阪神タイガース

00 柴田 講平

小兵外野手、俊足型

左投左打
福岡工大城東高〜国際武道大 阪神09ドラフト2位〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
09 阪神 7 4 0 0 0 0 0 1 0 0 1 0 0 2 .000
10 阪神 - - - - - - - - - - - - - - -
11 阪神 38 35 7 0 1 0 9 1 1 0 0 2 0 8 .200
通算 3年 45 39 7 0 1 0 9 2 1 0 1 2 0 10 .179
11年成績は7/24現在

「将来の1番」の声もかかる俊足外野手。3年目の今季大幅に一軍の出番が増えてきた。
高校時代は現在のチームメイト西村と同期で甲子園にも出場。大学に進むと2度の首位打者獲得など活躍を見せ、ドラフト2位指名で阪神入り。プロでは1年目からファームのレギュラーとなり、足のほうは盗塁死が多かったもののリーグ3位の3割2分の高打率。一軍出場も経験した。この結果から赤星が引退した翌10年は一軍キャンプに呼ばれ期待されたが、手の骨折で離脱し出遅れ。さらにシーズンでは二軍での打率が2割3分と大幅にダウンし、一軍出場なく終わった。
それでも今季は開幕一軍入りを果たし、代走・守備を中心に出場数大幅増。打撃のほうはパッとしないものの一軍での初盗塁を記録。まだポジション争いには一歩も二歩も足りない印象で、俊足が売りでも盗塁成功率が二軍でもそれほど良くない、打撃がここ2年低打率続きなど課題は多く残る。それでもチャンスを掴みかけており、このまま一軍に残ってしっかりアピールしたいところ。

 0 大和 (前田大和)

若手内野手、守備上位型

右投右打
樟南高 阪神06ドラフト(高)4巡〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 阪神 - - - - - - - - - - - - - - -
09 阪神 66 62 11 3 0 0 14 1 3 7 0 3 0 7 .177
10 阪神 62 44 12 0 1 0 14 4 8 1 1 4 0 8 .273
通算 5年 128 106 23 3 1 0 28 5 11 8 1 7 0 15 .217

4年目の09年、一軍進出の若手内野手。入団時より守備の良さを評価されてきた瞬発力の高い選手。
高校時代は3年時に夏の甲子園ベスト8の実績を持ち、高校生ドラフト4巡で阪神入り。1年目からファームのレギュラーとなった。2年目から登録名を「大和」に変更。3年間二軍で過ごし、08年はチーム最多の14盗塁。
遊撃を中心に堅実な守備力を武器とする内野手で、09年から一軍で起用されるように。上では主に二塁を守り、守備要員を中心に66試合に出場。打撃は弱かったものの失策は1だけと手堅さを充分に発揮し、後半はほぼ一軍定着。
昨年も同じような起用法であったが、前半は機会は少ないながらも打撃のほうも好結果。盗塁も増やしてきた。ただ関本が控えに回るという状況で後半は出番減少。7月以降は2安打のみと印象は薄くなった。
線の細い選手で、俊敏な動きを売りとするタイプ。一定の地位は確保しており、後はどれだけ出番を増やせるか。ほぼ固定された内野陣に割って入るにはまだ力不足という印象だが、チャンスは確実に狙っていきたい。

 1 鳥谷 敬

不動遊撃、バランス型

右投左打 ベストナイン(08,10)
聖望学園高〜早大 阪神04自由枠〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 阪神 144 523 147 17 6 13 215 80 4 5 5 68 4 85 .281
09 阪神 144 538 155 31 2 20 250 75 7 5 4 65 5 83 .288
10 阪神 144 575 173 31 6 19 273 104 13 2 5 66 3 93 .301
通算 7年 969 3551 1004 166 21 89 1479 429 43 36 19 396 28 659 .283

阪神不動のショートストップ。2年目からレギュラーとなり、以降フル出場を続けている中心選手。
アマチュア最高の内野手と評判を取り、ドラフトの前年から争奪戦が繰り広げられた存在。自由枠で阪神入りすると、入団時からポジション確約など、1年目から非常に注目された。たださすがに野手のルーキーは厳しく、開幕直後は快音が聞かれず低迷。慣れてきた夏場から数字を上げたが、トータルでは平凡な成績に終始。期待されたレギュラー定着までには至らなかった。しかし2年目はショートに固定され、スタメンフル出場。打撃も向上し、これ以降不動の存在となった。06年は15ホーマーを放ち打率も向上。07年は長年不動だった赤星に替わって、期待を込めて1番起用。
あっさりとレギュラー水準に到達した辺りはやはりセンスが高い。走攻守いずれも一定以上のレベルに達し、高い次元でまとまったバランス型の選手。オールマイティな優等生タイプで際立った個性には欠けるが、大きな弱みも持たず体力も充分。
年を追うごとに成績を伸ばす成長力も見逃せず、徐々に中心打者の顔も見せ始めた。08年チーム2位の80打点を記録すると、翌09年はほぼ3番に固定。交流戦のスランプから前半は良くなかったものの、後半調子を上げ巻き返し。特に8月以降13ホーマーを放つ活躍で、自身初のシーズン20ホーマー達成。打撃とともに失策を7に留め、12球団トップの遊撃守備率を記録。
昨年も主に3番、時に1番で安定した働き。全体的には前年とあまり変わらない状態だったが、8月爆発的な好調。この1ヶ月だけで43安打、5ホーマー、25打点を叩き出し、4割超の月間打率。これが効いて念願のシーズン3割を達成した。また高い得点圏打率で打点は100の大台に乗り、リーグ4位の数字。さらにこれまで悪かった盗塁成功率が大きく改善され、初の二桁盗塁を記録。すべての面で自己ベスト更新のシーズンに。
これまでも充分な好選手だったが、昨年は一回り大きくなった印象。5月末に指を痛めて4試合ほどスタメンを外れる時期があったが、その間も代打で4打数3安打1ホーマーと圧倒的な存在感を発揮。間違いなく充実期に入っており、しばらく中心選手として君臨しそう。3割、20ホーマーは充分射程圏。

 2 城島 健司

天才打者、常識外型

右投右打 ベストナイン(99〜01,03,04,05)、Gグラブ(99〜05,10)、MVP(03)
別府大付高 ダイエー/ソフトバンク95ドラフト1位〜05、(米マリナーズ06〜09)、阪神10〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
(08 SEA 112 379 86 19 0 7 126 39 2 1 2 19 8 33 .227)
(09 SEA 71 239 59 11 0 9 97 22 2 1 1 12 5 28 .247)
メジャー通算 4年 462 1609 431 84 1 48 661 198 7 2 8 66 37 148 .268
10 阪神 144 554 168 29 0 28 281 91 9 2 3 27 16 53 .303
日本通算 12年 1261 4585 1374 251 12 239 2366 790 72 33 34 334 111 527 .300

長年日本を代表する捕手として君臨、日本人捕手で初めてメジャーでプレーした選手。4年の挑戦を経て、昨年阪神入りで日本球界復帰。
強肩強打の捕手としてドラフト1位でダイエー入り。2年目には二軍で素質を発揮し、現在もウエスタン最多記録の25ホーマーを放った。3年目には早くも一軍レギュラーに抜擢され、規定打席到達でいきなり3割をマーク。翌98年は低迷したものの、99年再び3割。01年リーグでは野村克也以来となる捕手での30ホーマーをマーク。日本シリーズでワンバウンド球をホームランしたように、時にとんでもないボール球でもスタンドまで運ぶ。台頭初期から天才的な打撃センスを披露。
反面ディフェンス面では苦労が絶えず、入団時には捕手失格という評価をされたことも。工藤・武田といったベテラン投手に徹底的に教育されたのは有名な話。苦労の甲斐あったか、00年あたりからはリード面も向上。常に5割前後の盗塁阻止率を記録するようにスローイングはかなりハイレベルで、座ったままの盗塁阻止やピックオフプレーなど守備面でも目立つ選手。
03年は「全試合フルイニング出場」を有言実行し、3割30本100打点の活躍。リーグトップのチーム防御率を支え、MVPに選出された。翌04年はさらに打撃成績を伸ばし、アテネ五輪では4番を任され攻守でチームを牽引。名実ともに日本を代表する存在に。
狙い球なら少々ボールでも食いつく、かなり強引な打撃スタイルなのだが、バットに当てる能力が高く三振は少ないのが特徴。当ててしまえる故にその分併殺打は多めだが、追い込まれても苦にしない。日本シリーズ男としても有名で、過去3度の出場で9ホーマー、シリーズ最多タイ記録の4本塁打を2度記録する暴れぶり。死球は多いが当たり方がなかなかうまい。
FA権取得した05年も主力として活躍し、3年連続5度目の3割。ただ後半は肩を痛めて離脱、復帰後自打球で骨折と故障が目立った。シーズン後FA宣言してマリナーズと契約、06年からはメジャーでプレー。当初の2年間は正捕手に定着しなかなかの好成績。しかし08年打撃不振に陥るとインサイドワークの悪さも指摘されるようになり、ベンチの信頼低下。09年は出番が大幅に減り、成績も振るわずに終わった。
出場機会を求め日本復帰を表明すると、早い段階から積極的にアプローチしていた阪神への加入となった。そして復帰初年の昨年は正捕手をガッチリ掴んでフル出場。序盤春先は低打率だったものの、5月以降は安定した打棒を発揮。特に後半は好調で、6度目のシーズン3割を達成した。28ホーマーに91打点も記録し、改めて力のあるところを見せ付けた。
捕手として最多の9失策を喫するなど守備面で微妙なところもあったが、やはり打撃は中軸級。メジャーを経てもプレースタイルは変わっていない。オフに半月板の手術を受け開幕は出遅れが確実視されるが、復帰すれば即固定が濃厚。神宮で6本、マツダで5本などビジターのほうが一発が多かったが、なぜか東京ドームと横浜ではそれぞれ1本ずつだった。

 3 関本 賢太郎 (健太郎)

大型内野手、ユーティリティ型

右投右打
天理高 阪神97ドラフト2位〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 阪神 136 430 128 25 2 8 181 52 2 38 5 42 6 47 .298
09 阪神 113 377 102 18 2 3 133 44 3 34 2 36 13 56 .271
10 阪神 79 78 20 5 1 3 36 12 1 3 0 15 2 24 .256
通算 14年 907 2447 691 121 12 44 968 254 14 156 17 266 41 458 .282

しぶとい打撃と小技でつなぎを務めるレギュラー内野手。台頭は同期入団の濱中に一歩遅れたが、02年から売り出して主力に成長。
185cmと堂々たる体格の選手で、当初の期待はパンチ力。フォローも大きい打撃は濱中以上に長距離砲の素質を感じさせた。01年まではわずか5試合の一軍経験だったが、02年故障者続出でチャンスを掴み、一時はレギュラーに名を連ねる活躍で台頭。03年は出遅れとレギュラー陣の好調で出番が減ったが、少ない打数ながら4ホーマーを放った。
ここまでは粗っぽい大砲候補といった印象だったが、04年以降印象が大きく変わった。アベレージ狙いの右打ちに大幅モデルチェンジを果たし、04年は開幕から高打率で三塁を確保。後半は2番に座り、シーズン通して3割をキープした。05年は二塁を藤本と併用という形で、前半はさっぱりだったが、夏以降に調子急上昇。打席数は減ったが3割近い打率を記録した。
長打ではなく小技をこなす器用さを発揮してレギュラーとなった。どこでも守れる器用さからポジションが固定されないが、堅実で安定した守備力の持ち主。06年は今岡の大不振で三塁での出番が急増。前半は自身も不調だったが、8月以降3割4分と打ちまくって再び3割。07年はほぼセカンドのレギュラーとなり、打撃は不振も二塁手の連続守備機会無失策リーグ記録を樹立。
派手さはないがすっかり安定戦力となり、08年は平野の加入で開幕当初こそ控えに甘んじていたが、今岡の低調からレギュラー復権。打撃は徐々に調子を上げて、夏場は3割と好調。シーズン3割にもう一歩で、前年の不振から脱出。後半は7ホーマー40打点と中軸級の活躍も見せた。09年は新井が三塁に廻ったことから当初は一塁に固定、6月ブラゼル加入後は二塁に。夏場に故障で1ヶ月離脱があったが、レギュラーとしてまずまず安定した活躍。
ただ昨年は平野が好調で二塁に固定されたことからポジションがなくなり、スタメン出場はわずか8試合に激減。それもほぼ序盤のみで、シーズン通して控えに廻った。7年ぶりに打席数が100に届かなかったが、数多く起用された代打で3割5分、2ホーマーの好成績。一塁の守備固めとともにしぶとい働きを見せた。
レギュラーから滑り落ちはしたものの利便性の高さで貴重な存在。何をやらせてもソツがない安定した選手。ただ8試合のスタメンで1割台と代打以外で打撃が振るわなかったのは残念。FAを行使して残留、控えに落ち着かず隙あらばポジションを狙いたい。

 4 上本 博紀

小兵内野手、つなぎ役型

右投右打
広陵高〜早大 阪神09ドラフト3位〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
09 阪神 - - - - - - - - - - - - - - -
10 阪神 28 15 5 1 0 0 6 2 2 0 0 1 0 1 .333
11 阪神 20 39 11 4 0 1 18 6 5 4 1 2 0 11 .282
通算 3年 48 54 16 5 0 1 24 8 7 4 1 3 0 12 .296
11年成績は7/24現在

小柄な体格の内野手。大学からプロ入り、1年目は二軍で過ごしたが少しずつ一軍での出番を増やしつつある。
アマチュア時代華々しい実績を残してきた選手で、下級生の内から名門高校のレギュラーとなりセンバツ優勝を含む4季連続甲子園出場。早大に進むとここでも1年春からレギュラーとなり、不動の存在としてリーグ戦全試合フルイニング出場。ベストナイン5度の活躍を残し、ドラフト3位指名で阪神入り。
即戦力候補ではあったが、一軍内野陣が固定的だったこともあって1年目は二軍で過ごした。打率は低かったもののチームトップの16盗塁を記録。昨年も前半は二軍暮らしだったが、3割に10盗塁と好成績を残し後半一軍出場。主に代走で起用され、少ない打席で好結果。今季も開幕は二軍でスタートだったが、鳥谷の故障などで出場機会を得た。7月にはプロ初ホームランも放ち、着実に前進中。
一軍キャリアは浅くともアマチュア時代は常に世代トップレベルの舞台に立っていた選手で、経験は豊富。本職は二塁で遊撃守備はやや辛い部分も見えたが、脚力も高く使えば結果を計算できそうな安定感を感じさせる。派手さには欠けるもののこれから出番はさらに増えていきそう。

 5 平野 恵一

小兵選手、アクロバット型

右投左打 ベストナイン(10)、ゴールデングラブ(10)
桐蔭学園高〜東海大 オリックス02自由枠〜07、阪神08〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 阪神 115 365 96 7 3 1 112 21 7 47 1 35 4 62 .263
09 阪神 132 404 109 15 5 0 134 18 3 28 1 22 7 53 .270
10 阪神 139 492 172 22 5 1 207 24 6 59 1 34 7 55 .350
通算 9年 779 2463 695 84 27 15 878 163 41 180 12 186 34 402 .282

身長169cmの小兵選手。セカンドと外野をこなすマルチプレーヤーで、積極果敢な守備が持ち味。
大学時代は守備力を高く評価され、即戦力ショートとして自由枠でオリックス入り。1年目はわずか7試合の出場で期待に応えられなかったが、2年目は開幕からスタメン二塁に抜擢された。しかし期待された肝心の守備で精彩を欠き、送球が不安定でミス多発。サードで起用されたオーティズともども、チームの守備力を破綻させる一因となってしまった。本来のショートに戻るとだいぶ違ったが、それでも当初の期待からするとやや物足りない結果に。
守備面では期待はずれで始まったが、予想以上に打撃は成長。小柄でも速球に振り負けないスイングの持ち主で、04年はほぼ1年通してスタメンを維持し規定打席にも到達。特に開幕直後はかなり好調で、最終的にもまずまずの成績を残した。05年は球団合併で水口というライバルが加わったが、実質セカンドレギュラーとしてさらに向上。キャリアを積むうちに守備の硬さも取れ、再三美技を披露するように。
小柄でも運動能力は抜群で、アクロバティックなファインプレーを見せる。ただこの運動能力の高さが06年大きな事故を呼んだ。ファウルフライを捕球したあと一塁フェンスに激突。骨折こそしなかったものの、複数箇所の肉離れや捻挫という重傷を負い、以降シーズンのほとんどを棒に振ってしまった。復帰した07年は外野をメインにしたものの、打撃不振に陥り自己最低の打率で全く印象に残らず。
それでも08年阪神へ移籍すると復調。開幕から2番レギュラーとして起用され、3年ぶりに100試合以上出場、規定打席到達を果たした。打撃は調子の波が激しく平凡な打率に終わったが、リーグトップの犠打を記録しカムバック賞も受賞。翌09年は常態化していたシーズン中の長期離脱もなく、フルシーズン戦力に。セカンドとセンターを掛け持ちしてほぼ常時出場。
移籍後2年とも充分戦力だったが、昨年はそれを大きく上回る活躍で大きな存在となった。開幕から非常に打撃好調で、高打率を維持。ポジションを分け合っていた関本を控えに追いやり、2番セカンドに安定。打棒は7月月間4割3分とさらに加速。後半3割7分という高打率を叩き出し、最後まで好調のまま突っ走った。タイトルには届かなかったもののリーグ2位の3割5分をマーク、これが初めてのシーズン3割。
過去2年どこかであったスランプが全くなく、最初から最後まで勢いが止まらなかった。つなぎ役と同時にチームトップの出塁率で、得点力向上に与えた影響は大きい。突然の上昇だけに状態を維持できるかどうかはなんとも言えないが、新たな一面を見せて今季も重要な戦力。どの相手からも満遍なく打った中で、特に広島戦は打率4割超、出塁率はほぼ5割と大暴れ。

 6 金本 知憲

主砲、鉄人型

右投左打 ベストナイン(95,00,01,04〜06,08)、打点王(04)、MVP(05)
広陵高〜東北福祉大 広島92ドラフト4位〜02、阪神03〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 阪神 144 535 164 33 2 27 282 108 2 0 8 77 3 99 .307
09 阪神 144 518 135 37 0 21 235 91 8 0 8 88 5 98 .261
10 阪神 144 353 85 12 0 16 145 45 1 0 1 39 3 90 .241
通算 19年 2330 8211 2371 413 35 458 4228 1460 163 4 71 1295 72 1596 .289

連続フルイニング出場世界記録樹立の鉄人選手。40歳を越えてもなお阪神の主砲・精神的支柱として君臨を続けた。
東北福祉大から同時に5人(他に斎藤隆・浜名ら)がプロ入りした中で、彼が最も成功した。入団当時はそれほど名の通った選手ではなかったが、3年目から素質開花。やや大振りとも言える無骨なフォームから、一発長打の魅力で広島の外野陣に定着。以降主力となり、大砲として江藤や前田と中軸を形成。
当初は粗っぽい印象だったが、5年目の96年には3割をマーク。以降常に2割8分から3割をマークする安定感を見せ、江藤が去って以降は4番の重責を果たした。主力に故障の目立つ広島では数少ない例外で、マークも当然きつくなる中、00年には3割・30本・30盗塁までもマーク。俊足を兼ね備えたスラッガーとして不動の存在となった。連続試合出場は98年から、フルイニング出場は99年からスタート。
02年オフFAで阪神へ移籍。広い甲子園に移り、さすがにホームランは激減したが、安定した打力で優勝のキーマンの一人となった。日本シリーズでも4本塁打を放ち敢闘賞獲得。これ以降は阪神の不動の4番として打線を牽引し、打撃は陰るどころかますます向上。04年は前年減らした一発を回復させ、34ホーマーに初めての100打点突破で初の打撃タイトル獲得。05年はさらに量産し、チームではバース以来という自身初の40ホーマー。37歳にして打撃三部門すべてで自己ベストを更新という凄まじさで、文句なしのMVP選出。
これほどのインパクトではないが、その後も依然として打線の中心。07年は30ホーマーも打率が低かったが、2000本安打達成の08年は自身8度目の3割をマーク。3度目の100打点を記録し、相変わらず最大の得点源として4番に君臨し続けた。年齢から守備力はかなり低下したが、40歳となっても安定した打撃を維持。
だがさしもの鉄人も09年は衰えを見せ始めた。好調だったのは序盤だけで、5月以降2割3分と低打率に喘ぎ、6〜8月の3ヶ月はわずか4ホーマー。終盤多少持ち直したものの、前年より打率が大幅にダウン。21ホーマー、91打点はいずれもチームトップではあったが、一発は3年続けて減少。
そして19年目、42歳となる昨年はオープン戦で右肩を故障。出場は続けたものの、送球はもちろんスイングにも支障が出るほどの重傷で、そんな状態では当然結果を残すことは出来ず。4月半ばついにスタメンをはずれ、連続フルイニング出場が1492試合で途絶えることとなった。その後は代打やDHで試合出場は継続。再び守備についたのは7月中旬になってから。打撃のほうは少し上向くようになり、8月には月間3割に5ホーマー。しかし序盤の不振を払拭しきれず、シーズン成績はレギュラーとなって以降で最低の数字に終わった。フル出場はしたものの16年ぶりに規定打席に届かず。
内野への返球すら覚束ない状態での守備はやはり無理がありすぎた。打撃では故障を抱えながらも最終的な数字を回復させたのはさすがも、一方で得点圏打率1割台とチャンスに弱く、やはりこれまでの存在感はなかった。今季も現役続行だが、本来治療に専念すべき状態で無理を押した影響が残らないか不安も大きい。さしもの鉄人もいよいよ現役晩年。半ば「聖域」となっていたフルイニング出場が途絶えたことで、柔軟な起用も可能となるか。

 7 俊介 (藤川俊介)

即戦力外野手、実戦派型

右投右打
広陵高〜近大 阪神10ドラフト5位〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
10 阪神 124 161 41 12 2 1 60 10 5 13 0 9 0 32 .255
通算 1年

プロ1年目から100試合以上出場を果たした外野手。実戦的な能力を武器に一軍で活躍。
名門の高校・大学ともに1年からレギュラーを務めたエリート選手で、大学時代はMVPの他5度のベストナイン受賞という輝かしい実績。ドラフト5位指名で阪神入りすると、早々に戦力となった。開幕一軍入りし、代走・守備要員として数多く出場。金本がスタメン落ちした5月に先発機会を得たが、それ以外は打席機会もほとんどなく、6,7月は計34試合で打席数は11しかなかった。
しかし8月巡ってきたチャンスにアピールし、4割以上の月間打率にプロ初ホームランも記録。ここから終盤は先発出場が大幅に増えた。最後はあまり打てず打率を落としてしまったが、シーズン安打の7割以上を8月以降に放ち、後半はポジションの一角をうかがう位置に。
俊足に加えて、柔軟なセンスと実戦的なプレーが持ち味。登録名を俊介とする今季は、センターのレギュラー候補として大いに期待される存在。ポジション確保の可能性は充分。

 8 浅井 良

元正捕手候補、打撃優位型

右投右打
桐蔭学園高〜法大 阪神02自由枠〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 阪神 31 48 12 3 1 0 17 4 1 3 0 1 0 8 .250
09 阪神 50 96 30 2 2 4 48 13 3 7 0 3 1 28 .313
10 阪神 85 148 44 8 0 3 61 14 4 4 1 11 2 42 .297
通算 9年 315 497 135 20 3 11 194 47 10 18 1 19 6 120 .272

長らく「ポスト矢野」と言われてきた選手。ただなかなか矢野を抜くことはできず、打撃を活かすため08年から外野手に転向。
捕手としてのキャリアは大学以降と浅いが、打力と強肩を買われて自由枠入団。どちらかといえば育成中心であったが、それでも1年目から出場機会を得ていた。04年こそ二軍暮らしだったが、野口が精彩を欠いていた05,06年はいずれも開幕から1年一軍帯同。出場数は横這いでも矢野に次ぐ2番手の地位まで上ってきた。打力のある選手で、代打で起用される場面も。
しかし07年は状況が大きく変化。年下の狩野が急台頭で一軍に食い込み、さらにベテラン野口が巻き返し。浅井のほうはわずかな出場数にとどまり、しかも一軍で守ったのはライトのみ。一歩後退というシーズンに終わった。
二軍でも外野や一塁を守るなど捕手専念ではなく、08年からは外野手登録に。しかし完全に捕手をやめたわけではなく、この年も一軍でマスクを被る機会があった。代打で好結果を残してもそれがメインになることはなく、実際のところはほぼ「第3捕手」状態。ほぼ1年一軍にいたが出場は少なかった。
どっちつかずで中途半端な状態だったが、09年からようやく外野に専念し、好成績を残した。前半はそれほど目立たなかったが、夏場に再昇格後打撃好調。特に赤星離脱後は代役1番を務めるなど出番が増え、9月だけで3ホーマーと結果も残した。シーズン安打の7割をこの月に放ち、最終的に自己最多の打席数で3割越え。故障で離脱もあったが、終盤に存在感を高めることに成功した。
やっと打撃を活かす環境になったという印象。昨年は序盤二軍で過ごしたものの、6月以降は一軍定着。特に7月はほぼセンターのレギュラーとなり、3割後半の月間打率を残した。8月以降1割台と落ち込んでしまったが、代打でも好結果を残し、自己最多の出場数を記録。
外野に落ち着いて確かな戦力になってきた。好調時の打撃はレギュラークラスで、今季はシーズン通して一軍戦力を期待。

 9 マット・マートン

巧打者、高打率型

右投右打 最多安打(10)、ベストナイン(10)
阪神10〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
10 阪神 144 613 214 35 3 17 306 91 11 0 5 47 3 70 .349
通算 1年

昨年阪神入りの外国人選手。開幕から高打率を続けてタイトルを争い、シーズン安打新記録を樹立。打線の起爆剤として大活躍。
メジャー通算346試合出場で、06年にはレギュラーとして144試合出場、3割近い打率を残した実績を持つ。ここ2年は主に3Aも、09年は3割の好成績。センターの経験こそ少ないながらも外野守備も堅いと評され、前年限りで引退した赤星に替わるチャンスメーカーを期待されての獲得。
オープン戦も好調で1番スタメンで公式戦突入。そして開幕から期待以上の活躍を見せた。穴のない打撃で常に3割以上をマーク。交流戦中から3番も任されるようになったが、全くペースは変わらず。長い不調もなく、リーグの打撃成績上位に定着。チャンスメイクのみならず得点圏打率も高く、打線の中で大きな存在感を発揮。昨年の新外国人の中で一番の当たりと言っていい活躍を見せた。
外国人ながら大振りせず、コンパクトな打撃スタイルは09年まで楽天に在籍したリックに通じる印象。大きな波がないのは見事で、追い込まれてもしぶとい。守備面はセンターを任せきるには微妙な部分もあったが、打撃の貢献度が絶大。
後半もコンスタントな打撃は全く変わらず、優勝争いの終盤9月以降は3割8分の高打率。シーズン200安打の大台突破だけに留まらず、94年イチローの記録を越える214安打を放ち、シーズン安打日本新記録を更新。当然最多安打のタイトル獲得で、打率もリーグ3位と非常に大きな戦力となった。
月間打率3割を切ったのは7月だけ、それもわずかな不足で、スランプというものが全くと言っていいほどなかった。左投手を4割と打ち崩し、今季も打線を引っ張る存在として期待大。満遍なく打った中でもヤクルト戦は特に相性が良く、4割6分と滅多打ち。

24 桧山 進次郎

ベテラン代打、中距離型

右投左打
平安高〜東洋大 阪神92ドラフト4位〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 阪神 94 110 33 8 2 0 45 19 0 0 1 9 1 26 .300
09 阪神 82 89 20 2 1 1 27 9 0 0 2 7 1 27 .225
10 阪神 72 67 17 3 1 1 25 12 0 0 0 3 1 18 .254
通算 19年 1766 4692 1223 227 25 158 1974 680 41 13 44 447 70 1058 .261

代打の切り札として知られるベテランの中距離打者。かつては中軸打者として活躍、プロ生活19年を数える生え抜き選手。
大学時代はスラッガーで鳴らし、大型野手の枯渇したチームで、入団当初は和製大砲を期待された。3年目までは一軍半も、4年目の95年からレギュラーとなり、96,97年は連続20ホーマー。ただ本質は中距離打者で、分不相応な背伸びを強いられていた感も強かった。確実性の低い打撃が続き、97年に極端な低打率に喘ぐとそれ以降スランプに。出場機会も徐々に減り、レギュラーからも遠ざかりつつあった。
しかし01年、ようやく自分のスタイルを確立するに至った。この年自身初の3割をマーク。ホームランは12本と控えめだったものの、4番を任され健闘。終盤にリタイアしたが、翌年もほぼ変わらない結果を残し、完全にイメージを一新した。さすがに中軸は荷が重いが、下位にあってはなかなかの存在感。守備もそう悪くはなく、打撃が安定してみると意外とバランスの取れた好選手となった。
これ以降しばらく安定戦力。徐々に打率が下がり気味だったが、04年は久々に3割復帰。ただ後半巻き返しトータルの打点は自己最多を記録したが、前半はチャンスにほとんど打てず、数字ほどには印象が良くなかった。翌年も傾向は変わらず、前半は2割そこそこの低打率、後半3割以上と極端な変わり身でトータルはそこそこ。どうも帳尻あわせという印象が強く残った。
それでも終わってみれば安定した結果を残してきたが、ポジションを奪われ代打がメインとなった06年は13年ぶりの1割台という冴えないシーズンに。そして翌年も傾向は変わらず、チームトップの75回と積極的に代打起用されたが、1割台の打率で結果は出せず。夏場には1ヵ月半もノーヒット状態があり、2年連続で低打率に終わった。
年齢的にもそろそろ引退がちらつく状態だったが、08年は久々に発奮。代打でついに好成績を残し、切り札として活躍を見せた。特に前半は好調で、6月末時点で4割近い高打率。代打起用86回は両リーグトップタイで、16年ぶりにノーアーチに終わったが、久々に3割をマーク。
近年は常に代打起用数が12球団最上位。ただ08年ほどの好調は続かず、翌年は大幅に成績ダウン。今度はチャンスにほとんど打てず、15年ぶりに打点が一桁に留まった。昨年は若干持ち直したが、切り札としては少し物足りない成績。
昨年守備についたのは1度のみ。代打屋としても長くなってきたが、実のところ08年以外はさほど結果は良くない。今季も代打の1番手と目されるが、年齢的にもそろそろ現役生活は晩年。

25 新井 貴浩

豪快長打、イメチェン型

右投右打 本塁打王(05)、ベストナイン(05)、ゴールデングラブ(08)
広島工高〜駒大 広島99ドラフト6位〜07、阪神08〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 阪神 94 366 112 22 4 8 166 59 2 0 4 35 5 83 .306
09 阪神 144 558 145 32 1 15 224 82 4 0 7 28 6 82 .260
10 阪神 144 570 177 42 0 19 276 112 7 0 8 52 11 89 .311
通算 12年 1463 5035 1421 249 14 236 2406 827 30 4 48 407 55 1103 .282

かつて豪快な一発を売りとしたスラッガー。189cmの堂々たる体格、フォローで体勢が崩れるほどの荒々しい豪快なスイングで、打球をスタンドに運んでいた。
入団時の注目度は低かったが、1年目から一軍で7ホーマー。江藤が去った翌年は倍の16ホーマーを放ち、一躍脚光を浴びた。これでレギュラー当確となり、次の主砲と目される存在に。そして02年は一気に本数を28に伸ばし、140試合フル出場。初出場のオールスターでも特大の一発を放ち、リーグでも有数の飛ばし屋として認知される存在となった。ここまでは右肩上がりの急成長。
ところが金本がFAで抜けた03年、いよいよ4番へと期待されたところで大ブレーキ。徹底的に弱いところを突かれ、しかも克服できなかった。開幕から低空飛行が続き、打撃フォームを何度も変えるなど試行錯誤も結果が出ず。後半には先発をはずされるケースも増え、完全に狂ってしまった。不調は翌年も続き、04年はホームランも10本止まり。守備が非常に悪く、特にスローイングに難があり三塁守備は非常に危なっかしかった。それもあって03年は一塁に転向したのだが、逆にマイナスに作用してしまった。
やや影が薄くなりかけていたが、05年開幕戦で4安打2ホーマーの活躍。これで勢いに乗り、待望の復活を遂げた。本来のパワーヒッティングが甦り、不調だった2年間を取り戻すかのようにホームランを量産。40本台の大台に乗せて初のタイトル獲得。打率も3割維持とベストのシーズンに。技術的にどうこうではなく、本来の自分を取り戻したのが大きい。一時の不振は完全に脱し、06,07年は不動の4番としてフル出場。2年連続の100打点以上で勝負弱いイメージも払拭。
FA権を行使して08年は阪神へ移籍。かつての同僚金本と再び組むこととなった。「3番一塁」に固定され、4番につなぐことを意識したのか一発は激減したが、3割キープで得点源の一人に。7月に故障、五輪強行出場で疲労骨折とトラブルが重なり、後半は長期離脱してしまったが、前半は大きな戦力に。しかし三塁に再転向して5番に廻った翌年は、前半常に2割そこそこという低打率に喘ぎ、03年も下回る不振に喘いだ。8月以降猛烈に巻き返して最終成績はだいぶ盛り返したものの、あまり印象の良くないシーズンに終わった。
ちょっと評価を落としてしまったが、昨年は中軸として再上昇。4月中旬「不動の存在」だった金本がスタメン落ちすると、以降は4番に座った。前半はそこそこという感じだったが、後半7月以降は3割4分という高打率を叩き出し、優勝争いの中打線の中心として活躍。3度目のシーズン3割に乗せ、リーグ3位の112打点を稼いだ。
かつてほどの数ではないものの、19ホーマーと一発も移籍後徐々に戻しつつある。3年ぶり3度目の100打点突破は自己最多の数字で、二塁打42本も自己最多。金本の衰えがいよいよ顕著となってきた今、チームを引っ張る存在として期待がかかる。

31 林 威助 (リン・ウェイツウ)

準レギュラー、パワーヒッター型

左投左打
柳川高〜近大 阪神03ドラフト7巡〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 阪神 66 177 44 6 2 2 60 13 1 0 1 10 1 31 .249
09 阪神 56 96 20 3 1 3 34 11 1 0 0 6 0 16 .208
10 阪神 69 135 39 10 1 4 63 22 1 0 2 6 1 24 .289
通算 8年 384 921 254 41 8 30 401 120 4 0 7 50 2 189 .276

準レギュラークラスの外野手。07年に一度ポジションを掴んだが、その後故障で少し後退。
日本の高校・大学を経て阪神入り。出身は台湾で、アテネ五輪台湾代表に選出。WBCでは代表の4番も任された。日本では故障もあって台頭が遅れたが、05年二軍で好成績を残し、一軍でもプロ初ホームランを記録。
そして翌06年は開幕一軍入りを果たして急台頭。桧山に次ぐ代打起用数で好成績を残し、5ホーマーとパワーのあるところもアピール。これを踏み台に07年は一気にレギュラーに。序盤から好調で、不振の濱中からポジションを奪い取った。後半から終盤調子を落として3割は逃したが、規定打席まであとわずか4とほぼ完走。15ホーマー58打点はいずれも、チーム内で金本に次ぐ数字。
パンチ力ある打撃は大きな魅力で、「ポスト金本」の呼び声も。だが08年、前年シーズン中に痛めた肩の手術で開幕に出遅れ、復帰後今度は膝の故障でリタイア。度重なる故障で勢いが止まってしまった。8月以降出番は多かったが成績が振るわず、得点圏打率1割2分と完全に期待はずれの結果に。再びWBC台湾代表となった09年は5月に昇格してほぼ代打に専念。交流戦で引き分けに持ち込む代打ホームランなど前半は良かったものの、後半は当たりがパタッと止まり、2割をやっと越える低打率に終わった。
この2年でポジション争いから大きく遠ざかり、昨年は開幕二軍スタート。印象が薄まり危機的状況となったが、6月に昇格すると久々に打撃好調。準レギュラー格に再台頭を果たした。打率は日程を追うごとに落としていったが、なかなかの成績を残し巻き返しに成功。
スタメンは対右投手専門と限定的な起用法で、控えの域は出なかったものの、多かった代打起用では3割1分の好成績。桧山に替わる代打の切り札としても面白そう。今季も状態を維持してチャンスを狙いたい。

32 新井 良太

兄弟選手、一軍半型

右投右打
広陵高〜駒大 中日06ドラフト(大・社)4巡〜10、阪神11〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 中日 24 18 3 0 0 0 3 0 0 0 0 0 1 5 .167
09 中日 8 6 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 3 .000
10 中日 45 59 9 0 0 1 12 2 1 0 0 1 0 14 .153
通算 5年 124 131 25 5 0 1 33 4 1 0 0 3 3 36 .191

新井貴浩の6歳下の実弟。兄と同じ駒大を経て、06年中日入り。将来のスラッガーとして期待される大型内野手。
1年目の06年はファームでチーム唯一の規定打席に到達。さらに一軍昇格も果たし、プロ初ヒットも記録した。放ったヒットがすべて代打でのもので、非凡なところを見せた。07年は代打要員として打席数を増やし、徐々に一軍に接近。
3年目の08年は二軍で3割打ち、リーグ3位の9ホーマー、リーグ2位の41打点の好成績を残した。ただ一方で一軍挑戦は苦い結果に。6月に2安打も起用の増えた7月はわずか1安打のみ。18度起用された代打で2安打しか打てず、オールスター以降は完全に二軍。前年からむしろ一歩後退という印象に終わった。この傾向は09年さらに顕著になり、前半わずかな一軍出場のみ。それもノーヒットに終わり、ほとんど二軍暮らしと大きく後退のシーズンに終わった。
大卒5年目で中堅の粋に入る昨年は勝負どころでもあったが、出場数こそ増えたものの結果は残せず。主に起用された代打で24打数3安打と非常に寂しい数字に終わり、トータルでも打率1割台半ば。6月待望の一軍初ホームランを放つも、それだけだったという印象。
二軍では好成績を残し続けてはいるが、飛び抜けた数字というわけでもなく、ファームの安定レベルで止まっている感が強い。自己最多の出場数ではあったが、それゆえにもっとアピールが欲しかった。今季は兄のいる阪神へ移籍が決定。ここで奮起したいところ。

33 葛城 育郎

荒削り、低迷脱出型

左投左打
倉敷商高〜立命大 オリックス00ドラフト2位〜03、阪神04〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 阪神 112 238 62 12 3 1 83 29 0 2 3 16 3 48 .261
09 阪神 99 184 46 14 0 2 66 13 0 2 0 16 2 42 .250
10 阪神 42 58 12 2 0 1 17 3 0 1 0 7 0 12 .207
通算 11年 750 1680 417 88 9 35 628 171 5 20 10 152 18 411 .248

準レギュラークラスの外野手。一時大幅に出番が減り追い詰められていたが、復調して戦力に。阪神移籍後出番激減で一時追い詰められていたが、復調して戦力に。
ドラフト上位でオリックス入り。1年目はプロの壁に苦しんだが、2年目の01年、イチローが抜けてポッカリ空いたライトのポジションに大抜擢。この年ほぼフル出場を果たし、実質1年目で打率.268、ホームラン14本とまずまずの数字を残した。後半は5番も務め、いよいよチームの主軸にと期待も膨らんだが、しかし翌年は2割を越すのがやっとという大不振。中軸を打つどころかシーズン中何度もファーム落ちし、せっかく勝ち取った信頼を全部水に流してしまった。捲土重来を期した03年も、序盤こそ良かったものの徐々に後退。結果的にはもうひとつの成績に終わり、シーズンオフに阪神へトレード。
基本タイプは中距離打者だろうが、二桁ホームランを記録したようにパンチ力もある。ただ確実性が低く、ムラッ気が強い点がネック。5番とはいかずとも7番くらいはこなせる潜在能力はあるが、レギュラーとして見ると安定感が不足。
移籍後は代打として積極的に起用されたが、結果はいまいちでさらに打率を下げてしまった。完全に不振のサイクルに入ってしまい、05年はわずか1打席、06年はついに一軍出場なく終わった。
非常に危ない状況だったが、07年久々に巻き返し。実質3年ぶりに一軍復帰を果たし、特に夏場以降は出場数大幅上昇。数字としては平凡だったが準レギュラー的ポジションに再浮上。そして08年はさらに向上。フォードが期待はずれ、林が故障がちという状況から飛躍的に出場数を伸ばし、実に5年ぶり移籍後初の100試合以上出場。先発も多かったが特に光ったのが代打での成績で、桧山に次ぐ44回起用で3割後半の成功率。09年もメンチが期待はずれに終わり、桧山に次ぐ起用回数の代打のみならず、一塁やライトのスタメン出場と、前年同様準レギュラーとして活躍。終盤9月わずか2安打しか打てない不振で打率は落としたが、貴重な戦力として貢献。
着実に地位を固めてきたが、昨年は不振で大幅に後退。例年全く打てないスランプの時期があるが、それが序盤早々に来てしまった。開幕2試合で2安打するも、そこから5月に入るまで25打席ノーヒット。その5月はなかなか好調だったが、6月に入ると二軍落ちとなり、以降昇格なく終わってしまった。出場数は半減、打席数はそれ以上に激減し、全く存在感のないシーズンに。
とにかく4月ノーヒットは痛すぎた。ここ2年外国人の誤算から出番を得ていたが、昨年のマートンは大当たりで、押し出された面もあった。ほぼ対右投手専用、一塁と外野をこなすが守備力はあまり高くなく、そして調子の上下動が激しいと起用に制約の多い選手。年齢的に不振を2年続けてしまうと危ないので、今季は巻き返したいところ。

35 坂 克彦

若手内野手、センス先行型

右投左打
常総学院高 近鉄04ドラフト4巡、楽天05〜06途中、阪神06途中〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 阪神 17 9 0 0 0 0 0 1 0 1 0 0 0 2 .000
09 阪神 5 4 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 .000
10 阪神 28 52 14 1 2 2 25 7 1 1 2 2 2 8 .269
通算 7年 69 107 21 2 2 3 36 11 1 5 3 2 2 19 .196

プロ入りから3年間で3球団に所属という波乱万丈のキャリアを過ごしてきた若手内野手。センスに優れた選手で、徐々に一軍に近づきつつある。
高校時代は甲子園優勝を経験。ドラフトで近鉄入りしたが、合併騒動勃発で1年で楽天に移籍。その楽天では数少ない若手選手ということで脚光を浴びた。それでも一軍昇格には至らず、06年途中牧野とのトレードで今度は阪神へ。高卒入団で毎年所属が変わったというのはかなり珍しい。
走攻守三拍子揃ったセンスの高さが売り。阪神移籍後一軍初出場を果たし、07年はプロ初ヒットがホームラン。08年は開幕一軍入りと徐々に前進。ただ先発機会もあったがノーヒットで5月に二軍落ちするなど結果は残せず。09年も開幕一軍入りしたが、4月中旬以降は二軍暮らしに終わった。
やや頭打ちという印象もあり、昨年も終盤まではほぼ二軍暮らし。しかし再昇格した9月以降停滞感を払拭する活躍を見せた。死球退場した平野に代わって二塁に入ると3年ぶりの一発を放ち、右投手先発時の二塁スタメンなどでこれ以降出番急増。一軍での初盗塁も決め、自己ベストの数字を残した。
わずかな期間ではあったが好結果を残し、これをステップに今季は一軍定着を狙いたいところ。二軍では常に安定した成績を残しており、もう下でやることはあまりない。何でもこなせるところを強みに出来れば。

50 藤井 彰人

ベテラン捕手、総合力型

右投右打
近大付高〜近大 近鉄99ドラフト2位〜04、楽天05〜10、阪神11〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 楽天 90 190 50 7 0 0 57 13 3 13 1 18 1 25 .263
09 楽天 35 71 23 1 0 1 27 9 0 3 0 2 0 9 .324
10 楽天 8 18 4 1 0 0 5 2 0 0 0 1 0 4 .222
通算 12年 676 1423 340 50 6 6 420 116 16 73 8 97 7 225 .239

楽天の中心捕手だった選手。発足当初から正捕手格としてチームを支えた。
大学時代は宇高(近鉄〜横浜)とバッテリーを組み、ドラフト上位で揃って近鉄入り。身長170cmと非常に小柄な選手で、持ち味はディフェンス全般。華やかさはないがいかにも「女房役」という雰囲気が漂う。肩はそれほど強くないが、スローイング技術は持っている。
即戦力の期待には応えられず、当初は二軍暮らし。3年目の01年は靭帯断裂でシーズンをほぼ棒に振った。しかし故障癒えた02年以降一軍進出。着実に出番を増やし、04年ついにベテラン的山を上回る出場数に。いよいよ正捕手というところで合併騒動勃発。
新球団移籍を早くから希望し、分配ドラフトで楽天へ。当然スタメン機会は急増し、ほぼレギュラーとして1年を過ごした。ただそうなってみると甘さを見せたのも事実。あまりにも弱い投手陣のリードに苦しんだ点は同情できるが、正捕手として見ると物足りない面も強く感じさせた。06年も大半のスタメンマスクを被り正捕手格だったが、ベンチの信頼は掴みきれず。そして07年はポジション争いから大きく後退。新人嶋が積極的に起用され、2番手に甘んじることとなった。先発出場はわずか26試合にとどまり、大半が途中出場。
08年は復活を果たした岩隈とコンビを組み、巻き返しに成功。また自身も波は激しかったもののなかなか打撃好調。嶋と先発マスクをほぼ分け合い、前年1割台と壊滅的だった盗塁阻止率が4割越えでリーグトップ。だが盛り返しは持続できず、翌09年は大幅に出番を減らしてしまった。岩隈とのコンビは継続もそれ以外はほとんど嶋に譲り、さらに8月には自身が故障離脱。
そして首脳陣が替わった昨年はさらに影が薄くなることに。シーズン序盤の8試合出場のみで、4月半ば以降シーズン終了まで二軍暮らし。移籍以降これほど長期間二軍にいたのは初めてで、一桁の出場数は近鉄時代以来9年ぶり。当然岩隈とのバッテリーも解消で、全く存在感のない1年に終わった。
嶋が突然の打撃開眼で正捕手に完全定着した影響もあるが、サブにすら留まれなかったのは意外。シーズン後FA宣言し、城島故障で開幕時の捕手を欲していた阪神と契約。ただ期限付きのチャンスという印象が強く、城島が復帰すれば控えが有力。果たしてどの程度の出場機会を得られるか。

51 桜井 広大

レギュラー候補、一進一退型

右投右打
PL学園高 阪神02ドラフト4巡〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 阪神 25 40 5 0 0 0 5 1 0 0 0 4 0 13 .125
09 阪神 103 281 85 14 4 12 143 42 2 2 2 32 3 53 .302
10 阪神 89 243 62 7 1 9 98 30 1 0 2 23 4 50 .255
通算 9年 308 824 225 39 7 30 368 116 4 4 6 81 12 187 .273

レギュラーに届きそうでもう一歩届かずにいる外野手。07年一軍初登場でブレイクするも、一進一退が続いている。
高校では今江(ロ)や朝井(楽)らと同期。入団から5年間全く一軍出場がなかったが、1年目からファームで9ホーマーなど着実に実績を積み上げていた。そして6年目ついにその大器がベールを脱いだ。開幕こそ二軍スタートだったが、5月に待望の昇格。スタメン起用された試合で初ヒットを放ち、これ以降高打率を維持。一気に準レギュラー格となり、その素質の高さを実証した。
思い切りの良さと同時に捉えるポイントを持っているのが強み。左投手に強さを見せ、なかなか出なかった一発も7月に初ホームランを放つと8月はチームトップの5本。終盤打率は大きく落としたが、将来の中軸候補として脚光を浴びた。
ポジション定着の期待も受けた翌08年だったが、開幕から波に乗れず、二軍のほうが長い後退のシーズンに。しかし09年は一転、一気に巻き返してレギュラー獲りに大きく前進。前半はそれほど目立たなかったが、後半になると打撃が急上昇。7月3割後半の高打率を記録し、8月は5ホーマーとパンチ力も発揮。初の100試合出場で打率3割をマーク、一発も二桁に乗せ復調から成長の1年となった。8ホーマーを左腕から放ちキラーぶりも発揮。
だがこれが続いてくれない。開幕スタメンの昨年はその開幕3連戦で2ホーマーとスタート良く、序盤はまずまずの状態。しかし交流戦で大きく調子を落とし、ポジション失陥。7月に二軍落ち、1ヶ月ほどで一軍には戻ったものの、以降はスタメン機会が大幅に減った。前年より成績を下げ、復調しきれないままシーズン終了。
7月以降放ったヒットはわずか9本で、後半は非常に存在感が薄いままだった。得意なはずの左投手にも強さを見せられず、印象の残らない1年に。守備面の信頼が低いだけに、打撃で低調だとポジションは一気に遠くなってしまう。もう一度巻き返せるか、今季は勝負の年。

66 黒瀬 春樹

若手ショート、代役抜擢型

右投右打
県岐阜商高 西武04ドラフト2巡〜11途中、阪神11途中〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 西武 18 38 8 2 0 1 13 5 0 2 0 4 1 5 .211
09 西武 24 25 5 0 0 0 5 2 2 2 0 0 0 7 .200
10 西武 8 18 5 2 0 0 7 0 0 1 0 0 0 3 .278
通算 7年 62 94 20 4 0 1 27 7 2 6 0 4 1 19 .213

08年五輪出場の中島の代役として抜擢された若きショート。入団以来二軍生活が続いていたが、ここに来て一軍が見えてきた。
強肩強打のショートとしてドラフト上位でプロ入り。1年目から二軍ではほぼレギュラーの状態で出場していた。3年間は一軍出場がなかったが、07年初登場でプロ初安打も記録。そして08年、中島が五輪参加の8月スタメンに抜擢され脚光を浴びた。プロ初本塁打も放ち、8月12試合のうち11試合が先発。一軍定着の足がかりに。
正直に言えばまだ全体的に粗い選手で、09年の出場数はさほど伸びず。主にサードで出場したが、打撃でアピールできなかった。昨年はさらにチャンスが少なく、6月後半から7月にかけてのわずかな一軍滞在。昇格直後2試合連続2安打と光るところも見せながら一軍定着はならなかった。
二軍では3割近い打率にチームトップタイの12ホーマーを放ち、あとは本格的に台頭するばかりとなっている。今季開幕後、故障者続出の阪神へトレードが決定。このチャンスを活かしそろそろはっきり一軍進出したいところ。二軍では二塁・三塁・遊撃と満遍なく守ったが、三塁での25試合で10失策はさすがに多すぎか。

67 クレイグ・ブラゼル

大砲、移籍変身型

右投左打 ベストナイン(10)
西武08、阪神09途中〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 西武 130 471 110 19 0 27 210 87 0 0 7 30 13 139 .234
09 阪神 82 285 83 14 0 16 145 49 0 0 2 8 0 66 .291
10 阪神 143 564 167 15 0 47 323 117 1 0 6 25 6 153 .296
通算 3年 355 1320 360 48 0 90 678 253 1 0 15 63 19 358 .273

長距離砲として活躍する外国人選手。西武時代は粗っぽさが強かったが、阪神入団後イメージを大きく変えた。
メジャー実績はほとんどないが、07年3Aで32ホーマー。リリースしたカブレラに替わる大砲として08年西武入りした。大柄な体格でいかにもパワーヒッターという外見、そしてプレー内容もその印象を裏切らないものだった。開幕3三振デビューも、4月末までにいきなり11ホーマーを量産。打率は低いものの当たれば軽々柵越えの力を見せ付け、オールスターまでに24ホーマーで飛躍的に本塁打数の伸びた打線の象徴ともなった。ただ穴はやはり多く、後半は研究されて急失速。故障もあって低打率の上に一発も出なくなり、確実と思われた30ホーマーも届かず。さらに終盤頭部死球の影響から戦列を離れ、ポストシーズンはすべて欠場。8月後半から1ヶ月以上ノーアーチとあって、1年限りで退団に。
09年は本国に戻り当初独立リーグでプレーしていたが、シーズン途中阪神入り。6月に出場を始めると、交流戦半分の出場でチームトップの5ホーマーと力を発揮。その後もコンスタントに打ち続けた。一発は前年に比べるとやや少ないペースだったが、その代わり確実性が上昇。3割近い打率を維持して充分な戦力となった。
そして昨年は大きく上昇。開幕から一発はもちろん、高打率で打ちまくり、前半3割キープで26ホーマー。後半多少打率は下げたものの、1年目のように大きく崩れることはなく好調を維持。最終的に3割には一歩届かずも、本塁打・打点でリーグ2位の活躍。40ホーマー・100打点の大台を突破し、活発だった打線の中心としてチームを牽引した。
1年目の西武時代はとにかく典型的なプル&ローボールヒッターで、ツボに来ればでかいものの脆いという印象だったのだが、基本スタイルはそのままに柔軟性が向上。追い込まれると軽打を見せるなどしたたかになり、確実性が大幅に上がった。
初来日時が比較的若かったため、まだまだ働き盛りの年齢。昨年は左に弱い部分も見せたが、今季もタイトル争いの活躍が期待される。横浜戦で打ちまくり、打率4割に加えて実に14ホーマーを荒稼ぎ。

99 狩野 恵輔

控え後退、パンチ力型

右投右打
前橋工高 阪神01ドラフト3位〜
年度 球団 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四球 死球 三振 打率
08 阪神 12 9 2 1 0 0 3 1 0 0 0 0 0 0 .222
09 阪神 127 393 103 11 4 5 137 35 10 10 0 25 4 52 .262
10 阪神 32 42 9 0 0 2 15 5 0 0 0 3 1 9 .214
通算 10年 230 546 140 17 5 10 197 52 10 11 0 30 6 85 .256

09年正捕手格として活躍した選手。矢野の故障離脱からチャンスを掴み、一気にポジション奪取を果たした。
もともと入団時から期待の大きかった選手だが、しばらくは雌伏期間。最初の3年は完全に二軍で過ごし、一軍初出場後もしばらくは二軍暮らしが続いていた。しかし06年打撃開眼し、ウエスタンの首位打者獲得。この勢いで07年は開幕一軍入りし、代打で起用された巨人戦でプロ初安打となるサヨナラタイムリー。先発起用されたその翌日猛打賞にプロ初ホーマー、その翌日にも一発を放ち派手に名前を売ることに成功した。矢野が不振だったり故障したこともあり、5月には先発機会も多く与えられた。この活躍でポスト矢野の1番手に急浮上。
この勢いは持続しきれず、さらに08年は開幕前に右ひじを手術し大きく出遅れ。12試合と出場数を大きく減らしてしまった。一歩後退したが、翌年はそれを跳ね返す大飛躍。矢野が出遅れたことから開幕戦からマスクを被り、4,6月3割と自身も好調。そのままポジションを固めることに成功した。後半矢野の復帰後も1番手の座を維持し、100試合以上スタメン出場のレギュラーとしてシーズン完走。すべての面で前進の1年に。
捕手としては打力があり、また脚力も高いのが特徴。09年は10盗塁を記録し失敗は1度だけ、三塁打4本も光る数字。守備面では捕逸4は上々の数字で盗塁阻止率3割も及第点だったが、両リーグ最多の12失策を喫して不安定な印象を残してしまった。
大きな前進を果たしたが、昨年は城島加入で後退。城島が先発フル出場する中出場機会は激減し、32試合に留まった。この内マスクを被ったのは1度だけで、代打をメインとしてシーズン途中からは外野を守るように。少ない出番で調子も上がらず、2ホーマーは放つも低打率。
シーズン後腰を痛め、椎間板ヘルニアの除去手術。チーム状況やこういった事情を考えると今後も外野としての出場が多くなりそう。リハビリ明けとなるが、巻き返して再度一軍に食い込みたい。