中日ドラゴンズ

 1 堂上 直倫

兄弟選手、急台頭型

右投右打
愛工大名電高 中日07ドラフト(高)1巡〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 中日 3 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 .000
09 中日 2 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 .000
10 中日 82 259 68 12 1 5 97 30 0 14 1 25 2 35 .263
通算 4年 87 261 68 12 1 5 97 30 0 14 1 25 2 36 .261

4年目の昨年一軍に大きく前進、レギュラーを掴みかけた若手内野手。入団時から大きな期待を受けていた存在で、将来の中心選手と目される期待株。
父は中日で投手として活躍し寮長も務めた照氏、そして同じ中日に所属する剛裕を兄に持つ、生粋の野球一家。兄を上回る逸材として早い内から評判だった選手で、高校時代は3度甲子園出場、2年時にセンバツ優勝、屈指の強打者として活躍。高校生ドラフトでは3球団が競合し、抽選の末中日入りに。
前述の通り父・兄ともに中日に所属し、地元出身の大物とあって入団時から並々ならぬ期待をかけられた。1年目は完全に二軍で過ごしたが、2年目には退団した福留の背番号1を継承。ただ09年までは二軍でも思ったほどの成績を残せず、一軍出場も顔見せ程度にとどまっていた。
昨年も序盤は二軍で過ごしていたが、井端の離脱でチャンス到来。これまで二軍でもほぼ三塁のみだったにもかかわらず、急遽二塁に廻り6月中旬から代役としてスタメン出場。当初打つほうはかなり苦しんでいたものの、6月末に待望のプロ初ホーマー。そして7月以降は慣れてきたか安定した打撃を見せるようになった。後半はほぼ常時出場し、通年で打席数は300に到達。一気に一軍戦力に台頭。
打撃面では左投手に非常に強く3割6分、4ホーマーをマーク。また若いながら三振が非常に少なかった。意外だったのは守備の堅実さで、三塁が本職の急造二塁手とは思えぬほど手堅く捌き、失策はわずか2に留まった。井端の状態次第ではこのままポジション確保という可能性も充分。今季さらにジャンプアップできるか。

 2 荒木 雅博

遊撃転向、ビッグプレー型

右投右打 ベストナイン(04〜06)、Gグラブ(04〜09)、盗塁王(07)
熊本工高 中日96ドラフト1位〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 中日 130 538 131 15 2 4 162 28 32 15 1 35 2 81 .243
09 中日 140 582 157 21 1 2 186 38 37 19 1 25 4 70 .270
10 中日 136 579 170 29 5 3 218 39 20 5 1 38 2 73 .294
通算 14年 1415 5022 1385 178 20 26 1681 333 292 161 19 263 24 685 .276

ショートの井端と鉄壁のコンビを誇ってきた中日のセカンド。脚力を利した守備範囲の広さを売りとし、昨年はショートに転向。
「ポスト立浪」の期待を受けて高校からドラフト1位入団。俊足は充分に一軍レベルにあったものの、打撃の非力さは否めず。内野の他に外野もこなしたが、なかなか一軍半を脱することができなかった。5年目までは一軍に出てもほぼ代走要員。
台頭してきたのは01年、福留の不振に乗じて一軍定着。課題だった打撃で高アベレージを維持し、内外野こなせる強みも発揮して後半は完全にレギュラーに定着した。シーズン終了まで好調を維持し3割3分の好成績。新たな1番打者と大いに期待された。だが翌年からまた打率が低迷。03年はさらに数字を落とし1番失格。内外野兼務だった守備は二塁に固定されたが、また打撃が足を引っ張る状態に。
ここまでどうにも歯がゆい状態が続いていたが、04年ようやく期待に応えて一本立ち。右打ちの向上で打撃が長足の進歩を遂げ、1番打者に返り咲いた。盗塁数も一気に倍増し、井端との1,2番コンビは勝敗の鍵を握る重要な存在となった。優勝に大きく貢献し、翌05年もほぼフル出場で安定した働き。これまではセンスのみでやっている印象もあったが、すっかり主力に定着した。
ポテンシャルは高いながらももう一つ突き抜けなかった守備も大きく成長。特に守備範囲の広さは随一で、派手なファインプレーが多い。センターに抜けようかという打球を抑え、井端にグラブトスするプレーはこのコンビならでは。
06年は前半故障で精彩を欠くも、復帰した後半活躍で改めて存在感を見せつけた。ただこのあと少々打撃が低調。07年は初の盗塁王を獲得したが、打率は大幅に落としてしまった。08年はさらに低調。五輪出場のシーズンだったが、ペナントではシーズン通して振るわなかった。09年は当初井端とのポジション入れ替えでショートに廻る構想だったが、開幕前に故障で白紙に。出足で躓いたが、打撃のほうは少し持ち直すことが出来た。シーズン通して特に好調期もない代わりに極端な不調もなく、主に2番を打ってそれなりに安定した成績。
昨年は改めてコンバートに挑み、開幕からほぼショートに固定。打順も1番となった。打撃面は序盤いまいちだったものの、6月以降は近年にないほど好調。特に後半7月以降は3割打ち、シーズン3割にもあと一歩という数字を残した。盗塁数半減で6年続いていた30台を大きく割り込んでしまったが、不動のトップバッターとして優勝戦力に。
一方でショート守備には苦労した。送球面が少し苦しく、失策数20はリーグで2番目の多さ。最多失策の坂本より守備率は低かった。後半は慣れてきた印象もあり、今季は改善したいところ。年齢的にはそろそろ中堅からベテランの域にも差し掛かる。

 4 藤井 淳志

レギュラー候補、急進後退型

右投右打
豊橋東高〜筑波大〜NTT西日本 中日06ドラフト(大・社)3巡〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 中日 40 35 6 1 0 2 13 2 2 3 0 1 0 9 .171
09 中日 114 401 120 26 1 10 178 49 15 11 2 23 1 79 .299
10 中日 63 166 39 6 3 1 54 8 3 9 1 7 1 38 .235
通算 5年 333 707 184 38 4 14 272 64 28 29 4 33 3 152 .260

09年急成長でセンターレギュラーとなった外野手。4年目の大ブレイクで一気に主力の一角に。
鉄砲肩と評される抜群の強肩が武器で、ベンチの期待は高く、プロ1年目から2番センターで開幕スタメン出場。打撃で結果が出せず控えに落ち着いてしまったが、主に代走・守備要員として40試合出場とまずまずのデビューを果たした。2年目はさらに出場数を増やし、盗塁増加、プロ初ホームランも記録。ただここまでは守備は高評価も打撃が弱く、08年も2ホーマーを放つも打率は1割台。あまり変わり映えのしない状態で終わり、前年より出場数を減らしてしまった。
やや守備専門の色濃くなっていたが、09年劇的な変わり身を見せた。2年間の右打席専念から再びスイッチに戻すと、オープン戦からアピールし開幕スタメン出場。好調はシーズンに入っても持続し、序盤は2ヶ月で7ホーマーと意外なパンチ力を発揮。長打はピタッと止まったが、その後もコンスタントに打ち続け8月には3割4分の高打率をマーク。終盤骨折で離脱し規定打席に届かなかったものの、3割にあとわずかという好成績を残して完全にレギュラー定着。
課題だった打撃が急成長でバランスの取れた選手に変貌した。しかし昨年は実質2年目のジンクスというべきか、一転して大不振に喘いだ。開幕から深刻な打撃不振が続いてポジション脱落どころか二軍落ち。再昇格しても復調できず再び二軍調整と全く冴えないまま。スタメン出場は38試合に留まり、大きく後退のシーズンに。
前年より大幅に成績が落ちた中でも、左投手に対する右打席が1割5分と散々な状態。スイッチの利便性をアピールすることも出来なかった。低迷の間にセンターは大島が確保しかけているが、ライトは流動的。今季はなんとしても立て直して再度ポジションを目指したい。

 5 和田 一浩

ベテラン強打者、中軸型

右投右打 ベストナイン(02〜06,10)、首位打者(05)、最多安打(05)、最高出塁率(10)、MVP(10)
県岐阜商高〜東北福祉大〜神戸製鋼 西武97ドラフト4位〜07、中日08〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 中日 136 520 157 34 4 16 247 74 1 0 4 34 2 71 .302
09 中日 144 517 156 24 4 29 275 87 5 0 5 68 2 56 .302
10 中日 144 505 171 29 2 37 315 93 5 0 5 92 0 77 .339
通算 14年 1382 4799 1516 278 27 259 2625 797 63 11 41 583 18 661 .316

30歳を過ぎてから飛躍の遅咲きスラッガー。安定した活躍を続け、38歳となる昨年本塁打自己最多を更新。
社会人から西武入団。当時は捕手で、引退間近の伊東に代わる存在と期待されたが、いまいち力不足で突き抜けなかった。3〜4番手から抜け出せず、伊東を脅かすまでには到底至らず。正捕手候補としては失格だったが、その代わり打撃の評価が急上昇。2年目に3ホーマーを放ったパンチ力は、当時打力不足に泣かされていたチームにとって魅力的な存在で、徐々にポジションは外野にシフト。00年に3割を放ち、01年はさらに出番が増えて16ホーマー。これで正式に外野転向となると、翌年は一気に5番定着。3割30ホーマーと大飛躍を遂げ、完全に中軸打者に成長した。和田の5番定着でカブレラとの勝負を避けられない場面も増え、打線に与えた影響は計り知れない。投高打低と言われ続けたチームを変えた選手といっても過言ではない。左投手に苦しんでいたチームが変身する要因ともなった。
左足を大きく開いたオープンスタンスで、ヘッドとリストを利かせたスイング。一見するとややアッパー気味の大振りにも映るが、ボールを捉える能力は非常に高く、三振は少なめ。ボールの下側をスライス気味にカットする独特の打法で、右方向への打球が伸びるのが特徴。揺さぶられても対応できる柔軟性も持ち、確実性が高い。
初めての日本シリーズで不振に陥る「パターン」にはまったが、翌年には引きずらず高打率をマーク。三振を大幅に減らして四死球を増加させる理想的な進歩で、打者としてさらに一回り成長した。以降は常に主力として活躍し、05年は30ホーマーに届かずも後半3割7分という怒涛の追い込みを見せ、4年連続の3割で首位打者に輝いた。WBC代表にも選出された06年は3割を割ったものの自己最多の95打点を記録。
しかし翌07年は3割こそマークしたものの、さっぱり打点を稼げず、印象のあまり良くないシーズンとなった。併殺が非常に目立ち、ほぼ5番に座りながら49打点と寂しい数字。この時点ですでにベテランの域に入っており、一発の減少もあって衰えも懸念されたが、翌08年中日にFA移籍すると再び上り調子に。前年のような極端な勝負弱さは見せず、5番定着でチーム2位の74打点。翌09年は減り続けていた一発が4年ぶりに20本台に増加。
そして昨年は開幕から絶好調。常に高打率を維持し、それに伴って一発も量産。もう一つ乗れないブランコに替わって4番も多く務め、打線の中心として活躍。最後まで大きなスランプもなく、6年ぶりに30本台に乗せたホームランは自己最多更新の37本。打率・打点も含め打撃三部門でチームトップの数字を叩き出し、リーグトップの92四球で出塁率タイトルに。優勝に大きく貢献し、MVPに選出された。
打撃に関して衰えの気配はなく、むしろ移籍後は若返ったような印象も。ここまで規定打席に到達して3割に届かなかったシーズンは1度だけというシュアな打者で、今季も主砲として大いに期待される。

 6 井端 弘和

職人、守備名手型

右投右打 ベストナイン(02,04〜07)、Gグラブ(04〜09)
堀越高〜亜大 中日98ドラフト5位〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 中日 106 408 113 16 3 5 150 23 8 16 2 37 3 56 .277
09 中日 144 569 174 24 2 5 217 39 13 8 2 72 6 66 .306
10 中日 53 180 47 6 0 0 53 16 0 6 2 21 3 28 .261
通算 13年 1367 5179 1503 223 22 48 1914 393 139 187 18 532 49 664 .290

長年中日の不動のショートストップを務めたベテラン内野手。堅実一途の職人タイプで、特に守備では鉄壁の名手として知られる。しぶとい打撃にも定評があり、攻守ともにチームのキーマンとも言える。
ドラフト5位入団と、それほど大きな期待を受けた選手ではなかったが、1年目から一軍出場。センスの良さは随所に見せたが、定着までには至らなかった。しかし00年、不振に喘ぐ李鐘範や福留の代役として抜擢されると期待以上の大活躍。攻守に渡る活躍で一気にレギュラーを手中にした。翌年も勢いは止まらず、チーム唯一のフルイニング出場で完全定着。李を戦力外に、福留を外野に追いやり、ライバルを完全に蹴散らした。
もともとは打撃が買われていた選手だが、守備面で強烈アピール。失策が極端に少ない選手で、守備機会の多いショートにあって毎年失策は一桁。かといって守備範囲が狭いというわけではない。打撃も長打こそないものの、小技に長けたしぶとさを発揮。すべての面で失敗の少ない堅実ぶりを見せ、欠かすことの出来ない大事な戦力。
03年は故障でやや不振だったが、04年は念願の3割達成。05年はさらに成績を伸ばし、不調の期間がほとんどなかった。荒木と組む二遊間・1,2番は、重要な得点源にして守備の要と、チームの顔とも言うべき強力なコンビに。2番ながら63打点をマークし、出塁率も4割を越えた。
1番に座った07年は自己最多の23盗塁も記録。打率も常に3割前後とここ数年はずっと安定した成績。08年故障などがあってやや精彩を欠いたものの、荒木との入れ替えコンバート案が頓挫した09年は打撃好調。序盤からコンスタントに打ち、交流戦では3割6分の高打率。フル出場を果たして4年ぶり3度目の3割をマークした。出塁率はリーグ2位と1番として申し分のない成績。
故障の影響と年齢的な要素から、昨年は改めて二塁へ転向。開幕から好調なスタートを切った。しかし5月故障で一時離脱すると、復帰後6月にもまた故障離脱。さらに苦難は続き、7月今度は目の異常を訴えてここから長期離脱。一軍復帰は10月の最終戦にようやくで、台頭した00年以降では最少の出場数に終わった。
目の異常は過去に何度か受けた視力矯正手術の影響という話も。ゴーグル状のメガネを着用して出場した日本シリーズだったが、無理のある復帰だったか20打席近くノーヒットが続くなど極度の不振。万全とは言いがたい状態だった。技術は確かな選手だけに、今季は体調をどこまで戻せるかが焦点。

 7 佐伯 貴弘

元大砲候補、打撃安定型

左投左打
尽誠学園高〜大商大 横浜93ドラフト2位〜10、中日11〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 横浜 90 186 50 11 0 2 67 19 0 7 1 13 1 30 .269
09 横浜 114 361 93 16 0 12 145 55 1 0 3 35 3 90 .258
10 横浜 10 9 1 0 0 0 1 0 0 0 0 1 0 0 .111
通算 18年 1831 5663 1575 286 21 155 2368 789 42 48 37 516 42 1064 .278

横浜の中軸を担ってきたベテラン打者。入団当初は長距離砲の期待をかけられていたが、中距離打者として大成。
即戦力として1年目から一軍定着し、2年目には11ホーマー。田代以来の日本人大砲との期待もあったが、むしろ一発を捨てたことで成功した。4年目に初めて規定打席に達して2割9分の好成績を残し、以降は安定した打率を残すように。守れるところが限定されているため不動のレギュラーとはいかなかったが、常に100試合以上に出場しほぼレギュラー級の活躍。優勝した98年も6番を多く務め、「マシンガン打線」の一角を担った。00年には再び規定打席に達し、ローズ・駒田の抜けた翌年にはクリーンアップに座って初めてのフル出場。3割14ホーマーの好成績を残した。
02年故障で出場機会が半減すると、03年はウッズの加入でまた準レギュラー扱いに。しきりに放出説が囁かれたのもこの頃だった。しかし04年にレギュラーに返り咲くと、開幕から打棒安定で力を発揮し、ホームラン・打率ともに自己新記録をマーク。ベテランの域に入って見事に復活を遂げた。05年はウッズが抜けた4番に指名され、前半は波が激しく苦しむも後半巻き返して自己最多の88打点を記録。打率こそ落としたが、4年ぶりのフル出場で1年間4番を守り続けた。
長らく中心選手で活躍を続けたが、06年はかつてないほどの大不振。開幕からずっと4番も2割そこそこの低空飛行が続き、6月ついに4番から降格。ようやく復調気配かと思いきや今度は故障で戦線離脱。一度狂った歯車は戻らず、2割台前半の低打率に終わった。内容の悪さから限界説も囁かれたが、翌年は復活。開幕から打撃好調でレギュラー復帰、規定打席に達して3年ぶりの3割、長打も戻って以前の安定水準に返り咲き。増える一方だった三振を大幅に減らし完璧に持ち直した。
08年は開幕からスタメン一塁も内川がハイアベレージで大ブレイク。4月末以降はポジションを譲り、代打がメインとなった。前年より打席機会半減となったが、09年はジョンソンの低迷からレギュラーに復権。打率のほうは振るわなかったが、12ホーマーを放ちスタメン出場のほとんどで5番で任された。
出ればそれなりの結果を出してきた選手だが、40歳となる昨年は出場機会激減。開幕を二軍で迎え、一軍昇格は6月後半。代打で10試合ほど出たものの、1ヶ月で再び二軍落ちすると、そのままシーズン終了。初めて一軍での打席が100に届かないばかりか、わずか10打席1安打という自己最低の1年となった。
結果が出なかったこともあるが、当初からベンチの構想外になっていたような印象。シーズン終了を待たず戦力外を通告されたが、左の代打を求める中日と契約成立し、今季19年目で移籍ということに。かつての同僚石井琢のように意地を見せられるか。

 8 大島 洋平

即戦力外野手、バランス型

左投左打
享栄高〜駒大〜日本生命 中日10ドラフト5位〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
10 中日 104 314 81 10 4 0 99 17 8 27 2 29 2 52 .258
通算 1年

社会人からプロ入りの子連れルーキー。レギュラー級の出場機会を得、即戦力として働いた。
大学では前年ドラフト1位で中日入りした野本の1年後輩。日本生命では日本選手権で5割超の高打率を残すなど1年目から活躍。ドラフト5位で中日入りとなった。即戦力の期待から積極的に起用され、開幕1番スタメン出場。ほぼ準レギュラー格として一軍出場を続け、2番を任されることが多かった。打撃はやや苦戦が続いて、8月には1割台前半の大不振で二軍落ち。しかし再昇格した終盤は3割と向上を見せ、最終的に1年目から100試合以上出場、内81試合に先発と上々のデビュー。
俊足と柔軟な打撃が持ち味の選手で、強烈な個性には欠けるもののバランスの取れた能力の持ち主。守備力も安定しており、先発試合すべてがセンターでの出場。新人ながら2番として小技もこなし、実戦的な働きを見せた。
左打者ながら左投手を得意とし3割以上。むしろ右投手を2割3分と苦手としていた。シーズン終盤からの好調をキープし、日本シリーズでは23打数9安打の活躍、強烈な印象を残した。これは確実に自信となったはずで、今季はセンター完全固定が期待される。

 9  野本 圭

即戦力外野手、バランス型

左投左打
岡山南高〜駒大〜日本通運 中日09ドラフト1位〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
09 中日 64 175 44 6 1 2 58 13 1 6 0 6 4 34 .251
10 中日 118 238 52 7 2 4 75 27 0 9 3 26 1 53 .218
通算 2年 182 413 96 13 3 6 133 40 1 15 3 32 5 87 .232

ドラフト1位入団、レギュラー定着を期待される外野手。1年目から多くの出場機会を得た。
大学時代もベストナイン3度と中心打者として活躍。社会人に進み、ドラフトでは2球団が競合。抽選の末中日入りとなった。社会人外野手としては89年オリックス佐藤和弘(パンチ)以来のドラフト1位。当然期待は即戦力で、開幕2戦目には早くも先発出場。その試合でプロ初安打をホームランで記録し、序盤はライトで積極的に起用された。しかし野手の1年目はやはり厳しく、打率が伸びず6月に二軍落ち。それ以降後半は出場機会が大きく減り、何度も昇降格を繰り返す一軍半状態でシーズンを終えた。
尻すぼみの1年目だったが、2年目の昨年はほぼ一軍定着。ライトでの先発出場に加えてチームトップの代打起用で、100試合以上に出場し、打席数も200台の後半と準レギュラー格に。ただ打撃のほうはずっと低調で7月末時点で1割台。8月以降ようやく持ち直したが、2割そこそこの打率でシーズンを終えた。
昨年入団した大学の後輩大島に比べて随分見劣りする結果に終わったが、一方で代打では面白い成績も残した。打率こそ2割2分と振るわなかったものの、53打席で10もの四死球を拾い、3割8分の出塁率を記録。先発時は213打席で17四球なのだから、まるで別人のような状態。シーズン四球の7割がフルカウントから選んだもので、このしぶとさを安定して発揮できればもっといい成績も残せそうだが。

24 英智 (蔵本 英智)

強肩、守備職人型

右投右打 ゴールデングラブ(04)
県岐阜商〜名城大 中日99ドラフト4位〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 中日 77 70 15 2 1 1 22 7 4 5 0 2 0 23 .214
09 中日 71 121 26 2 0 1 31 10 4 4 1 2 0 20 .215
10 中日 68 127 28 3 1 1 36 9 8 10 1 6 3 20 .220
通算 12年 775 1218 291 40 7 11 378 114 47 58 7 49 16 248 .239

強肩を誇る守備の名手。04年台頭して優勝に大きく貢献し、守備要員と同時に準レギュラーとしても活躍。
入団当初は無名に近かったが、その強肩と俊足に注目されて4年目の02年急台頭。一軍定着を果たし、これ以降常にレギュラー候補に挙げられる存在となった。しかし03年は打席数が試合数の半分と完全に守備要員。もう一歩が抜け出せない印象だった。
04年もスタートは控え。前半はほとんどそのままだったが、後半見違える活躍。五輪で抜けた福留の穴を埋め、外野の一角を占める活躍を見せた。自身初の100試合以上出場を勝ち取り、打席数も大幅増。ゴールデングラブのタイトルにも輝き、最高のシーズンとなった。福留が故障で終盤も離脱したため、その存在は最後まで大きなものとなった。
翌05年シーズン4安打という極度の不振に陥り守備要員に逆戻りしたが、06,07年は再び準レギュラー格に。06年は2割そこそこの低打率で目立たなかったが、07年は打撃復調。特に後半は福留が欠場したこともあって貴重な戦力となり、自己最多の4ホーマーを記録。
ただどうも打撃面でこの水準を維持できない選手で、08年低打率に喘いで大きく後退。準レギュラーから控えに後退という形となった。100を切った打席機会は徐々に回復しているが、打率は低空飛行続き。昨年も前半は良かったものの、後半になるとさっぱり打てなくなり、最終的に3年続けて低打率に終わった。
ベテランの域に入っても守備力は依然戦力で、安定した力量は一枚上の存在。ただ近年は打撃があまりに弱く、スタメン機会も少なからずありながら非常に印象が薄い。ここでもう一奮起したいところだが。

27 谷繁 元信

ベテラン捕手、不動型

右投右打 ベストナイン(98)、Gグラブ(98,06,07,09)
江の川高 大洋・横浜89ドラフト1位〜01、中日02〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 中日 113 329 77 18 0 2 101 27 0 9 1 39 6 45 .234
09 中日 115 298 62 7 0 9 96 33 0 19 4 44 3 62 .208
10 中日 110 308 75 15 0 7 111 32 0 11 1 42 5 81 .244
通算 22年 2534 7459 1810 344 20 210 2824 916 31 213 54 955 102 1605 .243

息の長い活躍を続ける中日の正捕手。横浜時代からすでに不動の地位を築き、移籍以降も投手陣をリードする要の存在。
超高校級の逸材捕手と注目され、ドラフト1位と大きな期待を受けてのプロ入り。高卒1年目から80試合に出場と、将来の正捕手を確約されたも同然だった。ただ当時の一軍捕手、市川や秋元といったところをなかなか抜けず。その原因は一にも二にもディフェンス。どちらかというとムラのある性格で、特にリードにはかなり苦労していた。打撃も確実性がなく、93,94年に正捕手となるも95年はまた秋元と併用状態に。
しかし3割を記録して磐石のレギュラーとなった96年頃からリードも急成長。特に優勝時にはリリーフ投手を巧みにリードし、「古田と甲乙つけがたい」とまで言われるほどになった。もともと評価の高かった強肩も、スローイング術を磨くことで高レベルの盗塁阻止率を記録。またキャッチング技術は日本一とも言われるほどに成長。
だが佐々木が退団した辺りから、どうも淡白なところが目立つようになった。生来のムラッ気が顔を出し始め、就任した森監督とは噛み合わなかった印象。それを嫌ってか01年オフにFA宣言。当初はメジャー行きを公言していたが、当時中村の衰えが深刻化していた中日入り。谷繁獲得に憤慨した中村は移籍志願し、前代未聞の正捕手入れ替わりという移籍劇となった。
予想外の中日入りだったが、移籍後は予想以上に活躍。それまで打つほうではさほど目立っていなかったが、01年から急激にホームランが増え、その傾向は移籍後も継続。移籍初年の02年は自己最多の24ホーマーを放ち、確実性は乏しいものの、チームにない一発長打を持つとあって中軸を打つこともしばしば。年とともにさすがに一発ラッシュは消え、近年打撃のほうはすっかり低打率に落ち着いたが、しかし守備面での存在感は依然健在。正捕手としてチームを引っ張り続け、後続を寄せ付けていない。05〜07年まで3年連続4割台の盗塁阻止率を記録。
さすがに40歳近いとあって体調不安が見え始め、08年は故障で1ヶ月離脱。09年は移籍の小山を起用する試合も多く、先発マスクは98試合にとどまった。リーグ最多の捕逸を記録するなど衰えも感じさせたが、昨年も引き続き正捕手に君臨。7月以降の後半3割近い打率と久々に打撃で活躍を見せた。盗塁阻止率は依然リーグ2位の高水準。
昨年は巨人戦に滅法強く、対戦打率3割8分をマーク。ヒットの3割以上、半分近い二塁打をこのカードで放った。40歳の大台に乗り、「ポスト谷繁」は急務の課題なのだが、依然として後続を大きく引き離す存在。どこまで時代は続くか。

30 森野 将彦

中距離打者、中軸成長型

右投左打 ベストナイン(10)
東海大相模高 中日97ドラフト2位〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 中日 96 358 115 25 1 19 199 59 1 3 5 46 0 60 .321
09 中日 144 546 158 42 3 23 275 109 4 1 5 72 8 95 .289
10 中日 144 547 179 45 2 22 294 84 2 2 7 64 6 77 .327
通算 14年 1088 3470 993 221 11 119 1593 524 11 31 33 334 23 590 .286

30歳を越えてから成績を伸ばしている中軸打者。便利屋的存在として活躍の後、中心選手に成長。
将来の中軸候補としてドラフト上位で中日入り。高卒1年目から初ホームランを放ったが、その後2年昇格なし。00,01年も一軍出場こそ果たすが結果が芳しくなく、ここまでは全体的に荒削りでエレベーター選手の域を出なかった。状況が変わってきたのは6年目の02年。機会を得るために様々なポジションをこなし、出場試合数を大幅に伸ばした。期待の打力も低打率ながら5ホーマーを記録。一軍定着の足がかりを得て、翌年はさらに向上。打撃技術が格段に良くなり、準レギュラーの活躍を見せた。打席数を増やしながら三振が減ったのは長足の進歩。
それでも3年間は控えにとどまっていたが、05年春先絶好調。立浪の守備の不安から三塁に入り、前半は完全にレギュラーとして働いた。6,7月に大きく落ち込んで失速したが初の100試合以上出場。そして翌年は骨折で開幕出遅れたものの、5月中旬に復帰以降はほとんどスタメン出場。サードをメインに荒木の代わりにセカンドも守り、初めて規定打席に到達した。後半から5番に座るようになり、初の二桁ホームラン。年々の向上でとうとう開花。
ポジションや打順を問わない中距離打者として、ここからは充実一途。07年は中村紀の加入でメインをレフトに移すも、ほぼ5番に定着でシーズン通して安定した打棒を発揮。特にオールスター以降で42打点を叩き出し、シーズン97打点をマークした。翌年は前半肉離れで離脱、8月は五輪出場で96試合の出場にとどまったものの、シーズン通して高打率を維持。五輪特例で規定打席到達し、初の3割を記録した。バッテリーとショート以外すべてを守り、打順も1番や4番先発も記録と相変わらずのマルチぶりを発揮。
そして09年からは三塁に定着。安定しているがやや地味だった打撃で大きな存在感を見せるようになった。開幕から3番を任され、前半は不調も後半に入ると急激に調子を上げ、7月以降3割1分、そして14ホーマー62打点の好成績。3割には届かずも自身初のフル出場で20ホーマー突破。最終戦で同僚ブランコにかわされタイトルは逃したが、初の100打点突破。二塁打42本は両リーグトップ。
主力となって以降成長は止まらず、昨年もさらに向上。「3番三塁」にほぼ固定され、開幕から非常に好調。6月の不振からしばらく波のある状態となったが、優勝争いの終盤は好調キープで大いに貢献。フル出場で3割を越え、自己最高打率を更新。本塁打・打点は前年より減ったものの、2年続けて両リーグトップの二塁打を記録した。
阪神戦に非常に強く、打率4割6分で出塁率は5割超。打撃面の成長目覚しいが、一方で二塁や外野を掛け持ちしていた頃は無難にこなしていた守備が、三塁固定されてエラー多発。09年両リーグ最多の25、昨年も19失策は12球団の三塁手で最多だった。守備は落ちてしまったが打撃の貢献は大きく、中堅になってからの急成長で遅咲きと言えるかも。もう欠かすことの出来ない不動の存在となっている。対右3割7分に対して対左2割5分とだいぶ差があったところは改善したい。

32 水田 圭介

リザーブ内野手、貧打型

右投右打
大阪桐蔭高〜プリンスホテル 西武01ドラフト7位〜09途中、阪神09途中〜10、中日11〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 西武 17 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 0 0 -
09 西武 7 11 2 0 0 0 2 0 0 0 0 1 0 2 .182
阪神 12 5 0 0 0 0 0 0 2 0 0 0 0 1 .000
10 阪神 - - - - - - - - - - - - - - -
通算 10年 130 72 7 0 1 1 12 4 4 6 1 4 1 18 .097

守備・代走要員の内野手。堅実な守備と足が売りだが、打撃が弱いタイプ。
所属したプリンスホテルの廃部により、規定より1年早くプロ入り。1年目から一軍出場したが、ちょっとプロでは貧弱な印象だった。当初3年間は一軍出場一桁で、ほぼ二軍暮らし。それでも年々出場機会は増え、05年は開幕一軍入り。二塁・三塁・遊撃をこなし、守備要員として少しずつ前進。
ただいかんせん弱いのが打撃。一軍では全く力不足で、これが明らかにネックとなっている。06年は長年守備要員だった上田が引退し出番が増えるかと思われたが、夏場まで昇格できず全く増えなかった。8月にプロ初ホームランを放つも、これがシーズン唯一のヒット。
ここで出場が増えなかったのは少々痛い。07年はスイッチに挑戦も、状況はあまり変わらず。右打ちに戻した翌年も打席に立ったのはわずか2度で、犠打と四球のみだった。守備固めとしても存在感が薄く、後半は完全に二軍暮らし。
09年は久々に一軍でヒットを放つも、一軍半を脱しきれない状態は変わらず。シーズン途中藤田とのトレードが成立して阪神へ移ったが、状況はあまり変わらなかった。出場のほとんどが代走・守備固めで、それも一軍定着にはやや遠い数字。
通算打率が1割に届いていないというのはさすがに弱々しすぎるか。昨年はプロ入り後初めて一軍出場なく終わり、新井良との交換で今季は中日へ移籍。もう30歳となっており、崖っぷちという状況は変わらない。

38 前田 章宏

ドラ1捕手、停滞型

右投右打
中京大中京高 中日02ドラフト1巡〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 中日 3 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 .000
09 中日 6 10 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 3 .100
10 中日 9 4 1 1 0 0 2 0 0 0 0 0 0 1 .250
通算 9年 34 24 2 1 0 0 3 1 0 0 0 1 0 7 .083

ドラフト1巡でプロ入りし9年経過の捕手。なかなか一軍の壁を突破できず、ここまではほぼ二軍状態が続いている。
強肩強打の高校屈指の捕手と評価され、寺原の外れ1巡で中日入り。地元出身でもあり、将来の正捕手を大いに期待されてのプロ入りとなった。入団した年移籍してきた谷繁の、「その次」を担う存在と目された。
一軍初出場は2年目に経験したが、捕手ということもあり二軍でじっくり育成。だが6年目の07年に一軍出場なしに終わるなど、そこからなかなか浮上できず。二軍でも抜きん出ることができず、07年に加入した田中に遅れを取ることも。
ここ2年ほんの少し一軍に近付き、昨年は自己最多の9試合に出場。とはいえ依然一桁に留まっており、アピールするところまでは至っていない。高卒でも年数が経ってもう27歳と中堅の域。そろそろ一軍のサブ争いには加わりたいところだが。

40 平田 良介

若手外野手、停滞型

右投右打
大阪桐蔭高 中日06ドラフト(高)1巡〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 中日 59 97 26 3 0 1 32 9 0 5 2 6 1 25 .268
09 中日 42 85 23 7 3 2 42 9 0 0 1 8 1 19 .271
10 中日 6 12 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 4 .083
通算 5年 112 208 54 10 3 3 79 21 0 5 3 14 3 53 .260

高校ドラフト1巡指名の若手外野手。将来の主力として期待される選手で、一軍定着目前まで迫った時期も。
高校時代はチームメイトの辻内(巨)とともに活躍、この二人に岡田(オ)、鶴(神)を加えて「ナニワ四天王」と呼ばれた。甲子園で1試合3ホーマー、高校通算70本塁打のスラッガーとして中日入り。1年目、2年目と肩の故障で離脱があったが、07年は終盤に一軍ですべて先発出場。ポストシーズンもそのまま出続け、日本シリーズ最終戦では決勝の犠飛を記録した。翌年は5月の昇格時はすぐにUターンとなったが、6月に再昇格後は好成績。スタメンも増え、着実に前進してきた。9月には待望のプロ初アーチが代打サヨナラ弾。
一発を量産というよりはアベレージを残す中距離打者といった印象。09年期待されたレギュラー獲りはならなかったものの、左投手に強いところを見せわずかながら成績上昇。一軍定着にあと一歩という状態だったが、昨年は一転大きく後退。数えるほどの出場機会しかなく、放ったヒットはわずか1本のみ。シーズンのほとんどを二軍で過ごした。
二軍成績は悪くはないものだったが、3割未満でノーアーチとあまり魅力のない数字。ライバル的存在だったT-岡田は昨年タイトルホルダーまで飛躍、先行していたはずが一気に突き放された。まだ22歳と若く、ここからしっかり巻き返したいところ。目指す方向性がいまいちはっきりしない点が気がかり。

42 トニ・ブランコ

主砲、一発屋型

右投右打 本塁打王(09)、打点王(09)、ベストナイン(09)
中日09〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
09 中日 144 549 151 25 0 39 293 110 1 0 4 48 14 157 .275
10 中日 134 493 130 21 0 32 247 86 0 0 2 57 9 158 .264
通算 2年 278 1042 281 46 0 71 540 196 1 0 6 105 23 315 .270

09年来日するといきなり二冠王となった外国人大砲。軽々とスタンドに運ぶ桁外れのパワーが最大の魅力。
メジャー出場は05年のみ、マイナーも近年は2Aまでとアメリカでの実績はあまりない選手。ドミニカ出身者獲得に積極的な中日が、前年のウインターリーグで目をつけた。「当たった時の飛距離は途轍もない」という評価で、退団したウッズに替わる存在として来日。
開幕4番スタートも4月は2割そこそこに4ホーマーと序盤はスロースタート。しかし5月に入ると3割後半に8ホーマーと急上昇。これ以降コンスタントにアーチを量産し、交流戦では唯一の二桁11本塁打に24打点の二冠王。打率のほうは8月の不振でだいぶ下げたが、39ホーマーでほぼ独走の本塁打王。そして同僚森野を交わして打点王も獲得し、見事二冠王となった。新たな主砲として大きな存在感を発揮。
基本的には三振が多く粗っぽい打者だが、捉えた打球は図抜けた飛距離を誇る。本来はサードながら守備力が非常に低く、マイナー時代の02年61試合で30失策、08年も65試合で31失策(いずれも三塁のみでのもの)と目を疑うような記録を残したほど。ウッズの後任ということもあって日本ではほぼ一塁専念だったが、こちらもシーズン序盤はエラーの多さが目に付いた。日程が進むにつれ多少落ち着いたが、一塁での失策数は12球団最多。
2年目となる昨年も序盤は好調キープ。ところが徐々に調子を崩し始め、6月には1割台という大不振。5月から7月にかけて2割1分という低調な状態が続いた。8月以降ようやく持ち直したが、前年より成績ダウン。30ホーマーはクリアしたもののリーグ上位が40本台後半に達したため、タイトル争いには全く加われなかった。チャンスにも結果を残せず打点は大幅減。和田と入れ替わり5番に入る試合も数多かった。
昨年は強引過ぎるところも目に付き、形が崩れていた感も。打撃が落ち込むと他の面が見劣りする(14失策は前年に続いて一塁手の最多)だけに、今季は好不調の波を小さくしたいところ。昨年ヤクルト戦に相性が悪く、打率1割台に打点は一桁に留まった。

44 小池 正晃

好守、万能型

右投右打
横浜高 横浜99ドラフト6位〜08途中、中日08途中〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 中日 59 141 32 8 0 4 52 15 1 6 1 10 3 34 .227
09 中日 101 174 40 6 0 7 67 18 1 11 0 13 3 42 .230
10 中日 54 84 17 2 1 1 24 5 0 6 0 5 4 20 .202
通算 12年 635 1424 350 70 3 45 561 146 6 107 10 101 22 328 .246

横浜時代の05年2番で活躍を見せた外野手。守備力の高さとパンチ力に特徴を持つ。
高校時代は松坂らとともに甲子園春夏連覇。指名順位は低かったが、バランスの取れた能力に期待は高かった。2年目にはファームのレギュラーを掴み、3年目には一軍出場。02年は打席数を飛躍的に伸ばし、プロ初ホームランも記録した。
03,04年は一軍の出場が減っていたが、ファームではいずれも二桁のホームラン。そして05年は開幕一軍入りを果たすと、一気に飛躍の年となった。5月の末から2番に抜擢され3試合連続を含む5試合で5ホーマー。これでレギュラーに食い込み、以降はほぼ最後まで2番を務めることに。終盤不振で打率は下げるもリーグトップの37犠打に20ホーマーを記録。06年は序盤不振でポジションを奪われかけたが、5月以降巻き返し。一発は激減したが打率を伸ばし2年連続でリーグトップの犠打を記録した。
本職は外野だが、プロでも当初三塁を兼任したほど器用な選手。専念した外野の守備力は高く、リストの強い打撃と同時に小技もこなせ、全体的にまとまった力を持つ。ただ打撃に関しては確実性に欠けるのがネック。
多村の抜けた07年は不動のレギュラーを期待されたが、自身が打撃不振に陥りレギュラー失陥。これで存在感が急激に落ちてしまった。翌08年は一軍さえ遠ざかっていたところで、シーズン途中に中日へトレード。移籍後も低打率で徐々に出番は減っていったが、先発で起用されるなど少し息を吹き返した。そして09年は3年ぶりに100試合出場。相変わらず打率は低く流動的だったライトに収まりきることは出来なかったものの、スタメン、代打に守備固めと様々な役割をこなした。
昨年は序盤なかなか好調だったが、6月に止まってしまうとそこから夏場はエレベーター状態に。終盤もさほど状態は上がらず、結局前年より出番半減。打率も2割がやっとというところまで落としてしまった。引き続きライトは固定されず、ポジション獲りのチャンスもあったのだが活かせず。
控えとしてはオールマイティな力を持ち使い勝手のいい選手だが、レギュラーを任せるにはちょっと不足か。もう少し確実性があればもっと出番も多いのだが。

45 ジョエル・グスマン

大砲外国人、扇風機型

右投右打
中日11〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
11 中日 45 153 25 2 0 6 45 12 0 0 1 7 2 59 .163
通算 1年
11年成績は7/24現在

当たれば飛ぶパワーが魅力の外国人選手。中日おなじみのドミニカ出身者で、飛ばす力はブランコをもしのぐ怪物級という評価。
メジャー経験は通算24試合と乏しいが、アメリカでも期待はなかなか高かった選手。昨年2Aで33ホーマーを放ちリーグの本塁打王獲得、数年前から狙っていた中日とオフに契約した。日本では外野起用だがもともとは内野手で、プロ入りから数年はショートがメインだった。
5番起用された開幕戦で早速来日1号を放つデビューを果たしたが、次の一発は1ヵ月後。巨漢の大砲だが、これも見た目どおり非常に粗っぽく、開幕から三振ばかりがひたすら積み重なった。5月になっても1割台前半という極端な低打率は変わらず、一時二軍落ち。再昇格した6月は初めて月間打率が2割を越え、4ホーマーと持ち味を見せたが、前半を終えて打率1割台に6ホーマーと寂しい成績となっている。
パワーは凄いが当たらないほうが多いという、いかにも古典的な扇風機タイプ。ただ100打席余りで44もの三振を喫していた序盤に比べると、二軍調整後は三振ペースは大幅に減っており、多少向上の跡は見える。ここからどれだけ盛り返せるか、せめてシーズン打率は2割以上欲しいところ。

46 岩ア 達郎

守備型内野手、貧打型

右投右打
横浜商大高〜新日石 中日07ドラフト(大・社)5巡〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 中日 20 18 1 1 0 0 2 0 1 1 0 0 0 1 .056
09 中日 19 11 2 0 0 0 2 0 0 1 0 2 0 2 .182
10 中日 78 60 11 2 0 1 16 4 3 17 0 8 0 13 .183
通算 4年 117 89 14 3 0 1 20 4 4 19 0 10 0 16 .157

入団時から守備力を高く評価されている内野手。代走と二遊間の守備要員として、昨年出場数が大幅に増加。
社会人からプロ入り。1年目は一軍出場はなかったものの、二軍でチームトップの13盗塁と脚力をアピール。08年は代走・守備要員として一軍出場が増えた。09年はほとんど代走のみで出場数が増えていないものの、開幕一軍とわずかずつ存在感を出してきている。
地味な存在ではあるが、昨年井端が長期離脱したことで出番が大幅に増えた。主に二塁の守備要員として一気に78試合出場。その半数が守備からだった。多くはないものの15試合のスタメンも記録。打席機会が増えたことで9月にはプロ初ホームランも。
守備力は安定したものを持ち、堅実に動ける選手。課題はやはり打撃にあり、二軍でも好成績を残したことがないほど弱々しい。ここでもう少し力がつけば、井端の状態次第ではさらに出番も増やせそうだが。

52 小田 幸平

控え捕手、貧打型

右投右打
市川高〜三菱重工神戸 巨人98ドラフト4位〜05、中日06〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 中日 41 64 12 1 0 0 13 4 0 2 1 4 0 12 .188
09 中日 24 24 1 0 0 0 1 1 0 1 1 1 0 6 .042
10 中日 37 84 23 8 0 0 31 11 0 2 2 6 1 14 .274
通算 13年 248 407 83 19 1 1 107 35 0 18 5 15 5 92 .204

中日の控え捕手。どっしりした体型の古典的なタイプで、なかなか台頭の機会がなかったが04年以降控えに定着。
「ポスト村田真」として巨人が集めた捕手の一人で、当然即戦力として期待された。しかし1年目の出場はわずか2試合にとどまり、期待を裏切った形で以降はすっかり忘れられた存在に。99年から村田善が台頭、01年には阿部が加入と状況も逆風一辺倒で、毎年思い出したように起用されるのが精一杯。打撃の弱さもそれに拍車をかけていた。
すっかり二軍生活が板についてしまっていたが、04年ようやく風が吹いた。夏場の阿部の故障でチャンスを得ると、これまで見られなかった打棒を発揮。代役にとどめておくには惜しい働きで、プロ入り以来初めて活躍らしい活躍を見せた。村田善が全く打てなかったことで二番手捕手に台頭。05年もほとんど控えだったが、阿部が一塁に廻った後半戦は先発の機会も増えた。
FA野口の人的補償として中日に移籍以降は谷繁の控えに完全定着。相変わらず打てないが、守備の信頼感は非常に高く、確固たる地位を占めた。オフに視力矯正手術を受けて、08年はトレードマークだったメガネをつけずにプレー。出場試合数・打席数ともに自己最多だった。
サブの地位は不動かと思われたが、09年移籍加入の小山が2番手に急浮上。そのあおりから一軍の試合出場は4月と8月だけで、ヒットは4月に打った1本のみ。出場数を減らし3番手に後退となってしまった。昨年も前半は二軍暮らしという状態。しかしそのままでは終わらず、6月末に昇格するとここから巻き返し。27試合の先発を含む37試合出場で小山を逆転、再び2番手浮上に成功。
昨年は例年になく打撃好調で、ほぼ自己ベストの打率。そのためシーズン打席数は自己最多を記録した。また長打がこれほど多かったのも過去にない姿。これが開眼となれば、33歳という年齢からも「ポスト谷繁」としての存在感が増す。状態持続で課題克服となるか。

55 福田 永将

パワーヒッター候補、元捕手型

右投右打
横浜高 中日07ドラフト(高)3巡〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 中日 - - - - - - - - - - - - - - -
09 中日 17 16 3 1 0 1 7 1 0 0 0 2 0 7 .188
10 中日 15 12 2 0 0 0 2 0 0 0 0 0 1 6 .167
通算 4年 32 28 5 1 0 1 9 1 0 0 0 2 1 13 .179

パンチ力あふれる打撃を期待される若手選手。捕手としてプロ入りも打撃を活かすため一塁に転向、一軍進出をうかがう位置に。
名門高校で1年からレギュラーとなり、2歳上の涌井(西)とバッテリーも組んだ。早くから4番を任され、主将としてセンバツ優勝。華々しい実績を引っさげ、高校生ドラフトで指名され中日入り。1年目は捕手として過ごすも、秋季キャンプから一塁へコンバート。
当初の2年間は二軍でも実戦出場が少ない状態だったが、3年目に大きく上昇。夏場に一軍昇格を果たすと、代打でプロ初打席初本塁打を記録した。その後も活躍とはいかず、昨年もほぼ同じような結果とちょっと停滞しているが、パワフルな打撃に期待は大きい。まずは代打でアピールしたい。

56 松井 佑介

若手外野手、パンチ力型

右投右打
大商大堺高〜東農大 中日10ドラフト4位〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
10 中日 35 55 16 2 0 0 18 3 0 0 0 1 0 15 .291
通算 1年

身体能力に優れるとされる、昨年の新人外野手。一軍定着とはいかなかったものの好成績を残した。
大学時代は主砲として東都二部リーグで活躍し、4年秋には本塁打・打点の二冠王。ドラフト4位指名で中日入りとなった。オープン戦でパンチ力を発揮し、1年目から開幕一軍入り。そして序盤はなかなかの打棒でアピール。主に代打で起用され、打席機会は多くないながらも3割をキープ。
思い切りのいい豪快なスイングを見せる選手。積極的に振ってくるスタイルで四球は1と極端に少なかった。肩の強さも評価され、身体能力に優れるとされる。
好成績だったが6月頃から出場機会が激減。後半は13試合に留まり、打撃のほうも2安打と止まってしまった。同じくルーキーの大島に差をつけられてしまったが、代打で23打数8安打というのは魅力。左にも強さを見せ、今季は完全に一軍定着を目指す。

63 堂上 剛裕

二世選手、強打型

右投左打
愛工大名電高 中日04ドラフト6巡〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 中日 1 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 .000
09 中日 9 13 2 0 0 0 2 1 0 0 1 0 0 3 .154
10 中日 58 97 24 5 0 2 35 17 0 2 1 4 0 18 .247
通算 7年 106 190 48 7 1 4 69 29 0 2 2 9 1 37 .253

かつて中日で投手として活躍した照氏を父に持つ、期待の若手選手。父子鷹ならぬ「父子竜」として入団時話題になった一人。実弟直倫がドラフト1巡で入団した07年から一軍出場。
高校通算46本塁打のスラッガー候補としてプロ入り。2年目に一軍初出場はしたものの、当初3年間は二軍でじっくり育てられていた。一塁と三塁を守っていたが、07年外野に転向。そして6月に昇格すると、7月末にプロ初ホームラン。代打で3割以上打ち、18試合に先発出場。実質的なデビューを飾った。
弟が鳴り物入りで入団してきたことは大きな刺激となった模様。二軍ではそれほど一発が出ていなかったが、一軍では早い段階で打てた。しかしこれが持続できず、翌年はわずか1試合の出場のみ。09年も故障もあってわずか9試合の出場と停滞。
昨年も前半はほぼ二軍暮らしが続いたが、6月後半に再昇格すると打撃好調でアピール。オールスター前後からスタメン出場も多くなり、3年ぶりの一発も放った。好調は8月半ばに止まり、以降はさっぱり打てなくなってしまったが、自己最多の出場数で再台頭。
チームで野本に次いで多く起用された代打は、最終的にはパッとしない結果に終わったが、パンチ力には大きな魅力。少ない打席数で参考程度ではあるが、得点圏打率が高かったのも好材料。ポジションを掴みかけている弟とともに一軍戦力として飛躍できるか。

65 小山 桂司

中堅捕手、移籍台頭型

右投右打
秋田経法大付高〜秋田経法大中退〜シダックス 日本ハム06ドラフト(大・社)5巡〜08、中日09〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 日本ハム 27 29 5 1 0 0 6 0 0 1 0 1 0 3 .172
09 中日 59 122 19 5 1 1 29 10 0 1 0 12 2 31 .156
10 中日 35 65 14 3 0 0 17 4 0 3 3 5 0 20 .215
通算 5年 121 216 38 9 1 1 52 14 0 5 3 18 2 54 .176

09年戦力外から中日入りし、一軍出場を増やした捕手。シーズン序盤谷繁の代役として奮闘。姓の読みはこやまではなく「おやま」。
大学中退後社会人に進み、日本ハム入り。肩の強さが評価されていた選手で、また当時は捕手としては非常に珍しいスイッチヒッターだった。1年目オフに素行の悪さを理由に減俸される一幕もあり、2年目までは二軍暮らし。捕手だけでなく様々なポジションをこなしていたが、08年初の一軍出場。スタメンマスクも被り、数自体が少ないものの4割の盗塁阻止を記録するなど持ち味も見せた。しかしオフに戦力外通告。不可解なタイミングだったが、トライアウトを経て中日入り。
移籍した09年は開幕一軍入り。そして開幕直後に谷繁が故障離脱という事態となり、大きなチャンスが巡ってきた。小田がほとんど打てないことからスタメンマスクを被るようになり、出場機会急増。いきなり存在感を増した。打つほうではさすがに苦しかったものの、5月にはプロ初ホームランも記録。
環境変わってチャンスを掴んだが、昨年は前半2番手で過ごすも後半出番激減。小田が打撃好調で巻き返し、3番手に後退してほとんど出場機会を得られなかった。どうもキャッチングに難があり、前年多かったパスボールは昨年も減らず、29試合の捕手出場で捕逸3。この課題は早急に改善していかないと、ここで頭打ちという危険性も高い。守備面の向上必須。