退団投手 2002年

ヘクター・アルモンテ

剛球助っ人、真向勝負型

右投右打
巨人01途中〜02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四死球 自責点 防御率
01 巨人 4 0 0 1 0 3 2/3 5 0 5 3 3 7.36
02 巨人 27 0 0 0 1 24 18 2 18 9 4 1.50
通算 2年 31 0 0 1 1 27 2/3 23 2 23 12 7 2.28

最速160キロ級の剛速球の持ち主として、昨シーズン途中に来日。ストッパーを期待されたものの、ふたを開けてみると「ただ速いだけ」。制球力もなく、これといった変化球も持ち合わせず、抑えとしては明らかに力不足で、結局シーズンの大半を二軍暮らし。「何のために連れて来たのか」と揶揄される始末となった。
そんな状況ではあってもまだ27歳と若く、何より150を軽く越す速球の魅力もあって今季も残留。すると今季は別人のように安定したピッチング。抑えの大役をこなすまでは至らないが、中継ぎで防御率1点台の安定振り。充分一軍戦力として貢献し、球団フロントの目が間違っていないことを証明する形となった。
相変わらず速球一本の投手なので、基本的に1イニング限定。緩急がないとは言え慣れられるまではやはり速球の威力は大きい。特に今季はストライクゾーンが上に広がったことも追い風となった。
抑えでやるにはやはり何か変化球が欲しいが、いまの起用法なら現状でも充分。葉っぱをくわえている意味はよくわからないが、それも個性か。

伊藤 敦規

技巧派、粘投型

右投右打
中京高〜福井工大〜熊谷組 阪急・オリックス88ドラフト1位〜94、横浜95〜96、阪神97〜02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四死球 自責点 防御率
00 阪神 71 0 3 1 0 67 2/3 62 1 35 30 14 1.86
01 阪神 52 0 6 2 0 45 1/3 34 2 24 24 9 1.79
02 阪神 20 0 0 0 0 22 2/3 18 5 13 11 13 5.16
通算 15年 483 24 56 51 11 1025 1001 91 579 403 428 3.76

88年、当時の阪急にドラフト1位入団。今考えると、ドラ1って感じじゃないよな。オリックス時代は先発。西武キラーと呼ばれたこともあったが、トータルでは負け越し。故障して2年低迷後、横浜移籍。
しかしここでも結果は出せず。もはやここまでと思われた(即戦力投手にありがちなパターン)
転機は阪神移籍後。弱小・阪神にあって、リリーフに奮闘、なんとこの年8勝8S!以降も毎年50試合以上登板で、押しも押されぬ中継ぎエースへ。
いったい何が変わったんでしょう?技術的には、それほど変わっていないし(年の割には球威の衰えもないが)ひょっとして環境の問題か。関西じゃないと、実力が発揮できないとか。(かつての加藤秀司パターン)横浜は水が合わなかったか。
とはいえ、さすがに今季は衰えを隠せず。ここ数年の安定感が影をひそめ、ついに先日戦力外通告。39歳の大ベテラン、現役は今季限りか。

入来 智

気合熱投型

右投右打
鹿児島実高〜三菱自動車水島 近鉄90ドラフト6位〜95、広島96、近鉄97〜98、巨人99〜00、ヤクルト01〜02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四死球 自責点 防御率
00 巨人 - - - - - - - - - - - -
01 ヤクルト 24 1 10 3 0 129 1/3 117 16 80 36 41 2.85
02 ヤクルト 6 0 1 3 0 25 2/3 33 6 11 7 19 6.66
通算 13年 214 7 35 30 2 605 2/3 626 67 422 239 286 4.25

兄のほう。いつのまにか4球団目(近鉄を2球団と見れば5球団目)と渡り歩いた。
01年シーズンはまさに飛躍の年となった。不足する先発陣の穴埋めに入ると、気合の投球で好投を連発。自身初の10勝を上げ、チームの優勝に大きく貢献した。
突然の大ブレークのように言われてるが、実はプロ入り以来、一軍登板がなかったのは一昨年だけ。通算で24勝している。とはいえ、一軍半だったのも確かで、その結果が近鉄〜広島〜近鉄のたらいまわし。弱投の広島でもさっぱり戦力にならなかった。
そういう選手だけに今季の働きが重要だったのだが、ふたを開けてみると昨年がウソのような大不振。ローテーションどころか一軍すら脱落し、元の「一軍半投手」に逆戻りしてしまった。
近鉄時代はロッカーで同僚と殴り合いをやらかしたほどの気の荒い選手。昨年はその向こうっ気の強さが好循環を生んだが、維持できなかったところを見ると勢いだけだったのかもしれない。来季で36歳になるベテランだが、年齢に見合った技術や落ち着きとは無縁の投手。若手の台頭で完全にあとがなくなった。正念場。

遠藤 竜志

変則剛球ノーコン型

右投右打
修徳高〜NTT関東 広島98ドラフト1位〜02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四死球 自責点 防御率
00 広島 - - - - - - - - - - - -
01 広島 - - - - - - - - - - - -
02 広島 - - - - - - - - - - - -
通算 5年 30 0 2 2 0 50 48 7 30 35 28 5.04

98年、広島ドラフト1位。社会人出身ではあるが、投手経験の浅さから、2〜3年後に期待といわれていた。でも、4年経っても出てこない。
2年目の一昨年こそ28試合に登板していよいよ出てきたかと思わせたが、一昨年、昨年は登板ゼロ。フォームから制球から、何から何まで荒削りで、まさに「未完の大器」といった感じ。「未完の大器」は「未完」で終わることが多いのだが。
実際見た感じでは、評判ほど速くないという感じ。恐らくどうしようもない制球難のため、スピードを殺してるんでしょう。でも他の球は平々凡々。これじゃ通用しない。今季も登板ゼロで、ついに先日戦力外通告。ドラフト1位とはいえ実績に乏しく、移籍も厳しいかもしれない。

葛西 稔

晩成技巧派、リリーフ型

右投右打
東北高〜法大 阪神90ドラフト1位〜
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四死球 自責点 防御率
00 阪神 43 0 7 6 17 44 37 2 26 19 12 2.45
01 阪神 32 0 1 2 1 28 31 1 14 12 12 3.86
02 阪神 - - - - - - - - - - - -
通算 13年 331 8 36 40 29 584 590 48 352 254 233 3.59

大豊作といわれた、90年のドラフト1位。その中で彼と大森は即戦力にならず、阪神スカウト陣の無能さの象徴とまで言われた。2,3年目はローテ入りしたものの、4年目以降はまた低迷。いつしか忘れられていたのだが・・・
96年、突如リリーフに開眼。翌97年には10セーブをあげ、阪神リリーフ陣の主力に定着。昨年は遠山とダブルストッパー的存在にまでなった。
野茂、佐々木がメジャーに旅立ち、気がついてみれば、同期のドラ1で残っているのは5人のみ。(佐々岡、小宮山、潮崎、西村)その中に彼が入っているとは、誰も思わなかっただろう。まさに晩成である。
球種がさほどないため、先発では少々苦しいが、低めに根気よく集める丁寧なピッチングで短いイニングでは威力を発揮。被本塁打が年間2〜3本とかなり少ない。凄みは感じないが、安定している投手。この投手が抑えではなく中継ぎ専門でいれば、阪神の成績ももう少し変わっていたかもしれない。
今季からコーチ兼任となったが、キャンプ時からコーチ専任の趣。実戦登板もなく、このまま完全にコーチ就任か。数多くの修羅場をしのいできた経験を伝えられるか。

後藤 利幸

技巧派、平凡型

右投右打
鳥羽高〜三菱重工神戸 ロッテ95ドラフト5位〜02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四死球 自責点 防御率
00 ロッテ 8 0 1 6 0 35 2/3 44 3 26 22 29 7.32
01 ロッテ - - - - - - - - - - - -
02 ロッテ - - - - - - - - - - - -
通算 8年 45 4 11 16 0 210 2/3 219 29 147 91 112 4.78

かつてイチローに「あの程度」と揶揄された投手。一昨年、妙にオリックスに強く、またなぜかイチローをカモにして名を馳せた。しかしイチローの気持ちもわからないではない。
どこに特徴があるのかさっぱりわからないタイプ。球も速くない、コントロールがいいわけでもない、変化球も凄くない。のらりくらりといったピッチングで、確かに抑えられたらフラストレーションがたまりそうなタイプ。
99年は好調で6勝を上げたが、その後尻すぼみ。昨年、今季と一軍登板がなく、今季終了後戦力外となった。社会人出身のため印象より年齢は高く、来季で32歳。ずば抜けたものがないだけに復活の前途は厳しい。

エリック・シュールストロム

抑え候補、中途半端型

右投右打
日本ハム98〜99、広島01〜02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四死球 自責点 防御率
00 在籍せず
01 広島 22 0 0 1 11 22 21 2 14 9 8 3.27
02 広島 5 0 0 0 0 4 2/3 1 0 6 2 0 0.00
通算 4年 79 0 9 5 26 87 2/3 68 3 93 38 26 2.67

98年に来日、ストッパー候補としての入団だったが、完全なストッパーには今一歩。
来日初年度は7勝8セーブ。ボールはまあ速いのだがもう一つ安定感を欠き、期待に応えきることは出来なかった。翌年は故障もあり、結局2年で解雇。
正直忘れていた存在だったが、昨年広島にテスト入団。不在のストッパー候補として再来日。「出戻り外国人」への危惧もあったが、チームトップの11セーブを上げた。ただ今季はまたも故障で出遅れ、夏場過ぎに数試合登板したのみ。結局シーズン終了後解雇された。
球速は常時140キロ後半を計測し、球威は必要充分。ただ外国人でありながら異様に故障が多く、日本ハムを解雇された理由も故障の多さだった。実力はあっただけに惜しい。

マイク・ジョンソン

特徴なし、平凡型

右投左打
近鉄02途中
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四死球 自責点 防御率
02 近鉄 9 0 1 0 0 21 2/3 25 4 8 14 16 6.65
通算 1年

今季途中入団。パウエル、バーグマンに続く三人目の助っ人投手だが、左記二人をスケールダウンしたような投手。
スピードは140キロ中盤まで出るが、表示の割には球威がない。カーブやスライダーを駆使するオーソドックスなタイプだが、オーソドックスすぎて印象が薄い感は否めない。
来日当初は中継ぎ、あとから先発でも試されたが、オールマイティにこなすというよりはどちらに適正があるのか良くわからないといった感じ。良かったり悪かったりで、結局たいした成績も残せず。すらっとした長身から投げ下ろすボールに見所はあったが・・・。

ロブ・スタニファー

速球武器、平凡型

右投右打
広島02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四死球 自責点 防御率
02 広島 15 0 0 0 0 19 28 2 15 7 10 4.74
通算 1年

ストッパーを期待されたリリーフタイプのピッチャー。「150キロの速球が武器」との前評判だったが、実際に投げてみるとそこまでの球威はなく、むしろありきたりのピッチャー。
制球は粗くないが、それがかえって威圧感を削いでいる印象。特にこれといって目に付く部分もなく、当然ストッパーは無理。もっぱら敗戦処理に登板することとなりそこでも平凡な数字しか残せなかった。後半は一軍からも姿を消し、結局良さがわからないまま解雇。
情報によってはアメリカ時代から技巧派投手だったという話もあり、この辺もどうもよくわからない。少なくとも投手陣に厚みを増す存在ではなかったのは確かだ。

鈴木 平

変則サイド、リリーフ型

右投右打
東海大一高 ヤクルト88ドラフト3位〜94、オリックス95〜99、中日00〜01、ダイエー02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 奪三振 四死球 自責点 防御率
00 中日 21 0 1 1 0 16 1/3 19 1 12 10 7 3.86
01 中日 - - - - - - - - - - - -
02 ダイエー 12 0 1 1 0 12 11 2 11 6 7 5.25
通算 15年 296 1 27 20 36 367 307 23 293 226 127 3.11

いろんな意味で、一度見たら忘れられない投手。その特異な風貌もさることながら(失礼)、ひょろっとした長身、長い腕が巻きつくようなフォーム、特徴だらけの選手。
ヤクルト時代から期待されていたものの、なかなかチャンスを生かせず。遂に見切りをつけられオリックスに移籍すると、仰木監督に注目され一躍主力投手に。水を得た魚のように地力を発揮し、中継ぎセットアップから抑えまでこなす大活躍。オリックス在籍の5年間、常に40試合以上登板。移籍2年目の96年は7勝19セーブをマークし事実上のストッパーとして君臨。長い腕を利したタイミングの取りづらい直球とシンカーで完全に主力投手となった。
00年、乞われて中日に移籍。しかしここから低迷、ほとんど戦力にならず昨年は一軍登板なし。今季ダイエーに移籍し、開幕当初は登板機会があったが、かつての力は見せられなかった。制球がかなりアバウトな投手なので、球威が若干落ちた近年は打ち取るのにかなり苦労していた。中盤に二軍落ちすると、二度と一軍には帰って来れなかった。そのまま戦力外に。
結局パリーグ復帰でも復活はならなかった。32歳という年齢も微妙なところで、限界は越えてしまったかもしれない。今季限りというのは少々寂しいが…。

ジェイソン・ターマン

長身投手、技術未熟型

右投右打
横浜02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 与四死球 奪三振 自責点 防御率
02 横浜 9 0 0 2 0 19 23 4 8 13 13 6.16
通算 1年

日本プロ野球史上最高の長身投手。角度のあるピッチングに期待は大きかったが、それだけで終わってしまった。
長身ゆえの動きの鈍さが命取りに。クイックはダメ、守備もダメ、致命的な癖もあるおまけつきで序盤こそ一軍にいたものの結果が出ず二軍落ち。スピードも伝えられていた程はなく、結局二軍で終わってしまった。
7月末に退団を申し入れ、帰国。まだ若い選手だったので今後の成長の余地もあったが、本人の気持ちが切れてしまったのではやむをえないところ。結局日本では「大きいだけ」の投手だった。

武田 一浩

大ベテラン、気合型

右投左打 最優秀救援(91)、最多勝(98)
明大中野高〜明大 日本ハム88ドラフト1位〜95、ダイエー96〜98、中日99〜01、巨人02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 与四死球 奪三振 自責点 防御率
00 中日 15 1 3 6 0 85 96 12 24 48 44 4.66
01 中日 11 0 3 6 0 54 60 2 15 36 29 4.83
02 巨人 7 0 2 1 0 21 1/3 26 3 3 16 10 4.22
通算 15年 341 38 89 99 31 1517 2/3 1555 160 495 1008 661 3.92

気合で投げる技巧派投手。矛盾してるようだが表現としてはそれしかない。明大時代、故・島岡総監督に反逆したのは有名な話。その性格は今もあまり変わってないようだ。
キャリアは長いが常に主力だった訳ではない。タイトルは最優秀救援と最多勝が一回ずつ。二ケタ勝ったのは4回だけ。初めは抑えで名を売ったが、のちに先発転向。どちらかと言えば好不調が一年おきに来るタイプで、二年続けて活躍したことがほとんど無い。ボール自体に特徴がないのがその原因。その分を補うのが気持ちの強さ。しかしそれもややムラがある。
95年、当時の首脳陣と衝突してわずか2試合の登板。翌年ダイエーに移籍すると、いきなり自己最多の15勝をマーク。気持ちが乗っているときは信じられないほど働くが、気持ちが切れるとまったく戦力にならない。翌年は4勝止まり。その翌年13勝で最多勝を獲るとFA移籍。
中日移籍初年度は9勝を上げるが、その後2年はわずか3勝づつ。これは気持ちの問題ではなく、いよいよ衰えが見えてきたと思える。技巧派の割りには投球術もそれほど高くなく、球威の衰えをごまかしきれなくなってきた。
自由契約後、巨人移籍。5月の中日戦で勝ち投手となり、プロ野球史上3人目の「12球団すべてから勝利」を達成。結局2勝しか出来なかったが、狙ってもそうそう出来ない記録を残して現役を引退した。ダイエーにいた98年までは優勝に縁がなかったが、最後の4年間で2度優勝を経験できたのは幸運だった。

田畑 一也

叩き上げ、一瞬の煌き型

右投右打
高岡第一高〜北陸銀行〜田畑建工 ダイエー92ドラフト10位〜95、ヤクルト96〜99、近鉄00〜01途中、巨人01途中〜02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 与四死球 奪三振 自責点 防御率
00 近鉄 10 0 3 4 0 53 67 11 33 27 40 6.79
01 巨人 29 0 1 1 0 32 34 4 8 17 13 3.66
02 巨人 - - - - - - - - - - - -
通算 11年 166 11 37 36 1 632 1/3 643 87 239 376 291 4.14

テスト入団(ドラフトは10位)の苦労人。一軍に起用されるのは思ったより早かったが、ダイエーでは力を発揮できず。(起用法にも問題が・・・)結局わずか4年で放出された。
この移籍がブレイクの契機に。古田との出会いで大変身、いきなりローテーションに入り12勝。翌年はさらに15勝。正直ここまで活躍するとは思いもよらなかった。しかしこの2年が、言うなれば一瞬の煌きだった。
翌年故障、3勝に終わるとそこから低迷。00年乞われて近鉄に行くも復活はならず。翌年シーズン途中に巨人へ。移籍直後は中継ぎでまずまずの働きを見せたが、昨年は一軍マウンドに立てず。シーズン途中に引退を表明した。
テスト入団でここまでやれれば、充分上出来と言えるか。4球団を渡り歩いたが、やはりヤクルト時代の成績が群を抜く。キャッチャー次第で大きく変わるピッチャーだったのかもしれない。

竹清 剛治

中継ぎ再起、平凡型

右投右打
平安高〜三菱自動車京都 ロッテ97ドラフト2位〜02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 与四死球 奪三振 自責点 防御率
00 ロッテ 44 0 2 4 0 74 2/3 70 8 37 39 39 4.70
01 ロッテ - - - - - - - - - - - -
02 ロッテ - - - - - - - - - - - -
通算 6年 90 0 6 17 0 207 1/3 204 27 117 119 114 4.95

即戦力投手として入団。1年目からローテーション入りしたが3勝10敗。チームを変えるほどの戦力にはなりえなかった。
翌年からはローテーションを外れる。特に強力な武器を持たないタイプで、ピッチングに苦労している面がうかがえる。99年はほとんど一軍に出ず、やや存在感が薄れかけた。
00年、復活。安定感はそれほどでもなかったが44試合に登板、中継ぎに活路を見出した。その矢先だっただけに一昨年の故障は痛かった。結局昨年も回復せず、2年間登板なしで戦力外に。無事なら一軍戦力だっただけに惜しい。

田村 勤

変則左腕、ワンポイント型

左投左打
島田高〜駒大〜本田技研 阪神91ドラフト4位〜99、オリックス00〜02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 与四死球 奪三振 自責点 防御率
00 オリックス - - - - - - - - - - - -
01 オリックス 39 0 0 1 0 19 21 1 8 14 10 4.74
02 オリックス 3 0 0 0 0 2/3 0 0 1 1 1 13.50
通算 12年 287 0 13 12 54 257 2/3 217 23 119 260 83 2.90

左のサイドハンド。もちろん入団時からショートリリーフとして期待されていたが、変則投手の割にボールが早く、2・3年目にはストッパーに定着した。大きく一塁側に踏み込むフォームから140キロの速球を投げ込む。ボールが背中の後ろから来る左バッターはもちろんだが、右バッターにもインコースに攻め込むボールが威力充分で、抑え時代の92・93年は文字通り相手打者をキリキリ舞いさせていた。
94年も抑えとしてスタートしたが、ここで故障。翌95年は丸一年棒に振り、復活したのは96年。これ以降もきちんと結果は残しているが、以前ほどの存在感はなくなっている。
ここ数年は年齢から衰えが目立ち、以前ほどの絶対感はもうなくなっている。00年は一軍登板なし。一昨年は持ち直したものの、防御率4.74では復活したとは言えない。37歳という年齢もあり、昨年途中に引退を決意。チーム最終戦で引退登板を果たした。
この引退試合が最初で最後の先発マウンド。生涯成績は地味でタイトルにも縁がなかったが、存在感は大きい投手だった。

趙 成a(チョ・ソンミン)

本格派、故障多発型

右投右打
巨人96〜02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 与四死球 奪三振 自責点 防御率
00 巨人 10 0 1 2 0 14 20 2 5 9 6 3.86
01 巨人 - - - - - - - - - - - -
02 巨人 6 0 2 0 0 11 2/3 12 1 2 5 3 2.31
通算 7年 53 6 11 10 11 158 1/3 144 8 59 127 50 2.84

韓国から鳴り物入りで入団した大型投手。来日2年目に一軍デビューを果たすと、この年11セーブ。力のある真っ直ぐに鋭い変化球。制球も安定しており、さすがと思わせた。
翌年は先発で7勝。序盤はまさに八面六臂の活躍で、素質を遺憾なく発揮。しかし球宴前後の酷使がたたり、夏場にリタイア。以降これといった活躍もなく、いつしか忘れられた存在に。
入団時に8年の長期契約を結んだため、解雇の不安もなく療養に専念できはしたが、逆にそれが回復を遅くしたかもしれない。故障以降ほとんど登板の機会もなく、一昨年は一軍登板がなかった。昨年、久々に一軍登板し2勝を挙げたが、やはり往年の球威はなかったようだ。わずか一ヶ月あまりで一軍から去り、シーズン終了まで帰っては来なかった。
プロの水に慣れてきた矢先のケガだっただけに、実に惜しい。昨年終了後、契約を1年残して退団を発表。故障は、なおるだろうか?

鄭 a台(チョン・ミンテ)

話題先行、豪腕型

右投右打
巨人01〜02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 与四死球 奪三振 自責点 防御率
01 巨人 10 0 2 0 0 19 21 2 4 14 13 6.16
02 巨人 17 0 0 1 0 19 2/3 24 4 8 14 14 6.41
通算 2年 27 0 2 1 0 38 2/3 45 6 12 28 27 6.28

趙成a、鄭a哲とともに、ジャイアンツ韓国トリオの一人。韓国での実績は3人のうちで最も上で、華々しい期待を受けての入団であった。
しかし実際問題として、明らかに入る球団を間違えた。一軍投手枠二人のうち、一人はメイが確定で、残る枠はわずかに1。結局与えられたチャンスはわずかで、日本のプロに慣れるまもなく初年度は終わってしまった。わずか2勝、防御率6点台のまったく不本意な成績。他球団ならもっとチャンスはあったのに、と思わざるを得ない。
前評判ほどスピードは速くなく、どちらかと言えば球威を武器にするタイプ。あまり絶対の能力は感じられず、2年目の昨年もいいところは見せられなかった。結局日本での印象は「並みの投手」。何も出来ないまま、わずか2年で解雇となった。
年齢を考えると、ピークは過ぎていたのだろうか。具の活躍を考えると、少なくともあと5年早く来日していれば違っていたような気がする。ともあれ、もう少し「らしさ」を感じさせて欲しかった。

遠山 奬志

変則左腕、波乱万丈型

左投左打 カムバック賞(99)
八代第一高 阪神86ドラフト1位〜90、ロッテ91〜97、阪神98〜02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 与四死 奪三振 自責点 防御率
00 阪神 54 0 2 0 3 35 1/3 29 2 12 20 10 2.55
01 阪神 52 0 0 1 1 27 2/3 33 3 19 17 15 4.88
02 阪神 23 0 0 1 0 12 1/3 21 2 5 8 13 9.49
通算 17年 393 3 16 22 5 480 1/3 528 59 182 283 234 4.38

投手→野手→投手と流転の野球人生を歩んだ、非常に濃い投手。一度目は入団時。高卒ルーキーとして8勝を上げる活躍。取り立てて凄い所があったわけではないが、強気の投球で勢いに乗った。しかし、やはりその後低迷。復活の契機を掴めぬままロッテへ。
二度目はロッテ時代の後半。ロッテでは左のワンポイントとしてそれなりの働きをしていたが、突然の野手転向。プロ入り10年を越しての野手転向には驚いた。正直何で?と思われたが、それでも徐々に様になってきてはいた。ようやく一軍が見えてきたか、というところで放出。
そして三度目。出戻りの阪神で野村前監督に注目され、再度の投手転向。ここで一気に花開く。野手経験がプラスになったのかどうかはわからないが、左右に揺さぶる絶妙の制球で主力の仲間入り。「松井キラー」とまで呼ばれ、無くてはならない戦力に。オールスター出場まで果たした。
全盛期は99〜00年で、特にこの時期は圧倒的な安定感。葛西とともにストッパーの役割さえもこなしていた。特に左打者の懐を攻める強気の投球は随一。さすがに年齢的な衰えは隠せず、一昨年からは数字を落としたが、それでもテクニックは錆び付いていなかった。
昨年は球威の衰えが深刻となり、ついに現役引退。個性的な選手がまた一人グランドを去ることになった。結局、あの打者転向は何だったんだろうか。当時のロッテ首脳陣に訊いてみたい気がする。

長冨 浩志

元速球派、長寿技巧派型

右投右打 新人王(86)
千葉日大一高〜国士舘大〜NTT関東 広島86ドラフト1位〜94、日本ハム95〜97、ダイエー98〜02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 与四死 奪三振 自責点 防御率
00 ダイエー 38 0 1 1 0 27 22 1 6 17 6 2.00
01 ダイエー 26 0 1 2 0 22 18 3 9 13 9 3.68
02 ダイエー - - - - - - - - - - - -
通算 17年 464 35 77 77 10 1361 1286 152 578 1045 581 3.84

大ベテラン投手。入団当初は快速球で鳴らし、ここまで長く現役を続けるとは思わなかった。
1年目に10勝を上げ新人王。150キロに迫る速球と鋭いスライダーで活躍。ただ10勝はするが15勝は出来ない投手ではあって、当時の広島投手陣では4番目くらいの位置であった。結局広島9年間では63勝。球威に陰りが見え始めると、すぐさま日本ハムに放出された。
移籍後、リリーフに転向。サイドスローに転向し、技巧派に転身。かつての長冨とは別人のようなピッチングを披露。結果的にこの移籍が長寿のきっかけとなった。これほどすんなり技巧派に転向できた投手はあまり記憶に無い。
ダイエー移籍後、再び上手投げに戻す。しかしスタイルは変わらず。投げる球のほとんどがスライダーの変化球投手となったが、それでも容易には打たれない制球力とテクニックを併せ持つ。年齢的にさすがに長いイニングは無理だったが、困ったときのショートリリーフには非常に頼りになる投手。数年前に一度は引退を決意したが、現役続行が吉と出た。
さすがに寄る年波には勝てず、昨年シーズン途中に引退を発表した。自身がさまざまな投球スタイルに対応してきたので、コーチとしては面白い存在になりそう。これだけの経験の持ち主はそう多くはない。

野村 弘樹

技巧派左腕、平均点型

左投左打 最多勝(93)
PL学園高 大洋・横浜88ドラフト3位〜02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 与四死 奪三振 自責点 防御率
00 横浜 29 0 2 8 0 100 2/3 116 15 22 57 49 4.38
01 横浜 14 2 4 5 0 75 86 8 19 32 37 4.44
02 横浜 3 0 0 2 0 5 1/3 12 1 4 3 8 13.50
通算 15年 301 38 101 88 0 1534 1623 211 404 998 683 4.01

高校時代、立浪・片岡と同期。当時からテクニックで打たせてとる投球が身上。改めて、この年のPLはすごい。
1年目に早くもプロ初勝利。3年目には二ケタ勝利を上げ主力投手に。変化球、制球とも安定感が高く、さながらベテランのような技術を駆使する。老成した技巧派。
93年最多勝。96年から3年連続二ケタ勝利をマークするが、それ以降は不振。もともと強力な変化球も球威もあるわけではなく、全体的にそこそこの能力を技術でカバーしてきた投手。極端に言えば「技術だけ」なわけで、球威の衰えとともにごまかしきれなくなってきた。エースと言えるほど絶対感のある選手ではなかった。
ここ数年は故障も抱え、非常に苦しいシーズンが続いていた。昨年、引退を発表したときには引退登板が出来るかどうかわからない状態だったとか。若くしての引退となったが、通算101勝は賞賛に値する。決して強くはなかったチームで勝ち越したのは見事。

原田 健二

技巧派、変則型

左投左打
生光学園高〜三菱自動車水島 日本ハム98ドラフト3位〜01、阪神02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 与四死 奪三振 自責点 防御率
00 日本ハム 58 0 0 0 1 30 1/3 30 2 28 20 15 4.45
01 日本ハム - - - - - - - - - - - -
02 阪神 8 0 0 0 0 4 6 0 1 1 1 2.25
通算 5年 92 0 0 0 1 56 57 4 42 37 25 4.02

完全に変則に徹したワンポイント左腕。入団2年目の99年に一軍に定着。00年は58試合に登板した。
しかし一昨年登板ゼロに終わると早々と解雇。テストを経て阪神に入団したことで珍現象が起こってしまった。阪神を解雇された吉田豊がテストで近鉄へ。近鉄を解雇された柴田がテストで日ハム入りし、そしてこの原田が阪神入り。リリーフ左腕投手を3チームで移動させるという、何だかよくわからない事態となった。
移籍した昨年だったが、あまり登板機会に恵まれず、結局2年続けての解雇となってしまった。まだ27歳と若いだけに少々惜しい気がする。実績に乏しいのは難点だが。
もう少しチャンスがあってもよかったが。いずれにせよ拾い手がなかったのは寂しい。

シェーン・バワーズ

長身投手、負け運型

右投右打
横浜01〜02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 与四死 奪三振 自責点 防御率
01 横浜 26 0 3 13 0 127 129 9 52 95 62 4.39
02 横浜 24 2 4 8 0 131 1/3 130 17 44 90 55 3.77
通算 2年 50 2 7 21 0 258 1/3 259 26 96 185 117 4.08

身長196センチから繰り出すハイタワー投法が持ち味。曲球で打者を打ち取るタイプで圧倒的な力はないものの、来日1年目はまあまあの内容だった。
しかしどういうわけか勝てず。防御率4.39は決していい成績ではないが、13敗もするほど悪いわけでもない。横浜は決して点の取れないチームではないし、ほぼ同レベルの防御率で巨人のメイや広島の高橋が10勝していることを考えると、異常に運がなかった。
3勝13敗の結果ながら内容を買われて残留。しかしチームの大低迷も手伝って、勝ち星を一つ増やすにとどまった。被本塁打が増えたとはいえ、内容は前年より良かっただけに運がない。結局2年で退団。他球団ならもう少し勝てそうだったが、最後までツキに恵まれなかった。

グレッグ・ハンセル

長身、地味型

右投右打
阪神00〜02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 与四死 奪三振 自責点 防御率
00 阪神 20 0 7 8 0 114 108 10 58 97 55 4.34
01 阪神 27 0 5 13 0 162 1/3 145 14 83 123 63 3.49
02 阪神 5 0 0 0 0 4 2/3 4 0 1 2 1 1.93
通算 3年 52 0 12 21 0 281 257 24 142 222 119 3.81

長身からの球威を武器にする投手。ボール自体の威力は充分だが、フィールディングなど細かい部分がやや雑。それ以上に印象が薄いのが最大の欠点。
来日1年目は7勝8敗。2年目の一昨年は5勝13敗と大きく負け越し。ただ防御率は4点台から3点台になり、内容自体は圧倒的に良くなった。打線の援護が全くなかったせいだがそれでも腐らず淡々と投げ続けた。しかし昨年はチーム内の外国人投手が4人と増えたうえ、ムーアとバルデスが開幕から安定したためチャンスに恵まれず。シーズンのほとんどを二軍で過ごすこととなり、わずか5試合の登板にとどまった。そのまま戦力外に。
やはり圧倒的な力には欠けるため、投手陣の柱になるにはやや足りない。ただもう少し点を取ってやればもっと勝てるのは確実で、かつてのメイと同様、僅差勝負の緊張から開放されればもっと良くなる可能性もあっただけに惜しい。これで見限ってしまうのはもったいない気がするが…。

メルビン・バンチ

本格派助っ人、高安定型

右投右打 最多勝(00)
中日00〜02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 与四死 奪三振 自責点 防御率
00 中日 27 2 14 8 0 184 141 12 80 168 61 2.98
01 中日 25 1 10 8 0 160 158 14 68 151 60 3.38
02 中日 17 2 7 7 0 112 2/3 112 14 31 97 41 3.28
通算 3年 69 5 31 23 0 456 2/3 411 40 179 416 162 3.19

外国人の先発投手としては珍しく速球が武器の大型投手。かと言って荒っぽいわけではなく、制球、変化球ともに安定。ハイレベルな投手。
来日1年目、いきなりノーヒットノーラン達成で度肝を抜く。そして最多勝獲得。2年目は前年ほどの勢いはなかったものの、それでも10勝。防御率も良く、特に欠点を感じさせなかった。魅力はやはり速球で、スライダーも威力充分。3年目の昨年は精彩を欠いたが、四死球を大幅に減らすなど改善された点もある。防御率もハイレベル。
不足のない数字だが、1年目の活躍で慢心した面はあったかも。昨年限りでの解雇はもったいない気もするが、ジリ貧の傾向があったのも事実。ギャラードとのコンビは投手では外国人史上最強のコンビだった。

ショーン・バーグマン

曲球右腕、幸運型

右投右打
近鉄01途中〜02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 与四死 奪三振 自責点 防御率
01 近鉄 18 2 10 4 0 107 2/3 117 11 30 59 50 4.18
02 近鉄 16 0 4 6 0 87 1/3 102 13 32 57 50 5.15
通算 2年 34 2 14 10 0 195 219 24 62 116 100 4.62

シーズン途中にラソーダコネクションで入団。来日する外国人投手に多い曲球タイプで、それほど圧倒的な内容ではなかったものの、勝ち運に乗り10勝。優勝に大きく貢献した。
四球が少ないのが特徴だが、その割に防御率は良くない。被安打が多く、のらりくらりとかわすタイプ。1年目の二ケタ勝利はやはり打線に助けられた格好で、昨年はすべての数字を落とし、強運は2年続かなかった
1年目オフ、メジャー復帰を希望していたが結局残留。モチベーションの低下もあったかもしれない。圧倒的な力がないので、昨年限りでの退団はやむをえないところか。

リゴ・ベルトラン

中継ぎ型、敗戦要員?

左投左打
広島02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 四死球 奪三振 自責点 防御率
02 広島 25 0 0 1 0 19 2/3 33 5 7 20 20 9.15
通算 1年

成績から見ると、何のために獲得したのか良くわからない選手。左という以外に特徴がなく、起用はもっぱらショートリリーフ。それも成功しているとは言いがたく、奪三振は多いが痛打されることも多い。
敗戦要員とは書いたが、この防御率では敗戦処理としても失格。この選手を使うなら日本人の若手を使ったほうがマシと思うのだが。変則投手とはいえ致命的なほど球威がなく、3割を越える被打率はお粗末。1年限りの解雇は仕方ない。そもそも何を期待していたのか果てしなく疑問。

星野 伸之

細腕左腕、超軟投型

左投左打 最優秀勝率(89,96)
旭川工高 阪急・オリックス84ドラフト5位〜99、阪神00〜02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 四死球 奪三振 自責点 防御率
00 阪神 21 3 5 10 0 122 2/3 120 14 35 85 55 4.04
01 阪神 10 0 1 2 0 29 1/3 32 4 7 28 15 4.60
02 阪神 8 0 2 1 0 37 2/3 33 1 9 25 10 2.39
通算 19年 427 129 176 140 2 2669 1/3 2475 282 963 2041 1079 3.64

日本最高の「遅球」投手。130キロが精一杯の直球を、90キロ前後のカーブで生かす芸術的緩急の持ち主。「星の王子様」と呼ばれたほどの細身の体だが、先発完投型の投手として息の長い活躍。投手タイトルとは無縁だったが、間違いなくパを代表した左腕。
入団3年目に早くも頭角をあらわしローテーション入り。この年9勝を上げると、翌87年から11年連続二ケタ勝利。その間、90年の4点台を除き防御率は常に3点台。89,96年は最高勝率。91年は自己最多の16勝と、確実に計算できる安定した働き。同時代のエースたちの中でも、その安定感は1ランク上だった。
緩急の使い分けももちろんだが、特筆すべきはそれを生かすフォーム。リリースのギリギリまで左腕を体で隠す独特のフォームで、打者からはボールの出所が非常に見づらい。まさに技を駆使した投手。
00年、期待を受けて阪神にFA移籍したが、ここから状況は暗転した。もともと球が遅いのでわかりにくかったが、実は衰えがきていたのかもしれない。一つ一つのボールのキレが落ちてきたところで、慣れないセ・リーグ、さらに配球も変わってしまった。移籍後3年間でわずか8勝に終わり、ついに昨年引退を表明。
それでも昨年は内容自体は良かっただけに、もう少し見ていたかった気はする。しかしスタミナの衰えはかなり深刻だったようで、年齢を考えればやむをえない決断か。また一人、時代を代表した選手がグラウンドを去った。

真木 将樹

期待の左腕、伸び悩み型

左投左打
東筑紫学園高〜法大 近鉄98ドラフト1位〜01途中、巨人01途中〜02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 四死球 奪三振 自責点 防御率
00 近鉄 15 1 2 2 0 38 35 2 28 27 14 3.32
01 近鉄 3 0 0 0 0 3 2/3 2 0 3 0 2 4.91
02 巨人 - - - - - - - - - - - -
通算 5年 58 2 11 14 0 212 220 21 134 138 111 4.71

ドラフト1位が示すように、非常に期待の大きかった左腕投手。1年目こそローテーション入りしたが、その後尻すぼみ。
6勝から3勝、2勝と年々勝ち星が減り、一昨年はとうとう一軍登板わずか3。シーズン途中にジャイアンツに移籍したが、二軍でも結果を残せなかった。制球難が何よりの理由で、なおるどころか年々ひどくなっている印象。
宮田元投手コーチがシーズン後、「トレードの目的は真木の獲得」と明かしたように潜在能力は折り紙つき。しかしノーコンを克服できずにここまできてしまった。昨年も一度も一軍に上がれないままシーズン後戦力外に。二軍での成績もいまいちではやむをえない。結局壁を破れないまま終わってしまった。

盛田 幸妃

ベテランリリーフ、奇跡の復活型

右投右打 最優秀防御率(92)
函館有斗高 大洋・横浜88ドラフト1位〜97、近鉄98〜02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 四死球 奪三振 自責点 防御率
00 近鉄 3 0 0 0 0 2 3 1 5 3 4 18.00
01 近鉄 34 0 2 0 0 21 2/3 25 3 16 14 17 7.06
02 近鉄 2 0 0 0 0 2/3 0 0 1 1 0 0.00
通算 15年 345 2 47 34 29 613 612 72 277 434 276 4.05

一昨年、大病・脳腫瘍から奇跡のカムバックを遂げた投手。内容はともかく、久しぶりにそのマウンドを見られたことが感動的。
ドラフト1位で大洋入団。ボールのキレに良さがあり、4年目から一軍戦力に。92年、セットアッパーとして大活躍。52試合に登板して14勝、規定投球回にも達し最優秀防御率のタイトルまで獲得。絶対のストッパー・佐々木につなぐ役としてこれまた絶対的な存在になり、盛田→佐々木のリレーは他球団の脅威の的となった。
翌93年は不調だったが、94年は佐々木の離脱を受けてストッパーも兼業、16セーブ。95年までは明らかに日本一のセットアッパーで、当時の横浜はストッパーが二人いる状態だった。それだけに96年の先発転向は、明らかなミスジャッジだと思うのだが。
先発に廻ってからの盛田は、明らかにかつての勢いを失った。さらにシュートで内角をえぐる投球が身上の投手が危険球騒動で自信喪失。見るも無残な転落振りで、97年1勝に終わると近鉄へ放出。移籍後は不運に見舞われていただけに、一昨年の復帰は感動ものだった。
しかし、やはり体力の衰えは隠せず、昨年引退を表明した。移籍1年目に復活の気配があっただけに、アクシデントが惜しまれる。しかし、明らかに一時代を築いた投手。

山内 泰幸

変則フォーム、球威不足型

右投右打 新人王(95)
尾道商高〜日体大 広島95ドラフト1位〜02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 四死球 奪三振 自責点 防御率
00 広島 9 2 2 1 0 52 1/3 58 6 19 21 23 3.96
01 広島 20 0 3 3 1 41 37 8 14 31 23 5.05
02 広島 3 0 0 0 0 2 3 0 0 3 1 4.50
通算 8年 184 14 45 44 1 677 692 91 265 508 331 4.40

ルーキーイヤーに14勝で新人王を獲得し、その後急速に落ちてしまった投手。1〜3年目とその後でまるで別人。
振りかぶった右腕が下りる前に、一度高く右ひじを突き上げる変則フォーム。実はこの「UFO投法」と命名されたフォーム以外にこれといった特徴がなく、球速もたいしたことはない。それでも当初はボールにキレがあり、変則フォームとあいまって打者がつまらされるケースが多かったが、疲労からキレが落ちると並の投手。フォームにも慣れられて、抑える術を失ってしまった。
3年目の97年以降は、平均防御率が5点台。中継ぎ中心になった一昨年も成績は向上せず、右肩の故障まで負ってしまった。30歳前での引退は惜しいが、やむをえないところか。1,2年目に必要以上に酷使されたのが惜しまれる。

エド・ヤーナル

技巧派、荒れ球型

左投左打
オリックス01途中〜02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 四死球 奪三振 自責点 防御率
01 オリックス 15 1 4 3 0 73 1/3 52 7 50 82 32 3.93
02 オリックス 25 1 6 13 0 164 1/3 149 13 72 120 66 3.61
通算 2年 40 2 10 16 0 237 2/3 201 20 122 202 98 3.71

一昨年開幕直後に入団。大柄な体をギクシャクと動かすフォームが特徴で、角度のある投球が持ち味。スライダーを駆使する技巧派投手だが、それ以上に重い球質が武器。1年目は4勝にとどまったが内容がいいことと若さを買われて残留した。
昨年は開幕からローテーション入り。期待されたとおりのピッチングを見せ、ほぼ一年間ローテーションを守った。打線の援護が望めないチームとあって勝ち星はなかなか伸びなかったが、内容以上の安定感はあった。
奪三振も多いが与四死球も多い荒れ球タイプで、特に立ち上がりはいつも悪い。序盤を乗り切ればなかなか攻略できないピッチャーと化すが、調子に乗れないうちに降板してしまうケースもままあり。1〜3回と4回以降では別人のような投球をする投手。
充分計算できる戦力で、及第点以上の活躍を見せたが、打線強化を図るチームの方針で退団。当初は近鉄入りが噂されたが、結局国内球団の獲得はなかった。まだ27歳と若く、本人も移籍を希望していただけにもったいないという思いが強い。計算できる先発左腕は貴重なはずなのに、どこも獲得に乗り出さなかったのは不可解だった。

山ア 一玄

平凡投手、衰退型

右投右打
静岡高 阪神91ドラフト3位〜00、近鉄01〜02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 四死球 奪三振 自責点 防御率
00 阪神 17 0 0 0 0 26 1/3 39 5 11 10 14 4.78
01 近鉄 11 0 1 1 0 20 25 1 10 11 11 4.95
02 近鉄 - - - - - - - - - - - -
通算 12年 204 4 20 20 3 541 559 52 254 283 222 3.69

かつては非常に良くまとまった投手で、期待も大きかった選手。入団4年目の94年にはローテーション入りし7勝。前途は洋々と見られていた。
しかしどういうわけかそこで成長が止まってしまった。まとまりの良さが身上だったはずが、制球に苦しみ、内角攻めに活路を見出すも危険球の連発。防御率も悪化の一途をたどり、危険球騒動でプロのレベルにないとまで言われる始末。どこをどう間違ったのか、すっかり二流投手に成り下がってしまった。
一昨年近鉄に移籍後もかつての輝きは取り戻せぬまま。結局昨年も一軍登板なしで、シーズン後戦力外に。まとまりの良さは裏を返せば特徴がないということであり、結果を急ぐあまり小さくなってしまった感が強い。もう少しいい投手だったはずなのだが。

山崎 慎太郎

パワータイプ、不安定型

右投右打
新宮高 近鉄85ドラフト3位〜97、ダイエー98〜99、広島00、オリックス01〜02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 四死球 奪三振 自責点 防御率
00 広島 25 0 2 2 6 37 50 4 17 22 21 5.11
01 オリックス 47 0 3 0 0 49 2/3 58 7 33 27 30 5.44
02 オリックス 7 0 0 0 0 8 1/3 13 2 6 3 9 9.72
通算 18年 339 50 87 92 9 1500 1583 150 688 852 699 4.19

ベテラン投手。近鉄時代は右のエース格で、二ケタ勝利を3回マーク。輝かしい実績を引っさげてFA移籍したが、そこから流転。
一通りの球種は持ち、そこそこの球威もあるが、全体的には特徴の乏しい投手。制球力も平凡で、困ったことに安定感がない。近鉄時代も勝ったり負けたりが多く、ローテーションをはずされたシーズンも多々あった。
FA移籍したダイエーで全くの期待外れ。故障もあったが内容自体も最悪で、2年で見切りをつけられた。移籍した広島で意地を見せたが、やはり内容は悪い。移籍したオリックスでも中継ぎでよく投げたが、防御率5点台では活躍したとは言えず。
昨年1500イニング登板を果たしたが、それを最後に引退。初めて二ケタ勝利を上げた88年が最後まで自己ベストだった。

弓長 起浩

ベテラン左腕、中継ぎ専門型

左投左打
国東高〜亜大〜熊谷組 阪神92ドラフト3位〜02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 四死球 奪三振 自責点 防御率
00 阪神 5 0 0 0 0 9 10 4 5 3 5 5.00
01 阪神 44 0 1 3 0 31 2/3 34 4 24 24 15 4.26
02 阪神 9 0 0 0 0 5 3 0 2 3 2 3.60
通算 11年 400 0 17 13 7 411 2/3 405 31 230 273 150 3.28

入団以来一貫して中継ぎ専門のベテラン投手。典型的な技巧派で、格別特徴のあるタイプではないが、曲球と持ち前の投球術で常に主力として投げ続けてきた。
入団1年目から51試合に登板。3年連続50試合以上登板など、7年間で331試合登板。まさに頼れる左腕で、阪神投手陣になくてはならない存在だった。大崩れすることも少なく、安定感はかなり高かった。
99年、00年と不振が続き、いよいよ限界かと思われたが一昨年は44試合に登板し復活。しかし昨年はわずか一桁の登板に終わり、大規模な投手陣刷新とあって戦力外、そのまま引退となった。通算400試合すべてがリリーフ登板、まさに職人タイプの投手だった。

横田 久則

平凡タイプ、故障多発型

右投左打
那賀高 西武86ドラフト6位〜00、ロッテ01、阪神02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 四死球 奪三振 自責点 防御率
00 西武 - - - - - - - - - - - -
01 ロッテ 6 0 1 4 0 30 2/3 36 6 10 21 16 4.70
02 阪神 2 0 1 1 0 9 11 2 3 7 6 6.00
通算 17年 130 6 26 43 0 572 2/3 547 65 245 421 227 3.57

西武時代からどうも特徴が良くわからない投手。というのも活躍期間があまりにも短いため、気がついたときには一軍にいないことが多かったため。逆に忘れた頃に現れる、蜃気楼のような存在。
若い頃から異様に故障が多い投手で、87年に5勝を上げ脚光を浴びると、その後3年間一軍登板なし。復帰した91年に2勝上げるがまたそのあと2年間勝ち星なし。95年6勝、96年4勝と珍しく2年続くと、翌年はまたも離脱。いいかげんにしろと言いたくなるほどの出入りの激しさで、98年に6勝でも翌年の離脱はもう予想の範囲内だった。
一昨年、昨年と立て続けにチームを移ったが、いずれも1勝のみ。とにかく故障が多いため中継ぎで起用することが出来ない投手。やはり扱いが難しい。プロ通算130試合登板は、実働年数で割っても年平均12試合未満。逆に言えばよく持ったといえるかも。

ブレイディー・ラジオ

技巧派、平均的助っ人型

右投右打
ダイエー00〜02
年度 球団 試合 完投 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 被本塁 四死球 奪三振 自責点 防御率
00 ダイエー 25 1 8 6 0 135 130 12 68 61 63 4.20
01 ダイエー 22 2 9 6 0 125 1/3 145 11 68 66 60 4.31
02 ダイエー 15 0 6 5 0 82 2/3 95 9 24 49 50 5.44
通算 3年 62 3 23 17 0 343 370 32 160 176 173 4.54

大柄な体ながら、曲球を武器にする投手。スピードはそれほどなく、投球のほぼ半分がスライダー。いかにタイミングをはずすかが勝負の投手。
近年来日する先発タイプの外国人投手に多いタイプで、このラジオも目立つのは上体のいかつさくらいで突出した部分はない。制球は比較的まとまっていて四球で自滅することはない。しかしボール自体の力が乏しいため、不調時のごまかしがきかない。よほど好調が持続しないと大勝ちできないタイプ。
来日1年目が8勝、2年目が9勝。特に2年目は開幕から好調で連勝を重ねていたが後半失速。「このあたりが限界」ということをはっきり証明してしまった。先発四番手くらいで計算すべき投手で、柱になるには明らかに力不足。完投能力も低く、中盤までに2〜3点の失点なら合格というタイプ。確実に勝ちを計算するという存在ではない。
どこまでも外国人投手の平均像といった感じで、走者を出すと苛つき崩れるというありがちな欠点も持つ。3年目となる昨年は好不調の波が今まで以上に激しく、さらに好調でも中盤まで持たないというケースが目立った。6勝をあげたものの信頼感は低く、夏場過ぎには事実上戦力外、そのまま解雇となった。
技巧派投手の割にボールが全体的に高い、という欠点が最後まで解消されなかった。もう少し粘り強さがあれば違っただろうが。


2002退団選手、野手へ
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