラブ(08〜10)
神戸国際大付高 近鉄03ドラフト1巡〜04、オリックス05〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 オリックス 142 540 150 15 6 2 183 32 13 17 4 23 4 77 .278
09 オリックス 137 526 167 23 7 5 219 50 16 8 4 52 4 81 .317
10 オリックス 138 558 172 31 10 5 238 50 12 7 1 52 4 77 .308
通算 8年 505 1798 526 76 24 13 689 142 48 39 9 137 13 265 .293

いまやすっかり主力となった外野手。不動の1番と同時に外野守備の要となる存在。
ドラフト1巡入団、高校時代は投手も身体能力の高さを買われてプロでは外野に転向した。高卒1年目でファームで3割、一軍でもヒットを記録。順調なスタートを切ったが、2年目やや停滞。球団合併でオリックスに移った05年も出番はほとんどなかった。それでも06年盛り返し、プロ初本塁打を放って1番候補と目される存在に。ここから07年序盤は積極的に起用されたが、低打率に喘ぎ5月前半に二軍落ち。ここまではまだ一軍の壁に跳ね返されていた。
しかし再昇格した終盤、1番で起用され9月以降3割近いアベレージに3盗塁と上々の結果。1ヶ月でシーズン打率を1割以上引き上げ、大きく視界が開けた。そして再び開幕スタメンとなった翌08年一気にブレイク。開幕から1番をがっちり確保し、5月末まで3割キープの好成績。6月スランプに陥って以降は3割を切ったままだったが、極端に落ち込むこともなくほぼフル出場を果たした。完全にポジション奪取し、期待通りの成長を見せてゴールデングラブも受賞。
すらっとしたスマートな体型の選手で、俊足を活かした守備範囲の広さと高い打撃センスが持ち味。一度きっかけを掴むとそこからは急成長を見せた。09年スタートは非常に悪かったものの、5月に調子を上げるとそれ以降はコンスタントな打棒を発揮。そのままシーズン終了まで止まらず、リーグ2位の数字で初の3割達成。途中からは不動の1番として活躍。故障者の多いチームにあって、打点はチーム2位の数字だった。
前年対戦相手ごとにあったムラが消え、苦しんだ左投手も攻略し、少なかった四球も倍増と課題を一気に克服。昨年も「1番センター」の座はほぼ不動で、交流戦では4割近い打率を記録。7月スランプに苦しむも、その後巻き返し2年連続の3割到達。本多と並ぶリーグ最多タイの三塁打を記録した。四球はチームでカブレラに次ぐ数字で、出塁役をこなすと同時にチャンスにも強かった。
ゴールデングラブは3年連続選出でもう常連に。左投手も全く苦にせず、追い込まれてもしっかり対応と着実に成長を続けている。攻守の要として今季も期待大。

10 大引 啓次

実戦派ショート、堅実型

右投右打
浪速高〜法大 オリックス07ドラフト(大・社)3巡〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 オリックス 88 275 71 16 3 3 102 26 1 16 1 12 1 61 .258
09 オリックス 107 349 97 23 1 5 137 25 3 34 1 33 8 84 .278
10 オリックス 85 216 51 9 3 2 72 23 0 15 3 25 1 52 .236
通算 4年 406 1234 327 66 9 12 447 98 7 81 6 101 12 276 .265

文字通り即戦力、1年目からレギュラーとなった内野手。激戦区であったチームのショートに完全定着した。
大学時代は数々のタイトルを手にし、06年のドラフトではNo.1内野手の評価。オリックス入りすると、開幕からいきなり先発起用。序盤3割の活躍を見せ、ポジションを完全に確保した。月ごとに好不調の波があったものの、最終的にはレギュラーとして充分な成績。見事にシーズンを完走した。
打撃もまずまずだったが、それ以上に光ったのが守備。深いところから意識してワンバウンドスローなど、年齢に似ぬ手堅いプレーを随所に見せた。攻守ともに「堅実」というスタイルで、派手に魅せるというタイプではないが、ソツのなさを感じさせる。
1年目から実戦的な働きで評価を固めたが、2年目以降はちょっと停滞している感もある。08年は序盤絶不調、調子を上げてきたところで6月死球骨折で離脱と不運にも泣き、出場数も成績も落としてしまった。09年は再びレギュラーショートとして、主に2番を任され100試合以上に出場。復調してきたが、終盤前年と同様死球骨折で離脱。盛り返した打撃もムラが強く、安定感には一息だった。
昨年も開幕からショートを守ったが、序盤2割に届かない低打率に喘ぎ、5月一時二軍落ち。復帰後は調子を上げたものの、7月今度は腰痛で1ヵ月半戦線離脱。順調さを欠いて出場数を減らしてしまった。8月後半の復帰以降は向上したものの、序盤の不振が響いて打率は自己ワースト。スタメンのほとんどが9番ということもあり、あまり目立たないままの1年だった。
前年同様打撃は相性が極端で、パ・リーグとの対戦で放ったヒットの内、実に6割がソフトバンクとロッテ相手に集中。それ以外の3チームの時は軒並低打率で、西武戦に至っては11試合で2安打しか出来なかった。また投手の左右も大きな差があり、対左は3割以上も対右は1割台。守備では安定感の高い選手ながら、打撃はどうにもムラが強い。この辺りはレギュラーとして常時出場するにはマイナス。今季はポジションを固め続けるか併用状態に落ち着くかの分岐点となりそう。毎年離脱があるのも気になるところ。

22 前田 大輔

控え捕手、打力優位型

右投右打
多度津工高〜駒大〜神戸製鋼 オリックス03ドラフト4巡〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 オリックス 24 49 6 1 0 1 10 4 1 0 0 3 0 13 .122
09 オリックス 19 33 9 3 0 0 12 2 0 4 0 4 0 7 .273
10 オリックス 28 55 12 1 0 1 16 6 0 4 1 4 1 12 .218
通算 8年 217 414 96 15 0 7 132 45 4 13 1 35 3 95 .232

オリックスの控え捕手。04年の台頭で一時日高を脅かす存在となるも、近年はあまり目立てずにいる。
社会人からプロ入りし、1年目から一軍出場。一発こそ1本ずつだったが、1,2年目ともに悪くないアベレージで打力のあるところを見せた。一本足打法で速球には遅れ気味だが、変化球には対応。04年は後半失速したが、春先はかなり好調で先発の機会も多かった。守備全般に課題を残すも、この時点で2番手につける存在だった。
しかし球団合併で的山と鈴木が加わると、そのあおりを受けて05,06年は4番手の立場に後退。出場機会が激減し、二軍暮らしが続いた。07年コリンズ監督が就任すると期待を受け、開幕スタメンに浮上。しかし特徴の打撃が1割2分と壊滅的で5月には二軍落ち。再昇格後の後半盛り返して2番手に返り咲きは果たしたが、正捕手獲りの大きなチャンスを逸してしまった。
やはり全体的にレギュラーとなるには不足の多い選手で、08年は日高の好調で出場数減少。09年は前半二軍暮らしとなり、3番手に後退してしまった。後半一軍出場で打撃はそこそこの結果を残したが、さほど印象には残らず、日高の故障があっても出場数はまた減少。
昨年も前半はほとんど二軍暮らし。ただ日高が信頼を失い、メインとなった鈴木の打撃が貧弱なことから終盤はチャンスを得た。結果はいまいちも21試合にスタメンマスクを被り、ジリ貧傾向から少し回復。
踏み止まったが、守備面では魅力が薄い。特にスローイングは弱々しく、昨年は12回走られて1度も刺せず。この3年で計40の盗塁を許し、刺したのは1回だけとフリーパス状態。打撃も目を惹くほどの結果を残しているわけではなく、メインとなるにはかなり苦しい。正捕手混沌となった今は絶好のチャンスだが、もう一段レベルアップが欲しいところ。

23 北川 博敏

クラッチヒッター、移籍開花型

右投右打
大宮東高〜日大 阪神95ドラフト2位〜00、近鉄01〜04、オリックス05〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 オリックス 105 343 91 24 0 13 154 49 4 2 10 37 7 51 .265
09 オリックス 103 267 73 18 0 2 97 31 0 4 6 19 6 37 .273
10 オリックス 119 362 111 25 0 12 172 61 2 0 6 28 7 65 .307
通算 16年 1154 3603 1004 223 7 100 1541 508 29 20 40 312 44 517 .279

01年「お釣りなしの代打逆転サヨナラ満塁優勝決定ホームラン」という球史に残る一発で名前を売った選手。これ以降順調に出番を増やしてレギュラーに台頭。
もともとはキャッチャーだが、阪神時代から打撃偏重の選手で、捕手としての出場は少ない。移籍前はほとんど出番に恵まれず、野村監督時代に見初められたものの結果は出せず。なかなか殻を破れなかったが、近鉄移籍後に急開花。パンチ力のある打撃で、強力打線の中でも重要な選手となった。
上述の強運な一打で注目され、このあとは主力へとのし上がっていく。03年は準レギュラーとして活躍し、中村の不振から4番も再三務めた。その勢いのまま04年はレギュラー完全定着。すっかり中軸に座り、チームトップの88打点を記録。プロで打ったホームランはすべて近鉄移籍以降のもので、まさに花開いた印象。
思い切りがいい割に無茶振りは少なく、三振が少ないのが特徴。30本40本と量産する長距離砲ではないが、チャンスに何かをやりそうな雰囲気を持つ選手。右方向を意識している時の打撃は意外に柔らかい。反面引っ張りに走りすぎる時も。
球団合併で移籍の05年はやや不振で物足りないシーズンとなったが、翌年は再び打線の中心に。清原・中村が期待外れの中、中軸に座って重要な得点源となった。後半故障で離脱したものの、07年はフル出場で不動の一塁。キャンプ中の故障で出遅れた08年もレギュラーとして働き、カブレラの加入とラロッカの離脱から実に久しぶりに三塁を守ることとなった。後半不振で打率・打点は低下も、3年ぶりの二桁本塁打を記録。
09年はフェルナンデスの加入から控えに廻る構想も、チームトップの代打起用に加え、主軸の相次ぐ故障から先発出場も多かった。成績的には勝負強さが見られず物足りないものだったが、昨年は再びらしさを発揮。前半非常に好調で、交流戦では3割中盤の打率に5ホーマーを記録。8月以降調子を落としたものの、3年ぶりにシーズン400打席を越え3割をキープ。12ホーマー61打点となかなかの活躍を見せた。主にDHでの先発に加えて、代打もチームトップの起用数で26打数11安打の好成績。
38歳のベテランながら久々に持ち味を出して、貴重な戦力となった。左投手に3割8分、9ホーマーと滅法強かったのが特徴的。さすがに三塁を守ることはなくなり、年齢的にフルのレギュラーを計算するのは辛いが、ここ一番での代打や準レギュラーとして、その打力はまだまだ侮れない存在。

27 日高 剛

パンチ力、正捕手格型

右投左打
九州国際大付高 オリックス96ドラフト3位〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 オリックス 134 417 112 27 1 13 180 47 1 18 3 28 8 67 .269
09 オリックス 93 295 75 15 0 5 105 34 1 2 2 13 3 36 .254
10 オリックス 79 219 61 9 0 6 88 24 0 4 1 18 1 25 .279
通算 15年 1393 3773 897 186 10 76 1331 417 10 144 27 275 39 641 .238

長年オリックスの正捕手格を務める選手。不動の正捕手とまでは言いがたいが、常に筆頭としてホームを守る存在。
高校からプロ入りし、中嶋がFA移籍した3年目の98年に強肩を買われ抜擢。そこまでの2年間一軍経験は全くなかったが、当時最もレギュラーに近かった三輪をあっさりと抜き、以来メインでマスクを被るようになった。ただ高いと言われていた打撃センスをなかなか発揮できず、確実性を上げるためにバスター打法をしていたことも。あまりの低打率で常時出場できずにいたが、01年辺りから意外性を発揮するようになってきた。02年は2割を切る低打率も初の二桁となる12ホーマーを放ち、当時のチーム内で貴重な長打力の持ち主に。
一方ディフェンス面は打撃以上に苦戦。強肩ながら盗塁阻止率はなかなか上がらず、それ以上にリード面で苦労した。チームが考えられないほどの投壊状態に陥ったことで、ますますパニックになってしまい信頼も低下してしまった。すべての責任を負わせるのは酷だが、厳しい目で見られてしまったのはやむをえない。
それでもメインを張り続け、徐々に守備の評価も上昇。05年球団合併で的山というライバルが加入したが、1番手の立場は譲らず。打撃は落ち込んだが、一転して強力になったリリーフ陣を支える働きを見せた。06年は先発出場が100試合を越え、盗塁阻止率4割と肩の強さもアピールした。07年はやや出場数が減ったものの、翌08年はしばらく存在感をなくしていた打撃でアピール。6月半ばまで3割をキープした打率は最終的に大きく落としてしまったが、6年ぶりの二桁本塁打は自己最多を更新。00年から常に100試合以上出場しながら届いていなかった規定打席に初めて到達した。
だがこれをピークにここ2年はやや下降気味。打撃の好調は09年序盤まで続いていたが、投手陣の不調とチームの低迷からか5月以降不調に陥り、さらに夏場に故障で1ヶ月近く離脱。これが響いて10年ぶりに出場試合が100を割った。そして昨年は別の意味で苦しいシーズンとなった。打撃のほうは好調だったものの、リード面で岡田監督の信頼を失い、二軍に落とされる場面がたびたび。8月以降は出場機会が極端に減り、結果スタメンマスクは53試合止まり。筆頭捕手の立場を鈴木に譲る形となってしまった。
そこまで鈴木と差があったようにも感じないが、長年メインでマスクを被っている割には信頼感に欠け、事実上ライバル不在で油断している面はあったかもしれない。FA宣言も噂されたが行使せず残留。今季はすっかり落とした信用をなんとしても回復したいところ。打撃は昨年非常に状態が良く、代打でも18打数7安打と好結果を残した。

31 荒金 久雄

守備型外野、意外性型

右投右打
PL学園高〜青学大 ダイエー/ソフトバンク01ドラフト5位〜10途中、オリックス10途中〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 ソフトバンク 55 94 24 7 0 1 34 9 1 2 1 3 5 18 .255
09 ソフトバンク 16 11 3 0 0 1 6 4 0 0 0 0 0 2 .273
10 オリックス 64 175 47 16 1 3 74 16 0 6 1 14 8 49 .269
通算 10年 348 553 129 39 3 8 198 46 3 16 2 38 25 142 .233

主に代走守備要員を務めてきた中堅外野手。昨年オリックスに移って自己ベストの成績を残した。
ドラフト5位で当時のダイエー入り。アマチュアの強豪を経てきた選手で、下位といえどもそのキャリアに期待は大きく、入団当初は将来のレギュラー候補の声もあった。しかし最初の3年間はほとんど二軍暮らし。脚力は買われていたものの、あまりに打撃が弱くなかなか上に食い込めなかった。ようやく出番が増えたのは控えの層が薄くなってきた04年。プロ初ホームランを放つなど夏場に小ブレイク。実績らしい実績を残して一軍に台頭してきた。05年は開幕一軍入りを果たし、打席数は減ったものの守備・代走要員として一年間ベンチ入り。
脚力も肩も充分で、守備力は高い。ただそれ以上を狙うには打撃の確実性が低すぎた。思い切りよくパンチ力はあるものの、ややヘッドが下がり気味のスイングでミート精度がかなり低い。打てるコース・球種が限られ、一軍レベルのボールには見劣りしていた。
06,07年と代走・守備要員の座も後続の選手に奪われかけていたが、08年久しぶりに持ち直し。序盤はいつも通りも、7月再昇格直後に4年ぶりの一発を含む3試合で8安打の固め打ちを見せて周囲を驚かせた。故障者多発で布陣が流動的だったこともあり、これ以降はスタメンなどで出場機会増加。4年ぶりにシーズン100打席に到達。ただこういった好調は瞬間的なもので、結局はいつもと大差ない状態に戻ってしまった。なぜか年に一度は一軍で大きな仕事をする選手で、8月一杯までずっと二軍暮らしだった09年も、9月に代打で試合を決定付ける3ラン。ただ本当に一度限りで、これ以降目立つ活躍は特になし。
しかし開幕後オリックスに移籍した昨年は、発奮したのかこれまでにない姿を見せた。トレード成立後間もない5月に一軍昇格すると、故障したT−岡田の代役スタメンで活躍。2番を主に任され、7月末まで3割キープと好調持続。一時は外野の一角を奪取するほどの勢いを見せた。10年目にして初めて打席数が200を突破。8月以降失速してだいぶ落としたものの、打率もほぼ自己ベスト。プロ入り以来最高のシーズンを過ごした。
相変わらず追い込まれれば脆いのだが、昨年好調時は早いカウントでのミスショットが減っていた印象。後半いつもの状態に戻ってしまったのは残念だが、予想以上に戦力となった。これを見せられれば、守備の安定感からしても一軍定着は難しいことではない。

33 田口 壮

ベテラン外野手、復帰型

右投右打 Gグラブ(95〜97,00,01)、ベストナイン(96)
西宮北高〜関学大 オリックス92ドラフト1位〜01、(米カージナルス02〜07、フィリーズ08、カブス09)、オリックス10〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
(08 PHI 88 91 20 5 1 0 27 9 3 4 0 8 0 14 .220)
(09 CHC 6 11 3 1 0 0 4 0 0 0 0 1 0 4 .273)
メジャー通算 8年 672 1369 382 74 7 19 527 163 39 31 10 102 12 195 .279
10 オリックス 53 119 31 6 0 3 46 10 1 2 2 7 1 28 .261
日本通算 11年 1160 4213 1165 214 21 70 1631 414 84 158 24 337 24 670 .277

8年ものメジャーでのプレーを経てきたベテラン外野手。昨年久しぶりに古巣加入で日本球界復帰。
大学時代屈指のショートとして話題となり、ドラフト1位でオリックス入り。即戦力と期待されたが、プロ生活は挫折から始まった。送球が非常に不安定で、47試合の出場で9失策を記録。打撃はそこそこもポジションを獲りきれず。翌年も守備の不安は解消されず、出場を減らしてしまった。
転機となったのは3年目の94年。この年就任の仰木監督によって外野起用がメインとなると、レギュラーに大きく前進。翌年からはほぼ外野に専念となり、フル出場で完全にレギュラーとなった。内野手時代守備に苦しんできた選手が、一転してレフトの名手と認知される存在に。すでにスターとなったイチロー、そしてベテランの本西と組む外野陣は鉄壁と評されチームの名物にもなった。
これ以降はレギュラーとして安定し7年連続規定打席到達。打撃のほうは平均レベルで、3割は1度もなし。突出した好成績も残さない代わりに極端な不振もなく、常に一定の成績を残し続けた。98,99年には内野に戻った時期も。01年オフFA宣言し、前年のイチローを追うようにメジャー移籍。
カージナルス移籍当初はマイナーのほうが長い状態だったが、04年100試合出場を果たすと、翌05年から3年間はレギュラー級の活躍。05年は4割の得点圏打率を残した。また06年、フィリーズ移籍後の08年にはワールドチャンピオンを経験。ただこのフィリーズ移籍から出番が減り、09年はカブスとマイナー契約でほとんど出場機会なし。シーズン終了後解雇となった。すると年明けてからオリックスと契約し、9年ぶりに日本復帰ということに。
すでに40歳というベテランながら、開幕2戦目にスタメン出場するといきなり3安打の復帰劇。序盤は非常に好調で味のある活躍を見せた。ただ4月後半に肉離れで離脱、これ以降は影が薄くなり出場も減少。ヒットの半分は序盤離脱までに放ったもので、5月以降の打率は2割台前半だった。
さすがに年齢からも多くは期待できず、後半はそれほど戦力にはならなかったが、まだまだ動けるところを見せた。今季も現役続行で、豊富な経験で存在感を見せる。

36 下山 真二

中堅外野手、実戦派型

右投右打
社高〜立命館大〜日本生命 近鉄03ドラフト8巡〜04、オリックス05〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 オリックス 123 356 96 24 3 10 156 44 3 15 3 40 2 73 .270
09 オリックス 99 285 73 17 2 13 133 47 4 10 0 37 3 76 .256
10 オリックス 31 80 17 3 1 1 25 7 0 2 0 7 0 17 .213
通算 8年 542 1352 349 79 9 45 581 166 13 45 5 140 10 340 .258

準レギュラークラスの右の外野手。アマチュア歴が長く、大学・社会人で長いこと中軸を打っていた強打者で、03年28歳で近鉄入り。
8巡という下位指名で注目度は低かったが、オープン戦で強打をアピール。公式戦でも夏場に結果を出し始め、打席は少ないながら3割をマーク。3ホームランも記録し、1年目から戦力となった。しかしローズが抜けたことからレギュラー定着も期待された翌04年は大きく出遅れ。後半巻き返したものの、大西の急台頭でポジション争いから一歩後退してしまった。球団合併でオリックス入りした05年も印象は弱いまま。年々出場数が減り、定位置から遠ざかることに。
競争激化した環境にあって少しジリ貧になりかけていたが、07年大きく前進。春先好調でスタメン起用が急増し、初の100試合以上出場、300打席突破で準レギュラー格に。日程が進むごとに成績が尻すぼみになり、後半は落ちる一方だったが、薄くなっていた存在感を取り戻した。競り合っていた(タイプも近かった)大西が移籍した翌年はさらに前進。前年よりさらに出番が増え、また失速もなく安定した働きを見せた。打率を大きく改善し初の二桁ホームラン。30歳を越えて自己ベストを連続更新。
そこそこの長打力と守備力を持つ平均的な選手で、突出した部分はないが使いやすいタイプ。08年4番以外のすべての打順で先発出場というのがこの選手の特徴を表している。どこかにきっちり固定するには少し弱いが、何をやってもまずまずこなせる。
09年も準レギュラーとして戦力に。序盤は打撃好調で、5月末時点で3割に8ホーマーの好成績。最終的にホームラン・打点で自己最多を更新し、チームの日本人で唯一の二桁本塁打を記録。ただ肩の故障で一時離脱し、復帰後は低調でシーズン打率をだいぶ落とすことに。そしてその不調は昨年も持続してしまった。開幕から低打率に喘ぎ、5月以降はたびたび二軍落ち。4年ぶりに100打席に届かず、出場数は自己最少。存在感のないシーズンに終わった。
充実していた近年から一気に後退。二軍では力の違いを見せたが、本来ここにいる選手ではない。もう35歳とベテランで、2年不振が続くと危険信号。今季はなんとしても巻き返したい。

37 辻 俊哉

控え捕手、一軍半型

右投右打
甲府工高〜国士舘大 ロッテ02ドラフト5巡〜06、オリックス07〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 オリックス 9 18 1 1 0 0 2 0 0 0 0 0 0 3 .056
09 オリックス 25 36 9 1 0 0 10 1 1 0 0 1 1 5 .250
10 オリックス 5 4 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 .250
通算 9年 160 291 66 16 1 1 85 28 2 14 2 13 2 65 .227

ロッテ時代、里崎・橋本に次ぐ立場だった捕手。02年新人ながら41試合に出場、シーズン後半は先発マスクをかぶる場面も非常に多かった。
特徴はわかりにくいが、非常にオーソドックスなタイプ。スローイングやキャッチングは一軍及第点レベルで、打撃もプロ初ホームランを放つなど結果を残した。しかし03年は里崎の急成長のあおりを受けて出番がほとんどなし。捲土重来を期した04年は春先打撃好調でポジションを奪いかけたが、長続きせず後半は二軍暮らしに終わった。
打撃では成長を感じさせたが、細かいところでポカが多く、まだ信頼しきれない部分が多い。正捕手争いでは二人に遠く引き離されてしまったが、打力を買われて06年は自己最多の出場数を記録。ただ結果を残せたとまでは言えず、早川とのトレードで07年はオリックスへ。
環境変わって心機一転といきたかったが、移籍以降逆に出場数を減らしている。捕手の中で3,4番手という立場を抜けられず、やや頭打ちの状態。09年は移籍後最多の出場数となったが、先発マスクは5試合と前田より少ない4番目。日高が故障で鈴木が大幅に出番を増やす状況でも存在感は希薄なままだった。この状況は変わらず、日高が再三二軍落ちし捕手陣が不安定だった昨年もわずか5試合の出場とむしろ後退。
二軍では3割台後半のアベレージに8ホーマーと打撃好調も、ちょっと一軍から遠ざかってしまっている。再浮上のきっかけを掴みたいところだが…。

44 鈴木 郁洋

俊足捕手、平凡型

右投右打
仙台育英高〜東北福祉大 中日98ドラフト4位〜02、近鉄03〜04、オリックス05〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 オリックス 27 18 3 0 0 0 3 0 2 2 0 1 0 9 .167
09 オリックス 63 140 28 5 0 0 33 8 8 6 0 14 1 28 .200
10 オリックス 86 192 30 5 1 1 40 12 1 17 0 14 1 65 .156
通算 13年 371 609 109 22 2 3 144 48 16 33 2 39 4 177 .179

シドニー五輪の日本代表に抜擢された捕手。中日時代「ポスト中村」に推されていた選手で、そこまで実績がほとんどなかっただけに、この人選には驚かされた。
一躍脚光を浴びるも、その抜擢以降もパッとしない状態。捕手らしからぬ俊足の持ち主でもあるのだが、もう一つ殻を打ち破れない。01年は正捕手中村の信頼が低下していたにもかかわらず故障で出場機会減少。02年は谷繁の加入ですっかり存在がかすんでしまった。
もうひとつ安定感のない捕手で、打撃も弱く正捕手を狙うにはちょっとパンチ不足。03年捕手層の薄い近鉄に移ったが、わずか12試合の出場に留まり、04年は一軍にお呼びもかからなかった。合併でオリックス入りした05年、交流戦にあわせて抜擢されたが、結局その一時期だけ。
06,07年と出場を減らして微妙な立場になりつつあったが、ここにきて急激に出番増加。08年半分以上が代走という起用法で久々に上向くと、09年は2番手捕手に急浮上。夏場日高が離脱したことで先発機会も急増し、出場数倍増となった。8盗塁と俊足もアピール。そして昨年はチーム最多の65試合でスタメンマスク。出場数・打席数ともに前年更新した自己ベストをさらに上回った。
ただこれは日高が信頼を失い再三二軍落ちした結果でもあり、実力で掴んだとは言いがたい。1割5分の打率はレギュラーとしてはあまりに低すぎ、守備面でも特に印象を残す部分はなく、最多出場でもあくまで暫定という立場。しかしベテランの年齢になって出番を増やしてきたのは大きなチャンスでもあり、ここできっちりアピールしたいところ。パ5球団相手に満遍なく1割台という弱々しすぎる打撃をもう少し何とかしたい。

45 斉藤 俊雄

控え捕手、一軍半型

右投右打
豊田大谷高〜三菱自動車岡崎 横浜05ドラフト10巡〜09、ロッテ10、オリックス11〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 横浜 25 39 7 0 0 0 7 2 0 4 0 1 0 13 .179
09 横浜 20 24 5 1 0 0 6 2 0 1 0 1 0 9 .208
10 ロッテ 21 27 5 1 0 0 6 0 0 3 0 1 0 11 .185
通算 6年 66 90 17 2 0 0 19 4 0 8 0 3 0 33 .189

一軍と二軍のボーダー上にいる捕手。まだ一軍実績が乏しく、一軍半の状態からなかなか前進しきれない。
がっしりした体格の選手で、高校時代は通算47ホームラン。社会人を経て、ドラフト10巡指名で横浜入り。即戦力という存在ではなく、3年間を二軍で過ごした。浮上してきたのは08年で、序盤に一軍初出場。その後二軍落ちするも、鶴岡の移籍があって再浮上。12試合のスタメンを含む25試合出場と急激に出番を増やした。
ただ翌09年は相川FA移籍でチャンス拡大のはずながら、開幕からずっと3番手か4番手の位置。当たれば飛ばせる力はあるが確実性が低く、地肩は強いがまだ力を発揮しきれないとあって、流動的な捕手陣でもほとんど出番を増やせなかった。前年からほぼ横ばいという結果に。
シーズン後トレード成立で昨年はロッテへ。こちらも橋本がFAで抜け、里崎の控えが手薄という状況ではあったが、競争に勝ちきることは出来なかった。一軍出場は序盤の2試合と里崎が離脱した8月以降のみで、シーズンの大半を二軍。戦力外から移籍加入の的場がサブに収まり、やはり3番手から4番手という立場のままだった。
ここまでチャンスは充分ながら頭打ちが続いている。二軍でもメイン捕手は田中に譲り2番手という立場で、もう一歩が踏み出せない。若いとはいえそろそろこの停滞を抜け出したいところだが。年明けにトレードが決まり、今度はオリックスへ。まだすべての面で物足りないので、全体的なレベルアップは必須。

52 アーロム・バルディリス

育成上がり外国人、打撃覚醒型

右投右打
阪神08(育成枠)〜09、オリックス10〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 阪神 77 132 30 9 0 3 48 16 1 4 1 17 4 28 .227
09 阪神 23 29 3 0 0 1 6 1 0 0 0 2 0 6 .103
10 オリックス 118 385 116 20 0 14 178 50 1 2 6 31 10 61 .301
通算 3年 218 546 149 29 0 18 232 67 2 6 7 50 14 95 .273

テストを経て育成枠から這い上がってきた外国人内野手。昨年オリックスに移籍しレギュラーまで上昇。
08年春季キャンプにテスト参加し、育成選手として阪神入り。この時点で25歳と若い選手で実績はほとんどなく、マイナーも3Aは1シーズンのみ。しかし開幕すると二軍で早々に5ホーマーの爆発。一軍のサードが今岡誤算、関本も序盤不調だったこともあって、5月初めに支配下登録されすぐに一軍昇格を勝ち取った。5月後半からは先発出場もするようになり、計77試合に出場。さすがに一軍レベルでは打撃は苦戦したものの、予想以上に出番を得た。
特徴は瞬発力の高い三塁守備。打球反応が良く、身体能力の高さをうかがわせる。外国人とはいえ間違いなく発展途上の選手で、2年目はほぼ二軍暮らし。下では打撃急成長で主砲として活躍し、チームの三冠、3割5分の高打率でウエスタンの首位打者に輝いた。ただ一軍ではチャンスも少なく、シーズン3安打と寂しい結果に終わった。
シーズン後戦力外となり、昨年はオリックスに移籍。そしてここで急激な成長を見せた。サブの扱いでスタートもサードのスタメンで起用されるようになり、5月は3割台後半という高打率をマーク。そのまま一気にレギュラーとなった。後半も打撃は安定した状態で、規定打席にはわずかに届かずもシーズン3割達成。二桁14ホーマーも放ち、大きく飛躍の年に。
基本的には引っ張り専門のプルヒッターだが、三振がかなり減り、一軍レベルへの対応力がついた。総合的に未熟な点は残り、打順も下位が中心だったがチャンスにも結果を残しなかなかの戦力に。成長途上の選手で今季さらに上昇の可能性も。

53 野中 信吾

小兵選手、俊足型

右投右打
神埼高 日本ハム02ドラフト5巡〜03、横浜04〜10、オリックス11〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 横浜 54 56 10 2 0 1 15 1 6 1 0 0 0 6 .179
09 横浜 7 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 .000
10 横浜 36 5 0 0 0 0 0 0 7 0 0 2 0 1 .000
通算 9年 220 188 41 8 2 2 59 10 33 15 0 12 3 37 .218

抜群の俊足を持つ内野手。横浜移籍後の07年一軍定着しポジション争いに参戦。
高校からドラフト下位で日本ハム入り。1年目の02年に早速一軍デビューで初ヒットも記録。もともとドラフト時に横浜が獲得を目指していた選手で、そういった経緯からか3年目の04年移籍。移籍1年目はファームの盗塁王に輝き、一軍でも3盗塁を記録した。
05年はほとんど代走ながら30試合と出番をかなり増やした。足に関しては充分一軍レベル。翌年は二軍暮らしだったが、32盗塁で2度目のイースタン盗塁王を獲得。そして07年はついに一軍に台頭してきた。前半はそこそこだったが、オールスター後代打でプロ初ホームランを放ったのを機に出番が急増。スタメン機会も増え、初めてシーズン打席が100を越えた。快速ぶりを発揮してチーム唯一の二桁盗塁を記録。レギュラー候補に名乗りを挙げるシーズンとなった。
ただこの台頭をピークに以降は後退。期待された08年打撃がさっぱりで代走要員に逆戻りしてしまい、石川に大きく後れを取ることとなった。09年はさらに落ち込み、レギュラー争いどころか一軍にも残れずほぼフルシーズン二軍暮らし。
昨年は少し持ち直し出場を増やしたが、打席機会も守備機会も非常に少なくほぼ代走限定の起用だった。シーズン後トレードで今季はオリックスへ。昨年12球団最少の盗塁数だったチームで、その脚力を武器に一軍定着を狙いたい。

54 伊藤 光

若手捕手、大幅前進型

右投右打
明徳義塾高 オリックス08ドラフト(高)3巡〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 オリックス 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 -
09 オリックス - - - - - - - - - - - - - - -
10 オリックス 2 4 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 .000
11 オリックス 42 92 11 4 0 1 18 6 2 6 1 7 2 41 .120
通算 4年 45 96 11 4 0 1 18 6 2 6 1 7 2 42 .115
11年成績は7/24現在

4年目の今季前半チームトップの先発マスクを任され、急激に出番を増やしてきた捕手。将来の正捕手の期待がかかる存在。
高校時代甲子園には届かなかったものの、強肩に俊敏さを兼ね備えた好捕手として評価され、高校生ドラフト3巡指名でオリックス入り。1年目から積極的に二軍戦に起用され、一軍出場も経験するなど当初から期待は非常に高かった。2年目は開幕前から一軍帯同し、大抜擢が予想されたがここでアクシデント。春先椎間板ヘルニアを発症し離脱、シーズンを丸ごと棒に振ることになってしまった。
思わぬ躓きとなったが昨年実戦復帰し、終盤に一軍にも出場。そして今季は大きな前進を果たした。開幕スタメンに抜擢されたのを皮切りに、流動的な捕手事情の中で積極的に起用され、交流戦ではプロ初ホームランも記録。6月以降は出番が減ってきたが、一気に一軍定着に近付くシーズンとなった。
打率が恐ろしく低いが、まだ足は完全とは言えない状態のようで、実質初めての一軍で捕手ということも考え合わせればやむをえないところ。チームの捕手では実績一番の日高がベンチの信頼を失っており、鈴木や斉藤といったところは欠点も多く決め手がない状態。チーム状態にもよるが近いうちに正捕手格となる可能性も高い。

55 T-岡田 (岡田貴弘)

大砲覚醒、大飛躍型

左投左打 本塁打王(10)、ベストナイン(10)
履正社高 オリックス06ドラフト(高)1巡〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 オリックス - - - - - - - - - - - - - - -
09 オリックス 43 139 22 2 0 7 45 13 0 1 0 13 4 59 .158
10 オリックス 129 461 131 31 2 33 265 96 0 0 4 49 6 136 .284
通算 5年 175 606 154 33 2 40 311 109 0 1 4 62 10 198 .254

5年目の昨年レギュラーとなると、一気に飛躍を遂げ本塁打王獲得の若手長距離砲。一つきっかけを掴むと瞬く間に素質を開花させた。
高校時代通算55本塁打を放ち、辻内(巨)、平田(中)、鶴(神)らとともに「浪速の四天王」と称された存在。特にその中でも「浪速のゴジラ」の異名をとり、ライバルに阻まれて甲子園出場はならずも、ドラフトの目玉として早くから注目を集めた。高校生ドラフトで辻内の抽選に敗れたオリックスに1巡指名されプロ入り。
プロ入りすると1年目から一軍で初ヒットを記録も、08年までの3年間はほぼ二軍。フレッシュオールスターで一発を放つなどしたが、二軍成績は横這い。しかし4年目の09年から急激に伸び始めた。まずは二軍で一発を量産し、最終的に21ホーマー、59打点でウエスタンの二冠王獲得。夏場以降は一軍に進出し、ほとんど先発出場。打率は恐ろしく低いままだったものの、プロ初を含む7ホーマーを放ち素質の片鱗を発揮。
さらなる飛躍を期待された昨年は登録名を変え、開幕からスタメン出場。そしてその期待を大幅に上回るシーズンとなった。序盤は前年同様一発は出るも低打率という状態だったが、5月月間4割マークで急上昇。日を追うごとに自信を深め、後半7月以降は3割以上と確実性も高まった。売りの一発は開幕から一定のペースで積み上げ続け、リーグで唯一の30ホーマー突破。33本を放ち見事タイトル獲得。打点96もリーグ3位の数字で、レギュラー定着と同時に主砲の活躍を見せることに。
なんといっても魅力は恵まれた体格から放たれる雄大な飛距離。話題となった「ノーステップ打法」で、ほとんど体重移動を行わずその場の回転でボールを叩き、そのホームランはほとんどが打った瞬間それと判る豪快なもの。
左投手に弱く、追い込まれれば脆くとさすがに粗っぽさもたぶんに残しているが、日本人離れしたパワーを見せ付ける長打は非常に貴重な存在。また一軍進出から短期間でタイトルまで上り詰めた成長力も見逃せない。球界屈指のホームラン打者となりそうな、楽しみな存在。

58 梶本 勇介

俊足内野手、微前進型

右投左右打
専大北上高 ヤクルト02ドラフト2巡〜10、オリックス11〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 ヤクルト 20 28 6 1 0 0 7 3 3 0 1 4 0 5 .214
09 ヤクルト 12 26 7 0 0 0 7 1 1 0 0 1 0 4 .269
10 ヤクルト - - - - - - - - - - - - - - -
通算 9年 62 113 21 1 1 0 24 5 6 1 2 6 0 29 .186

緩やかに一軍に近付いている内野手。まだ確たる実績はないが、徐々に出番が増えてきた。
高校では畠山の1年後輩で、当時は投手。高校通算40本塁打の打撃の素質を高く評価され、プロ入りと同時に野手転向。当時世代交代が急務となっていた内野手となった。その後脚力を活かすためスイッチに転向し、04年一軍初出場。1年置いた06年にプロ初ヒットを記録。
まだ一軍は遠く、08年もほとんど二軍暮らしだったが、シーズン終盤に昇格して20試合に出場。本格的に一軍進出する気配を見せた。開幕一軍入りの翌09年はその開幕戦に代走で出ただけで、しばらく二軍暮らし。出場数自体は前年より減ってしまったが、3位争い大詰めの10月、故障した田中浩の代役としてスタメン出場しなかなかの好結果。終盤にアピールすることは出来た。しかし昨年は二軍で低打率に喘ぎ、一軍出場機会なし。前年終盤の勢いをつなげることが出来なかった。するとシーズン後戦力外に。
徐々に上昇してきたところで痛い躓きとなってしまった。秋季キャンプでのテストを経て今季はオリックスへ移籍。もう中堅の年齢だけに、ここではっきりした結果を残したいところ。様々なポジションをこなすが守備力は高くなく、昨年二軍では一塁が一番多かった。

66 由田 慎太郎

巧打者タイプ、平凡型

左投左打
桐蔭学園高〜早大 オリックス04ドラフト8巡〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 オリックス 7 10 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 6 .100
09 オリックス 12 11 2 0 0 0 2 1 0 0 0 0 0 0 .182
10 オリックス 17 15 1 1 0 0 2 0 0 0 0 0 0 4 .067
通算 7年 70 70 11 1 0 1 15 5 1 3 0 5 0 19 .157

一軍入りを狙う左の外野手。現状ではまだほぼ二軍選手の立場で、なかなか突き抜けてこない。
大学では青木(ヤ)、鳥谷(神)らと同期。レギュラーとして活躍し、首位打者や打点王などのタイトルも獲得してきた。8巡とかなり低い指名順位でのプロ入り。
バランスの取れた巧打者タイプで、二軍では安定した成績を残している。3年目の06年一軍初登場も低打率に終わったが、翌07年5月にプロ初ホームランを記録。わずかながら成績を伸ばしてきた。
ただ何でもやれそうな反面、あまりにも特徴に乏しいタイプ。二軍の安定も突出した部分がなく、常に標準といった数字。08年一軍出場わずか7試合と一歩後退すると、以降も二軍から脱しきれない。09年は終盤に12試合出ただけで終わり、昨年も何度かチャンスがありながら1安打しかできず。
昨年二軍では3割マークしたが、一軍では明らかに力不足という状態。走守に特徴なく、打撃面で大きなブレイクスルーがないとかなり厳しい。もう中堅の年齢で、今季は正念場のシーズン。

69 竹原 直隆

和製大砲、停滞型

左投右打
関西高〜城西大〜三菱自動車岡崎 ロッテ05ドラフト4巡〜11途中、オリックス11途中〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 ロッテ 67 116 21 8 0 3 38 16 1 2 0 20 1 24 .181
09 ロッテ 89 215 49 9 1 5 75 30 2 6 2 34 5 61 .228
10 ロッテ 40 72 10 3 0 1 16 7 1 0 0 7 0 17 .139
通算 6年 272 548 112 26 0 17 191 76 6 10 6 73 6 134 .204

入団から2年連続ファームの本塁打王となった期待の長距離砲。先に一軍進出した大松とは同期入団で競り合う立場だったが、近年伸び悩み気味。
日本人には非常に珍しい、左投右打の選手。社会人のスラッガーとして知られた選手で、国際大会で4本塁打の活躍実績を持つ。プロ入りするとファームで本塁打量産。大松と競い合うように打ちまくり、23ホーマーでタイトル獲得。打点2位、打率3位とあわや三冠という成績を残した。2年目も本数こそ減ったものの本塁打と打点の二冠獲得。ただ一軍ではさっぱりで、この点では大松に遅れを取ってしまった。しかし勝負どころの3年目に一軍本格進出。
開幕一軍入りした07年は、序盤結果を残すことに成功。5月には待望の一軍初ホームランを放った。後半は持ち味を発揮して7ホーマーを放ちレギュラー争いに参戦。大きな前進のシーズンとなった。広い福岡ドームで4本放ち長距離砲としてアピール。
しかしさらなる飛躍が期待された翌年大きく足踏み。4月末までにわずか2安打と開幕から派手に躓き、以降も打撃低調。必然的に昇降格を繰り返すエレベーター状態に陥った。期待の一発もなかなか出ず、結局シーズン3ホーマー。打率は2割に届かず後退のシーズンに。
中軸となった大松とは随分水を開けられてしまった。09年は再び出場機会が増え、ほぼレフトの準レギュラーに。一発はあまり出なかったものの、7月末まではまずまずの成績を残していた。しかし8月以降64打数6安打という大不振に陥り、打率を一気に落としてしまった。そして昨年は大幅後退。前半は二軍が長く、出番の増えた後半はさっぱり打てず。出場数半減に加え1割台前半という低打率でシーズン終了。
どうも極端な不振が長期間続く傾向があり、昨年も7月以降は51打数4安打と1割にも届かない大スランプ。一発も6月に放ったのが唯一のものだった。打てなくなってしまうと左投げの使い勝手の悪さも際立ってしまう。今季開幕直後にオリックスへトレード、持ち味を取り戻して再台頭できるか。

91 フランシスコ・カラバイヨ

パワーヒッター、異色の経歴型

右投右打
アイランド・リーグ高知〜BCリーグ群馬 オリックス10途中〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
10 オリックス 36 113 29 4 0 7 54 18 0 0 0 11 1 46 .257
通算 1年

昨年7月に加入の新外国人。09年から日本の独立リーグでプレーしていた選手で、昨年も直前までBCリーグに所属していた異色の選手。
ベネズエラ出身。03年からマイナーでプレーしていたが、キャリアは2Aが最高。08年はアメリカ・カナダの独立リーグでプレーし、09年来日してアイランド・リーグ高知に所属。ここで18ホーマー、76打点を記録し二冠王に輝いた。高知を退団した昨年はBCリーグの群馬に所属。ここではさらに力の違いを見せ、39試合で15ホーマー、46打点。打率も3割5分と一人次元の違う数字を叩き出して三冠王独走状態。7月に入ったところでオリックスが獲得表明し、NPB入りとなった。
半ば育成選手という印象もあったが、7月中旬に一軍登録されるといきなり初ホーマーを記録。その後オールスターまでノーヒットが続いたが、8月に入ると率も上向いてきた。シーズン終了まで7ホーマーを放ち、打率も2割5分まで上昇。
左投手を極端に苦手とした辺りに経験不足が垣間見えるが、独立リーグを席巻したパワーは充分。ちなみにBCリーグでは結局二桁本塁打の選手は他に現れず、2位に7本差をつけてのトップ、打点も2位という結果だった。まだ27歳と若さもあり、先がなかなか楽しみな存在。