退団野手 2003年

ヤクルトの急台頭も遠い過去となりました

五十嵐 章人

究極万能型

右投左打
前橋商高〜日本石油 ロッテドラフト3位91〜97、オリックス98〜01、近鉄02〜03
年度 球団 試合 打数 安打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率
01 オリックス 75 132 27 2 42 8 1 5 1 14 20 .205
02 近鉄 27 50 7 1 11 2 0 1 0 1 11 .140
03 近鉄 2 1 1 0 2 1 0 0 1 0 0 1.000
通算 13年 870 1801 422 26 589 171 5 70 12 178 267 .234

00年全ポジション出場、さらに一昨年は全打順スタメンでのホームランという珍記録まで達成した究極のユーティリティプレイヤー。まさかピッチャーまでは、と思っていた私が甘かった。それもこれも強肩のなせる業。外野で入ってショートをやったのは、この人くらいではないだろうか。
一年目から89試合に出場。この当時は外野専門だったが、2年の不振のあと94年にはほぼレギュラーの働き。またこのときには内野での起用のほうが多いほどになった。打撃でも思い切りの良さを随所に見せ付けた。
98年にオリックスへ移籍すると、仰木監督のもと便利屋生活はますます加速。打撃での成長があまりなかったのが惜しまれるが、貴重な戦力として存在感を示した。
圧巻なのはピッチャーで投げて、ちゃんと抑えたこと。昔デストラーデ(西武)が投げたことがあったが、ストライクが入らず話にならなかった。しかしこの人は、1イニング被安打1、無失点。脱帽というほかない。
一昨年近鉄に移籍し、前述の記録をわずか7本の安打で達成。しかしさすがに衰えは著しく、出番はかなり減っていた。昨年は終盤まで一軍昇格もなく、結局現役引退を表明。しかしこれ以上の万能選手はそうそう出てこないだろう。間違いなく記録に名を残した選手。

伊東 勤

大捕手、大黒柱型

右投右打 ベストナイン(85〜88、90〜92、97、98、02)、Gグラブ(85〜88、90〜92、94、95、97、98)
熊本工高〜所沢高〜西武球団職員 西武82ドラフト1位〜03
年度 球団 試合 打数 安打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率
01 西武 106 236 48 2 61 20 1 16 3 38 41 .203
02 西武 118 341 87 8 125 50 3 9 4 29 48 .255
03 西武 73 190 32 3 48 12 0 3 0 12 31 .168
通算 22年 2379 7050 1738 156 2556 811 134 305 60 776 1044 .247

西武黄金時代を一人で支えた名捕手。彼の獲得のために、故・根本氏はわざわざ高校を転校させて入団させた。そのため入団は少し遅れたが、目論見以上の活躍を見せた。彼がいたため黄金時代の西武は、常に二番手捕手に他球団からベテラン捕手を補充していた。大宮や中尾など、まさかのとき以外使わなくてもかまわない選手。そのくらい彼の存在は大きかった。
どうしてもその守備力ばかりが注目されるが、実は打撃力もかなり高かった選手。高校時代にはスラッガーで名が通っており、正捕手になった84年から5年連続二ケタホームランも記録している。強力打線の中で目立つことはなかったが、安定して試合に出続けていられたのはやはり総合的に能力が抜けていたから。95年まで11年連続規定打席到達というのも凄い。もちろん守備力も要の存在。投手王国を一人でリードしたチームの頭脳。
さすがに衰えの目立っていた近年だが、それでも一昨年辺りはまだまだ欠かせない戦力であるところを見せ付けた。しかし昨年はベンチに座ることが多く、コーチとして後進の育成が中心に。特に打撃の衰えが著しく、それが引退を決意させた要因ではないかとも思える。
ついに22年の現役生活にピリオドを打ち、今季からは監督としてチームを率いる。自らの後釜はまだ不確定で、その他にも難題は山積しているが、逆に言えば新監督の腕の見せ所かもしれない。黄金時代を築いた頭脳を発揮できるかどうか、非常に楽しみ。

伊与田 一範

強肩外野手、一発屋型

右投右打
千葉経大付高 広島96ドラフト4位〜01、ロッテ02〜03
年度 球団 試合 打数 安打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率
01 広島 - - - - - - - - - - - -
02 ロッテ 27 35 7 1 13 3 0 0 0 5 11 .200
03 ロッテ 29 34 6 2 12 3 1 1 1 1 13 .176
通算 8年 60 73 14 4 29 7 1 1 1 6 25 .192

長打力を期待された選手。確実性には乏しいが、ツボにはまったときのパワーはなかなかのもの。
広島時代はほとんど二軍暮らしで、01年オフに自由契約。出身地であるロッテにはテストを経て入団した。元捕手で広島時代は内野も経験。強肩は充分売りになるレベルで、チームの期待は決して低くなかったが。
ここまで一軍出場した年はいずれもホームランを記録。長打力は魅力だが、いかんせん粗い打撃がネックに。昨シーズン終了後に戦力外になった。強肩・長打力、こういうタイプはなかなか一本立ちしづらい。魅力もあったのだが…。

大越 基

守備要員、遠回り型

右投右打
仙台育英〜早大中退〜1Aサリナス ダイエー93ドラフト1位〜03
年度 球団 試合 打数 安打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率
01 ダイエー 81 26 6 0 8 1 4 0 0 1 3 .231
02 ダイエー 69 79 19 1 29 14 3 1 0 7 15 .241
03 ダイエー 35 18 4 0 5 3 3 0 0 1 6 .222
通算 11年 365 211 50 1 69 24 15 7 0 16 47 .237

足と守りのスペシャリスト。特にアグレッシブな走塁に特徴のある選手。
仙台育英のエースとして甲子園準優勝。東北のヒーローとして満を持しての早稲田進学。順風だった野球人生がここで変わった。突然大学を中退し、一時野球を離れる。
その後アメリカに渡りマイナー修行。そしてドラフト1位でプロ入り。波乱万丈は終わらない。150キロに迫る速球に魅力はあったものの、投手としてはもう一つ。類稀なセンスを買われて外野手転向。色々あった野球人生がようやく落ち着いた。
外野転向後は俊足強肩を生かして守備要員として一軍定着。一昨年ようやく初ホームランを記録したように長打力は皆無だが、なかなかしぶとい打撃の持ち主でもある。非力なので打席機会は少ないが、意外とチャンスにも強い。
自分の持ち味は心得ており味のある戦力だったが、昨シーズン終了後戦力外に。日本シリーズでも出番があっただけに、まだ早いという印象が強い。目に見えない貢献度も高かったのだが。

大村 巌

代打の切り札、パンチ力型

右投右打
東海大四高 ロッテ88ドラフト6位〜03
年度 球団 試合 打数 安打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率
01 ロッテ 11 12 2 0 2 3 0 0 0 2 2 .167
02 ロッテ 4 4 0 0 0 0 0 0 0 0 1 .000
03 ロッテ 4 4 0 0 0 0 0 0 0 0 1 .000
通算 16年 445 1162 310 36 477 174 3 2 11 63 252 .267

パンチ力が売りの大型外野手。もちろん和製大砲としての期待は大きかったが、守備力がいまいち。好調が長期間維持できないタイプで、レギュラーどりはならなかった。
しかしその打棒、特に思い切りの良さは捨てがたく、代打として一本立ち。99年には13ホーマーを放ち、ロッテの代打の切り札的存在に。千葉マリンスタジアムでの「イワオコール」は名物にもなった。
しかしその99年を絶頂に、それ以降は急降下。出場機会は激減し、特にここ二年はほとんど二軍暮らし。衰えは隠せず、ついに戦力外に。こうなるとキャリアに見合うだけの技術を持たないのが痛い。凋落は思ったより早かった。

イヴァン・クルーズ

出戻り外国人、扇風機型

左投左打
阪神01、中日03
年度 球団 試合 打数 安打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率
01 阪神 70 239 56 14 103 34 0 0 0 28 62 .234
03 中日 71 225 50 11 93 34 1 0 1 22 60 .222
通算 2年 141 464 106 25 196 68 1 0 1 50 122 .228

典型的な一発長打のみの選手。当ればでかいが確率は低く脆いタイプ。
01年阪神に在籍し、オープン戦は好調で例によって騒がれたが、開幕してみると弱点露呈。14ホームランを放っても2割ちょっとの打率で貢献度は低く、結局一年限りで解雇。それだけに昨年、中日が獲得したのには驚いた。一昨年一年で成長したという評価だったが、一度ケチのついた選手だけに正直期待しづらい面が強かった。
そして、いざ開幕してみるとやっぱり不安的中。開幕直後こそいい場面で打って「本当に変わったか?」と思わせたが、それも長続きはしなかった。すぐにもとの弱点をさらけ出し、結局01年と大差ない低空飛行。徐々に出番も減り、夏が終わる頃には完全に姿を消していた。
出戻り外国人は過去に実績を残した選手でも活躍例はほとんどなく、まして一度失敗した選手。大きく変われるほど若いわけでもなく、むしろベテラン。冷静になってみれば、どうしてこの選手を選んだのだろうという疑問が先に立つ。確かに一発は魅力だったが、結局それだけだった。
4番が課題のチームにあって、どうも最近の中日の外国人野手のスカウティングには疑問を感じる。チャンスにも弱く、何の戦力向上にもならなかった。当りはずれが常とはいえ、この安易な補強姿勢には猛省をお願いしたい。一体どの程度の数字を期待していたのだろう…。

DT(デビッド・トーマス)・クローマー

一本足、中距離型

左投左打
日本ハム02〜03
年度 球団 試合 打数 安打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率
02 日本ハム 131 478 117 20 210 54 5 0 3 39 134 .245
03 日本ハム 50 184 37 7 65 25 1 0 0 19 67 .201
通算 2年 181 662 154 27 275 79 6 0 3 58 201 .233

ウィルソンに替わって入団した外国人。外国人には珍しい完全な一本足打法で、そこから広角に打つ打撃が持ち味。
前任者とは違ってほぼ完全な中距離打者。地味なタイプで印象は薄いが、一年目の前半はまず及第点といえる成績は残した。ただそれほど威圧感は感じないのも事実なので、四番に据えられると迫力不足だったのも確か。
一本足ゆえ、タイミングをはずされると脆い。後半戦は相手に慣れられ打率も急降下。結局20ホーマーは放ったが打率は2割5分を切り、しかも完全に相手に覚えられた。二年目の昨年は全く打棒は振るわず、シーズン途中には姿を消してしまった。
中距離タイプの割にスイングが大きく、特に左投手の変化球にはかすりもしない。ボールにあわせて振るのではなく、振るところにボールが来るのを待っているような感じで、これでは三振が山積みになるのも道理。打てるポイントが限られているのだから打率が伸びるはずもなかった。
チャンスにも弱く守備も下手。チームの外国人には珍しい失敗例となってしまった。3割を期待されたが…。

スティーブ・コックス

主砲候補、故障連発型

左投左打
横浜03
年度 球団 試合 打数 安打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率
03 横浜 15 50 10 1 14 7 0 0 0 7 17 .200
通算 1年

横浜昨年の新外国人。当初はウッズはあくまでリザーブで、このコックスが補強の最大の目玉だった。
一昨年もメジャーで16ホーマーをマークし、「日本でなら30本は最低ライン」と言われた。しかしキャンプ中に足を故障し、開幕絶望。ウッズが思いもよらぬ活躍を見せる中、5月にようやく復帰したものの、間もなくまた故障発生で戦線離脱し、結局ほとんど試合に出ることが出来ずじまいに。
昨年わずか15試合の出場ながら、打率は低いものの得点圏ではさすがの勝負強さ。無事だったら確かに30本・80打点以上は期待できたかもしれないが、こうまで故障連発ではどうにもならない。日本の投手に慣れる間も、相手に研究される間もないだけに、実際には未知数と言えるかも。
無事な姿をろくに見ないうちに解雇されてしまった。ポジションがウッズとかぶってしまう以上やむをえないが…。結局えらく高くついた補強となってしまった。

神野 純一

中堅内野手、代打一本立ち型

右投右打
亨栄高〜愛工大 中日93ドラフト7位〜03
年度 球団 試合 打数 安打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率
01 中日 30 38 14 0 17 7 0 1 0 3 7 .368
02 中日 69 77 17 2 27 10 0 2 0 7 30 .221
03 中日 5 5 0 0 0 0 0 0 0 0 3 .000
通算 11年 383 685 164 12 232 78 18 25 2 79 190 .239

かつてはショートのレギュラー候補だった選手。一時は忘れられた存在になっていたが、99年ごろから打撃が本格化。右の代打として好成績を残し、一昨年までは切り札的な存在だった。
左投手には自信を持っており、打率は低いもののパンチ力もあり。一昨年は代打起用数チームトップ。なかなかしぶとい打撃でなくてはならない存在になっていた。
しかし昨年はほとんど出番がなく、わずか5打席で閉幕。後輩の中堅どころに追いやられた格好で、シーズン終了後引退を表明した。華々しい現役ではなかったが、しぶとく生き残ってきたと言えそう。今後は球団職員に。

スコット・シェルドン

尻上がり、短期集中型

右投右打
オリックス02〜03
年度 球団 試合 打数 安打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率
02 オリックス 129 450 115 26 223 59 4 3 2 45 155 .256
03 オリックス 60 233 59 8 92 24 4 0 0 18 65 .253
通算 2年 189 683 174 34 315 83 8 3 2 63 220 .255

阪神へ移籍したアリアスの後釜として入団した外国人。メジャー時代に1試合で全てのポジションを守ったという選手だが、守備は上手くなく、どうやら「守っただけ」らしい。打者としては非常に粗っぽい選手。
一昨年前半は期待の長打も出ない上に打率も低く、スタメンをはずされることもしばしば。クリーンアップどころか7番でも失格と目されていたほど。ところが夏場に入ると突然調子が急上昇。特にオールスター明けには大爆発し、いつのまにか4番に復帰。打率も2割6分まで回復しホームランも量産。1年目の助っ人としてはそこそこ位の数字にまで回復した。
底力を見せ残留となったが、昨年も開幕直後はいい時期もあったものの、それ以外は低空飛行。どうも一時に固め打ちするが長続きしないタイプで、夏場頃には一軍から姿を消し、解雇となった。
能力的に底が見えた感は強く、恐らくこれ以上の向上は難しいだろう。結局戦力の向上には貢献できなかった。

進藤 達哉

万能内野、貧打型

右投右打 Gグラブ(97〜99)
高岡商高 大洋・横浜88ドラフト外〜00、オリックス01〜03
年度 球団 試合 打数 安打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率
01 オリックス 115 302 73 9 117 40 0 3 1 36 65 .242
02 オリックス 121 356 80 5 109 29 4 10 1 25 94 .225
03 オリックス 75 122 25 5 45 12 2 1 0 11 34 .204
通算 16年 1348 3843 917 104 1440 412 42 100 19 455 746 .239

パンチ力のある大型選手として期待されていたが、守備の名手として地位を確立した人。慢性的に日本人大砲がいないチームで、早い段階から期待されていたがなかなか結果を出せず。レギュラーを掴んでからもバッティングは荒っぽいまま。しかし遊撃・三塁の守備力はめきめき向上。強肩とフットワークのよさで、特に三塁守備は名手の域まで到達した。
ただその割に向上しないのが打撃。パンチ力がありそこそこ長打は放つものの、常に2割ちょっとのアベレージ。小技も効かないためあまり信頼は置けない。7・8番がいいところで、守備の安定感とは裏腹に、単なる意外性の打者になってしまった。
オリックス移籍後も状態はあまり変わらず。相変わらず高い守備力だがバッティングで貢献することはできないまま。なまじ長打力があるために中軸として期待されてしまうのが余計に辛かった。下位にいれば安泰の選手だったとは思うが。
昨年は打撃重視の起用法であまり出番もなく、シーズン終了後に引退表明。33歳と早い決断だったが、この先打撃が向上することも考えづらく、ある意味やむをえないか。古巣横浜のコーチ就任が決定済みで、今後は若手の守備育成が仕事になる。

高見澤 考史

巧打者、堅実型

右投左打
前橋工高〜東京ガス オリックス01ドラフト6位〜03
年度 球団 試合 打数 安打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率
01 オリックス 6 6 0 0 0 0 0 1 0 0 2 .000
02 オリックス 62 154 43 4 65 26 1 3 1 13 44 .279
03 オリックス - - - - - - - - - - - -
通算 3年 68 160 43 4 65 26 1 4 1 13 46 .269

ドラフト6位入団。つまり、オリックスが試みた「契約金ゼロ」選手の一人。1年目から見事に一軍出場を果たし、「出来高契約金」を手にした。
走攻守すべてにまとまったタイプで、逆にいうと特徴が見えづらい選手。01年のフレッシュ・オールスターで3安打をマークしたように、持ち味はシュアなバッティング。プレイ全体に破綻がなく、印象には残りにくいが、使い勝手は非常にいい選手。
一昨年はチーム全体が貧打に泣く中、きっちり自分の仕事を果たした。しかし昨年は故障で一軍出場なし。するとオフにはわずか三年で戦力外となり、改めて「契約金ゼロ」の好悪両面を体現することとなってしまった。
もともと期待が大きくなかった指名と言ってしまえばそれまでだが、それでもやはり薄情な印象は拭えない。故障がなければと惜しまれるが、もう一年様子を見ても良かった気もする。

中根 仁

強打型、スーパーサブ型

右投右打
東北高〜法大 近鉄89ドラフト2位〜97、横浜98〜03
年度 球団 試合 打数 安打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率
01 横浜 104 259 68 7 100 33 1 7 0 39 69 .263
02 横浜 58 88 19 3 33 12 0 1 1 16 28 .216
03 横浜 42 69 16 1 25 13 0 0 1 4 27 .231
通算 15年 1092 2714 717 78 1137 351 52 51 24 289 651 .264

プロ生活14年のベテラン外野手だが、一貫して準レギュラーの地位にいる選手。バッティングが持ち味で、パンチ力は充分ある。また勝負強さもあり、00年は61打点をマーク。5番に座ってもおかしくない打者で、守りも悪くない。何でこの選手がレギュラーを獲れずに来たのだろう。
近鉄時代は鈴木貴、村上の陰に隠れ、今は佐伯、鈴木尚の控え。どういうわけか外野の余りがちなところにばかりいる。外野が手薄なチームなら5番センターに座るだけの力もあったように思う。通算打率も低くなく、決して粗いバッターではない。とはいえ、一度も規定打席に達したことが無いから、この面での評価は「たられば」の世界になってしまうが。
横浜移籍後も渋い働きを見せてきたが、一昨年は故障もあってかなり低迷した。昨年で37歳になり、若手に押されて出番も減少。さすがに衰えは隠せず、昨年限りでの引退となった。華々しい活躍は無縁だったが、なかなか味のある選手だった。

ブライアン・ネルソン

小柄強肩、非力型

右投左右打
ダイエー03
年度 球団 試合 打数 安打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率
03 ダイエー 54 167 38 3 54 17 2 0 2 7 29 .228
通算 1年

昨年ダイエーの新外国人。公称178cmだが、実際にはもっと小さく見える、というより間違いなく178もない。外国人にしては随分小柄で、内外野どこでも守れるという利便性が売り。
当初の構想では控えだったが、小久保の長期離脱で一転スタメンに。守備は主にライトとサード。ただ見かけ通り非力で、打球がなかなか外野に飛ばない。ここまで非力な外国人選手というのは珍しく、ホームランはおろか長打そのものが極端に少ない。
意外にもチャンスには強く、得点圏打率は高い。しかし全体的に打撃は期待薄。飛ばない割に振り回しすぎの傾向も見られ、三振も多め。ポジションを奪われたのもやむをえないところだった。結局一年限りとなったが、ただ強肩には見所があり、三塁守備は非常にアグレッシブでレベルが高かった。もっと打力があれば。

ジミー・ハースト

巨漢大砲、扇風機型

右投右打
広島03
年度 球団 試合 打数 安打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率
03 広島 43 111 23 5 41 15 0 0 0 16 37 .207
通算 1年

当ればとにかくでかい、怪力を誇る外国人選手。キャンプで周辺民家を破壊する場外弾を連発、見かけ通りのパワーを期待された。
確かに当れば大きい、長打力は充分の選手だが、いかんせん粗すぎる。タイプとしては横浜の外国人ウッズと同じなのだが、それよりもさらに粗い。開幕当初から下位の7番あたりに置かれていたが、それでもブリブリ振り回すばかりで打率は低空飛行。たまにしかバットに当たらないため、徐々に出場機会も減っていった。
粗い大砲、と言っても、せめてあと5分は打率が欲しいところ。体格の割に動きは悪くなかったが、打撃技術は正直一軍レベルではなかった。一年限りの解雇もやむなし。

広澤 克実

大ベテラン、元4番型

右投右打 ベストナイン(88,90,91,93)、打点王(91,93)
小山高〜明大 ヤクルト85ドラフト1位〜94、巨人95〜99、阪神00〜03
年度 球団 試合 打数 安打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率
01 阪神 95 268 76 12 123 46 1 1 3 24 66 .284
02 阪神 58 66 19 1 23 11 0 0 1 13 15 .288
03 阪神 37 62 19 4 34 15 0 0 0 6 18 .306
通算 19年 1893 6311 1736 306 2945 985 78 13 41 700 1529 .275

ヤクルト黄金時代の4番を勤めた男。タイトルは打点王2回。30ホーマーは一度だけと突出した成績はないが、信頼感は随一。タフさも相当なもので、87年から9年連続フル出場。池山と共にヤクルトの中心であり続けた。
95年にFAで巨人入り。フル出場は果たしたものの、巨人ゆえの息苦しさにもがき、精彩を欠いた成績。年齢的な衰えも見え始め、また故障にも苦しむ。98年は代打に甘んじ、翌年は出場機会さえ与えられなかった。
かつての上司、野村監督の阪神へ移籍。衰えは誰の目にも明らかで、守備面ではさすがに苦しい。しかし豊富な経験に裏打ちされた打撃技術は依然として健在。01年はかなりの活躍を見せ、まだまだ強打者であることを見せ付けた。
さすがにここ二年はパワーにも陰りが見えた。しかし打撃技術の高さは相変わらずで、なかなかの高打率をマーク。若い頃から右方向への打球には定評があり、決して力だけのバッターではなかった。それがこの年齢でも衰えない打撃の秘訣。日本シリーズで三振連発の後最後の打席機会で一発を放つなどらしいところは相変わらずだった。
昨年限りでついに現役を引退。まだ余力を残していた観もあるが、そろそろ速球についていけない場面も目に付いてきていた。一度死に掛けてからしぶとく生き延びたのはさすが。

福澤 洋一

専守防衛、ジリ貧型

右投右打
直方学園高〜九産大中退〜ロッテ球団職員 ロッテ89ドラフト外〜03
年度 球団 試合 打数 安打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率
01 ロッテ 27 14 2 0 2 1 0 2 0 2 5 .143
02 ロッテ 2 2 0 0 0 0 0 0 0 0 2 .000
03 ロッテ 1 1 1 0 1 0 0 0 0 0 0 1.000
通算 15年 440 614 124 6 158 37 7 59 3 37 106 .202

千葉ロッテ捕手難の戦犯の一人。完成された捕手として期待されて入団。ディフェンス面でそれなりの働きは見せたものの、正捕手を掴むまでは及ばなかった。期待が大きかった分、影響も大きい。
課題は何と言ってもバッティング。2割がやっとの低打率ではとてもじゃないがレギュラーはおぼつかない。最初の3年間はチャンスを与えられたが、4年目からは注目度も低下。それ以降は年間40打席にも満たない、すっかりただの控え捕手に成り下がってしまった。
ベテランの捕手として、最近はすっかりファームの指南役に。いまだに正捕手が固定されないチーム事情を考えるとなんとも罪作りだが、致し方ないか。昨年限りで現役を引退。

トッド・ベッツ

アベレージタイプ、中距離型

右投左打
ヤクルト03
年度 球団 試合 打数 安打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率
03 ヤクルト 112 408 117 15 188 52 2 0 3 27 92 .287
通算 1年

ペタジーニに替わる外国人。3Aの常連選手で、一発はないもののコンスタントなアベレージヒッター。
第一印象は「ややスケールの小さいオマリー」。開幕直後はなかなか率が上がらない時期もあったが、慣れてきた6月頃から急上昇。打率はだいたい3割前後で、強烈な印象は残さないが、開幕前の目算どおりの成績は残した。
当初のふれこみでは三振が少ないということだったが、これはちょっと目算違い。それでもチャンスに極端に弱いということもなかっただけに、一年限りというのはちょっともったいなかった。変に長打を意識しなければ安定した数字を残せそうだっただけに、もう少し見てみたかった気もする。
極端なオープンスタンスで、手元でバットをこねくり回す独特のモーション。手首はかなり柔軟そうだった。

坊西 浩嗣

控え捕手、平均型

右投左打
岡山南高〜三菱重工三原 ダイエー91ドラフト外〜03
年度 球団 試合 打数 安打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率
01 ダイエー 40 63 12 0 12 5 0 2 0 9 10 .190
02 ダイエー 42 63 12 0 16 5 0 0 1 1 14 .190
03 ダイエー - - - - - - - - - - - -
通算 13年 361 500 104 3 130 51 1 22 3 33 96 .208

入団以来、吉永・城島と強力な正捕手の陰に隠れた存在。それゆえに出番に恵まれないが、控え捕手としてはまあまあの力を持つ。
捕手にしては随分スリムな体形で、見るからに非力な印象。99年まではその印象どおり、打撃は貧弱そのものだった。ところが00年は別人の働き。前半は故障城島の穴を埋め、後半は代打の切り札として活躍。見かけによらず勝負強いバッティングで大活躍。まさかホームランまで打つとは思いもよらなかった。
もともとは「打てない捕手」という存在で、翌年以降は元の貧打に戻り打率も2割を切る状態。チームの控え層が薄い関係で代打の一番手であり続けたが、結果はついてこなかった。01年以降は捕手としての出番はすっかり減り、田口の加入で元の控え捕手の座にも戻れなくなってしまった。
打撃は結局一年限りの格変だったのだろうか。昨年は一度も一軍に上がれず、そのまま現役引退。00年の功労者の一人だけに寂しい気もするが、なまじ打てることでやや大振りになったのが惜しかった。常に控えだったため、在籍年数の割に出場試合は少ない。

武藤 孝司

俊足内野手、故障低迷型

右投左打
横浜商高〜創価大 近鉄96ドラフト3位〜03
年度 球団 試合 打数 安打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率
01 近鉄 - - - - - - - - - - - -
02 近鉄 18 21 4 0 4 1 1 2 0 0 2 .190
03 近鉄 - - - - - - - - - - - -
通算 8年 497 1465 408 2 511 123 71 110 8 145 150 .278

入団2年目の97年にレギュラーに定着したショートストップ。00年には3割をマークし内野陣の要となりつつあったが、肩を故障しそれ以降を棒に振ってしまった。
チーム内では数少ない、しぶといバッティングが出来る選手で、非常に三振が少ないタイプ。出塁役にはうってつけで、当初は多かった失策も徐々に改善。俊足・巧打の貴重な戦力だっただけに、この故障はあまりに痛かった。
もともとショートとしては肩が弱かったが、故障でどうにもならないほどに悪化。復帰の目処もなかなか立たず、一昨年一軍に久々に復帰したものの昨年は年間二軍暮らし。阿部が定着したこともあり、とうとう引退となった。
まだこれからという選手だっただけに残念でならない。通算安打の9割以上が97〜00年の4年間のもの。短い実働期間に終わった。

デリック・メイ

掘り出し物外国人、大砲型

右投左打
ロッテ01〜03
年度 球団 試合 打数 安打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率
01 ロッテ 132 490 138 31 262 91 0 0 4 53 81 .282
02 ロッテ 136 490 134 23 231 90 2 0 2 55 89 .273
03 ロッテ 30 118 29 5 52 19 0 0 0 10 13 .246
通算 3年 298 1098 301 59 545 200 2 0 6 118 183 .274

00年オフのテストを経て入団。テスト入団の外国人野手はあまり活躍した例がないのだが、このメイは期待以上の活躍。キャンプ・オープン戦の段階では脆さも露呈していたが、シーズンに入るとなかなか器用なところを見せた。
結局1年目は31ホーマー91打点の堂々たる成績。初めは6、7番だった打順も途中から5番に固定。ボーリックとともによく打った。チーム本塁打が109から133に増えたのはメイの功績。しかし翌年は開幕から低空飛行。不振までボーリックと歩調をあわせてしまい、チーム低迷の重大要因になってしまった。途中からようやく調子を上げ結果的には90打点もあげたが、帳尻を合わせただけという印象が強い。
昨年はまたも開幕から精細を欠き、フェルナンデスが加入してからの競争に脱落してしまった。二軍落ちすると二度と一軍には戻れず、そのまま退団に。35歳という年齢からも上積みは望みづらく、やむをえない印象。軽いスイングでスタンドに運ぶパワーは魅力があったが。

山本 保司

内野便利屋、非力型

右投右打
関東一高 中日91ドラフト3位〜95、ロッテ96〜03
年度 球団 試合 打数 安打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率
01 ロッテ 40 33 4 0 4 2 0 4 0 4 9 .121
02 ロッテ 15 5 0 0 0 0 0 0 0 2 1 .000
03 ロッテ - - - - - - - - - - - -
通算 13年 170 243 49 0 67 21 0 12 1 23 42 .202

酒井(昨年より中日)とともに移籍してきた内野手。タイプも非常にそっくりで、守備が売りで打撃が非力なタイプ。内野ならどこでも守れる利便性で便利屋的存在となっている。
守備には光るものがあるのだが、やはり打てないのは痛い。足があるわけでもなく、リザーブとしてしか使いようがないとも言える。もっと出場機会を増やすチャンスもあったのだが、もう一つ伸びきらないままきてしまった。
なかなか若手が出てこなかったチームだが、昨年はとうとう出番なし。年齢的にも伸びしろはなく、新旧の交代に完全に飲み込まれてしまった。昨年限りで退団。98年の三塁打3本が唯一打で光った部分。

吉永 幸一郎

打撃センス上位、急下降型

右投左打 ベストナイン(94,96)
東海大工高 南海・ダイエー88ドラフト5位〜00、巨人01〜03
年度 球団 試合 打数 安打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率
01 巨人 25 37 11 1 15 5 0 0 0 5 10 .297
02 巨人 26 24 5 2 11 3 0 0 0 2 7 .208
03 巨人 3 3 0 0 0 0 0 0 0 0 2 .000
通算 16年 1250 3797 1057 153 1747 505 4 16 27 549 741 .278

ホークス時代は4番を任されたこともある、打撃優位の捕手。田淵監督に素質を見出され、入団3年目に一軍へ大抜擢。以降ホークスの主力となる。
守備面ではもう一つの捕手だったが、打撃では素質を開花。レギュラーに定着するようになると常に3割近いアベレージを残す。思い切りのいいスイングながら、フルスイングでファールカットできるミート力があり、容易に軸を崩されない強さがあった。特に塁間を抜ける強い打球は随一。下位に低迷するチームで、捕手ながら打撃の中心選手であった。
97年、チームが勢いに乗ると同時に、自身初の3割をマーク。ホームランも29本を量産し、長距離打者の素質が開花。しかし個人的にはこれが落とし穴だったように思う。翌年、城島の台頭で一塁に廻ると打撃も大不振。さらにそのオフにスパイ疑惑の中心となり、完全に輝きを失ってしまった。
スランプに陥って以降、本来の鋭いライナーを打つバッティングを見失ったように思える。ホームランを意識して打撃が粗くなった。緩急にあっさりタイミングを崩され、左右の変化に対応しきれない。スパイ疑惑も余計に空回りを呼んだか。変に飛距離が伸びたことが仇になった格好。
01年巨人に移籍、捕手に復帰しルーキー阿部にライバル心を燃やしていたが、往時の輝きを失ったままでは出番も乏しく、所詮は代打の域を出なかった。一塁に廻ってからは肥満といえるほど太ってしまい、ひざの故障もあってもう捕手としては無理。代打としても移籍直後は良かったが、それ以降はさらに低迷。昨年はわずか3打席に経ったのみで、オフに戦力外。
97年に絶頂を迎えたとたんに始まったこの急転落。一度狂ってしまった歯車は二度と戻らなかった。あからさまな一発狙いに走ったのが個人的に惜しい。非常に柔軟な打者だったはずなのだが。

吉本 亮

流浪捕手、万年控え型

右投右打
御坊商工高〜王子製紙春日井 広島93ドラフト4位〜96途中、近鉄96途中、広島97、阪神98〜03
年度 球団 試合 打数 安打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率
01 阪神 6 5 1 0 1 0 0 0 0 0 1 .000
02 阪神 31 72 13 1 16 4 1 1 0 8 28 .181
03 阪神 - - - - - - - - - - - -
通算 11年 100 166 32 4 48 15 1 2 1 18 60 .193

一軍実績がほとんどないまま複数球団を渡り歩いた捕手。入団から11年間で移籍回数3回、一軍出場100試合。ほとんどのキャリアを二軍で過ごしている。
一昨年、正捕手矢野が故障して「実質初めて」といっていいチャンス。スタメンに抜擢され、自己最多の出場機会を得た。しかし攻守ともに力不足は明白で、「穴埋め要員」の域は出なかった。どちらかといえば打撃に特徴のある選手だが、それも一軍レベルでは戦力とまでは言えない。
昨年は野口の加入で穴埋めとしての出番も失い、一軍出場なし。34歳という年齢もあって、オフには戦力外になった。経験もっと乏しく、限界も見えたとあっては仕方がない。最後までファームの古株を脱し切れなかった。


2003年退団投手
HOME