阪神タイガース

12 渡辺 亮

中堅右腕、リリーフ型

右投右打
鳴門工高〜同大〜日本生命 阪神06ドラフト(大・社)4巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 阪神 66 0 5 2 0 23 67 1/3 52 2 60 28 1 2 20 2.67
09 阪神 46 0 1 0 0 3 47 2/3 44 5 34 17 1 2 18 3.40
10 阪神 61 0 2 2 0 8 74 2/3 57 4 53 36 2 2 22 2.65
11 阪神 56 0 5 1 0 12 54 2/3 39 2 36 14 1 1 12 1.98
通算 6年 282 0 14 6 0 53 302 2/3 245 15 235 118 9 10 88 2.62

07年に急台頭以降リリーフで回転を続ける右腕。多くの登板数をこなし戦力となっている。
社会人から阪神入りも1年目は一軍登板なし。二軍でも5点台の防御率とパッとしなかった。しかし秋季キャンプでナックルを披露し話題に。そして2年目は4月下旬に一軍昇格すると、リリーフ陣の一角に食い込む活躍で急台頭。前半こそさほどでもなかったが、徐々に信頼を掴んで後半は登板機会急増。オールスター以降で32試合に投げ、初勝利も記録。53登板はJFKに次ぐ多さで、一気に重要な戦力となった。終盤は少し失点が増えたが、実質1年目でシーズン完走。
140km台後半から150kmに届く速球とスライダーを軸とする投手。話題になったナックルは実戦レベルにないということで使わなかったが、このレベルなら不要だった。翌08年は前年の勢いを持続しさらに上昇。開幕からリリーフ陣の一角としてフル回転し、特に前半はかなりの安定感を見せた。久保田に次ぐ66試合登板を記録し、5勝を挙げホールド大幅増。完全に主力の一人に定着。
09年は疲労の影響か状態があまり良くなく、成績ダウンで登板数も減少。二軍落ちするなどあまり目立たないシーズンに終わった。しかし10年は立て直し、特に5月は月間15登板、この時点で防御率1点未満と快調。6月以降やや波が激しくなったものの、シーズン60登板をこなし最後までリリーフの一角で存在感を発揮。昨年はシーズン序盤あまり状態が良くなかったが、前年とは逆に6月以降立て直して安定。特に夏場以降は出番も大幅に増え、継投の要としてホールドも増加。自己最多タイの5勝を挙げ、防御率1点台の好成績を残した。
10年四死球がちょっと多かったが、しっかり修正されてきた。派手さはないもののコンスタントに活躍を続ける貴重な存在。

13 榎田 大樹

リリーフ左腕、即戦力型

左投左打
小林西高〜福岡大〜東京ガス 阪神11ドラフト1位〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
11 阪神 62 0 3 3 1 33 63 1/3 43 3 71 28 4 4 16 2.27
通算 1年

1年目からチームトップの登板でリリーフの柱となった左腕。即戦力の期待に違わぬ活躍で大きな存在となった。
高校・大学とそれほど名が通った存在ではなかったが、社会人に進み開花。大舞台での活躍で注目度が上がり、ドラフトでは大石の抽選に外れた阪神から1位指名を受け、プロ入りとなった。即戦力の期待通り開幕一軍入りを果たし、初登板は同点の場面で2イニングを抑えホールドを記録。以降も重要なマウンドをきっちりこなし、一気に信頼される存在となった。
平均140km台前半の速球が軸だが、多彩な球種の持ち主で投球の幅が広いタイプ。制球も安定しており、落ち着いたマウンド捌きで完成度の高さを感じさせる。ボールの切れも良く、奪三振も非常に多い。
左のリリーフというに留まらず藤川につなぐセットアッパーを任され、序盤は大車輪の活躍。特にプロ初勝利を挙げた5月は11試合で21もの三振を奪った。さすがにバテが来て6,7月は投球内容が悪化。一時二軍調整をはさんだが、一軍に戻った8月中旬からは再び重要なリリーフを任された。結果62試合登板、33ホールドはいずれもチームトップ。浅尾とはだいぶ差があったもののホールドポイントはリーグ2位の数字で、チームの継投に欠かせない存在として活躍。
予想以上の大きな戦力となった。今季は先発転向という話も浮上しているが、充分いけそうな多彩さを持つ。昨年は随分タフなシーズンだったので、疲労はしっかり取っておきたいところ。失点の9割ほどがビジターでのもので、ホームでの失点はわずか2と昨年は極端な内弁慶だった。

14 能見 篤史

先発左腕、エース成長型

左投左打
鳥取城北高〜大阪ガス 阪神05自由枠〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 阪神 11 0 0 0 0 0 11 1/3 15 1 10 6 0 1 6 4.76
09 阪神 28 1 13 9 0 0 165 142 11 154 44 5 3 48 2.62
10 阪神 12 0 8 0 0 0 62 1/3 63 3 57 13 5 2 18 2.60
11 阪神 29 5 12 9 0 1 200 1/3 151 8 186 55 6 3 56 2.52
通算 7年 157 8 43 27 0 12 624 2/3 577 44 568 191 24 16 230 3.31

09年先発で急成長、ついに主力となった左腕。自由枠入団の素質をようやく発揮し始めた。
井川などと同期で、高校時代から話題になっていた投手。社会人入り後しばらく低迷していたが、04年から巻き返しプロ入り。チームの期待は大きく、1年目開幕からローテーション入り。4度目の登板でプロ初勝利を挙げた。ただ2勝目以降の内容が悪く、その後は一軍と二軍を行ったり来たり。終盤先発連勝で計4勝を挙げたが、なかなか期待通りの活躍とまではいかなかった。
これ以降も積極的に起用されたが、なかなか突き抜けず。2年目はウィリアムスの出遅れから代役を期待されリリーフ起用も、一時は良かったもののじきに不安定になり、終盤は二軍。井川が抜けた07年は先発再転向。開幕ローテーション入りも3連敗で脱落、二軍調整後夏場から3勝上乗せ、その後3試合連続KOと浮き沈みの激しいシーズンに終わった。
体全体を大きく躍動させるフォームで、主武器はスライダー。腕がしっかり振れればなかなか切れのあるボールを放る。ただ悪いときには四球がかさむ傾向があり、ちょっと不安定な面も強かった。
08年登板数が激減し1勝もできず。年齢的にも微妙な立場となっていたが、09年ついに壁を越えた。開幕から先発入りすると前半3勝。ここまではそこそこといったところだったが、後半状態が激変。7月以降16試合で10勝4敗と一気にエース格に急上昇。特に終盤9月以降は1点台の防御率で5勝1敗と抜群の安定感。チーム唯一の二桁勝利で13勝をマークし、2点台の防御率はリーグ4位の好成績。30歳となって大幅なジャンプアップに成功した。
多かった四球が格段に減り、投球自体のレベルが変わった。翌年も開幕3連勝と絶好のスタートを切り、先発の軸として活躍を見せたがここでアクシデント。ゲーム中の走塁で右足を骨折し、5月頭から4ヶ月の長期離脱。しかし一軍復帰すると、シーズン終了まで救援1を含む5連勝をマーク。結果シーズン8勝無敗、前年から11連勝と底力を発揮した。
開幕投手となった昨年は改めて先発の中心に。前半はもうひとつ波に乗れず負け越していたが、後半は一気に調子を上げた。終盤は4連勝をマークし、8月以降8勝を上積み。2年ぶりの二桁12勝はチームトップタイで、自身初めてイニング数が200の大台に到達。奪三振はリーグ2位。
8月以降の防御率は2点を切り、勝ち星量産も納得の内容だった。遅咲きではあったが充実期に入り、今季も大黒柱としてチームを引っ張る働きを望まれる。

15 藤原 正典

リリーフ左腕、技巧派型

左投左打
県岐阜商高〜立命大 阪神10ドラフト2位〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
10 阪神 24 0 1 0 0 1 20 21 0 10 6 0 1 8 3.60
11 阪神 19 0 0 0 0 3 23 1/3 19 0 17 10 1 0 8 3.09
通算 2年 43 0 1 0 0 4 43 1/3 40 0 27 16 1 1 16 3.32

ボールの出所が見難いフォームが特徴の左腕。大学からプロ入りし1年目からリリーフで多数の登板機会を得た。
大学で評価を大きく上げ、3年時は春秋いずれも防御率1点台という活躍でMVPも獲得。ドラフト2位指名で阪神入りとなった。即戦力と期待されたが1年目はキャンプで足を痛め出遅れ。実戦登板は5月になってからだった。それでも6月末には一軍昇格、当初は失点が目立ったものの、リリーフで24試合に登板。7月後半にはプロ初勝利も挙げた。終盤離脱してしまったが、まずまずのプロデビュー。
テイクバックで左腕を体に隠し、巻きつけるように投じる。140km前後の速球とスライダーが投球の軸。2年目は開幕からずっと二軍が続いていたが、8月後半に一軍昇格。そこから19試合登板を果たした。
やや停滞気味ではあったが、終盤は一軍戦力に。3年目となる今季はもっと出番を増やして一軍定着を狙いたいところ。もう少し四球は減らしたい。

16 安藤 優也

元中心投手、不振急落型

右投右打
大分雄城台高〜法大〜トヨタ自動車 阪神02自由枠〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 阪神 25 2 13 9 0 0 154 2/3 158 8 111 41 8 2 55 3.20
09 阪神 28 2 8 12 0 0 164 180 18 97 51 6 5 71 3.90
10 阪神 19 0 2 3 0 0 52 78 9 31 14 0 4 42 7.27
11 阪神 1 0 0 0 0 0 1 2/3 5 0 1 2 0 0 3 16.20
通算 10年 261 9 59 50 10 4 861 1/3 880 80 651 239 33 26 350 3.66

3度の二桁勝利で阪神先発陣の中心を務めていた投手。安定感の高い投球を見せていたが、ここ2年大不振。
社会人bPの評判で、ドラフト前には争奪戦も噂された。開幕前から高い注目を集めていたが、1年目は前評判ほどのスケールは感じられず、まとまっているがあまり面白みはないといった印象。成績もいまいちに終わった。しかし翌年、初めからリリーフに固定されることで大飛躍。前年は印象に残らなかった球威がぐんと増し、鉄壁のセットアッパーに君臨した。状況によってはそのままストッパーに廻ることもしばしばで、1点台の防御率とリーグ随一の安定感。優勝へも多大な貢献を果たした。
安定感のある体型で、速球の威力は充分。入団当初は変にまとまりすぎていたが、リリーフを経験して魅力が倍加した。外角にビシッと決める制球力も持ち、総じて破綻のない好投手で、バランスの良さを感じさせる。
04年はいまいち不調の上、役割もはっきりせず波に乗れなかったが、05年は先発転向で成功。これまでは時折非常に不安定になることもあったが、それも影を潜めた。二段気味だったフォームをシーズン中に修正、8月以降連勝を重ねて初の二桁勝利に到達。これ以降は先発に専念となり、前半不振でファーム落ちもした06年も、9月以降先発6連勝を記録して2年連続の二桁勝利。1ヶ月あまりで防御率を1点も良化させる快投を見せた。
07年は開幕前に肩を痛め、シーズンの大半を棒に振ってしまったが、開幕投手となった08年は復活。5月までに6勝を稼ぎ、先発の軸に復権。また故障で一時戦列を離れたが、復帰後さらに勝ち星を重ね、3度目の二桁勝利、自己最多の13勝をマーク。チームの勝ち頭であり、改めてエースとしての存在感を示した。
だが2年連続開幕投手となった09年は前半から勝ったり負けたりという内容が続き、3位争いが激しくなった終盤にはさらに大不調。4連敗でシーズンを終え、二桁勝利に届かず自身初の二桁敗戦。かなり物足りないシーズンに終わった。そして翌年はさらに大幅な状態悪化。3年連続となった開幕登板では勝ったものの、以降は不安定な内容が続き、しばらく二軍落ちするなど不振続き。後半にはリリーフに廻るもいいところは見せられず、シーズンわずか2勝止まり、ほとんど戦力になれず大誤算のシーズンに終わった。
ここまでのキャリアで防御率4点台さえ1度だけという投手が7点台。前年オフに強行した減量が裏目に出たと言われ、低迷は昨年も抜け出せなかった。二軍スタートし、6月昇格して先発するも打者12人に5安打2四球を許す散々な内容で2回持たずKO。これ以降はずっと二軍で過ごし、自己最少の1登板のみ、そして初めて1勝も出来ずに終わった。
ここ2年の印象は非常に悪く、存在感もほとんどなくなってしまった。若いとは言えない年齢で、これ以上不振が続けば立場が危うい。今季はなんとしても復調し一軍に戻らないと。

17 杉山 直久

快速右腕、低迷型

右投右打
東舞鶴高〜龍谷大 阪神03自由枠〜11
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 阪神 9 0 2 3 0 0 43 1/3 54 5 24 16 3 4 28 5.82
09 阪神 2 0 0 1 0 0 5 8 2 1 1 1 0 3 5.40
10 阪神 7 0 0 0 0 0 6 1/3 8 0 3 2 1 0 2 2.84
11 阪神 - - - - - - - - - - - - - - -
通算 9年 94 5 21 23 0 0 429 445 42 312 136 36 30 191 4.01

150kmに迫る速球が魅力の右腕。03年の自由枠入団で、一時先発で台頭も近年不振。
速球とスライダーが軸のオーソドックスなタイプ。大学から阪神入りも1年目は3試合の登板2敗と即戦力にはなれず。ボール自体の威力は充分で、2年目の04年先発で台頭。素質の高さを見せたが、反面手痛い被弾も多く、被安打の割に失点が多かった。2勝はしたものの、一本立ちまでには至らず。
しかし3年目の05年は大きく成長。ボールを見難くするために岩隈を思わせるフォームに変更、これで一気に安定した。4月の末からローテーションに定着し、常に2点台の防御率を維持する好投。二桁まであと一歩の9勝を挙げ、主力投手に成長した。リーグトップの11死球が示すとおり、強気に内角を攻める投球が功を奏した。
これで一本立ちかと思わせたが、しかしこれ以降伸び悩みに陥ってしまった。06年は前半運に恵まれず1勝もできないまま二軍落ち。それでも後半4勝と巻き返して期待を持たせたが、07年は大幅に内容悪化。5月に2勝も防御率は6点台で6月上旬に二軍落ち。また再昇格後の後半に立て直したが、2年続けてシーズン4勝止まり。
これで期待値を落としてしまったか、近年は登板機会も激減してしまった。08年は序盤に2勝したきり長期二軍暮らし。8月に再昇格して3度先発するもいずれも冴えない内容で、完全に期待はずれに終わった。09年はさらに出番が減り、7月に2試合登板のみ。先発して4回で降板すると以降は二軍暮らし。
10年は交流戦の時期に昇格してリリーフで投げたが、1度失点するとシーズン終了直前まで長期二軍暮らし。前年より増えたとはいえ7試合の登板に留まり、印象の薄いままだった。この状況から昨年はとうとう一軍登板できないまま。シーズン後には戦力外に。
二軍でも冴えない成績で、年齢的にも見切られても仕方がないという印象。正式発表されていないが、今季はBCリーグ富山でプレーするという話も。

20 筒井 和也

中堅左腕、リリーフ型

左投左打
松山北高〜愛知学院大 阪神04自由枠〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 阪神 3 0 0 0 0 0 4 5 1 5 1 1 0 1 2.25
09 阪神 45 0 1 2 0 1 53 1/3 45 5 45 22 4 1 22 3.71
10 阪神 23 0 0 2 0 2 21 2/3 27 3 15 9 3 1 16 6.65
11 阪神 12 0 0 0 0 3 14 1/3 13 1 12 4 1 0 2 1.26
通算 8年 89 0 2 4 0 6 106 2/3 109 11 90 46 10 3 50 4.22

6年目にしてついに一軍台頭の、かつての自由枠左腕。長らく期待を裏切り続けていたが、遅まきながらも開花。
大学時代、リーグ戦で破格の24連勝を記録。ドラフトで鳥谷とともに自由枠で阪神入りとなった。1年目はもっぱら二軍で過ごすも、終盤10月に先発で一軍初登板し、1失点でプロ初勝利。2年目の飛躍が期待されたが、ここから足踏みが続くことに。05年も一軍で先発したが3回でKO。06年は二軍で9勝を挙げウエスタンの最多勝となるも、一軍登板なし。ここで一時サイドスローに転向し、07年はリリーフに廻って二軍で11セーブ、ウエスタンの今度は最多セーブタイ。しかし一軍では4度の登板で3度失点と結果を出せず。二軍では中心格も一軍では…という状態に陥っていた。
試行錯誤が続いていたが、腕を少し上げスリークォーターとなって浮上の兆しが見えた。08年は開幕一軍、登板わずか3度だったがいいところを見せた。そして09年は4月中旬に昇格すると、少ない登板機会にしっかり結果を出し、7月はチームトップの登板数と出番が大きく増えた。8月に2度の先発失敗で防御率はちょっと落としてしまったが、45試合に登板して一軍定着に成功。
速球とスライダー・チェンジアップを軸にする左腕で、球の切れが身上。かつては四球の多さも目立ったが、随分改善されてきた。
ただせっかく浮上しながら、翌年からまた足踏み。10年は序盤からあまりパッとせず、5月に入ると二軍調整を挟んで4連続失点。6月末に二軍落ちすると終盤まで一軍に戻れなかった。登板数は半減し、防御率6点台後半と期待はずれの結果に。昨年は長期間二軍で過ごし、一軍登板は9月後半になってから。前年とは違い防御率1点台前半と結果を残したが、期間が短く登板数はさらに半減した。
好成績に見える昨年だが、失点こそしなかったものの走者を出さなかったのは12試合中3試合だけ。リリーフとしては数字ほど信頼の置ける内容でもなかった。もう30歳を越え、今季はもっと長く一軍で活躍したいところ。チーム内にライバルも多いが、何とかアピールしていかないといけない立場。

21 岩田 稔

先発左腕、故障多発型

左投左打
大阪桐蔭高〜関大 阪神06希望枠〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 阪神 27 2 10 10 0 0 159 1/3 168 5 101 50 11 7 58 3.28
09 阪神 16 4 7 5 0 0 110 2/3 99 3 103 27 8 4 33 2.68
10 阪神 - - - - - - - - - - - - - - -
11 阪神 25 2 9 13 0 0 169 121 7 133 45 8 6 43 2.29
通算 6年 73 8 26 30 0 0 455 1/3 405 16 344 134 29 21 145 2.87

先発の一角を計算される左腕。3年目の08年に開花し、主力投手の一人となった。
大学から希望獲得枠で06年阪神入り。高校時代に発症した糖尿病を抱える選手としても話題となった。ただその病気以外にも故障が多く、アマ時代は腰、プロに入ってからは肘を痛め、1年目は一軍登板1度、二軍でも6試合にしか投げられなかった。即戦力とはいかず、07年も一軍定着は果たせなかったが、しかし二軍では成績向上。
そして08年はオープン戦で抜群の結果を残し、ついに一軍進出。開幕2戦目に先発しプロ初勝利を挙げるとそこから5月末までに5勝を挙げ、この時点で防御率1点台でリーグトップ。抜群の安定感を見せ、やや不安だった先発陣の新星として大活躍を見せた。6月以降失速して成績を大きく落とし10敗を喫してしまったが、10勝到達で一気に一軍主力投手に定着。
スピードもまずまずあり、スライダー、カーブ、シュートと多彩な球種を織り交ぜる。入団当初は制球に不安を抱えていたが、これが大きく向上した。特にスライダーは鋭く大きく曲がる一番の武器。
ただどうにも故障が付きまとう投手で、さらなる飛躍を期待された翌09年はWBCで肩を痛めてしまい、シーズンには大きく出遅れ。復帰した夏以降2完封を含む4完投、後半だけで7勝と力のあるところを見せたが、10年はキャンプ中に肘を痛めまたも離脱。手術に踏み切ったためシーズンはリハビリに費やし、実戦登板のないまま終えた。
それでも無事ならば大きな戦力となる存在で、故障癒えた昨年は開幕からローテーションを維持。いきなり3連敗スタート、夏場にも4連敗など勝ち星には恵まれなかったものの、安定した投球をシーズン通して見せた。打線の援護に恵まれなかったため10勝には一歩届かず、二桁敗戦も喫してしまったが、リーグ5位の防御率に抑え復活を果たしたシーズンとなった。
1点以内に抑えながら勝てなかったゲームが3試合あり、この勝敗は逆でもおかしくない内容だった。実力は充分で、故障さえ出なければ確実に中心投手。中日・横浜には防御率1点前後とほとんど打たれなかった一方、3戦3敗の広島戦のみ被打率が3割を越えていた。

22 藤川 球児

リリーフ大成、絶対速球型

右投左打 最優秀中継ぎ(05,06)、最多セーブ(07,11)
高知商高 阪神99ドラフト1位〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 阪神 63 0 8 1 38 5 67 2/3 34 2 90 13 3 3 5 0.67
09 阪神 49 0 5 3 25 3 57 2/3 32 4 86 15 1 0 8 1.25
10 阪神 58 0 3 4 28 5 62 2/3 47 7 81 20 5 1 14 2.01
11 阪神 56 0 3 3 41 5 51 25 2 80 13 1 3 7 1.24
通算 13年 514 0 40 23 196 100 644 2/3 426 39 856 192 21 29 129 1.80

日本人最速クラスの快速球で君臨するクローザー。絶対的なセットアッパーから抑えに廻り、チームの顔とも言える存在に。
高校からドラフト1位で阪神入り。松坂世代の一人で、ほっそりした体形だが、しなやかな腕の振りが魅力的な投手。ただ当初は地味な存在で、コーナーワークを身上とする平均点投手という印象。スピードも平均レベルだった。2年目に一軍初登板し、02年にはすべて先発登板でプロ初勝利と順調な成長は見せていたが、華やかな同世代に比べると随分影は薄かった。
制球力は高いがそこそこの投手という印象だったが、04年から突然の大変身。夏場に一軍に上がると、150kmの快速球を連発。後半だけで26試合に登板し、一軍定着どころか一気に主力リリーフに食い込んできた。その勢いは翌年に入ってさらに加速。スピードはさらに伸びて圧倒的な球速を誇るようになり、チームの必勝パターンとしてフル回転。登板数は6月時点で40試合を越え、しかもほとんど打たれないという恐ろしいほどの安定感を見せた。最終的に当時の日本記録となるシーズン80試合登板、1点台前半の防御率を記録。投手陣では最大の輝きを見せ、鉄壁のリリーフはウィリアムス、久保田とともに「JFK」ともてはやされた。優勝の大きな原動力に。
もともと高かった制球力は、スピードが上がっても全く破綻していない。フォークの切れもいいが、何より常時150越えの圧倒的なスピードが最大の特徴。速球一本で押しても三振を奪えるほどの威力を誇る。
これ以降は投手陣を支える大黒柱として君臨し続け、久保田故障以降はクローザーに定着。06年は4月中旬から7月まで驚異の38試合連続、球団新記録となる47イニング連続無失点記録を樹立。開幕から抑えの07年はプロ野球タイ記録のシーズン46セーブをマークし、堂々のタイトルに輝いた。08年は五輪参加でタイトルは譲ったが、防御率0点台、被打率わずか1割4分と圧倒的な内容。自己最多の8勝を挙げた。並び称されてきた久保田が故障、ウィリアムス不調でJFK解体となった09年も揺るぎなく、チームの不調からセーブ数は伸びなかったものの、2年続けてシーズンの失点が一桁という結果を残した。
10年は8回から登板する機会もたびたびあり、疲労の影響か終盤はやや乱れる場面も。被安打や四死球がやや増え、6年ぶりに防御率が2点台となった。しかし昨年はまた圧倒的な投球を展開。5,6月は1点も取られないなど快調にセーブを量産。シーズン通して調子を維持し、4年ぶりに40セーブ突破。これも4年ぶりとなるタイトル奪還に成功した。
被打率は08年並の1割4分。そして奪三振率が14を越え、これは過去最高の数字だった。前年若干ながら垣間見せた陰りを見事に払拭。リリーフとして何年もフル回転しながら故障がないのも頼もしい限りで、まだ当分時代は続きそうか。

27 秋山 拓巳

高卒新星、先発型

右投左打
西条高 阪神10ドラフト4位〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
10 阪神 7 1 4 3 0 0 40 1/3 33 3 23 13 0 0 15 3.35
11 阪神 2 0 0 1 0 0 7 1/3 8 1 1 7 1 0 5 6.14
通算 2年 9 1 4 4 0 0 47 2/3 41 4 24 20 1 0 20 3.78

高卒1年目から先発で活躍を見せた右腕。ローテーションの新星として脚光を浴びる存在に。
高校時代は投打の中心選手として甲子園春夏連続出場。186cmの長身に加えて肉付きもよく、恵まれた体格は全国大会でも一際目立つ存在だった。打者としての評価も高かったが、ドラフト4巡で阪神に指名されると投手としてプロ入り。
ドラフト下位の高卒新人ということで即戦力とはみなされていなかったが、二軍戦で好投続き。ほぼ先発で12試合に投げ、勝敗こそ2勝2敗と地味だったものの防御率は2点そこそこという好成績。8月後半一軍に抜擢されることとなった。プロ初登板となった先発では敗れるも、ローテーション入りして続く登板でプロ初勝利を挙げると、ここから9月にかけて4連勝をマーク。1完封を含む快投で優勝争いの終盤戦に非常に大きな戦力となった。最後は連敗で終わるも、4勝を挙げ鮮烈なデビューを果たした。
すでに一軍でも見劣りしない体格の選手で、力強い腕の振りを見せる投手。スピードは140km前後といったところだったが、予想以上に実戦的な制球力を持っていた。ただ開幕から先発もと期待された昨年はずっと二軍暮らし。二軍での成績は悪くなかったが、終盤一軍先発は四球多発し結果を残せず。ちょっと抜擢と結果を出すのが早すぎた感もあるので、まずはじっくり力をつけたいところ。

28 福原 忍

ベテラン右腕、復調型

右投右打
広陵高〜東洋大 阪神99ドラフト3位〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 阪神 8 1 3 2 0 0 34 38 4 17 12 0 3 13 3.44
09 阪神 14 1 3 10 0 0 74 1/3 77 9 45 27 3 1 40 4.84
10 阪神 19 0 0 1 0 0 24 1/3 25 5 20 10 0 3 14 5.18
11 阪神 55 0 2 3 0 11 48 2/3 41 5 59 16 1 1 14 2.59
通算 13年 355 11 67 90 13 11 1130 1139 94 907 386 34 49 458 3.65

二桁勝利3度の実績を持つベテラン右腕。近年不調が続いていたが、昨年リリーフで久しぶりに存在感を発揮。
ドラフト3位で阪神入りすると、即戦力として1年目から活躍。当時チーム最速のスピードを買われリリーフ起用され、52試合登板で10勝9セーブと大きな戦力となった。しかしこのデビュー以降しばらくはやや苦戦。2年目に先発に廻ってから役割がはっきりしなくなり、先発としてもリリーフとしてもやや中途半端な状態に陥っていた。01年に9勝を挙げるも翌年は故障の影響で1勝止まりと低迷。一時期球速もがた落ちし、生命線を失ってかなり苦しむことに。右肩の手術に踏み切り、03年は大幅に出遅れ。しかしこの低迷で、ピッチングが一皮むけたのは怪我の功名か。
03年終盤に復帰するとそれまでとは一味違うスタイルで安定。球威のみに頼らないバランス型の投球を確立し、かつての単調さが影を潜めた。翌年はこれまでの不振を払拭するように開幕からローテーション定着、特に前半はかなりの安定感で8勝を記録し、先発の軸として完全復活を果たした。球速も甦り、スライダーで低めを突く丁寧な投球で主力に返り咲き。最終的に1年目以来の二桁10勝をマーク。
それまでは「リリーフ向き」の印象が強かったが、完全に先発型として再生。ちょっと勝ち運のない投手で、04,05年と連続大幅負け越し。05年は内容を良くしながら10勝に届かなかった。そんな不運も06年払拭し、先発7連勝など波に乗って自己最多の12勝を記録。2点台そこそこの防御率を記録し、抜群の安定感で大きく勝ち越しに成功。
だがここをピークとして、以降は精彩を欠くように。翌07年大乱調に陥り、6点台の防御率で2勝のみと大幅に成績悪化。汚名返上を期した08年はいきなり完封勝利と幸先のいいスタートを切るも、4月末に打席で指骨折のアクシデント。4ヶ月の長期離脱でシーズンの大半を棒に振ることに。改めてローテーション入りの09年は前半こそ3勝を挙げそこそこの投球も、6月中旬以降二軍調整を挟みながら泥沼の6連敗。後半は1勝も出来ず、4年ぶりの二桁敗戦で大きく負け越し。10年は久々にリリーフに廻ったものの、前半はほとんど二軍暮らし。後半は出番が増えたが、安定感には程遠く敗戦処理が中心。防御率5点台とパッとしない成績に終わり、初めて1勝も出来ないシーズンとなった。
30歳を越えたところから急激に色褪せ、すっかりジリ貧と化していたが、昨年意地を見せ復活に成功。開幕からリリーフとして登板を重ね、ここ最近なかった力強い投球を展開。好調を持続し、8月には13試合登板とフル回転。最終的に55試合登板は1年目を越えて自己最多更新。ベテランの存在感を大いにアピール。
復調の要因は何と言ってもスピードの回復。140km台後半から150kmの若々しさが甦り、11に迫る高い奪三振率をマーク。やや老け込んでいた近年の印象を払拭する内容だった。改めてまだまだ速球派であることを見せ付け、状態維持なら今季も貴重な戦力。10試合中5試合で失点とヤクルトには相性が悪かった。

29 小嶋 達也

中堅左腕、リリーフ前進型

左投左打
遊学館高〜大阪ガス 阪神07希望枠〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 阪神 - - - - - - - - - - - - - - -
09 阪神 1 0 0 0 0 0 6 3 0 2 2 0 0 0 0.00
10 阪神 4 0 0 3 0 0 8 2/3 16 3 5 3 1 0 12 12.46
11 阪神 36 0 1 2 0 5 48 1/3 34 2 64 28 1 1 20 3.72
通算 5年 46 0 3 8 0 5 88 81 7 86 43 4 2 43 4.40

希望枠入団の左腕投手。ここまでなかなか一軍に食い込めずにいたが、5年目の昨年リリーフで出番が急増。
高校時代エースとして甲子園2度出場。ベスト8となった2年夏には3試合で41奪三振の快投を見せ、「高校bP左腕」と高く評価された。ドラフト前には中日の1位指名が有力視されていたが、これを拒否して社会人に。その大阪ガスではほとんど実績を残せなかったが、高校当時から熱望していたと言われる阪神に希望枠で入団。
即戦力左腕と目され、1年目はいきなりローテーション入り。開幕3戦目にプロ初登板初勝利を挙げ、その後もう1勝したがここまで。一軍登板は序盤だけで以降は二軍暮らしに終わった。するとここから停滞が続き、2年目は肩の故障でほぼ登板なし。10年3度の先発機会を得たがすべて敗戦投手となり、1年目からの連敗を5に伸ばして終了。
伸び悩みと言われても仕方のない状態が続いていたが、昨年ようやく一皮むけてきた。これまでの先発路線からリリーフに廻り、開幕から一軍帯同。リードされた場面がメインの地味な役回りだが自己最多の登板機会を獲得。夏場に一時二軍落ちも後半は一軍に戻り、終盤には先発起用されて4年ぶりの勝利を記録。大きく前進のシーズンとなった。
なんと言っても目を惹くのは12に迫る圧倒的な奪三振率。力、切れともにこれまでとは段違いで、高く評価されていた素質を発揮し始めた。四球が相当に多く投球は粗っぽいが、これをステップにさらなる飛躍を期待。

30 久保田 智之

剛球リリーフ、タフネス型

右投左右打 最優秀中継ぎ(07,08)
滑川高〜常磐大 阪神03ドラフト5巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 阪神 69 0 6 3 0 31 85 1/3 87 8 75 34 2 8 30 3.16
09 阪神 1 0 0 1 0 0 2 1/3 7 0 3 2 0 0 4 15.43
10 阪神 71 0 6 3 0 28 81 2/3 72 11 68 17 0 6 29 3.20
11 阪神 23 0 1 2 0 6 21 2/3 27 2 26 9 0 3 13 5.40
通算 9年 423 1 41 32 47 116 588 581 54 596 174 12 35 200 3.06

JFKの一角として活躍、チームを支えた剛球右腕。07年日本最多記録のシーズン90試合登板など、非常に登板数が多いタフな投手。
高校時代、捕手からマウンドに上がりいきなりのトルネード投法で甲子園スタンドの度肝を抜いた。大学から投手に専念し同期の小野寺(ヤ)とともに活躍、ドラフト下位指名で阪神入り。投手経験の浅さから完成度の低さを懸念する声もあったが、想像以上の早さで台頭してきた。1年目の後半から一軍に定着すると快投連発。リリーフから先発に廻っても勢いは衰えず、後半苦しくなっていた投手事情を救い、チーム優勝の後半のキーマンと言ってもいい活躍。翌04年は前半こそ先発で結果が出せなかったものの、故障復帰後はリリーフで安定。
野茂ほど背中を見せない、いわば「プチトルネード」投法。武器は150kmをコンスタントに越える速球に加えてスライダーが中心。奪三振が非常に多く、投球スタイルの割に四球は少ない。ただビシッと抑える事は少なく、走者をよく出すハラハラタイプの面も強い。
3年目の05年からは抑えを任され、序盤こそ失敗が多かったが、徐々に調子を上げて完全定着。「JFKトリオ」の一人として大きな話題となった。走者を出しながらもしぶとく抑え、27セーブを挙げて優勝に貢献。翌06年もクローザー役だったが、6月に右手指を骨折し2ヶ月の戦線離脱。これ以降は藤川が抑えに転じ、復帰後久保田はセットアッパー役に。ただ全体的に精彩を欠き、チームにとっても大きな誤算のシーズンとなった。
圧巻は翌07年。開幕からセットアッパーに専念すると、リリーフでフル回転。同点或いはビハインドの状況でも積極的に投入され、オールスター前に早くも50試合到達。これ以降もペースは落ちず、05年に同僚藤川が樹立したシーズン記録を大きく上回る、前人未到のシーズン90試合登板。ホールドも46を数え、もちろん新記録でタイトル獲得。想像を絶するほどタフなシーズンを送った。これだけ投げても安定感は近年では一番高く、最後まで突っ走った。翌年も69試合と数多く登板し、2年連続で中継ぎタイトル獲得。たださすがに前年の反動からか若干不安定で、細かい失点が目立ち防御率は3点台。四球が増加、暴投は自己最多と制球が荒れ気味だった。
すっかりリリーフの顔として定着も、09年はしばらく前からたびたび話題となっていた先発転向に本格的に取り組むことに。ところが皮肉なことに、ありえないほどの登板数を重ねてきた疲労がここで表に出てしまった。キャンプ早々に肩を痛めて離脱し大幅に出遅れ。7月中旬にようやく一軍復帰を果たしたが、先発して3回持たずKOされ、即二軍落ち。以降再昇格なく、この登板がシーズン唯一の一軍登板となってしまった。1年目から主力となっていた投手で、これはもちろん自己ワースト。
故障癒えた10年は再びリリーフ。序盤は非常に好調で過ごしていたものの、5月に入ると6試合で12失点と極端に調子を落とし、一旦二軍落ち。それでも6月後半再昇格以降はセットアッパーとして重要な戦力となり、改めて存在感を示した。1ヶ月の不在期間がありながらチームトップの71試合に投げ、これもチームトップの28ホールド。完全に復活に成功。
ただ以前のように何年もフル回転とはいかなくなってきているか。昨年は序盤から状態が悪く、不安定な投球が続いた。7月後半から二軍で調整するも、一向に調子は上がらず。終盤に再昇格も登板機会なく、結局後半は一軍登板のないまま終わった。
二軍でも防御率5点台というのは寂しい姿。上向かないまま終わってしまったシーズンだった。まだまだ三振を奪う力はあり、今季は主力リリーフとして復調したいところ。このところの乱高下サイクルは気になるところ。

34 久保 康友

エース格、調子激動型

右投右打 新人王(05)
関大一高〜松下電器 ロッテ05自由枠〜08、阪神09〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 ロッテ 33 1 4 7 0 7 91 104 10 70 33 6 5 50 4.95
09 阪神 26 1 9 8 0 0 151 1/3 140 14 113 50 16 9 63 3.75
10 阪神 29 4 14 5 0 0 202 1/3 183 22 158 45 12 4 73 3.25
11 阪神 20 0 8 8 0 0 109 2/3 108 10 73 36 4 0 46 3.78
通算 7年 171 14 61 52 0 9 944 2/3 947 91 699 233 63 30 406 3.87

10年自己最多の勝ち星を挙げ、阪神のエース格となった先発右腕。波の激しさを解消して大きく飛躍に成功。
高校時代センバツ準優勝の実績を持つも、社会人に進んで一時低迷。しかしそこから盛り返して「松坂世代最後の大物」とも呼ばれた。05年自由枠でロッテ入り。即戦力の期待通り開幕一軍入りを果たすと、初先発で完封勝利。好調だった先発陣に一気に食い込んだ。5月中旬からは7連勝と波に乗り、チームの新人としては55年ぶりという二桁勝利を達成。文句なしの新人王に輝き、強力先発陣の形成に大きな貢献を果たした。
バランスの取れた好投手で、凄みはあまりないがそこそこのスピードに多彩な球種を持ち、幅広く攻められるタイプ。制球力もなかなかあり、またプロでもトップクラスと言われるクイックモーションの使い手。総合的にしたたかさを感じさせる。
デビューから主力となり、2年目の06年も前半は6勝と順調そのもの。ところが後半は一転して全く勝てなくなってしまった。交流戦以降6点台中盤の防御率、8月以降は6連敗と完全に調子を落とし、ここからしばらく信頼しきれない状態が続くことに。07年は後半巻き返してシーズン9勝も、前半の内容がいまいちで防御率は4点台。08年も前半不調が続き、二軍落ちやリリーフ起用も。前年同様後半は盛り返して先発にも復帰したが、シーズン4勝止まりで防御率は5点をやっと切る数字。100イニングにも届かない1年となった。
シーズン中に必ず極端な不調の時期があり、徹底的に乱れる傾向が続いていた。しかし翌09年開幕前に阪神へ移籍すると、ようやくこの不安定さを払拭し始めた。移籍当初はなかなか勝てなかったものの、古巣ロッテとの交流戦で移籍後初勝利を挙げると、6月からは波に乗って5連勝を記録。4年ぶりの二桁勝利にはあと一歩届かなかったが、後半7勝の活躍で存在感を見せた。3点台の防御率はこれも1年目以来。
そして移籍2年目の10年は大きく上昇。開幕からなかなか安定した投球を続け、6月から6連勝をマーク、一つ負けた後また5連勝。やや内容の落ちた夏場も打線の援護に乗せられて勝ち星を重ね、終盤は再び安定感を取り戻した。1年目以来5年ぶり2度目の二桁勝利は自己最多でチームトップの14勝。防御率も自己ベストを記録し、不調や故障で先発の陣容が様変わりする中で、開幕から最後までローテーションを守り続けた。
ただ昨年は以前の出入りの激しい姿が少しぶり返した。5月に3連敗するなど状態もうひとつで、6月に2回持たず降板すると脇腹痛で戦線離脱。7月末に復帰すると、8月は4戦全勝と巻き返しを見せるも、その直後また調子を崩し二軍調整を挟んで4連敗。8勝8敗と勝ち負けイーブンで物足りない結果に終わった。
故障というのもあるが、前年よりイニング数が半減しながら四球は9少ないだけと制球がやや乱れ気味。大崩れする悪癖はもう一度封印したいところ。今季は再び二桁勝利の期待がかかる。10年4勝のヤクルトには昨年も滅法強く、5勝1敗で防御率1点台と完全なカモ。

40 鄭 凱文 (ジェン・カイウン)

台湾代表、若手型

右投右打
阪神09〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
09 阪神 13 0 1 1 0 0 31 1/3 39 4 18 6 0 1 19 5.46
10 阪神 1 0 0 0 0 0 1 1 0 0 1 0 0 0 0.00
11 阪神 3 0 1 0 0 0 10 2/3 14 1 5 2 1 0 4 3.38
通算 3年 17 0 2 1 0 0 43 54 5 23 9 1 1 23 4.81

台湾から来日の外国人投手。まだ大学在学中に阪神入りし、23歳と非常に若い選手。
中学・高校とその世代の代表入りしていたという逸材で、大学進学後は北京五輪代表入り。在学中の09年春季キャンプで阪神にテスト入団を果たした。そのままWBCにも代表出場。開幕すると4月後半に先発で来日初登板。その後パッとしない投球で一軍と二軍を行ったりきたりだったが、終盤先発登板で好投し来日初勝利を挙げた。1年目は結局13試合に登板。
最速150kmの速球と鋭いスライダーを武器とする投手。まだプロレベルでの経験不足は否めないが、将来性は非常に高い。このあと2年はいずれも一桁登板とほぼ二軍生活が続いているが、やや腕を下げサイドスロー気味となった昨年は7月先発で2年ぶりの勝利を記録。
二軍では1点台の防御率で5勝1セーブの好成績。上でも通用するだけの力は持っており、そろそろ本格的に一軍に食い込みたいところ。外国人枠の制限を受けるのが辛いところではあるが。

41 小林 宏之

エース級右腕、抑え転向型

右投右打
春日部共栄高 ロッテ97ドラフト4位〜10、阪神11〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 ロッテ 23 1 5 12 0 0 138 155 15 112 45 2 5 77 5.02
09 ロッテ 24 4 4 13 0 2 134 1/3 142 16 120 35 7 7 64 4.29
10 ロッテ 57 0 3 3 29 5 61 51 2 53 14 3 6 15 2.21
11 阪神 42 0 1 5 0 21 39 43 2 45 19 2 8 13 3.00
通算 15年 370 22 75 74 29 28 1287 1250 134 1125 350 37 70 503 3.52

過去二桁勝利4度の実績を持つ主力右腕。近年不調が続いたが、10年抑えに転向して復活。
高校からドラフト4位指名でロッテ入り。一軍初登板は2年目だったが、当初の4年間はほとんど二軍で過ごした。台頭してきたのは5年目の01年で、終盤に先発入りしプロ初勝利を記録。ローテーション入りの期待が高まった翌年だったが、先発では結果を残せず。しかし中継ぎに廻ると別人のように好投を見せ、後半は完全にセットアッパーに定着。ストッパーの雅英と「小林リレー」を形成し、58試合に登板して防御率2点台、7勝を記録。これで完全に主力投手に。
きっちりとしたオーバーハンドから投げ下ろす速球と、切れのいいフォークが最大の武器。それだけではなく、シュートやスライダーなど幅広い変化球も使える。実際の身長以上に角度を感じさせる投手で、また制球力もなかなか高い。好調時には落ちる球を低めに集め奪三振が多い。
一度失敗した先発入りだったが、03年途中から再度の挑戦。今度は高い安定感を見せ、勝ち負けイーブンだったものの10勝到達に成功。これ以降は常に先発で投げるようになった。04年はやや不安定で9勝に留まったものの、05年はさらに一回り成長。特に交流戦では6戦5勝と抜群の成績でMVPに選ばれた。後半もしっかりした投球でトータル12勝をマーク。ポストシーズンでも好投し、10勝投手6人と好調だった先発陣の中でも上位の安定感を見せた。
06,07年は清水や渡辺俊が精彩を欠く中でエース級の働き。WBCで体調を崩し出遅れた06年は10勝に留まるも2点台の防御率。そして07年は開幕から安定。シーズン通して堅実な活躍で、3年連続二桁勝利は自己最多の13勝、防御率もさらに良化。成瀬の活躍で陰に隠れてしまったが、10の貯金を稼ぐ重要な働きを見せた。
すっかり安定戦力とみなされ、08年は開幕投手に。ところがここから不調に陥ることに。4月から5連敗、6月さらに乱調で、前半2勝8敗と完全な不調。後半は少し持ち直したものの、結果5勝12敗の大負け。防御率も5点を切れずに終わった。そして巻き返しが期待された翌年も不調継続。開幕から4連敗で交流戦では一時リリーフに。6月半ばにようやくシーズン初勝利を挙げ先発に戻ったが、その後も黒星ばかりが積み上がってしまった。最終的に2年連続の二桁敗戦、防御率はやや改善されたものの、4勝13敗で前年よりも負け越すことに。
この結果から10年は抑えに転向。8年ぶりのリリーフ専念だったが、これが復調につながった。開幕から非常に状態良く、6月に入るまで18試合連続無失点を記録して守護神に完全定着。最後までクローザーとして君臨し、リーグ3位の29セーブをマーク。シーズン50試合登板は7年ぶりで、ここ2年の不振を完全に払拭。
オフにFA権を行使しメジャー移籍を目指したが契約は勝ち取れず、昨年は阪神に移籍。藤川につなぐセットアッパーを任されることになったが、開幕から不安定な状態続き。たびたび失点して信頼を失った。その後も状態はあまり上がらず、8月後半3連続失点で一時二軍落ち。チーム2位の21ホールドではあるが、5敗を喫し防御率も3点台と期待を裏切る形となった。
昨年はっきり数字に出ているのが四球の大幅な増加。例年の倍近いペースで歩かせ、暴投8もチーム最多。これほど走者を出してはセットアッパー失格もやむをえないところ。昨年で随分印象が悪くなってしまったので、先発再転向という今季は意地を見せたいところ。足の痙攣癖があり、そこから先発で乱調になっていった点で不安も残るが…。

42 下柳 剛

老獪野武士、鉄腕型

左投左打 最多勝(05)
瓊浦高〜八幡大中退〜新日鉄君津 ダイエー91ドラフト4位〜95、日本ハム96〜02、阪神03〜11、楽天12〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 阪神 27 1 11 6 0 0 162 1/3 154 9 89 41 9 2 54 2.99
09 阪神 22 1 8 8 0 0 119 1/3 127 10 64 42 8 2 48 3.62
10 阪神 19 0 7 8 0 0 100 110 13 58 33 6 3 48 4.32
11 阪神 6 0 0 2 0 0 28 29 1 18 12 1 1 11 3.54
通算 21年 623 15 129 104 22 0 1953 2/3 1926 194 1414 743 90 57 849 3.91

かつてリリーフ時代に「アイアンホーク」の異名を取ったタフネス左腕。技巧派に転身し、今は先発で息の長い活躍を見せるベテラン投手。
ダイエーに入団当初は球は速いがノーコンという評価で、2年目まではまったく戦力にならなかった。しかし故・根本監督に見出され、93年50試合に登板。先発にリリーフにというこのスパルタ起用によって一本立ちを果たした。翌94年は62試合に投げ11勝をマーク。96年に日本ハムへ移籍後も比類なきタフネスは健在で、97年から3年連続60試合以上登板。これだけ投げてもほとんど故障がなかった。
ただリリーフで鉄壁というところまでは至らず、防御率2点台のシーズンが一度も無いなどムラッ気が強かった。スピードが落ちてきた00年以降技巧派となり、先発に廻るが、9勝を挙げた01年も防御率は5点台。波の激しさが抜けず、02年2勝に終わると翌年は阪神へ。しかし、これが大きな転機となった。
03年は前半かなりの安定感を見せ、9年ぶりの二桁勝利で自身初めての優勝にも大きく貢献。変化球を徹底して低めに集める投球スタイルを確立し、完全に生まれ変わった。04年こそ不安定で7勝止まりだったが、05年はさらに躍進。5〜6回をきっちり抑えて強力リリーフ陣につなげるパターンがはまり、快調に白星量産。最後は5連勝で15勝到達、プロ野球史上最年長での最多勝投手に輝いた。伊東昭光以来2人目の規定投球回未満での最多勝という記録で、これが自身初のタイトルであり、防御率も初の2点台。
これ以降はすっかり先発の軸的存在となり、安定した活躍。連続二桁勝利も防御率が落ち気味だったが、40歳となった08年再浮上。開幕5連勝と序盤非常に好調で、そのまま11勝を挙げ4年連続の二桁勝利達成。防御率は大きく改善して3年ぶりの2点台とした。
若い頃のパワーピッチングはもうすっかり影を潜めたものの、多彩な球種をフル活用する投球スタイルは老獪そのもの。ただ近年はさすがに衰えが見え出した。09年は乱調スタート。5月から4連勝で巻き返したが、その直後から6連敗を喫するなど浮き沈みが激しく、5年ぶりに二桁勝利に届かず。10年もやはり波があり、前年よりさらに防御率悪化。7勝に終わり、阪神移籍後では初めて負け越しのシーズンとなった。
そして昨年は一気に落ち込み。前半6試合に先発したものの、5回投げきったのが最初の3試合だけ。1勝も出来ないまま6月以降は長期二軍で過ごし、そのまま一軍登板なくシーズンを終えた。全く存在感なく、シーズン後には戦力外に。
ボール球を打たせるのが肝の投手だが、球威の低下でかわしきれなくなってきた。現役続行を望み、春季キャンプのテストで楽天入りが決定。久々のパ・リーグでもう一花咲かせられるか。

43 西村 憲

2年目台頭、リリーフ型

右投右打
福岡工大城東高〜九産大 阪神09ドラフト4位〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
09 阪神 6 0 0 0 0 0 8 7 1 8 3 1 0 5 5.63
10 阪神 65 0 7 3 0 14 71 2/3 72 11 71 13 3 1 31 3.89
11 阪神 21 0 1 0 0 1 26 1/3 17 0 21 4 1 1 5 1.71
通算 3年 92 0 8 3 0 15 106 96 12 100 20 5 2 41 3.48

2年目の10年リリーフの中心格に急台頭の投手。顔ぶれの替わったリリーフ陣に食い込み、一気に主力の活躍を見せた。
高校時代は名の通った存在ではなかったが、大学では1年時から主戦としてフル回転。ドラフト4位で阪神に指名されプロ入りとなった。1年目は主に二軍暮らしも一軍登板も経験。二軍ではチーム最多の36試合に登板し、2点そこそこの防御率で4勝9セーブという好成績を残した。そして2年目開幕一軍入りを果たすと、開幕2戦目のリリーフでプロ初勝利をマーク。ここから急台頭が始まった。4月末までに12試合に投げ失点わずかに1。一気に主力リリーフの一員に。
140km台後半の速球を中心に攻める投手で、三振を奪えるリリーフ向きの投球。またそれ以上に四球の少なさは特徴的で、完成度の高い投手という印象。5,6月は捉まるケースも出て失点が少し増えたが、7月に入るとまた立て直しフル回転を続けた。最終的に65試合に登板し7勝をマーク、接戦に欠かせない存在として急成長。
さすがにばてたのか8月以降は急激に投球内容が悪化。7月末に2点台前半だった防御率は2ヶ月で3点台後半まで落ち込んだ。今季も疲労が抜けず、前半は2登板のみとほぼ二軍。後半ようやく調子を戻し、8月以降は18試合で失点は1度だけ。登板数は激減したが、力のあるところは見せた。
やはり10年の消耗は激しかったと言わざるを得ないが、それほど時間をかけずに立て直してきたのは光明。今季は改めて主力リリーフとしての働きを期待される。

46 鶴 直人

先発台頭、総合力型

右投左打
近大付高 阪神06ドラフト(高)1巡〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 阪神 1 0 0 0 0 0 0 5 0 0 1 0 0 6
09 阪神 1 0 0 0 0 0 1 1 0 0 1 0 0 0 0.00
10 阪神 21 0 2 4 0 0 76 1/3 76 7 46 30 5 5 32 3.77
11 阪神 5 0 0 2 0 0 22 19 0 16 8 1 0 9 3.68
通算 6年 28 0 2 6 0 0 99 1/3 101 7 62 40 6 5 47 4.26

プロ入り5年目の10年先発で力を見せ始めた期待の右腕。入団前からここまで故障が多かったが、ついに台頭を始めた。
高校時代は辻内(巨)、平田(中)を擁する大阪桐蔭、T−岡田(オ)の履正社と同地区でしのぎを削り、彼らとともに「浪速四天王」の異名を取った。甲子園には届かずも快速球を高く評価され、高校生ドラフト1巡でプロ入り。ただ3年夏に肘を故障しており、1年目は実戦登板なしとプロ生活は出遅れで始まった。2年目ようやく二軍で1試合に登板し、3年目には一死も取れないほろ苦いものだったが一軍マウンドも経験。この年は二軍でリーグ最多タイの7勝もマークした。ただ2年目秋季キャンプで肋骨骨折、3年目の秋季キャンプは腰痛で不参加と故障の多さも非常に目立っていた。
しかし5年目となる10年、5月に一軍昇格するとここから存在感を出してきた。当初はリリーフも先発で好投を見せ、3度目の先発で待望のプロ初勝利。オールスターまでに8試合先発とローテーションに定着し、2勝をマーク。後半に入ると3連敗を喫し、しばらくリリーフ登板。最後の先発登板では2回で降板と勢いを最後まで持続することは出来なかったが、実績を残し、一軍定着の足がかりを築くシーズンとなった。
高校時代最速151kmと謳われたスピードは影を潜めたものの、シュートとスライダーを駆使した技巧派寄りの投球スタイルに。ただ昨年はまたほぼ二軍暮らしに逆戻り。6月末にようやく昇格も、先発連敗と結果を残せず。一旦二軍落ちし、8月再昇格も2回持たずKO。この後は最終盤まで二軍で過ごし、登板数は5試合に留まった。
シーズン最終戦に先発し、この時は5回無失点と好投。これを今季につなげたいところ。欲を言えばもう少し球威も欲しいところだが。

47 上園 啓史

先発彗星、伸び悩み型

右投右打 新人王(07)
東福岡高〜武蔵大 阪神07ドラフト(大・社)3巡〜11、楽天12〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 阪神 9 0 4 0 0 0 43 47 2 38 11 3 2 15 3.14
09 阪神 1 0 0 0 0 0 5 2/3 8 1 2 3 0 0 3 4.77
10 阪神 25 0 3 4 0 0 60 2/3 60 8 39 27 1 3 32 4.75
11 阪神 - - - - - - - - - - - - - - -
通算 5年 52 1 15 9 0 0 195 185 20 162 73 5 9 73 3.37

1年目にローテーション定着し新人王に輝いた右腕。開幕前にはそれほど名前の知られていなかった選手だったが、見事な活躍でチームを救った。
06年の大・社ドラフト3巡指名。高校では吉村(横浜)と同期だが当時は控え投手。大学では武蔵大を首都リーグ一部に押し上げる活躍をし、プロへの道を開いた。ただ新人としても注目度は高くなく、開幕は二軍スタート。
しかし6月に大抜擢されて先発起用されると、そこからみるみる評価を上げていった。3度目の先発でプロ初勝利、そこまでもしっかりゲームをつくっていたとあってローテーション入り。その後も安定した投球を続け、リーグの新人では最多の8勝をマーク。安藤の故障などで足並みの揃わなかった先発陣を大いに救った。2点台前半の防御率も非常に優秀で、見事新人王獲得。
バランスの良さが光り、スピードはさほどではないもののフォークが決まって奪三振が多かった。特に目立つ部分はないが制球もまずまずで、なかなかの完成度を発揮。
ただこの鮮烈な活躍の後が続いていない。2年目の08年は開幕前から調子が上がらず二軍スタート。5月下旬に昇格後先発4連勝を挙げるも、その後2連続で序盤KOを喫し以降は二軍暮らしに終わった。そして翌年は開幕から終盤までずっと二軍。9月に先発したのが唯一の一軍登板で、全く存在感のないままだった。
復調を期した10年は開幕からしばらく先発。出足はなかなか状態良く、3度目の登板で2年ぶりの勝利。ただその後はもう一つパッとしない投球で、5月末からはリリーフに。再度先発も3回降板で夏場はしばらく二軍。登板数は自己最多を記録したものの、先発もリリーフも物足りない結果で印象は薄いままだった。
それほど球威のある投手ではなく、慣れられたかちょっと中途半端なところに収まってしまった感がある。昨年はシーズン通して二軍で過ごし、一度も一軍マウンドに上がれずに終わった。下での成績も目立つものではなく、埋没しかかっている。トレードが決まり今季は楽天へ。再奮起して何とか一軍に食い込みたいところだが。

54 ランディ・メッセンジャー

長身右腕、先発成功型

右投右打
阪神10〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
10 阪神 26 0 5 6 0 1 80 1/3 88 10 48 31 1 3 44 4.93
11 阪神 25 1 12 7 0 0 150 129 6 122 45 3 4 48 2.88
通算 2年 51 1 17 13 0 1 230 1/3 217 16 170 76 4 7 92 3.59

当初セットアッパーとして獲得されたものの、先発転向で成功した外国人右腕。2年目二桁勝利を挙げ大きな戦力に。
メジャーではすべてリリーフで通算173試合登板。07年には2チームで合計60試合登板の実績を持つ。ここ2年はマリナーズでプレーし、同じく阪神入りの城島とは同僚。上述のように勝ちパターンのリリーバーと期待され、開幕戦からいきなり4連投。その後もしばらくリリーフ登板が続いたが、セットアッパーというにはどうにも不安定な内容。スタンリッジが途中入団すると、入れ替わりで二軍落ち。
長身から投げ下ろす150kmを越す速球が持ち味で、これにスライダーやフォークを交える。枠の関係もあり約3ヶ月二軍調整が続いたが、負けの込んだフォッサムと入れ替わり7月前半に再昇格。先発で起用されると、復帰初戦、続く登板といずれも6回2失点にまとめ連勝。以降ローテーションに定着し5勝をマーク。
好調は長く続かず8月以降はパッとしない状態。先発限定でも5点近い防御率と2年目には不安もあったが、開幕からローテーション入りの昨年は貴重な戦力として活躍。序盤からコンスタントに勝ち星を積み上げ、最後まで先発を維持し続けた。シーズン終盤乱れて少し成績を落としたものの、二桁12勝を挙げチームトップタイ。
先発転向は完全に成功となった。元々リリーフということでそれほどスタミナはないものの、5〜6回をコンスタントに投げてゲームをつくった。ヤクルトに相性が良く8試合と多く投げ5勝をマーク。今季も引き続き残留し、スタンリッジとともに先発形成を計算される。

55 ジェイソン・スタンリッジ (スタンドリッジ)

途中入団、先発豹変型

右投右打
ソフトバンク07途中〜08、阪神10途中〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 ソフトバンク 3 0 0 2 0 0 13 17 1 8 6 2 0 11 7.62
10 阪神 23 2 11 5 0 0 126 1/3 121 6 98 37 13 6 49 3.49
11 阪神 25 3 9 7 0 0 151 136 9 116 46 11 5 49 2.92
通算 4年 68 5 27 15 0 1 344 1/3 325 16 257 112 27 13 127 3.32

07年途中にソフトバンク入団で活躍を見せた外国人投手。一度退団も、10年開幕直後に阪神入りし日本球界復帰。
193cmの長身から投げ込む速球が武器。6月下旬に一軍登録され、即日リリーフ登板で来日初勝利。しかしその後はどうにも出入りが激しく、いまいちの状態が続いた。リリーフ9試合で8失点とこの時点では戦力として微妙だった。
しかし新垣の故障離脱に続いてガトームソンが禁止薬物で出場停止、このチーム事情から先発起用を試されるとここから一変。初先発5回無失点の好投でローテーション入り、一気に4連勝を挙げる活躍を見せた。一つ負けた後また連勝でシーズンを終え、先発転向後6勝1敗の好成績。この時期のチーム勝ち頭であり、先発の軸として大きな戦力となった。
とにかくリリーフと先発ではまるで投球内容が違った。速さはあるものの決め手不足で四球も多めだったのだが、先発転向後は2点そこそこの防御率と抜群の安定感。リリーフになって球速が上がる投手は数多いが、先発になってスピードアップというのは驚かされた。
外国人のライバルが増えた翌年も、この実績から開幕ローテーション入り。しかし2年目は逆のほうに一変し、2度の先発内容が悪く長期二軍調整。8月に再昇格も4回KOですぐに二軍落ち。下でもパッとしない成績で、一軍では1勝もできないままシーズンを終え、戦力外に。
09年は独立リーグやマイナーでプレーし、10年開幕直後に阪神と契約。最初のリリーフ2試合はパッとしなかったものの、5月にローテーション入りすると大きな戦力になった。交流戦の時期から調子を上げ、5月末から先発6連勝をマーク。終盤3連敗と乱れるところもあったが、チームでは久保に次ぐ11勝を挙げ、来日後初の二桁勝利達成。
いい状態は開幕ローテーション入りの昨年も継続。5月まではさほどでもなかったが、6月以降6連勝と急上昇。7月末時点で8勝、防御率1点台と前半は非常に好調。だが連勝が止まった後半はさっぱり勝てなくなり、4連敗を喫するなど不調に。終盤に1勝するのがやっとで、二桁勝利に届かなかった。はっきり尻すぼみの結果に。
8月以降の防御率は4点台後半で完全に調子を落としていた。一時期勢いに乗って連勝を重ねるが、必ず息切れも起こすというのがここまでの日本でのキャリア。完投能力はあるが、シーズンのスタミナには欠けるかもしれない。今季は後半の不調を引きずるか、それとも前半の状態に戻せるか。

56 阿部 健太

移籍浮上、ジリ貧型

右投左打
松山商高 近鉄03ドラフト4巡〜04、オリックス05〜07、阪神08〜11、ヤクルト12〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 阪神 32 0 0 1 0 1 51 2/3 37 8 34 9 4 0 17 2.96
09 阪神 19 0 0 1 0 0 33 39 2 24 13 1 1 12 3.27
10 阪神 - - - - - - - - - - - - - - -
11 阪神 - - - - - - - - - - - - - - -
通算 9年 66 1 2 3 0 1 126 1/3 122 20 95 31 7 2 50 3.56

08年阪神移籍で大きく台頭してきた右腕。近鉄入団時から期待を受けながら長らく伸び悩んでいたが、一気に前進してきた。
高校時代甲子園ベスト4の実績を持ち、ドラフトで近鉄入り。高卒1年目ながらいきなり一軍で2勝、先発勝利を記録。当時岩隈そっくりのフォームだったため「岩隈2世」の異名も。同じ年に一軍デビューした同僚に朝井(巨人)、近藤(オリックス)がおり、一歩先んじていた宮本(元オリックス)らとともに将来の中軸投手として大いに期待された。
しかしここから長く苦しむこととなる。翌年フォームを崩してしまい試行錯誤の日々。球団合併でオリックス入りも二軍でもパッとせず、一軍登板機会は数えるほど。07年は一軍に上がれず、オフに阪神へのトレードが決定。
しかしこれが大きな転機となった。オープン戦無失点でアピールし、初の開幕一軍入り。公式戦でもなかなかの好投を見せ、6年目でついに一軍戦力に食い込むことに成功した。特に7月は状態が良く、完全に一軍定着に成功。
球速も充分な好投手。久保コーチは近鉄入団時のコーチでもあり、阪神入団時から獲得を熱望していたと言われている。ただせっかく活躍しながら以降ジリ貧。09年登板数が半減し、3度の先発機会も勝ちには至らず。チャンスも大幅に減り、二軍でも平凡な成績の10年は移籍後初めて一軍登板なしに終わった。
昨年も引き続き二軍暮らしが続き、すっかり忘れられたような形に。2年続けて一軍登板なく終わり、シーズン後戦力外通告。トライアウトを経て今季はヤクルトへ。08年の一時的な活躍で終わりたくないところだが。

62 川ア 雄介

リリーフ左腕、急落型

左投左打 最優秀中継ぎ(08)
宮崎南高〜九州東海大〜ホンダ熊本 ロッテ06ドラフト(大・社)4巡〜10途中、阪神10途中〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 ロッテ 65 0 2 5 1 29 60 52 7 45 17 2 2 20 3.00
09 ロッテ 45 0 1 1 0 9 43 2/3 50 5 24 18 3 1 23 4.74
10 阪神 22 0 0 1 0 3 13 1/3 23 1 14 4 0 0 10 6.75
11 阪神 6 0 0 0 0 0 4 2/3 5 1 3 3 0 0 4 7.71
通算 6年 190 0 7 9 1 49 181 181 19 129 53 6 4 75 3.73

リリーフ専門の左腕。ロッテ時代のプロ2年目に一軍に食い込み、長年主力だった藤田に替わって左の一番手となった。
社会人から分離ドラフト下位でロッテ入り。左腕リリーフが少ないチーム事情から即戦力を期待されるも、1年目は前半一軍で滅多打ちを食らい、わずか4試合登板とほぼ二軍暮らしで終わった。ただファームではまずまずの成績を残し、2年目の07年は開幕一軍入り。すると春先なかなかの安定感を見せ、リリーフ陣の一角に定着を果たした。実質1年目とあって6,7月に一時失速の気配を見せたが、後半さらに大きく成長。夏場以降快投が続き、シーズン4勝はすべて8月以降に挙げたもの。一気に48試合と登板数を増やし、通年でも1点台の防御率という好成績を残した。
スライダーを中心に球の切れで勝負するタイプ。ショートリリーフの多いリリーバーは四球が多い傾向があるが、この川崎は非常に少ない。自滅しないという点は大いに評価できる。
藤田が戦力外となったことでますます重要な存在になった08年はさらに大きな飛躍。開幕からフル回転し、チームトップ、リーグ2位の65試合に登板。防御率はちょっと落ちて3点台に落ち着いたが、29ホールドを記録して中継ぎタイトルに輝いた。左打者はもちろん右打者にも通じる投球を見せ、セットアッパーに定着。抑えに定着した荻野とともに新たなリリーフ陣の中心的存在に。
ところが翌年は一転、大不振に陥った。開幕から状態が悪く、4月8試合の登板で失点しなかったのが2度だけというボロボロの状態。一時持ち直したかと思いきや、夏場にはまた出れば失点という状態に陥り、最後まで不調のまま。良かったのは交流戦の時期だけで、パとの対戦では防御率が6点近くに跳ね上がった。前年のタイトルホルダーが信じられない大乱調でチームの継投プランは瓦解。
これですっかり信用を落とし、10年は二軍スタート。開幕直後の4月頭に阪神へのトレードが決まった。だが移籍後も状態は良くなく、前半登板機会は多かったものの結果はいまいち。後半は二軍のほうが多くなり、復調できず終わった。落ち込みはまだ止まらず、昨年はわずか6試合の登板のみ。シーズンのほとんどを二軍で過ごし、全く戦力になれず。
ほんの3年前にセットアッパーだったとは思えないほどの急落。ワンポイント起用されて12打数5安打の結果ではどうにもならず、「対右にも使える左腕」だったはずが、ここ2年は「左も抑えられない」状態となってしまっている。移籍後は全くいいところがなく、立場も一気に厳しいものに。今季浮上できないと危険な状況。

63 加藤 康介 (康介)

キレ勝負、制球不安型

左投左打
清水市商高〜日大 ロッテ01ドラフト2位〜07途中、オリックス07途中〜08、横浜09〜10、阪神11〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 オリックス - - - - - - - - - - - - - - -
09 横浜 31 0 1 0 0 13 29 1/3 21 5 37 18 2 1 12 3.68
10 横浜 49 0 0 2 0 7 27 2/3 37 2 23 16 2 0 24 7.81
11 阪神 4 0 0 0 0 0 2 2/3 4 0 3 1 0 0 3 10.13
通算 11年 180 4 25 41 0 21 465 2/3 470 58 404 208 16 17 253 4.89

プロ入り当初先発で活躍、現在はリリーフで回転する左腕。長い低迷期の後、横浜に移って復調。
大学からドラフト2位でロッテ入り。プロ入り1年目からローテーション入りを果たし、3完投を含む9勝をマーク。新人王は逃したものの、即戦力として活躍を見せた。一躍左腕エース候補となり、当時ロッテに枯渇していた先発型の左腕として、2年目もローテーション入り。一時先発から外されるほど好不調の波が激しく、リーグ最多の15敗を喫したものの、11勝で二桁勝利達成。防御率はいずれも4点台といまいちも、ここまでは主力として順調なシーズン。
右打者の懐にズバッと切り込む小気味いい投球が持ち味で、好調時には攻めの投球が出来る。反面制球力には不安を持っているが、当初は自滅するほど悪いというわけでもなく、思った以上にまとまっていた。強気のクロスファイアーで、先発にリリーフにフル回転。
しかし不調時には立ち上がり早々に打ち込まれて早期KOという不安定さが、3年目以降はより強く出るようになり一気に不振に。03年乱調続きで7試合の登板、1勝しか出来ずに終わると翌年もわずか2試合のみ。05年開幕早々に2年ぶりの勝利を挙げ、復調の気配を見せたものの、この年はチームの先発が全員好調でなかなか出番を貰えず。逆に不足となった06年は自身が故障で離脱と、巡り合わせの悪さもあいまって浮上しきれず。
07年開幕直後にオリックスに移籍。環境変わってというところだったが逆に一軍は遠ざかってしまった。終盤2試合先発したのみで終わると、登録名を変えて挑んだ翌08年は一度も一軍に上がれず。二軍でも冴えない成績で戦力外に。
もう後がないという立場で、トライアウトを経て09年横浜入り。6年続いた不振のトンネルから、ここでようやく脱出に成功した。二軍で好投を見せて6月に昇格すると、ここでも好投。以降は一軍に定着し、リリーフで31試合に登板。8月には3年ぶりの勝利も記録し7年ぶりにシーズン30試合登板。翌年はワンポイント中心に起用され、自己最多の49試合登板。チームの左腕ではトップの起用数だった。
ただ対左3割以上と役割を果たしたとは言えず、この点で評価を落としたか再び戦力外に。昨年は阪神に移ったが、今度は全く戦力になれなかった。一軍登板は夏場の4試合のみで、結果を残せずほとんど二軍暮らし。年齢的にもそろそろ後がなく、今季は正念場のシーズン。若い頃から波があり計算しづらい投手ではあるが、何とか一軍に食い込まないと。

79 桟原 将司

変則速球、ジリ貧型

右投右打
大阪桐蔭高〜新日鉄広畑 阪神04ドラフト4巡〜11、西武12〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四球 死球 暴投 自責点 防御率
08 阪神 - - - - - - - - - - - - - - -
09 阪神 15 0 0 1 0 0 19 20 1 21 10 0 2 4 1.89
10 阪神 6 0 0 1 0 0 7 10 0 8 2 1 3 5 6.43
11 阪神 - - - - - - - - - - - - - - -
通算 8年 123 0 5 2 2 3 154 1/3 162 15 155 48 11 9 61 3.56

スリークォーターよりもまだ低い腕の振りから、150kmの速球を投げ込む投手。04年社会人からプロ入りし、1年目からリリーフで活躍を見せた。
無骨な、力任せにも見えるフォームで、ややアーム気味の腕の振り。少し野田(阪神‐オリックス)に似ているかも。野田のフォークに相当するのがスライダーで、目一杯振り回して投じられる球には恐怖感が伴うのか、右打者相手には非常に有効だった。1年目は44試合に投げて2勝2セーブと活躍。
即戦力の働きを見せたが、これ以降はジリ貧状態。2年目はウエスタンのセーブ王となり後半は一軍でもまずまず投げたが、翌年も一軍登板は後半のみと定着できず。07年は前半に登板したが内容が伴わず、一軍半の状態から抜け出せずに終わった。
三振の取れる投球は魅力があるのだが、ちょっとシーズンのスタミナに課題がある印象。リリーフ層が厚いこともあって、08年は一軍登板なしに終わってしまった。立場が危うくなっていたが、09年は久々に浮上。7月の登板は自責点にならなかっただけで決して良くなかったが、間隔を置いた9月はなかなかの力投。終盤だけで10試合登板し、光を見せることに成功した。最後の登板で負け投手となるまで、入団から116試合無敗の新記録樹立。
しかし10年は膝の故障で大幅に出遅れ。8月にようやく実戦復帰を果たし、一軍登板もしたが、9月にまたも膝を痛めて離脱と故障に泣き通しの1年となった。オフに手術をし、昨年は育成選手でスタート。6月から二軍戦に登板し始め、7月には支配下登録されたものの、一軍での登板機会は得られないまま終わった。シーズン後には戦力外に。
二軍では12試合で防御率1点台と好成績。故障明けながら力のあるところは見せた。フルシーズンの実績は乏しいものの、まだまだ使えそうな投手で、リリーフの手薄な西武と契約。移籍を契機に巻き返したいところ。