埼玉西武ライオンズ

11 岸 孝之

エース級右腕、先発安定型

右投右打
名取北高〜東北学院大 西武07希望枠〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 西武 26 4 12 4 0 0 168 1/3 151 12 138 48 5 4 64 3.42
09 西武 26 2 13 5 0 0 179 2/3 168 25 138 53 5 3 65 3.26
10 西武 19 3 10 6 1 0 113 2/3 100 9 110 26 5 3 41 3.25
11 西武 21 3 8 9 0 0 135 131 12 106 39 3 1 57 3.80
通算 5年 116 14 54 31 1 0 753 681 74 634 221 26 13 286 3.42

プロ1年目から先発の中心に座り、常に高水準の成績を残し続ける右腕。安定した活躍で涌井とともにチームを支える存在。
大学ではリーグ内で長らく無敵だった東北福祉大を打ち破り、チームを18年ぶりの優勝に導く活躍。06年のドラフトで「大学生右腕bP」と称された。希望枠で西武入り。ただでさえ先発不足、その上松坂の抜けたチーム事情から期待は非常に大きく、1年目から開幕ローテーション入り。2度目の登板でプロ初勝利を挙げ、以降もおおむね安定した投球で見事二桁11勝を挙げた。チームでは涌井に次ぐ成績で、惜しくも届かなかったものの、楽天田中と新人王を激しく争う活躍。
非常に伸びやかな、躍動感を感じさせるフォームで、前評判通りチームの先輩である西口に似たところも。コンスタントに140km以上の伸びのある速球とスライダーに加え、カーブを交えた緩急も駆使する。このカーブは変化量よりも打者の手元で鋭く曲がる球質で、速球との両対応が困難な非常に厄介なボール。
2年目は前半勝ちは稼ぐもやや不安定な状態で、オールスター時点の防御率は4点台後半。しかし8月に入ると調子一変。別人のような安定感で勝ちを積み上げ、7月から6連勝でシーズン終了。前年を上回る12勝をマークし、チーム勝ち頭となる活躍を見せた。8月以降防御率1点台の勢いはその後も止まらず、日本シリーズではカーブが面白いように決まって相手を翻弄し、シリーズMVPに選出。レギュラーシーズンの連勝は翌09年開幕から6戦全勝のスタートを切ったことで12まで継続。一つ負けた後また5連勝し、この年は自己最多の13勝をマーク。リーグワーストの被本塁打を喫するもほとんどがソロ単発で、防御率は3点台前半に収めた。
ここまで常に一定の成績を残し続け、10年も最初に一つ負けた後2完投を含む先発7連勝、前半で9勝をマークと好調。ところがここで肩を痛めるアクシデント、プロ生活で初めて2ヶ月以上の戦線離脱となってしまった。それでも終盤優勝争いの渦中で復帰し、最後は先発勝利で10勝到達、入団から4年連続の二桁勝利達成。
ただ5年目となる昨年は苦しいシーズンとなった。開幕前に脇腹を痛め大きく出遅れ。5月に復帰したものの、らしからぬ不安定な投球が続いた。夏場に5敗を喫するなど精彩を欠き、8月終了時点で防御率4点台。終盤ようやく調子を戻して3連勝、チームの巻き返しにも貢献したが、出遅れと不調が響きプロ入り後初めて10勝に届かず、負け越しに終わった。
故障明けということもあったが、昨年の岸はカーブやスライダーが「ドロン」とした曲がりで本来の切れを感じなかった。統一球がなかなか馴染まなかったという話もあり、その辺りの影響が強かったかもしれない。終盤は本来の姿に戻ってきており、今季は二桁復権がノルマ。ここ2年故障が続いているのはちょっと気がかり。

13 西口 文也

ベテラン復活、先発型

右投右打 MVP(97)、沢村賞(97)、最多勝(97,98)、最優秀勝率(97)、最多奪三振(97,98)、ベストナイン(97,98)、Gグラブ(97,98,02)
県和歌山商高〜立正大 西武95ドラフト3位〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 西武 22 0 8 6 0 0 116 1/3 125 18 92 48 4 5 65 5.03
09 西武 25 0 4 4 0 3 93 1/3 110 14 60 38 4 3 53 5.11
10 西武 13 0 3 2 0 0 57 1/3 65 8 43 27 2 0 35 5.49
11 西武 22 2 11 7 0 0 140 104 5 104 41 8 2 40 2.57
通算 17年 408 54 177 113 6 3 2420 1/3 2228 280 2016 859 77 42 993 3.69

長年先発の中心として活躍し、入団から11年連続勝ち越しという実績を誇るベテラン投手。近年やや衰えを見せていたが、昨年見事に復調。
大学からドラフト3位で西武入り。1年目はアメリカへ野球留学した関係で9試合の登板に留まったものの、完封を含む2勝をマーク。そして2年目の96年に大飛躍を遂げた。先発の一角に食い込んだばかりか、リーグトップの13完投、一気に16勝の大活躍。これ以降完全に中心投手となり、97,98年と連続最多勝。02年まで7年連続二桁勝利を記録。99年松坂が加わってからは、少しその陰に隠れた面もあったが、チーム投手陣を代表する存在として君臨。
体全体をダイナミックに使う、躍動感あふれるフォームが特徴的で、最大の武器は鋭く大きく曲がるスライダー。このボールの制球が良く、右打者のアウトコースからボールゾーンへ逃げていく、カットすることも難しい球。スピードもあり、97,98年と奪三振リーグトップ。また痩身ながらスタミナも充分で、98〜00年は3年連続リーグトップの完封をマーク。
03年故障に苦しみ、防御率6点台と低迷。連続二桁勝利も止まり6勝に終わったが、翌04年には復活し、前半だけで8勝を挙げる活躍で二桁勝利復帰。さらに翌05年は自身最高と言えるシーズンになった。交流戦で6勝を稼ぎ、7月には早くも10勝到達。タイトルには届かなかったが、自己最多の17勝を挙げる圧巻の投球を見せた。規定投球回に達しての防御率2点台は意外にもこれが初めて。交流戦であと一人のところからノーヒットノーランを逃し、8月末には9回をパーフェクトに抑えながら延長突入でヒットを打たれと、1年で2度も大記録を逃したことが話題にもなった。
ただこの活躍をピークに、以降は成績が下降し始めた。06年は手痛い被弾が多く9勝止まり。松坂が抜けた07年は4月末までに5勝を挙げる猛ダッシュも、ここから4連敗と躓き、以降も安定感が戻らず。2年続けて9勝、それ以上に13年目にして初めて負け越しを喫してしまった。4点台に落ちた防御率は翌年さらに悪化し5点台に突入。この年は勝ち越したものの8勝止まりで規定投球回にも届かず。落ち込みは止まらず、09年は一時先発から脱落。4ヶ月も勝ちから遠ざかり、最終的に4勝。10年は前半1勝のみで再三二軍調整。後半は2勝上乗せしたものの、登板数は半減で存在感も希薄に。
球威の衰えも目立ち、長期続く下降状態にいよいよ限界という印象もあったが、昨年大きく巻き返し。改めて先発入りも前半は依然不安定な状態で、オールスター時点では負け越し。しかし7月末から一気に調子を上げ、9月半ばにかけて6連勝をマーク。この間5年ぶりの完投・6年ぶりの完封も記録。前半最下位に沈んだチームが後半巻き返す大きな原動力となった。8月以降で7勝を挙げ、この間の防御率はほぼ2点ジャスト。シーズン11勝は6年ぶり10度目の二桁勝利達成で、さらにチーム唯一の10勝到達。久々に存在感を見せ付けるシーズンとなった。
ここ数年とは別人のような活躍。もちろん全盛期には及ばないものの、ある程度球速が戻り、らしい投球が出来たのが大きい。オリックスに5戦4勝とCS争いの当面の相手に強かったのも印象深い。今季中に40歳となるが、この復活で先発の重要な戦力。この状態を維持したい。

14 江草 仁貴

リリーフ左腕、馬力型

左投左打
盈進高〜専大 阪神03自由枠〜11途中、西武11途中〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 阪神 55 0 3 1 0 9 58 1/3 55 3 54 29 1 3 18 2.78
09 阪神 62 0 4 5 0 11 63 50 3 65 40 2 5 19 2.71
10 阪神 21 0 1 0 0 2 19 1/3 22 1 15 13 0 1 11 5.12
11 西武 12 0 0 1 0 3 8 7 0 6 9 0 0 5 5.63
通算 9年 297 1 22 16 0 38 395 1/3 370 22 399 205 17 23 132 3.01

4度の50試合以上登板経験を持つリリーフ左腕。阪神時代は「JFKトリオ」を補佐するような形で活躍を見せた。
専大から自由枠で阪神入り。即戦力の期待もあったが、当初2年はほとんど二軍暮らしで実績を残せなかった。しかし3年目の05年は開幕一軍入り。しっかりとした投球を見せて一気に信頼を掴んだ。JFKを出すには早い場面やビハインドの場面など、目立たないが重要な場面の登板をこなした。
馬力のありそうなタイプで、スピードは普通でも球威を感じさせる。自信を持っているのはフォークボールで、奪三振も非常に多い。2〜3イニングと少し長めのリリーフを任せられるのも長所。
スタミナも充分ということで06年は先発チャレンジ。開幕ローテーション入りし、5月までに5勝をマークした。しかし徐々に内容が悪化し、6月下旬からは再びリリーフに。結局これ以上の勝ち星の上積みは出来ず、先発に戻ることもなかった。この結果を踏まえて07年からはリリーフに専念。前年とは大違いの安定感を見せ、欠かせない戦力となった。後半の力投が目覚しく、オールスター以降29試合に投げて4勝。通年の防御率も1点台に。08年は序盤好調で、開幕から5月末まで17試合連続無失点。6月以降失点が目立つようになり最終成績は落としてしまったが、出遅れたウィリアムスの代役もこなすなど存在感上昇。翌09年はウィリアムスの離脱からさらに出番が増え、チームではアッチソンに次ぐ、自己最多の62試合に登板。ただ四球が大幅に増え、見かけの防御率ほどには内容は良くなかった。また終盤は息切れしてしまい、最後の10試合で9失点。
ワンポイントもロングリリーフも可能な使い勝手のいい投手ではあるが、ちょっと完全には信用し切れないという印象も。そして10年は一気に不調。開幕からの6試合で3度失点し二軍落ち。その後も冴えない状態が続き、たびたび二軍落ちで登板数は21に激減。ほとんど存在感のないシーズンに終わった。
すっかり影が薄くなり、昨年二軍にいたところで西武に途中移籍。だがこれも復調のきっかけとはならなかった。6月に昇格し7試合ほどはいい投球をしていたが、5失点となった6月末から制球が乱れ、7月前半に二軍落ちすると以降再昇格なし。結局前年よりも登板数が減り、成績悪化の流れを止められず。
09年以降明らかに四球が多くなっており、急激に制球力が落ちた。昨年の8イニング9四球はいくらなんでも多すぎで、その内7個が最後の5試合に与えたもの。また被安打7の内4本が二塁打というのも印象が悪く、左打者に打たれたのも大きなマイナス。ここ2年、特に昨年の内容はかなり厳しいもので、今季も不調が続くようだと苦しくなる。何とかいい時の状態を取り戻したいところ。

16 石井 一久

メジャー帰り、先発型

左投左打 最多奪三振(98,00)、最優秀防御率(00)
東京学館浦安高 ヤクルト92ドラフト1位〜01、米メジャー(ドジャース02〜04、メッツ05)、ヤクルト06〜07、西武08〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁打 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
メジャー通算 105 2 39 34 0 - 564 508 70 435 354 17 22 278 4.44
08 西武 25 1 11 10 0 0 135 1/3 150 16 108 40 11 1 65 4.32
09 西武 22 0 9 9 0 0 130 113 18 131 67 6 6 62 4.29
10 西武 18 1 9 6 0 0 104 2/3 105 10 93 34 2 9 43 3.70
11 西武 23 0 6 9 0 1 117 122 7 94 32 10 1 56 4.31
日本通算 16年 388 23 133 97 1 1 2015 2/3 1745 197 2036 893 96 111 816 3.64

日本で7度、メジャーで2度の二桁勝利を記録し、豊富な経験を持つベテラン左腕。そのキャリアのほとんどを先発で過ごし、息の長い活躍を見せる。
甲子園とは無縁でも高校時代から評判だった投手で、ドラフト1位でヤクルト入り。左腕から繰り出す150kmの速球と大きなカーブを武器に、1年目から一軍マウンドを踏んだ。速さに比例してノーコンでもあったが、球威はプロでも一級品。順調な成長で4年目の95年に13勝を挙げ、チームのエース格となった。翌年こそ故障で不振だったものの、復帰した97年以降は4度の二桁勝利を記録。最多奪三振を2度、00年には防御率タイトルにも輝き、日本でもトップクラスの左腕と目される存在に。
速球と、故障以降はスライダーが投球の軸。かつてはひどく四球の多かった投手で、98年にはシーズン100を超える数字を記録。この年記録した20暴投は06年までの日本記録で、通算でも現役最多、村田兆治に次ぐ史上2位の記録保持者。だがその荒れ球も大きな武器の一つで、奪三振が非常に多かった。2度の最多奪三振はいずれもシーズン200の大台突破で、荒々しい投球を持ち味としていた。
早くからメジャー志向と言われていた通り、01年チームを日本一に導くとそのオフにポスティングを利用してドジャースに。ドジャースでの3年間はすべて先発登板で、02年に14勝、04年に13勝の活躍を見せた。四球はアメリカでさらに増えてしまったが、充分な力を示した。
メッツに移った05年に3勝と不振、自由契約となり翌年から日本に復帰。古巣ヤクルトに戻った06年は前半いまいちも後半大きく巻き返し、11勝とまず期待通りの働きを見せた。07年はやや不調で9勝に終わると、08年FAで西武に移籍。初めてのパ・リーグで序盤は目覚しい活躍を見せた。5月までに6勝をマークし、チームの首位快走の原動力の一つに。夏場から失速して二桁敗戦も喫したが、2年ぶり7度目の二桁勝利達成。
さすがにベテランとなりかつて程のスピードはないものの、依然荒れ球を武器に捉えどころのない投球が持ち味。09年は前年とは逆に6月終了時で防御率5点台の3勝という不調から後半上昇、7月以降6勝で二桁には届かずも9勝を挙げた。10年も先発の一角として回転。故障で2ヵ月戦列を離れたものの9勝をマーク。
ただ昨年は全体的に不調。投げてみなければ調子がわからないというのは以前からの傾向だが、好不調の差が激しくなった印象。特に終盤4連続で5回持たなかったことで、最後の2試合はリリーフに廻った。シーズン6勝は日本復帰以降最少の数字。
ムラは強くなったが、いいときはスイスイ抑え大幅な力の低下は感じさせない。軸というのはさすがにもうきついが、先発4,5番手としては魅力のある存在。

17 菊池 雄星 (雄星)

先発候補、大器左腕型

左投左打
花巻東高 西武10ドラフト1位〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
10 西武 - - - - - - - - - - - - - - -
11 西武 10 2 4 1 0 0 54 1/3 63 6 24 8 3 1 25 4.14
通算 2年

高校時代早くから怪物と騒がれ、鳴り物入りでプロに進んだ左腕。2年面昨年後半ローテーション入りで台頭気配。
高校1年時、甲子園で145kmの快速球を披露し、注目度が急上昇。エースとなった3年時には春夏甲子園出場し、春は準優勝、夏はベスト4の原動力に。球速はMAX154kmを計時し、「超高校級左腕」として大いに騒がれる存在となった。ドラフトでは最大の目玉として6球団が競合(この年指名重複は菊池のみ)し、抽選の末西武が獲得。
登録名を「雄星」とした1年目は、高卒ながら即戦力級の期待値。だが高校時代も腰などを痛めており、プロでは肩を故障。一軍はおろか二軍でも2試合に投げたのみで、5月頭以降はずっとリハビリに費やした。また騒動を起こしたコーチとのトラブルも報じられ、デビューイヤーは散々なものとなってしまった。
ちょっと実力以上に騒がれすぎていた感も否めない。ただ故障の癒えた昨年は登録名を変え、再スタートに成功。6月に一軍昇格し先発デビュー、2度目の登板でプロ初勝利をマークした。一時二軍調整の後8月再昇格後はローテーションに定着。3勝を積み上げ計4勝、力の片鱗を見せるシーズンとなった。
速球とスライダーを軸とした投球スタイル。ただ故障明けということもあり、高校時代の快速球とまではいかず。平均での球速は140kmに届くか届かないかといったところで、まだ加減して投げている印象も受けた。奪三振は少なく被安打は多くと内容自体は物足りなさも残り、4勝も援護に恵まれた面は強い。とはいえ大物左腕としてその期待は非常に大きく、一軍で結果を残したのは大きな一歩。今季はフルでの活躍で大器が花開くことを望まれる。

18 涌井 秀章

エース、総合力型

右投右打 最多勝(07,09)、沢村賞(09)、Gグラブ(09,10)
横浜高 西武05ドラフト1巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 西武 25 5 10 11 0 0 173 173 16 122 51 8 11 75 3.90
09 西武 27 11 16 6 0 0 211 2/3 162 12 199 76 9 5 54 2.30
10 西武 27 6 14 8 0 0 196 1/3 191 21 154 54 9 6 80 3.67
11 西武 26 5 9 12 0 0 178 1/3 184 9 108 41 8 7 58 2.93
通算 7年 172 46 79 61 0 0 1205 2/3 1132 99 917 348 54 45 442 3.30

若くして西武のエースとなった右腕。プロ2年目に二桁勝利を挙げ、以降常に中心投手として活躍。
高校時代は名門校にあって下級生の時から実戦登板。エースとして甲子園ベスト8の実績を残した。ドラフト1巡でプロ入りすると早くからその能力の高さが評判となり、新人ながらいきなりの開幕ローテーション入り。連続KOで二軍落ちしたが、先発不足とあってすぐに再昇格。6月にプロ初勝利を挙げ、その1勝のみだったが1年目から13試合すべてに先発登板のデビュー。
そして2年目はまさに急上昇。開幕から好調に駆け出し、炭谷との10代バッテリーも話題に。交流戦終了時点で8勝と先発三本柱の一角に食い込んできた。後半やや調子を落としたが、ローテーションを守りきり最終的に松坂に次ぐ12勝をマーク。防御率も3点台前半と上々で、早くも主力投手に台頭。松坂退団の翌年は新たなエースと目され、その期待に応える大躍進を見せた。他の先発陣が調子の上がらない中、開幕から軸として活躍し、オールスター時点で前年を上回る13勝と孤軍奮闘。終盤は4敗を喫するなど苦しんだが、同い年のダルビッシュや成瀬の追撃を振り切って見事最多勝獲得。防御率も2点台をキープし、投球イニングはリーグトップとまさにエースの働き。3年目にして不動の存在に。
充分なスピードとともに多彩な球種を誇り、幅広い攻めを見せる総合力タイプ。制球力も含め完成度が高く、コースの内外・高低に緩急と様々に揺さぶりをかける投球スタイル。やや凄みには欠けるものの、すべてが高い次元でまとまっている破綻のない投手。
北京五輪出場の08年はシーズンでは物足りない状態で、特に五輪から帰国後不調。10勝には到達も一つ負け越す不本意な成績に終わった。しかし翌09年は開幕から安定した投球で前半8勝、7月は4戦全勝とエースとして君臨。奪三振率向上と力強さの増した投球でライバルを振り切り、2度目の最多勝に輝いた。リーグ最多の11完投、211イニング、そして防御率2位が評価されて沢村賞にも選出。
10年も5月末から5連勝するなど前半で早くも10勝到達。快調なシーズンだったが、後半思わぬ失速。7月以降の防御率は5点近く、ゲーム中盤に崩れるなどかなり不安定。ソフトバンク戦で4点リードをふいにするなど、終盤は背信投球が続いた。5年連続の二桁勝利、チームトップの14勝を挙げたが、優勝を争う大事なところでやや印象が悪かった。そしてこのもう一つ物足りない状態は昨年も継続。3連続完投勝利を記録したかと思えば4連敗と出入りが激しく、安定感を欠き続けた。最後まで状態が変わらず、5年続いていた二桁勝利に届かず9勝、そして二桁12敗を喫し負け越しでシーズンを終えた。
前年後半のようにはっきり崩れていた訳ではないが、4失点以上が10試合もあったというのはエースとしては大いに不足。自責にならなかった失点がだいぶ多かったため、この防御率よりも印象は悪かった。被打率も平均より悪く、規定投球回到達者の中で下から2番目という数字。肘の状態が悪かったこともあってか、09年に比べて球威の低下が見えた。CSで見せた意地の快投を今季はもっとコンスタントに見せたいところ。二桁復権は最低ノルマ。

19 平野 将光

フォーク投手、先発候補型

右投右打
浦和実高〜平成国際大〜JR東日本東北 西武08ドラフト(大・社)1巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 西武 11 0 1 2 0 0 25 41 6 21 11 0 3 23 8.28
09 西武 5 0 0 1 1 0 19 2/3 18 3 15 10 1 1 12 5.49
10 西武 11 1 4 4 0 0 65 2/3 71 11 34 14 3 3 32 4.39
11 西武 23 1 1 6 0 1 64 72 10 36 22 2 5 32 4.50
通算 4年 50 2 6 13 1 1 174 1/3 202 30 106 57 6 12 99 5.11

先発入りを期待される右腕。社会人からプロ入りももたついていたが、10年後半台頭で一軍定着。
チームが抽選を2回外した上での大・社ドラフト1巡指名で西武入り。即戦力よりも素材型という評で、1年目開幕一軍には入れなかった。5月に一軍初登板も滅多打ちを食らって即二軍落ち。その後夏場に再昇格し、プロ初先発で初勝利をマーク。しかし以降の登板はさっぱりで、トータルで防御率8点台に終わった。
長身からスピードがあり、フォークで決められる投手だが、全体的な完成度としてはもう一つ。特に制球面は大いに甘さが残り、甘くなって痛打、攻めきれず四球と未熟な面が強い。2年目は序盤ロングリリーフなどで好投を見せるも、先発ではいいところなくシーズンの大半を二軍で過ごした。
10年も前半はずっと二軍暮らしで、ファームでもパッとしない成績。しかし7月に一軍昇格して先発起用されると、2度目の登板でプロ初完投を完封でマーク。以降終盤までローテーション入りと存在感を大きく上昇させた。良かったり悪かったりと安定感はなく防御率は4点台も、自己最多の4勝をマーク。
これを踏まえて昨年も先発スタート。しかし3試合で15失点と結果を残せず、5月以降はリリーフに廻った。その後夏場にもう一度先発を試されたが、4連敗を喫し最後は2回KOで二軍落ち。唯一の勝利はロングリリーフ時のもので、先発としては8戦5敗。自己最多の登板数を記録も、後半二軍暮らしであまり印象を残せず。
ここ一番で勝負弱く、またボールが浮き気味で被弾が多いのも泣き所。統一球となった昨年も10本塁打を浴び、前年とほとんど変わらないペースで打たれた。時折非常にいいものも見せるのだが、出入りが激しくなかなか安定できない。今季で29歳ということで、そろそろ一軍半は脱したいところだが。

20 野上 亮磨

万能右腕、平凡型

右投右打
神村学園高〜日産自動車 西武09ドラフト2位〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
09 西武 25 0 3 5 1 3 56 2/3 60 9 33 23 2 4 28 4.45
10 西武 27 0 2 2 0 1 68 1/3 92 9 40 23 4 4 39 5.14
11 西武 4 0 0 1 0 0 4 1/3 8 2 3 0 0 0 5 10.38
通算 3年 56 0 5 8 1 4 129 1/3 160 20 76 46 6 8 72 5.01

先発にリリーフにと様々に起用される右腕。社会人からプロ入りし1年目から即戦力となった。
高校3年時に創部3年目のチームのエースとしてセンバツ準優勝。卒業後社会人に進み、ドラフト2位指名で西武入り。1年目開幕は二軍でスタートするも、連勝で期待は高まり、4月末に一軍昇格。前半は主にリリーフで投げ、5月にはプロ初勝利と初セーブを記録した。打ち込まれるようになって一時二軍落ちのあと、再昇格の8月から9月中旬にかけては先発起用。ここで2勝を上乗せした。計3勝1セーブでまずまずのプロデビュー。
アマチュア時代からスライダーの評価が高かった投手で、最大の武器。そうスピードはないが、豊富な球種を交えてコンビネーションで打ち取るタイプ。マウンド度胸がいいと評され、実戦向きと期待される。
2年目は開幕から一軍登録で当初はリリーフ起用、6月から先発に廻った。ただ出番は多かったものの安定感に欠け、先発としても結果を残せず。二軍調整を挟んだ8月後半ようやく先発勝利を挙げたが、その後リリーフ2試合いずれも失点し終盤は二軍落ち。前年とほぼ変わらぬ登板数で2勝をマークも防御率は5点台に終わった。
やや頭打ちとなり、昨年は大きく後退。一軍登板は交流戦の時期に4試合あったが、2被弾で5失点と結果を残せず。ほぼシーズン通して二軍暮らしとなり、存在感のないままのシーズンだった。
二軍ではほぼ先発でイースタンの最多奪三振だったが、9勝10敗で防御率3点台半ばとまずまずレベルといったところ。球威が乏しいため一軍では少し見劣り感も出てきた。巻き返すにはもう一段上の制球力が欲しいところ。

23 ミンチェ (許銘傑 シュウ・ミンチェ)

技巧派、復調型

右投右打
西武00〜11、オリックス12〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 西武 17 0 1 3 0 3 31 2/3 37 1 11 22 1 4 18 5.12
09 西武 16 1 1 2 0 1 40 1/3 42 3 21 21 3 1 17 3.79
10 西武 22 1 6 9 0 0 120 2/3 150 13 62 28 2 4 61 4.55
11 西武 49 1 6 2 1 22 68 1/3 48 2 40 10 4 4 15 1.98
通算 12年 263 8 49 46 1 29 851 2/3 903 78 462 334 30 31 391 4.13

台湾出身のベテラン右腕。日本で10年を越すキャリアを持つも、ややパッとしない状態が数年続いていたが、ここにきて復調し昨年大活躍。
台湾プロ野球で2年プレーした後、00年24歳で西武入り。1年目はローテーション入りこそ果たすものの4点台中盤の防御率で6勝とそこそこ止まりの成績だった。しかし翌01年に大躍進。二桁11勝を挙げ防御率もリーグ2位。松坂をはじめ投手陣が不安定だった中でのものだけに価値があった。成長の要因がメガネ着用という映画のようなエピソードも残し、大きな存在感を残した。
これで一本立ちかと思われたが、翌年やや物足りない内容で9勝に留まると、続く03年大幅に成績ダウン。同じ台湾から張が加入した途端失速が始まり、急速に影が薄くなっていった。先発ローテーションから脱落し、リリーフでも冴えず信頼を大きく落とす結果に。
基本的には左右の揺さぶりで勝負する技巧派タイプだが、そこそこスピードがある分少し雑な面があった。すべてのボールが及第点レベルにありながら、その割に数字が伴ってこなかった。ちょっと迫力不足の印象も。
この後はしばらく低迷期。04年はリリーフで少し持ち直す気配も見せたが、故障もあって復調ならず。05年は一気に落ち込み、シーズンのほとんどを二軍暮らしで終わった。06年はサイドスローに挑むも、付け焼刃の印象は拭えず、結局途中でフォームを戻すなど、迷ったままのシーズンだった。これ以降も登録抹消を繰り返すエレベーター状態が続き、08年には4年ぶりの先発勝利を挙げるも結局白星はそれのみ。09年も終盤6年ぶりの完投勝利という場面があったが、一瞬の輝きに留まった。
5年以上も一軍半という立場が続いていたが、10年久々に存在感を増し、一軍戦力に復活。開幕からローテーションの一角に座り、序盤は勝ったり負けたりだったものの、5月末から3連勝をマーク。前半で5勝を挙げる活躍を見せた。夏場4連敗を喫するなど後半はっきり失速したものの、8年ぶりにシーズン100イニングを突破。岸や石井一の離脱もあり、先発登板20試合はチームでは涌井・帆足に次ぐ3番目の多さだった。
そして続く昨年はさらに内容を向上させチームを救う活躍を見せた。開幕直後ロングリリーフで1勝すると、5月頭には先発して実に9年ぶりの完封勝利。先発はこれ一度きりで以降はリリーフに専念し、こちらでも安定した投球。6月には12年目で来日初となるセーブを記録した。なかなか安定しないリリーフ陣を支える働きでセットアッパーとして活躍。8月後半脇腹を傷め離脱するまで防御率1点を切る状態だった。9月後半の復帰後は大きな失点があって成績を落としてしまったが、最終的に自己最多の49試合登板、6勝にチームトップの22ホールドをマーク。落としたとはいえシーズン防御率も1点台で、これも自己ベスト更新。
投球スタイルは大きく変わってはいないのだが、ここ2年は四球が減り以前の粗っぽさが薄まった。と同時に全体的な切れ味が増し、これまでのどこか頼りない印象を完全に払拭。オフにFA宣言し、今季はオリックスに移籍。先発・リリーフどちらもこなせる使い勝手の良さに加え、今季からは外国人枠の制限から外れるのも魅力。

25 岩崎 哲也

トルネードサイド、中継ぎ型

右投右打
行田工高〜国士舘大〜三菱重工横浜硬式野球クラブ 西武07ドラフト(大・社)5巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 西武 20 0 2 0 0 0 21 32 2 10 4 5 0 13 5.57
09 西武 27 0 2 4 0 9 26 28 2 15 13 2 1 13 4.50
10 西武 1 0 0 0 0 0 1 2/3 4 1 2 0 1 0 2 10.80
11 西武 2 0 0 0 0 0 2 1/3 5 0 0 1 1 0 1 3.86
通算 5年 105 0 7 5 2 22 105 1/3 112 10 60 35 14 2 46 3.93

1年目から50試合以上に登板、即戦力となったサイドスロー右腕。チームトップの登板数で貴重な戦力となった。
身長190cm、その大柄な体を強烈に二塁方向にひねる、いわゆる「トルネード投法」で投げ込む。相手、特に右打者には威圧感を与えるフォームで、長いリーチのサイドスローも強烈な個性。スライダーは非常に変化量が大きく、打者が思わず手を出すととんでもないゾーンにまで逃げていくこともしばしば。
開幕一軍入りを果たし、序盤から登板機会は非常に多かった。当初こそ不安定さも目に付いたが、5月以降は大きく安定。オールスター以降は1点台の防御率で抑え込む活躍を見せた。チームでは三井に次ぐホールドを記録し、重要なリリーフの一角に定着。
中継ぎ陣が手薄と言われるチームにとっては非常に大きな補強となった。だがこれをピークに、これ以降はどうもパッとしない。08年は開幕から不調そのもので失点がかさみ、登板数激減、防御率5点台と精彩を欠いたままシーズン終了。翌年は前半失点こそしないものの走者を出すことが多く、登板機会の増えた夏場は失点も増えて不安定な投球に終始。信頼を掴めないまま終わってしまった。
どうも慣れられてしまったのか、以前ほど相手が嫌がらなくなった。そして10年は一気に落ち込み、シーズンのほとんどを二軍暮らし。唯一の一軍マウンドは打者10人に4安打1ホーマーとボロボロ。昨年もあまり変化はなく、5月に2度登板、失点こそ1だったが、打者12人に5安打2四死球と滅多打ちに近い状態。
1年目の活躍は見事だったが、以降は落ちる一方でこの2年は全く戦力にならず。上がり目なしと見られたか戦力外を通告されてしまった。まだ働ける年齢だが、近年の印象が悪いのは厳しいところか。

26 星野 智樹

サイド転向、左殺し型

左投左打
四日市工高〜プリンスホテル 西武99ドラフト3位〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 西武 63 0 4 1 0 25 34 22 0 23 15 5 2 9 2.38
09 西武 62 0 1 1 1 22 35 1/3 34 4 25 14 5 2 16 4.08
10 西武 27 0 0 0 0 8 13 1/3 14 0 10 8 2 0 12 8.10
11 西武 37 0 0 0 0 9 20 1/3 21 0 20 9 0 1 6 2.66
通算 13年 439 0 14 14 3 105 326 2/3 290 15 299 174 30 10 134 3.69

サイドスローに転向した04年、抜群の投球で大変身を遂げたリリーフ左腕。それまではどっちつかずで特徴のない投手だったが、舞台をリリーフに絞り特徴を出すことで成功。
高校時代に切れの良い投球で注目された投手だったが、社会人でやや伸び悩み。プロ入り後も1年目こそ16試合に登板し1勝とまずまずの数字を残したが、それ以降低迷。先発でもリリーフでも試されたが制球が悪く、01年には打者15人に対し被安打9与四球2という惨憺たる成績。翌年も内容はいまいちで相変わらず四球も多かった。
なかなか殻を打ち破れずにいたが、04年から打開策をサイドスローへと求める。ありがちな方法ではあるがこれが見事にはまった。腕を下げることでスライダーの切れが増し、低めへの制球力がグッと増した。全体的な球質が一気に鋭くなり、被打率の低い信頼できるリリーフに変貌。対左はほぼ1割と完璧に抑え、期待された以上の成果を手にした。06年まで3年連続50試合以上登板し、一軍定着から一気に主力リリーフの一角に。
03年まで与えた死球は通算で1だった投手が、04,05年はいずれも5つ。単に腕を下げただけではなく、厳しくコースを攻めた証拠ともいえる。左打者の内角を突いて腰を開かせ、逃げていくスライダーで仕留めるのが勝負パターン。
07年肝心の左打者に3割以上と打ち込まれる不調で後半二軍暮らしと落ち込んだが、翌08年は復調。開幕からリリーフの主力として回転し、チームトップの63試合登板。7月失点がかさんだものの、圧巻はそれ以降で、オールスター前からシーズン終了まで23試合連続無失点の快投。4年ぶりに2点台の防御率に収め、対左を1割台に抑える「仕事」を果たした。
強気に攻め込む時の球質は左打者には非常に厄介な存在。ただ時折逃げ腰に走る傾向があり、09年はそちらの面が強く出てしまった。ほぼ唯一の左腕リリーフとして60試合以上の登板も、内容はだいぶ落ちもうひとつ信頼できない投球。そして翌年はさらに大きく落ち込んでしまった。4月後半に派手に失点して以降ピリッとしない投球が続き、6月頭に二軍落ちすると終盤まで戻れず。半減した登板数は7年ぶりに30未満となり、後半ほとんど二軍暮らしで存在感のないシーズンに終わった。
だいぶ信頼が薄らぎ、昨年は開幕二軍スタート。5月に昇格も一月ほどで二軍落ちとパッとしない状態。7月の再昇格以降は一軍に落ち着き、登板数も増えて最終的に37試合。前年の絶不調からは大きく持ち直した。ただ対左が2割7分と芳しくなく、ワンポイント要員としては不満の残る内容。
良かった時に比べると投球が臆病になった印象で、どうも肝心なところで攻めきれない場面が目立つ。そろそろベテランの域に入り、今季は左殺しの本分を取り戻してもう一度信頼を掴みたいところだが。

29 山崎 敏

緩急左腕、制球難型

左投左打
勢多農林高〜平成国際大 西武04自由枠〜11
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 西武 3 0 0 0 0 0 5 2/3 6 0 3 7 0 1 4 6.35
09 西武 - - - - - - - - - - - - - - -
10 西武 - - - - - - - - - - - - - - -
11 西武 - - - - - - - - - - - - - - -
通算 8年 67 0 6 4 0 4 113 2/3 123 7 90 68 6 8 65 5.15

04年自由枠入団の左腕。小柄な投手だが、ポンポンと勝負する小気味のよさが特徴。ストレートはそこそこの速さがあり、100kmを割るスローカーブとの緩急が持ち味。
即戦力を期待された1年目は5月に一軍デビュー。プロ初勝利を先発で挙げ、新戦力として大いに売り出した。だが6月に入ると打ち込まれ二軍落ち。トータルでは3勝も内容はいまひとつで、少々物足りない成績に終わった。飛躍が期待された翌年だったが、内容はさらに悪化。わずか5試合のリリーフ登板で、しかも内4試合で失点。全く戦力にならず、二軍でも6点台の防御率とさっぱり。逆に印象を悪くしてしまった。06年は終始二軍暮らし。
ちょっと期待値が下がっていたが、07年は一軍定着に成功。リリーフ陣の一角に食い込み、初めてほぼフルシーズンを一軍で過ごした。左腕リリーフとしては三井に次ぐ登板機会を得、1年目以来の3勝もマーク。
ジリ貧を脱することに成功したが、一方課題の四球の多さは解消されず。そのため投球にはムラがあり、安定感はいまひとつだった。その制球の悪さは翌年強く出てしまい、投げた3試合すべて2個以上四球を出すノーコンぶりで二軍落ち。前年とは一転、わずか3試合の登板に終わった。大幅に後退のシーズンに。
制球難はやはり足枷になってしまう。09年は二軍でも41イニングで36の四球を出すという有様で一軍昇格できず。背番号の変わった10年は故障か二軍戦登板も後半のみ。一軍はますます遠くなり、昨年も登板機会なく終わるとシーズン後戦力外に。
丸3年一軍登板なしでは、いくらなんでも厳しい。昨年も二軍で18イニング12四球と制球難は解消されず。期待はもっと高いところにあったのだが。

34 長田 秀一郎

バランスタイプ、復調型

右投右打
鎌倉学園高〜慶大 西武03自由枠〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 西武 1 0 0 0 0 0 1 1/3 1 0 1 0 0 0 0 0.00
09 西武 4 0 0 0 0 0 4 1/3 10 1 4 2 1 0 6 12.46
10 西武 56 0 5 3 0 17 65 1/3 55 4 61 24 4 1 24 3.31
11 西武 17 0 0 1 0 0 15 2/3 23 1 16 8 2 0 7 4.02
通算 9年 193 0 12 16 0 25 242 2/3 243 30 194 109 14 8 127 4.71

10年復調、主力リリーフとなった右腕。長らく伸び悩み続けていたが、久々に大きな戦力となった。
いわゆる「松坂世代」の一人で、慶應のエースとして六大学で活躍し、03年自由枠入団。即戦力として1年目開幕から一軍に帯同し、先発にリリーフに多くの場面で投げまくった。防御率6点台と内容は物足りなかったが、46試合に投げ5勝をマーク。スリムな外見に似合わずタフなところを見せた。
バランスの取れたフォームから投げる球は、速球・変化球ともに水準以上。平均して力を発揮するバランス型の反面、フォームを含めて全体的にあまりに癖がなさ過ぎる印象。素直で見た目はいいのだが、打者からは見やすく威圧感に欠けるかもしれない。球種は豊富だが決め手に欠け、球質が軽いのも不安要素。
2年目はやや出遅れたものの、リリーフに専念して内容は大きく向上。前年多かった被本塁打を激減させ、34試合に登板し防御率は3点台前半と安定。ここまでは順調に来ていたが、翌年大不振でほとんど一軍に上がれずに終わると、ここから低迷が続くことに。06年はわずか4試合の登板で内容もボロボロ。
開幕前から好調が伝えられた07年は春先好投が続き、久々に登板数増加。しかし日程が進むにつれ状態は落ちていき、6月に二軍落ちするとそれ以降再昇格なし。好調はほんの短い期間に終わってしまった。この後はまたトンネルに突入し、08年は優勝も決まった後のシーズン最終戦にリリーフ登板したのみ。09年も登板数は一桁、派手に失点して全くアピールできず。
09年までの通算120登板の内、80試合が2年目までの数字という完全な尻すぼみ状態。しかし30歳となる10年は奮起、久々に存在感を見せ、復調に成功した。開幕からリリーフで投げ、実に6年ぶりの勝利を記録。4月後半ぐらいからは安定した投球が続くようになり、信頼を掴んで登板数増加。最終的にチーム2位、自己最多の56試合に登板。5勝も1年目以来の自己最多タイで、ほぼ自己ベストのシーズンを送った。
10年は以前より球威が向上した印象で、奪三振も多く過去の投球スタイルとは違う姿だった。だがこれが続かないのが寂しい。昨年は開幕から6登板中4試合で失点と不調で早々に二軍落ち。以降昇降格を繰り返すシーズンとなり、登板数は17に激減、防御率も4点台と冴えない結果に終わった。
昨年の被打率は3割を越え、失点せずともアップアップの苦しい投球ばかりだった。崖っぷちから巻き返した意地をもう一度見せたいところ。

35 牧田 和久

クイックアンダー、即戦力型

右投右打 新人王(11)
静清工高〜平成国際大〜日通 西武11ドラフト2位〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
11 西武 55 2 5 7 22 1 127 2/3 105 5 86 16 9 0 37 2.61
通算 1年

先発でスタート、途中から抑えに転向と1年目からフル回転の活躍を見せたアンーダースロー右腕。チームを救ったと言ってもいい働きで即戦力に。
大学までは地味な球歴で、社会人でも足の靭帯断裂で長期離脱を経験。しかし復帰後活躍を見せ、ドラフト2位指名で西武入りとなった。実戦的な能力を高く評価され、開幕一軍入りするとチーム3戦目に先発登板。そこで7回を2安打無失点という快投を演じ、しばらくローテーション入りとなった。4度目の登板でプロ初勝利を完封で記録。ただ強打のチームにあって極端に援護に恵まれず、先発10試合で2点台の防御率ながら2勝4敗の成績。すると交流戦明けから不在の抑えに配置転換。すぐに連続でセーブを挙げ、以降クローザーとして起用されることとなった。
地面に近いところからリリースする完全なアンダースロー投手。これだけでも特異な存在だが、小さく素早い投球フォームも特徴的。また非常に投球間隔が短く、そのテンポの早さに一部からクレームが出たほど。ポンポンと投げ込んで差し込んでいく独自の投球術を展開。
8月後半2度のサヨナラを含む3敗を喫するなど乱れかけたが、終盤はむしろさらに安定感を高めた。結果リリーフとして3勝22セーブを挙げ、新人王に選出。CSでは満塁被弾にサヨナラと引き立て役にされてしまったが、一時最下位に沈んだチームの巻き返しに不可欠の戦力として大きな存在感を発揮。多少左に弱い(被打率は水準より上だが、対右に比べて被長打がかなり多い)面もあるが、精神的な強さも実戦的。先発再転向案もある今季も楽しみな存在。

37 坂元 弥太郎 (弥太郎)

リリーフ転向、流浪型

右投右打
浦和学院高 ヤクルト01ドラフト4位〜07、日本ハム08〜09、横浜10、西武11〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 日本ハム 31 0 6 1 0 2 51 41 4 35 18 5 4 18 3.18
09 日本ハム 19 0 0 2 0 2 28 2/3 37 3 11 13 3 0 19 5.97
10 横浜 29 0 1 1 0 5 32 2/3 36 2 16 12 1 1 11 3.03
11 西武 16 0 0 0 0 1 22 24 3 12 9 0 0 6 2.46
通算 11年 227 1 19 18 0 11 390 1/3 400 51 304 140 20 22 188 4.33

チームを転々としている中堅右腕。デビュー当初は先発が多かったが、近年はリリーフが中心。
高校時代、甲子園で1試合19奪三振を記録し注目された。ヤクルト入りすると、2年目の02年一軍台頭。ドクターKぶりをプロでも発揮し、鋭いスライダーを武器に高い奪三振率をマーク。途中からローテーションに定着し、援護が薄く3勝9敗と大負けしてしまったが、内容は10勝してもおかしくないものだった。
それだけに期待された03年だったが、開幕から不調。前年とは逆に4勝1敗と勝ち越したが、内容はボロボロ。被安打は急激に増え、すぐに先発からはずされたがリリーフでも立ち直れなかった。半分の投球イニングで被本塁打が同じという状態では信頼を掴めず。
どうもいい年と悪い年の差が激しいタイプで、やや隔年傾向も見える。04年は持ち直し、特に後半はなかなかの安定感を見せた。しかし期待された05年は内容悪く二軍落ち。夏場には故障してしまい、一軍には戻れずに終わった。06年は主にリリーフで登板し多少復調の気配も見せたが、先発登板では2回持たず8失点KO、防御率も一気に悪化。07年はシーズン通してほぼ二軍暮らし。ファームでは18セーブを稼ぎセーブ王となったが、2度の一軍登板は連続四球、いきなり被弾とさっぱりの内容。
伸び悩んでいたところで、複数トレードで08年日本ハムへ移籍。環境が変わって久々にいいところを見せた。開幕直後は出れば打たれる繰り返しだったが、徐々に向上。早い回からのリリーフ登板という役割をこなし、最後の4登板で3勝を積み上げ自己最多の6勝をマーク。存在感を見せたシーズンとなった。
だがこれが2年続かないのがこの投手の大きな課題。09年は最初からいきなり連続失点と状態悪く、その後も不調のまま5月に二軍落ち。終盤の再昇格時も内容は悪いままだった。横浜に移った10年は再浮上のシーズンで、前半はずっと二軍暮らしも後半から一軍に定着。29試合と多くの登板をこなし、目立たないながらも成績を大きく改善した。
大沼とのトレードで昨年は西武へ。前半はやはり二軍で、一軍昇格は7月になってから。16試合登板で防御率2点台と数字はまずまずだったが、自責にならなかった失点が5あり、実際の印象はそこまで良くなかった。それほど戦力にはならず、敗戦処理が中心。
以前のように三振を取るタイプではなくなっており、近年はやや決め手不足というところも。順番でいけば好調のサイクルとなる今季はもっと一軍での出番を増やしたい。

38 松永 浩典

緩急左腕、サイド転向型

左投左打
海星高〜三菱重工長崎 西武06希望枠〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 西武 - - - - - - - - - - - - - - -
09 西武 18 0 1 1 1 1 21 1/3 18 0 15 15 1 2 12 5.06
10 西武 6 0 0 1 0 0 3 2/3 5 0 1 3 0 1 0 0.00
11 西武 26 0 1 0 0 1 21 17 1 11 3 3 1 3 1.29
通算 6年 68 1 7 7 1 2 126 2/3 112 13 87 59 10 5 47 3.34

希望枠入団の左腕。なかなか結果を出せず伸び悩んでいたが、昨年サイドスローに変え浮上の兆しを見せた。
社会人から西武入りし、即戦力期待も開幕は二軍スタート。5月中旬に昇格するも、2度の先発いずれも4回途中降板と結果を残せず二軍落ち。前半は戦力にならなかった。しかし再昇格した夏場以降存在感上昇。3度目の先発登板で8三振を奪う投球でプロ初勝利を挙げ、続く登板では完投勝利。最終的に3勝を挙げ、貴重な先発左腕としてアピールした。敗れたもののプレーオフ2戦目にも先発登板。
決して速くない投手だが、100kmを切るスローカーブで緩急をつけた投球が持ち味。乗ってくるとスイスイ抑えるタイプで、1年目は奪三振も非常に多かった。被弾は多かったものの期待を持たせる投球。
だが2年目以降はっきりと伸び悩み。07年ももっぱら先発で起用されたが、2勝1敗で2点台の防御率と表面上の数字こそいいものの、内容は不安一杯のものだった。奪三振が減る一方で四球が激増し、6度の先発で5回以上投げたのは勝った2試合のみ。結局シーズンの大半を二軍で過ごし、08年は二軍でもパッとしない投球で一軍に上がれないまま。
はっきり制球難が表に出てしまっている。09年はリリーフとしてチャンスを与えられ、自己最多の18試合に登板。終盤にはプロ初セーブを挙げる場面もあった。しかし四死球の多さは相変わらずで、不安定な投球で一軍定着には到底至らず。翌年は登板数が減り、夏場の6試合のみ。自責0(失点は1)だったものの、3割中盤の被打率に多い四球で内容はさっぱり。
厳しい状況になっていたが、サイドスローに転向した昨年久々に輝きを見せた。序盤はすぐに二軍落ちも、ファームで無失点投球を継続し6月に再昇格。手酷く打たれたときもあったが、おおむね好投を見せ2年ぶりの勝利も記録。8月中旬に二軍落ちし以降一軍登板はなかったが、自己最多の26試合に登板。これまでと打って変わった好結果を残した。
奪三振は少ないものの、これまでの課題であった四球が随分減った。二軍では23試合26イニングで自責0と圧倒的な好成績。年々薄まっていた存在感を取り戻し、今季は一軍定着を果たしたい。右より左打者のほうを苦手としたのは、役割からすると少々問題か。

40 山本 淳

長身右腕、故障多発型

右投右打
東海大相模高〜国際武道大〜TDK千曲川 西武07ドラフト(大・社)3巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 西武 - - - - - - - - - - - - - - -
09 西武 12 0 0 1 0 0 11 2/3 16 0 6 10 0 0 9 6.94
10 西武 9 0 0 0 0 0 6 2/3 11 0 3 3 1 0 7 9.45
11 西武 - - - - - - - - - - - - - - -
通算 5年 21 0 0 1 0 0 18 1/3 27 0 9 13 1 0 16 7.85

社会人からプロ入りも故障で遠回りしていた投手。近年一軍に顔を出すようになってきた。
高校時代はセンバツ優勝メンバーの一人だったが、当時は控え投手。大学でも活躍はなくほぼ無名の存在だった。しかし社会人に進んで開花し、チーム初の都市対抗出場に貢献。分離ドラフトの3巡指名で西武入り。
188cmの長身から繰り出す150kmに迫る速球が持ち味。社会人出身でも素材型という評価ではあったが、プロ入り後は別の形で苦しんだ。右肩の故障で1年目は二軍でも登板なし。実戦の舞台に立ったのは2年目の途中からだった。3年目の09年ようやく一軍デビュー。四球が多く失点もかさんで結果は残せなかったが、二軍ではなかなかの好成績を残した。
かつて西武に在籍した森慎二に似たタイプと評され、リリーフで期待される存在。10年は開幕一軍入りを果たした。ただワンポイントも多かった最初の5試合は良かったものの、その後3試合連続失点。さらに肘を痛めてしまい、4月中旬に抹消。以降はリハビリに費やした。この影響は昨年も残り、二軍での実戦復帰が6月になってから。そのため一軍登板はなく終わった。
二軍では好結果を残し、今季は改めて一軍へ再挑戦。リリーフの新星として台頭したいところ。ここまでのプロ生活の大半が投げられない期間というフィジカル面の弱さはかなり気がかりだが…。

41 木村 文紀 (文和)

若手右腕、剛球型

右投右打
埼玉栄高 西武07ドラフト(高)1巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 西武 - - - - - - - - - - - - - - -
09 西武 11 0 0 4 0 0 27 1/3 37 5 25 17 1 4 26 8.56
10 西武 - - - - - - - - - - - - - - -
11 西武 21 0 1 0 0 1 25 27 2 17 6 3 2 8 2.88
通算 5年 33 0 1 4 0 1 58 1/3 74 7 45 27 4 6 38 5.86

これからを期待される若手投手。地元の高校から高校生ドラフト1巡指名入団の期待株で、昨年夏場以降一軍台頭。
高校時代甲子園出場はなかったものの、その素質は高く評価されていた。高校生ドラフトでは同じ地区のライバルだった増渕(ヤ)の外れ1巡指名を受けて西武入り。投手としてだけでなく野手としての能力も高いとされた存在。
1年目に一軍初登板を果たすも、当初2年はほぼ二軍で育成。2年続けてハワイウインター・リーグに派遣されるなど期待は高く、3年目は一軍で4度の先発を含む11試合に登板。しかし制球難を露呈し4連敗、二軍でも1勝10敗と冴えない結果に終わった。登録名を変えて挑んだ10年は肘を痛めて手術、二軍登板も1度だけと完全に足踏み。
5年目の昨年も二軍でスタートし、成績もパッとしないものだったが、7月一軍に抜擢されると無失点を続ける好投を見せ、リリーフで登板機会増加。7月末にはプロ初勝利を挙げ、大きく浮上してきた。
魅力は150kmに迫る速球。球速以上の馬力を感じさせるボールで、非常に力強い。期待株がようやくの登場となったが、ブランク明け実績不足の投手が一月足らずの間に11試合登板というのは急すぎた。8月以降は被打率3割台中盤と捉まるケースが目立ち、最後まで一軍に留まることは出来なかった。ただ結果を残したことは事実で、今季はさらなるジャンプアップに期待。力押し一辺倒の無骨なスタイルでも、状態が良ければ押し切れる球威の持ち主。

45 藤田 太陽 (太陽)

ドラ1右腕、移籍向上型

右投右打
新屋高〜川崎製鉄千葉 阪神01ドラフト1位〜09途中、西武09途中〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 阪神 6 0 0 0 0 0 11 11 2 7 2 1 0 5 4.09
09 阪神 2 0 0 0 0 0 1 1/3 4 0 1 1 0 0 1 6.75
西武 25 0 2 0 3 4 27 24 2 10 9 1 0 6 2.00
10 西武 48 0 6 3 0 19 46 43 8 29 7 2 2 20 3.91
11 西武 14 0 0 2 0 0 15 1/3 19 4 13 3 2 0 10 5.87
通算 11年 133 1 13 14 3 23 225 1/3 236 36 152 66 11 8 102 4.07

長年期待を裏切り続けてきたかつてのドラフト1位投手。一軍に食い込めずもがいてきたが、西武移籍後リリーフで台頭。
社会人屈指の好投手としてドラフト前に注目され、最終的に阪神を逆指名してプロ入り。当然即戦力の期待がかかったが、1年目からフォーム改造と肘の故障に苦しみ、わずか3試合の登板のみ。2年目に2勝を挙げ台頭のきっかけを掴んだかと思わせたが、翌年またも肘を痛め、手術のため04年はリハビリに。故障明けの05年開幕5戦目に先発勝利も後が続かずシーズンのほとんどを二軍暮らし。期待されながらなかなか一軍に定着できず。
どっしりした体型の本格派で、スピードは充分。ただ再三のリタイアで、随分期待値も下がってしまった。06年は11試合に投げたが、唯一の勝利もリリーフで失点後味方が逆転した幸運なもの。3点台の防御率でも印象は良くなく、結果を残したとは言い難い内容だった。翌年はまたわずか3試合の登板ですっかり忘れられた存在に。試行錯誤は続き、08年サイドスローに転向。腕を下げてもスピードは落ちなかったが、やはり左打者には打ち込まれた。結局一軍では6試合の登板に終わり、またも浮上できず。
二軍ではずっと好成績を続け、「二軍の帝王」に近い状態に。09年も序盤の登板で結果を出せず、二軍でくすぶっていたところで転機到来。リリーフ難に喘ぐ西武に移籍し、ここでついにチャンスを掴んだ。後半だけで25試合に登板しプロ初を含む3セーブを挙げるなど健闘。チームのリリーフでは一番の安定感を見せ、初めて一軍定着に成功。
年齢的にギリギリというタイミングで浮上に成功した。翌10年はさらに存在感を増し、開幕からセットアッパーとして回転。足の故障で1ヵ月半ほど離脱という時期もあったが、前半だけで15ホールドを挙げる活躍を見せた。しかし7月頭に危険球となる頭部死球を与えたことで動揺、内角を攻めきれなくなり、後半ははっきり不調に。最終的に48試合登板、6勝といずれも自己最多を記録したものの、後半の不調で防御率はかなり悪化。
シーズン自責点の8割が7月以降に喫したもので、前半とは全く別人の投球だった。そして昨年はその不調から抜け出せず。開幕一軍も7試合で4度失点とあって二軍落ち。1ヶ月ほどで再昇格し一時的にいいところも見せたが、すぐに3連続失点を喫し7月頭に二軍落ち。以降は一軍に戻れず、登板数大幅減。
ボール自体が大きく変わったわけではなく、明らかに不調の原因は精神的なもの。走者を置くと4割近く打たれる脆さもリリーフとしては致命的だった。一度は掴みかけた自信を何とか取り戻し、再び一軍リリーフ陣に加わりたいところ。年齢的に不振は長引かせたくない。

47 帆足 和幸

先発左腕、変則技巧派型

左投左打
三井高〜九州三菱自動車 西武01ドラフト3位〜11、ソフトバンク12〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 西武 27 3 11 6 0 0 174 2/3 169 13 115 38 5 5 51 2.63
09 西武 25 5 9 6 0 0 163 175 10 126 40 5 3 65 3.59
10 西武 27 1 11 8 0 0 163 1/3 173 13 104 35 12 3 67 3.69
11 西武 26 2 9 6 0 0 168 2/3 172 10 102 34 8 2 53 2.83
通算 11年 231 16 75 56 1 1 1215 2/3 1315 104 838 322 60 28 512 3.79

西武の左のエースとして活躍してきた投手。4度の二桁勝利を記録し、中心投手として近年は安定した戦力に。
社会人から西武入りも、当初はパームを投げるという以外にあまり見所のない感じだった。制球の悪さが前面に出てしまい、酷な言い方をすれば「どこにでもいるような左腕」といった印象。即戦力とはなれず、1,2年目はいずれも一桁の登板数に留まっていた。しかし3年目にプロの水に慣れたか、先発にリリーフに奮迅の働きを見せ34試合登板と急成長。自信を持って腕が振れるようになり、持ち味であるボールの切れが一気に増した。
ちょっと変則的な腕の使い方をする投手で、テイクバックで腕を上に高くつき上げ、スリークォーターよりもサイドスロー寄りの低い位置でリリースする。力ではなく切れ味で勝負するタイプで、球速表示は平凡ながら手元に差し込んでくる球質。パームボールを得意球としており、低めに集めてゴロを打たせるのが持ち味。
一軍定着を果たすと翌04年からは主力投手に成長。前半は波が激しかったが、後半は別人のように安定して勝ちを積み上げ、先発もリリーフもこなして10勝をマークした。これで自信をつけ、翌年はさらに飛躍。チーム唯一の先発左腕としてローテーションに完全定着し、勝ち星はさらに伸ばして13勝。先発陣の中でも松坂・西口に次ぐ存在に。
順調に来ていたが、このあと2年は故障も絡んで不振に喘いだ。06年は開幕から調子が上がらず、二軍落ち、先発脱落などを経験。さらに夏場には左肩を痛め、後半シーズンを棒に振ってしまった。復帰したのは07年7月。1年ぶりのマウンドを勝利で飾ったが、その後6連敗。結局前年を下回る2勝に終わった。
しかし08年復調を果たし主力投手に返り咲き。復活というよりも一回り成長した姿を見せ、開幕からいきなり無傷の6連勝。特に5月は連続完封含む3勝で抜群の内容だった。最後までローテーションを守り3年ぶりの二桁勝利達成。チーム最多の登板イニングで優勝に貢献。これまで常に4点台だった防御率も2点台と大安定。
低迷を乗り越えて一皮むけた。09年は勢いは陰り、ローテーション維持でも8月末で5勝とパッとしない状態。しかし終盤怒涛の追い上げを見せ、5連続完投、2完封含む4連続完投勝利。二桁は逃すも改めて存在感を見せた。10年は逆に序盤絶好調で、5月末時点で6勝を挙げ防御率1点台と抜群の安定感。6,7月大きく調子を落としてペースダウン、防御率も3点台後半となったが、4度目の二桁勝利となる11勝をマーク。
低めに集まっている時は非常に小気味いい投球を展開する一方、時期によって好不調がはっきりしているのが難点。昨年もその傾向が強く、3連勝の後4連敗、その後5連勝と浮き沈みが激しかった。防御率は2点台も二桁には一歩届かず9勝。
走者ありの状況で被打率3割は、打たせて取るタイプとしてはもっと粘りたかったところ。オフにFA宣言し、今季はソフトバンクに移籍。退団した杉内・和田と比すれば多少格落ち感も否めないところだが、主力投手が相次いで抜けた状況で中心投手としての働きを望まれる。

54 アレックス・ジョセフ・グラマン

リリーフ成功、故障急落型

左投左打
西武06〜11
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 西武 55 0 3 3 31 4 57 47 3 42 13 0 2 9 1.42
09 西武 6 0 0 2 3 0 5 6 1 1 2 0 1 3 5.40
10 西武 7 0 0 0 0 0 4 2/3 15 2 2 4 0 1 9 17.36
11 西武 29 0 2 1 1 5 25 1/3 27 0 13 12 1 2 12 4.26
通算 6年 150 1 13 18 52 11 245 1/3 266 25 160 84 6 10 104 3.82

先発から抑えに転向して大成功した外国人左腕。07年途中から転向して守護神に君臨。
先発不足解消を期待されて06年に西武入団。メジャー実績は乏しいが日本ハムも獲得を狙っていた。開幕ローテーション入りの1年目は連勝スタートを切ったが、交流戦では続けて早期KOを食らい二軍調整。再昇格後も一進一退といった印象で上積みは1勝のみ。8月中旬以降は二軍で過ごし、シーズン4勝といまいちの結果に終わった。それでも残留した07年だが、開幕から10試合先発して2勝6敗、5点台の防御率とさっぱり。
ところがここでリリーフに転向するとこれが大いにはまった。先発時はスピードがあまりなく変化球主体の技巧派だったのが、リリーフでは球速大幅アップ。力で押す投球を見せ、7月以降は不調の小野寺に代わってクローザーに定着。実質3ヶ月で17セーブを挙げる活躍を見せた。
とにかく先発の時とリリーフでは投球が全く別物。想像以上にリリーフの適性が高かったようだ。球速が上がったことで長身がより効果的になり、グイグイ攻め込む球威は非常に打ちづらいものとなった。07年自責点の8割が先発時のもので、リリーフでの防御率は2点そこそこ。安定感も非常に高かった。
頭からクローザーの08年はさらに大安定。開幕から5月中旬まで16試合連続無失点、その後も大きく崩れることはなく、シーズン通して安定した働き。タイトルには惜しくも届かなかったが、チームでは豊田以来5年ぶりの30セーブ到達。揺るぎない存在として君臨した。
だが翌09年開幕直後に肩の痛みを訴え離脱。ここから長いトンネルに突入した。5月に復帰したものの、明らかに本調子ではない投球で故障再発。手術のため帰国し、この年はこれ以降実戦登板せず。10年もリハビリが続き、ようやく二軍戦に登板したのは6月になってから。そこから調整を続け、8月末に満を持して一軍復帰。だがいきなり3試合連続失点と投球は全く冴えず、終盤には重要な場面に投入されるも満塁被弾などボロボロ。打者31人に対して2本塁打を含む被安打15、四球4と無残な内容で、全く戦力になれずに終わった。
ひとまず残留し、久々に長期一軍となった昨年だったが、投球は不安定そのもの。夏場二軍調整を挟んで8月後半再昇格も、乱調傾向はあまり変わらず。登板数は増えたが防御率4点台とリリーフとしてはだいぶ不足の結果に終わった。
前年の抑える術の全くない状態からは多少上向いていたものの、好調時から見れば球威はやはり低下し、決め手をなくして四球も多め。信頼できる投球ではなかった。はっきり力を落とし、昨年限りで退団に。

59 岡本 篤志

リリーフ右腕、遅咲き型

右投右打
三重・海星高〜明大 西武04ドラフト6巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 西武 14 0 0 2 0 0 16 1/3 30 0 9 10 0 0 10 5.51
09 西武 - - - - - - - - - - - - - - -
10 西武 33 0 2 1 1 10 43 2/3 45 4 38 19 1 4 15 3.09
11 西武 49 0 5 1 7 11 55 1/3 41 1 40 27 3 3 13 2.11
通算 8年 117 0 8 6 8 21 158 2/3 181 18 120 82 13 12 87 4.93

プロ入り7年目から一軍戦力に急台頭した遅咲きのリリーバー。これまでとは別人のような投球で貴重な存在に。
明大では一場(ヤ)の1年先輩で牛田(横)と同期。ドラフト下位指名も1年目から一軍登板し初勝利を記録。しかし10試合に投げて9点台の防御率と内容は散々。そしてそれ以降も伸び悩みが続いた。2年目から3年間一軍登板は一桁、それもほとんど失点続きで、一軍にちょっと顔を出してはすぐ二軍に逆戻りというパターンを繰り返した。08年前半比較的落ち着いた投球を見せたが、8月再昇格以降は毎回のように失点。1年目以来の二桁登板も、結局5点台の防御率で終わってしまった。それでもこれがこの時点では自己ベストという状態。
速球とスライダーを軸とする、厳しい言い方をすれば「よくいる」タイプの投手で、あまり特徴がない。それでもまとまりがあれば良かったが、制球が不安定で抑える術がなかった。ここまでは三振もとるが四球も出すという投球で信頼は掴めず。
09年は肘の故障で二軍でも実戦登板なく、いよいよ崖っぷちという状況。10年も6月までは二軍、成績もパッとしないものだった。7月の昇格当初もいいとは言えなかったが、3試合目の登板で失点しながらも6年ぶりの勝利投手に。これが弾みとなったか、その後はこれまでのように大きく崩れることがなくなり、登板数も一気に増加。特に終盤はなかなか好調で、プロ初セーブも記録。後半は完全に一軍定着し、過去6シーズンの通算に1年で迫る33試合登板、防御率も3点台前半と大幅なジャンプアップに成功。
以前のように自滅することがなくなり、自信からか腕の振りが非常に良くなった。上昇の勢いは昨年も止まらず、さらに成績向上。開幕から好調で、5月からしばらくは不在だった抑えも任され7セーブ。6月に入った辺りから調子を落として乱れ始め二軍調整も挟んだが、後半になると再びリリーフで活躍。特に8月半ばからシーズン終了まで25試合に投げて1失点したのみ、この間に5勝を挙げる奮闘で、チームが巻き返して上位浮上する原動力の一人ともなった。49試合登板5勝7セーブ、そして防御率2点台とすべての面で自己ベスト。弱体と言われるリリーフ陣の中心的存在に。
制球は依然アバウトできめ細かいタイプではないが、向かっていく投球スタイルを確立した印象。この2年で一気に欠かせない存在となった。さらなる安定を求めるならもう少し四球は減らしたい。

(*退団) 50 ブライアン・シコースキー

個性派速球投手、タフネス型

右投右打 最多セーブ(10)
ロッテ01途中〜03、巨人04〜05、ヤクルト07途中、ロッテ08〜09、西武10〜11
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 ロッテ 54 0 5 1 1 13 48 1/3 42 2 49 10 1 0 12 2.23
09 ロッテ 55 0 8 5 15 15 65 2/3 41 8 73 19 3 2 16 2.19
10 西武 58 0 2 5 33 5 63 50 7 48 19 1 1 18 2.57
11 西武 4 0 0 1 0 0 3 2/3 4 1 3 2 0 0 2 4.91
通算 10年 438 1 37 34 58 54 606 2/3 522 65 598 178 23 15 209 3.10

リリーフで活躍を見せるタフネス右腕。独特のパフォーマンスが非常に楽しい投手で、マウンドに上がれば腕をグルグル全力回転させ、攻守交替時は常にダッシュで往復、その際絶対にファールラインを踏まずに飛び越す。元気があふれかえっている選手。
150kmの速球を誇る投手として01年途中ロッテ入り。ただ球速はあるものの未熟な部分が多く、1年目は1勝で防御率6点台と不満な結果だった。しかし若さと素材の良さを評価されて残留。翌年以降はもっぱらリリーフとなり、自慢の速球を武器にゲーム中盤を支える存在となった。使い減りしないタフさで経験を積むごとに向上。3年目にはかつて失敗した先発もこなし、前半足並みが揃わなかった投手陣を支える活躍。度重なる配置転換で後半は調子を崩したものの、防御率は年々向上。戦力外になったのは意外というよりも不可解だった。
なんといっても魅力は速球。基本的には一本調子の投手で、投球の幅が狭く高めに集まりがちな欠点も持つ。打たれだすと歯止めが利かず、そのため「抑え」となるともう一つ不安が付きまとうが、連投可能である程度長いイニングもこなせる便利な存在。正直にストライクを集めすぎるが、押し返せるだけの球威は持っている。
巨人に移籍すると、リリーフの弱いチーム状況からさらに重要な存在に。04年は防御率を初めて2点台にし5勝5セーブ。翌年もさまざまな場面にフル回転し、自己最多の70試合7勝を記録。この活躍をしてなぜか戦力外となり、一度はウェーバーで楽天獲得となったが、本人が帰国を希望し契約まで至らなかった。しかし07年途中、故障者続出のヤクルト入りで日本球界復帰。来日当初は状態が悪かったが、日程が進むにつれて調子を上げ、8月末で4点台だった防御率も最終的に2点台前半とした。
ヤクルトと再契約はせず、08年は5年ぶりにロッテに復帰。前半はさほどでもなく、オールスター前には故障離脱などもあったが、一軍復帰の8月中旬からシーズン終了まで19試合連続無失点の快投。1ヵ月半で2勝7ホールドを稼ぎ大きな戦力となった。さらに翌年はそれ以上の存在感を発揮。勝ちパターンの投手が揃って不調、冴えないリリーフ陣にあって孤軍奮闘。開幕からの20試合で失点2という好投を続け、6月からは実質抑えに。ここから6ホーマーを浴びるなど頼りなさも出たが、結果自己最多の8勝、ホールドとセーブいずれもチーム最多という大活躍で、崩壊したリリーフ陣を一人で支え続けた。
コンスタントに活躍を続ける貴重な戦力なのだが、どういうわけか整理対象になりやすい。チームを救ったと言ってもいい活躍をしながら、球団からは大幅なダウン提示をされ退団。10年はやはりリリーフに苦しむ西武に移籍。そしてここでも大きな戦力となった。穴となっていたクローザーに開幕から座り、前半だけで20セーブ突破。安定した抑えとして回転を続けた。最後に失敗が続いたものの、33セーブを挙げて来日9年目にして初のタイトル獲得。
当然残留の昨年だったが、東日本大震災の影響で3月に一時帰国。開幕直前に再来日したものの、サヨナラ被弾など本調子とは言えない状態。さらに間もなく肘を故障し再度帰国。手術でシーズン中の復帰は困難とあって、7月下旬にシーズン途中解雇となった。長く働き、同時にチームを転々としてきた投手だが、年齢と故障を考えるとさらなる移籍はちょっと難しいか。